テイルズオブフェイティア〜宿命を運命へと変えていくRPG〜   作:平泉

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ちょこっとパロディネタ?みたいなの入れました
知ってる人はクスッとくるかも( ´ ▽ ` )


内戦の地へ

セルドレアの花畑を後にし、北西方面へ進んでいくとやっと目当ての地が見えた。スヴィエートの首都、オーフェングライスだ。高い城壁がそびえ立ち、外からも重い雰囲気が伝わってくる。

 

「正門からはまず無理だな……。ぜってーリザーガの野郎が見張ってるだろうし…。かと言ってこの高い要塞の壁をどう突破するかだよな……」

 

ガットが壁を見上げながら言った。今彼らがいる現在地は首都の外側の壁沿いである。正門は当然閉ざされており当たり前だが見張りもいる。ガットは困り果てたが、ある事を思いついた。

 

「そうだ!カヤ!お前確かフックショット持ってたよな!?」

 

そう、カヤが逃走用として常に携帯しているいわゆる便利盗賊グッズのフックショット。彼女はこれを使ってスターナー島のアルスから逃げおおせた。

 

「え?あぁこれ?」

 

カヤは腰のポーチから取り出した。そしてノインがふと思い出し言った。

 

「………待ってください?あのガラサリ火山でマグマに落ちそうになった時ソレ使えばよかったんじゃないんですか…?」

 

「……………………………あっ」

 

カヤはたらりと汗を流した。「そういえばあったわ」という今更な事を言う。

 

「い、いや、なんと言うか?その。あの時は想定外過ぎて、対処出来なかったというか、忘れてたというか、その、ね?」

 

「コラー!お前これ使えばルーシェが危ない目に遭わずに済んだのではないのか!?盗賊あるまじき失態だぞ!なーにが世を騒がせてやった女盗賊、だ!」

 

フィルがビシィッ!と指を指して彼女を責めた。

 

「だぁから忘れてたんだってば!咄嗟のこと過ぎて!?分かるでしょ!盗賊カンケーないし!それにアタシもう盗賊じゃないし〜!?あーもう!ごめんってば!!」

 

いぎぎ…!といがみ合う2人をルーシェが苦笑して仲介に入った。

 

「そうそう、過ぎた事だよフィルちゃん、ね?私の心配してくれたのはありがとう。でもあの出来事のお陰で私達2人の和解と友情が生まれたわけだし、結果オーライって事だよ♪」

 

「ヌゥ……」

 

「ほらー!ルーシェもそう言ってるし〜!?」

 

ルーシェに諭され悔しげな表情を浮かべるフィルを見つめ勝ち誇ったようにカヤは胸を張った。

 

「オイ、俺の話聞け!」

 

「あっごめんごめんガット忘れてた」

 

置いてけぼりを食らったガットはムスッとした顔で再びカヤに話しかけた。

 

「そのお前のフックショットで俺ら全員何とか上げることは出来ねーかな?一人づつ交代してやるとか」

 

「エェー!?無理だよ!?まず距離が足りないよ!?見てよこの高い壁、どうやったって途中までしか届かないよ!」

 

カヤは「ほら見て!」と言いフックショットを発射した。バシュッと音を立てて射出された先端は壁のてっぺん2分の1というところで刺さって止まった。どう見ても届いていない。

 

「ハァ!?もっと伸ばせねーのかよ!」

 

ガットはもどかしい気持ちを押さえきれずに食い気味にカヤに突っかかった。

 

「アホー!無茶言うなー!無理なもんな無理なのー!」

 

ギャイギャイ騒ぐ2人を見つめ悩んでいたルーシェはそういえば、と思いつき手をポンと叩いた。

 

「フィルちゃんは確か綱渡りの名人だったよね?」

 

「お?おぉ?どうしたルーシェ?突然褒めても何も出ないぞ?」

 

フィルは顔を赤らめ照れた。

 

「つまりバランス感感の達人であり、アクロバットの達人で空中を制するフィルちゃんじゃない?」

 

「フフン、そうであるな」

 

