狭間少女~Proprietà comune~ 作:Il cielo
入学式が終わって教室に戻ると、教科書等の教材を配られる。
席は出席番号順なので前はあの女子生徒、隣は沢田綱吉となる。
ちなみに、沢田綱吉は未だに気絶している為、隣の席の私が教材を後にまわすハメになる。
配られた教材をパラパラと流し読みしてみる。
私の時とは少し違う様だが見た限りでは解るので問題ないだろう。これで授業を聞く必要が無くなり、ホッとする。
既に知っている内容を2度も聞くのは苦痛を通り越して拷問だ。
今日は後、自己紹介をしたら終わりらしい。
まあ、初日は大抵そんな物だろう。そこは変わってないらしい。自分の番がきて、当たり障りの無い挨拶をし、愛想良く微笑んでおいた。「本当に中学生か?」なんて質問が上がっていた気がするが、きっと気の所為だろう。
隣のしどろもどろな自己紹介が耳に入る中、私は黙々と教材に油性ペンで名前を書き連ねていた。
意外と量があるので家でやるのは面倒なのだ。
そもそも家での時間はなるべく修行に当てたい。
最初やった時に出来た幻術が何故か次からは出来なくなり、やっと林檎程度がしっかりと出せるようになった所なのだ。
もっと言うならば、学校など行きたくない。
一度やった事をもう一度やるなど時間の無駄でしかないし、修行の時間が惜しい。
そして何より面倒なのだ。
風紀委員になれば、雲雀さんの様に授業にでない事も可だろうか。それならば喜んで入らせていただきたい。
そんな事を思っている内に自己紹介も終わり、帰りのHRも終わる真近という状態になっていた。
明日はテストがあるらしい。
そう言えばあったな。そんなもの。
入学した直後にやらされるテストを憂鬱に感じていたのを懐かしむ。
帰りの挨拶をして、解散となると私は逸早く鞄を持ち上げ、隣で聞こえる溜息を他所に教室を出て靴箱へ向かう。
「………まって!」
背後から声がして立ち止まり、振り向くとあの女子生徒がいた。
「あの……さっきは有難う。」
入学式の事を言っているのだろう。
あそこで私が起こさなかったら、沢田綱吉より前にいた彼女がトンファーの餌食なっていただろうから。
そっと猫を被り、どういたしまして、と返すと彼女は小走りで近寄ってきて、私の手をとった。
「あの、私、中学校で1人は嫌だったから、友達をつくろうと必死だったの。でも、友達でも何でもない私を貴女が助けてくれて、友達ってつくろうと思ってつくるものじゃないな、って思ったんだ。」
何とも臭いセリフだ。
助けるといっても、それは結果論で私は肩を叩いて彼女を起こしただけだ。
「だから……だから、私と友達になってくれない?」
「友達になって、って言って了承したら友達なの?」
そう返すと彼女は目を丸くして、苦笑いを浮かべた。
「あ……その、私もそう思うんだけど、これ以外に言葉が思いつかなくて…その…」
もごもごとしている彼女を見兼ねて、未だ握られている彼女の手をそっと握り返した。
「………じゃあ、友達。友達でいいよ。宜しくね」
そう優しく微笑んでやると、彼女は満面の笑みで私をみた。
「本当!?有難う!!!私、
「
「うん!それじゃ、また明日ね!」
そう言って走っていく彼女を見ながら、溜息をついた。
友達ができたのは良かったけど、彼女を相手にするのは疲れる。この調子でいくと、猫被りなんてすぐに剥がれてしまうだろう。
しかし、今考えても仕方が無い。一旦その事は置いておこう。
靴箱に向けて歩き出そうとした時、ふとトンファーの事を思い出した。
少し考えてから私は、足の向きを180度回転させた。
最近帰ってきた英語のテストが27点でした。
少し嬉しいです。
英語は捨ててたので点数が低いのは気にしません。