「それじゃあ、行ってきます」
「は~い、いってらっしゃ~い」
母さんとの爽やかな挨拶を終え、俺は今日も学校へ行く。それにしても、昨日の作文は何だったんだろうか。俺は気に入ったけど、あんなとんでもない内容を、よりにもよって生徒指導の先生の課題で提出するなんてな。嘘をつくのが嫌いなのか、それともよっぽどの大馬鹿者か…。一度でいいから顔を拝んでみたいものだな。おっと、同じ高校だからもう既に拝んでるかもな。
「…くぁぁ……」
人目をはばからずに大きな欠伸を一つ。未だに残る眠気を、軽く頭を振って覚ます。……駄目だ、覚めね。
「あ、隼人くーん!おはよー!」
「…やあ、姫菜。おはよう」
俺とは正反対に朝から元気な彼女は、海老名姫菜。うちの高校は髪を染めてる人も男女問わずいるが、姫菜は黒髪のまま染めていない。更に眼鏡をかけていることにより、大人しい印象を受ける。
だがその実、中身はまったくもって大人しくない。
「ぐふふふ、さて隼人君問題です。今朝のカップリングのテーマは、何でしょうか?」
「知るか…」
「じゃじゃーん!正解は、はや×おか、でしたー!」
「さて問題です。朝から自分が男友達とくんずほぐれつする話を聞かされた俺の気持ちを答えなさい」
「いや~、やっぱ隼人君は攻めと見せかけた受けだと私は思うのさ。そして、大岡君は草食系と見せかけて肉食系!これで決まり!」
「聞けよ」
そう、海老名姫菜は腐女子だったのだ。
…いや、だったのだっていっても、後から知った訳じゃなくて最初から知ってはいたのだが…。
だからって、毎朝一緒に登校して薔薇話聞かされるなんて想像できないだろう?いくら女友達とそういう話できないからって、男の俺に聞かせるか普通?
しかも、何故か俺がネタになってる事が多い…。俺はノーマルだよ?同性愛を否定はしないけど、だからって俺自身が同性愛に目覚めている訳じゃないからな?身内で使いやすいからって、俺自身に聞かせないでほしいな…。
…まあ、妄想のネタにしてるのはお互い様か。俺だって姫奈をネタにして、人には言えないあんな事やこんな事を妄想してるし…。腐っていても、美少女は美少女なんだ。ちょっとアレな事を妄想して何が悪い。
「ね~ね~、大和君って青いつなぎが似合いそうだよね」
「………ぶはっ!!?」
想像してみると違和感無え!!大和、マジでそっち系なのかもしれん!!
「お?その反応は満更でもなさそうだねぇ~?」
「お、お前…間違っても皆の前で言うなよ…?」
「やらな~いか♪やらないか?や~らな~いか~♪」
「下品!やめい!」
女の子がやっちゃダメなジェスチャーをしながら、姫菜は歌いだす。
こんな普通とはかけ離れた日常だが、俺は思いのほか楽しんでいる。
それはきっと、隣にいるのがこいつだから、とは死んでも言わん。恥ずかしい。
歌い続ける姫菜を諌めながら、俺は今日も青春を謳歌する。
短くて申し訳ありません。
次回はもっと長くできるよう頑張ります。