おだてに乗るフィルは鼻を高くした。しかし次の瞬間ルーシェはとんでもないアイディアを口にした。

 

「あのさ、フィルちゃんがあのフックショットを使って途中まで登って、その後糸とかなんかで足りない分補ってあとの残りのところを登りきる事とか出来ないかな?」

 

「ッウェエ!?いっ、いや!?出来なくはないが……!?そんな無茶振りルーシェの口から出てくるとは思わなんだ!」

 

フィルは鼻を高くした分それをポキりと自分で折るわけにも行かず思わず出来なくはないと言ってしまったがかなりの難関アクロバットだ。

 

「ホント!?よし!じゃあ頑張ってみようか!フィルちゃん!」

 

 

 

「いや……まさかまたコレにお世話になることとはネ………」

 

ラオはスルスルとその丈夫なツルを登りながら心底あの時長めに、余分に採っておいてよかったと思った。生来の自分の性格か、いつか使うかも、もしかしたらこの先どこかで使うかも、と思いイカダに使う分も若干ケチったのだ。その分丈夫さが減りあの荒運転になったとは口が避けても言えない。幸い皆川が氾濫しかけているからと勘違いしてくれたが。

予め雪を溶かしてその水をかけておいたマビヅルは強靭なロープとなった。

 

フィルは無事ルーシェの無茶振りをやり遂げたのだ。手順はこうだ。

 

フィルはラオから札、クナイを何本か、そしてマビヅルを拝借し、口にクナイをくわえた。そしていつでもエヴィの糸をいつでも出せるように神経を集中させ、フックショットを発射させた。シュルルル、と音を立て伸びていくソレは壁の2分の1というところで止まり突き刺さる。

 

カチっとボタンを押して上昇し出すワイヤー。フィルは壁に激突する寸前に右手でクナイをフックショットよりも高い位置に投げつけ、その持ち手にエヴィ糸を巻き付けた。フックショットから手を離すと同時に糸を伸縮させ登る、そしてまた上の位置にクナイを投げつけ同じような動作をして登って行った。クルクルと空中で回転しながら登っていく様は流石空中戦の達人と言ったところか。

 

クラリス曰く、小さい頃絵本で読んだ「きょじんのおはなし」に出てくるキャラクターの移動のようだったと絶賛していた。

 

ともあれ無事壁の上に降り立ったフィル。「思ったよりも簡単だったな」と、また鼻を高くした。

 

そして壁の上の平坦な位置に札とマビヅルを貼り付けて下の仲間達の元へ下ろした。この札はどうやら一時的絶対に剥がれないいわば敵のマーキング用のモノだが、応用してマビヅルをくっつける小道具として役に立った。

 

男性陣から先にマビヅルクライミングが始まり体力のあるガットは自力で登りきり、ラオは持ち前の身軽さと器用さでガットより早く登りきった。問題はノインだった。彼は男性陣の中で1番体力がない。術を得意とする後衛のため力がないのだ。

 

「ちょ、も、もう無理……………」

 

マビヅルに捕まりぐったり、と音を上げるノインにガットは上から見下ろして言った。

 

「んだよノイン!もうちょい頑張れよこの非力野郎!」

 

「ここまで登りきった事でも僕としては凄いわァ!!お前ら2人が異常なんだよォ!」

 

クワッと目をかっぴらき、ノインは逆ギレを起こした。ラオも便乗してからかってやる。

 

「やーいこのモヤシ〜!」

 

「アンタに言われたかないわァ!!」

 

すっかり敬語口調が崩れているノインは無事救済措置として、フィルのエヴィ糸に引き上げられた。女性陣と同じ扱いを受け自業自得だが若干落ち込んだノインであった。余談だが、女性陣の中でカヤだけは自力でなんとかマビヅル登りきり、ルーシェとクラリスはフィルに引き上げられた。しかもクラリスはノインより記録を更新した。ルーシェに励まされ、男としてのプライドがズタズタになったノインは何とも言えない気持ちになり切ない目でクラリスとカヤを見つめたのだった。

