狭間少女~Proprietà comune~ 作:Il cielo
この時間だと恐らく屋上だろう。
昼前のこの時間は日当たりが良いので、雲雀さんは良く屋上で寝ている。
トンファーを返すべく、階段を登って行く。2年生や3年生に振り向かれた気がするが気の所為だろう………多分。
気の所為じゃないとしたら、きっと小学生が何で此処にいるのか、とか考えてるんでしょうね、どうせ!
時玉、浴びる視線に苛立ちを感じながら階段を早足で登ると、やっと屋上の扉の前につく。
一つ深呼吸をし、扉を開くと、仰向けに寝そべっている雲雀さんがいた。
雲雀さんは寝ていても誰かがくれば起きるのだが、今日は寝息をたてて寝ていた。
恐らく入学式で沢山の人が群れているのを見るのが余程、嫌だったのだろう。
人の声が聞こえない所まで深く眠りについている。
実際、私が隣まで来ても起きない。
さて、どうした物か。
トンファーだけ置いて帰ってもいいが、今すぐ帰るとまたあの視線を受けることとなる。
それは嫌なので、ある程度校舎に人がいなくなるまで待つ事にする。2.3年生も今日は早めに帰る筈なので、後数十分の辛抱だ。
「ふぅ……」
息を一つ吐き、その場に座る。
グラウンドを上から眺めてみれば、親と共に校門をでる生徒の姿が見えた。
その姿を見て、私は何だか懐かしく思った。
だが、それが周りの子達との年齢の差を感じさせて嫌になりグラウンドから目を逸らした。
行き場を失った私の視線は暫くウロウロと彷徨った後に、寝ている雲雀さんを捉えた。
ぼーっとその顔を見ながら、よくその体制で寝れるなとか、寝ていればただの 儚そうな少年にも見えるなとか、考える。
「………」
寝ている人を見たらする事がある。
辺りを見回して誰もいない事を確認すると、雲雀さんの顔に手を伸ばす。
そのまま、ツンツンと頬をつついてみる。
額に 肉 と書く事もあるらしいが、さすがにこの人にそれをする勇気はない。
それにしても、案外柔らかい。
この肌の綺麗さはどういう事なのだろうか。
いつも傷一つないとはいえ、暴れて帰ってくるというのに。
かといって、こまめに肌の手入れをしてても少し嫌だが。
「………いいよなぁ」
「何が?」
ボソッと呟いた私の言葉に雲雀さんがカッと目を開いて答えたのだ。
そりゃもう、驚いて大声で叫びながら後ずさりましたね。
いきなり起きないでほしいです。心臓がとまるかと思った。
背伸びのして欠伸をしている雲雀さんにバクバクする心臓を落ち着けながら話しかける。
「あ、あの……恭弥さん……いつから…」
「君が僕に手を伸ばしてきた辺りから」
マジか。
それ、ほっぺたふにふにしてた時起きてたっていう事ですよね?
………私の人生終わったかもしれない。
そう思っていた矢先、私に何もせず屋上を出ようとしていく彼が目にとまる。
が、出る直前で止まったので身を強張らせていると此方を振り返らずに彼は言った。
「これ、有難う」
そう言って階段を降りていく雲雀さんに私は耳を疑った。
礼の対象はトンファーだろうが、彼が有難うなどと言う言葉を知っていた事に驚きだ。
屋上から下を見てみると2.3年生であろう生徒が下校しているのが見えた。
「…………帰ろう」
いろんな意味で疲労を訴える体に鞭打って、私は帰路についた。
国語の時間に「この鳥の名前は雲雀だ」っていう文があって吹きましたw
先生がGって言った瞬間反応してしまうこの頃