 

 

 

壁からまたマビヅルを使い降りるとそこは幸運にもオーフェングライスの貧民地区だった。ここはルーシェの住んでいる地区だ。彼女はこの地区の地理だけは知り尽くしている。しかし以前より変わっている事が多々あった。

 

「建物が…!崩れてる……!?」

 

故郷の下町をゆっくりと歩き、彼女は変わり果てたその風景に心を痛めた。

 

「内戦の影響ね……、ルーシェアンタ大丈夫?」

 

内戦の影響は確実に出ているようで建物が崩れ、人の気配がなかったりと状況はかなり酷い。雰囲気はグランシェスクよりも物々しい。カヤはそんな彼女を案じた。カヤも困窮した故郷の村の似たような経験がある為、余計心配になったのだ。

 

「…………大丈夫。下町の人も心配だけど、内戦中の今はどうしようもないって、分かってるから……。カヤも心配ありがとう。とにかく皆!今日は疲れてるでしょ?私のお家に行こう?女将がいるから!そこで一旦体を休めないと!」

 

ルーシェの案内について行き、無事女将シューラの経営する宿、アンジェリークにたどり着いた。再会を喜ぶルーシェと女将。彼女は自分の状況も危ういのに事情を聞き優しく快く迎え入れてくれた。シューラには一同は感謝してもしきれなかった。食事を振舞ってくれた後、彼女はスヴィエートの現在の状況を語り始めた。

 

「頻繁にリザーガや軍がたかりに来るさ。特にリザーガと奴らは話を聞かない連中でね。それに訳の分からない理想とか精霊だか何だか知らないけど変な宗教を掲げてやがって、熱心にそれを広めてくるのさ。追い返してやると逆上するもんだからタチが悪いったりゃありゃしない。まだ軍人さんの方がマシだね!協力しろだの、ゲリラの一味として疑われて理不尽に怪我を負わされた人もいる。何か意図があるのか、殺されはしないがね。誘拐された者はいるよ。軍人さんは出来る限り街に被害が出ないよう、それと気候と土地勘を活かすため北のレイリッツ湖やグラキエス山付近で戦うようにしているが、最近じゃ軍が圧され気味でね。泥沼化してきて、なんとか耐え抜くためにゲリラ戦をやってるが、そろそろ限界さ。街にもやがて本格的に戦火が降りかかる。全く、この状況がどこまで続くんだか……」

 

シューラは深く溜息をついた。思った以上に深刻な状況に陥っているようだ。ルーシェは神妙な面持ちで尋ねた。

 

「ね、ねぇ女将…。アルス…、アルエンス陛下がどうなったかとかは……噂は聞いてる?」

 

ルーシェは今、それが1番の気がかりであった。

 

「あぁ、あの青年、アルエンス陛下かい?さぁね……。未だどこかに息を潜めているのか、それとも捕まっているのか、はたまた亡くなられたしまったのか、分からないさ。ただ、軍が圧されてるんたから、良い状況ではないのは確かだろうね…。風の噂によれば城に捕らえられていると聞くが、本当か定かじゃない……。現時点で分かる僅かな情報はこれだけさ。申し訳ないね…」

 

ルーシェは首をふった。

 

「ううん、十分だよ。本当にありがとう女将。いきなり押しかけちゃったのに美味しい料理、ごちそうさまでした」

 

「何言ってんだい、娘が帰ってきたんだから母親が料理を出してやるのは当たり前さ。ただ、怪我人や逃げてきた軍人を寝かせてるから泊まらせてやれる部屋がねぇ…。屋根裏とルーシェの部屋しかないんだよ……」

 

ガットは「とんでもねぇ」と笑った。

 

「全然構わねぇよ、恩に着るぜ、シューラさん。俺ら男は屋根裏で休むわ。女達はルーシェの部屋で休め。皆、明日は平民街のマンホールから城に侵入するぞ。過去の時と逆ルートだ。だけど油断はするなよ。特にクラリス、お前は俺達と絶対はぐれんじゃねーぞ…」

 

「ウグッ、相変わらず過保護だなぁ…!」

 

クラリスはガットを睨んだ。

 

「まぁ過保護ってのもあるけどさ、20年前君と別れた後ボク達はスヴィエートで色々やってたんだ。前話したやつね。その時もギリギリで大変だったから。クラリス、期待してるよ。明日は一緒に頑張ろうネ」

 

「ラオ兄……。ああ!!」

 

ラオの言葉に照れくさそうに目をそらしクラリスは大きく頷いた。

 

 

 

翌日、閑散とし、内戦の影響で変わり果てた平民街へ行きマンホールから地下道に侵入した彼らは城へと無事侵入した。しかしアルスがどこにいるかなんて見当もつかなかった。とりあえず例の皇帝とやらの石像の下から出て、甲冑廊下を歩いているとラオが言った。

 

「ボク、過去にこの城に行った時アルスが作った地図を見た。僕の記憶が正しければ、確か地下に牢屋があるはずなんだ。よく城とかには定番にあるよね」

 

「あ、そう言えばそうだったような…!それにロピアス城も地下に牢屋はありますし!ってか僕まだ地図持ってました!」

 

ノインは帽子の中から地図を取り出して言った。ラオが鍵を取りに行く時さりげなく自分に渡してなんとなく今まで持っていたのだ。ルーシェもそう言えば、と思い出した。

 

「じゃあその地下に行ってみるっきゃねぇな…。途中のリザーガの連中とかに見つからねぇように行かねーと……」

 

スヴィエート城の構造は相変わらず難解で地図がなければ絶対に迷っていただろうとガットは思った。ただでさえ自分は研究所チームだったのであまり城には馴染みがない。

 

階段を降り続け地下4階。そこはまさしく地下牢の階だった。カヤが煙玉を投げ、その隙に見張りの者をラオがアサシンのように素早く眠らせ行動不能にした。

 

「ゴホッ、あぁ〜、巻き込んじゃった人ごめんなさいッ!大丈夫!?」

 

カヤは辺りの煙を払うとゲホゲホと咳き込んだ。ノインが風の術を発動させ煙を消し去ると、牢屋には大量の捕虜と思われる軍人達が囚われていた。咳き込みながら軍人の1人が皆の姿を確認した。

 

「ア、アンタ達は……!?誰だ!?敵か!?」

 

「うわっ!?こんなに軍人さんいたの!?ヤバくない!?」

 

カヤは開けてくる視界に入る軍人達の数に驚いた。シューラが言っていた通り軍が圧されているのは間違いないようだ。

 

「お待ちください!彼らは…!?」

 

牢屋の中から聞き覚えのある声が聞こえた。軍人とは違う、執事の格好をしている。しかしその燕尾服はボロボロになり汚れていた。

 

「ハウエルさんっ!?」

 

「ルーシェ殿!」

 

ルーシェは牢屋越しに、老執事ハウエルに駆け寄った。

 

「あぁっ、誰が一体こんな事を!?酷い、傷を早く傷を見せてください!」

 

顔や身体あちこちに傷が見られる。老体にこのような仕打ちをするなんて、とルーシェは怒りに震えた。鉄格子の隙間から手を伸ばし治癒術を必至に施したが、ハウエルは彼女の手を両手でつかんだ。

 

「あ、ありがとうございます…ルーシェ殿。ですが、この老体などどうでもいいのです。それにここに囚われている人達はどこかしら怪我を負っている。キリがなくなります」

 

ハウエルはチラ、と後ろを見た。

 

「で、でも…」

 

ルーシェは戸惑った。確かに軍人達は皆薄汚れ、傷を負っている者もいる。戦場から直接捕虜として連れてこられたのだろう。しかし決して衛生的ではないこの環境に、ルーシェは首をふり治癒術を続けようとする。

 

「……いいのです。心優しい貴女様のお気持ちはとてもありがたい、本当にありがとうございます。しかし、今は私達よりも大変な思いをなされていらっしゃるであろうアルエンス様のをいち早く救出して欲しいのです」

 

それを諭したハウエルはアルスの名を口にした。今ルーシェが、皆が1番目的としている人物だ。

 

「そうだよお嬢さん。我々の事は今はいい。どうか陛下を助けてください!」

 

「あぁっ!俺からも頼むよ!どの道怪我してる俺は大して役に立たねぇ!だから!」

 

「我々は若き陛下が皇位継承した時、この身を捧げてでも仕えると誓ったのだ!」

 

軍人達がハウエルの後から口々に言った。囚われの身の彼らの今の希望はルーシェ達なのだ。

 

「皆さん……いいですか、よく聞いてください…」

 

ハウエルが牢屋の向こうの全員に目配せをした。

 

「このクーデター、内戦の首謀者は……、サーチス様なのです!!」

 

クラリスはピンと来なかったが、それ以外の皆は反応を示した。

 

「さ、サーチスッ!?嘘だろ!?アロイスとか言う奴じゃねぇのかよ!?」

 

ガットは新聞と違う内容に驚いた。

 

「………誰だ?サーチスって?あっ、そういえば新聞で見かけたような……。アロイスの母親だったか……?」

 

クラリスが首をかしげた。

 

「確か…アルスの従兄弟伯母…だったような?」

 

カヤが呟いた。しかしカヤも姿は戴冠式や城で少し見かけた程度である。

 

「ガットが過去の事話してくれた時に、彼女の名前も出てきたネ。研究者だったんでショ?しかも結構な立場の」

 

「あぁ、ハーシーの日記にそういや……。確かそうだったわね。アルスは彼女の事苦手だって、話してたような」

 

ラオとカヤの小声の会話の後にハウエルが続けた。

 

「恐らくアルエンス様はシュタイナー研究所の地下です!長らくあそこはエヴィ濃度が高く閉鎖されていた研究所だったらしいのですが、内戦を期に再び使用されたのです。アルエンス様は約1ヶ月前にサーチス様に捕らえられてしまって…!恐らく、そこに監禁されています!どうか彼を助けて下さい!あの女の様子、明らか様子がおかしかった!私を最初にこんな目に遭わせたのも彼女だ!アルエンス様が無事だとは到底思えないのです!!」

 

「シュタイナー研究所……!?20年前に行った……!?」

 

ノインが驚き、続ける。

 

「しかも様子がおかしいって…!それったアルス君の大丈夫なんですか?ヤバイんじゃないんですか!?」

 

「そっ、そんな!早く助けに行かないと!?」

 

ノインの発言にルーシェは震えて言った。

 

「ハウエルさん、情報ありがとうっ!アタシ達今から早速アルスを助けに行くわ!」

 

「しかし、どうやって行く?」

 

カヤの意気込みは良いが、クラリスが肝心な事を聞いた。

 

「過去行った時、アタシ達研究所チームは貴族街のマンホールの地下道から行ったの。ガットがその場所を知っていたのよ。使用再開したなら、もしかしたら開放されているかもしれないわ。何より、今はそこに賭けるしかない。前のワープの所は開かずの間だろうし、あんまり……」

 

行きたくない、カヤはその言葉を飲み込んだ。カヤにとってあんな気味の悪い場所はごめんである。

 

(って言うか誰だってあんな空間嫌だわ……)

 

「あんまり……何だ?」

 

「あっ!?いやいや何でもない!ただあんまり得策じゃないっていうか!ただそれだけよ!鍵閉まってそうだし!?」

 

「え、あ、ああ……?そう、なのか。分かったよ」

 

慌てるカヤに不信感を抱きつつクラリスは納得した。

 

「ハウエルの爺さん、情報ありがとよ。必ずアルスを助けてくる。そんで連れ帰ってきてここにいる全員を開放してやる!待っててくれ!」

 

「頼みましたぞ……!」

 

ガット達は後ろ髪を引かれる思いを断ち切り、牢屋を後にした。

 

しかし、ここにいる全員と再会を果たすことは叶わなかった───────。


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