Demon's Stella ~悪魔の彗星~ 作:Hershel
属性相関&魔導術その②
魔導術の属性や潜在属性には相性があり、矢印の先に強い。
火→氷→風→土→雷→水→火・・・
光⇔闇
光と闇は相反しており、お互い弱点同士で得意属性同士である。
池宮の魔導術は、八種類の全属性を扱える特殊なものとなっている。
『エンチャントルーン』と呼ばれ、事前にある程度その属性の力を呼び起こすことによって
発動できる大型魔導術。
『イグニス』
火属性のエンチャントルーン。炎を操ることが出来、物理攻撃に関しては最強。
『ゲールス』
氷属性のエンチャントルーン。氷を操ることが出来、魔導術攻撃が一番強い。
『フラブラ』
風属性のエンチャントルーン。風を操ることが出来、移動速度の上昇のメリットあり。
『テッルス』
土属性のエンチャントルーン。土を操ることが出来、物理防御に向いている。
『スルポール』
雷属性のエンチャントルーン。雷を操ることが出来る。池宮が一番使い慣れていて、使える技が多い。
『ウンダ』
水属性のエンチャントルーン。水を操ることが出来、火属性である砲撃の防御にも適している。
『ルックス』
光属性のエンチャントルーン。光を操ることが出来るが、普段は殆ど使わない。
『テネブレイ』
闇属性のエンチャントルーン。闇を操ることが出来るが、池宮曰く最終手段。
ルーンを身体、蛇矛に宿すことで、それぞれの属性の魔導術を使うことができ、
その属性を持った物理攻撃も可能となる。
『方陣展開』を行うことによって、その属性の防御壁を展開することが出来
特に相手の魔導術に高い効果を発揮する。
だが、一度に宿せるのは二属性のみであり、ルーン形成には体力の消費もあるので
多用はできない。
今回概要だけ記載しましたが、今後の展開で小説内でまた説明します。
5月17日(日) 午前7時。
朝の小鳥のさえずりが響き渡る鎮守府。小さな部屋に二つのふとんがしかれている。
隣同士で横になって寝ている俺と夕張は、朝のさえずりを聞いて起き上がる。
ほぼ同時だった。
「んん~!」
夕張は腕を引き上げ、身体を大きく伸ばす。
俺は暫くぼーっとしていた。
昨日のことが頭から離れなかった。未だに頬がずきずきする。
帰ってきたらどうなったんだろ。というか、どうやって帰ってきたんだ。
俺はあのときからの意識が殆ど無い。
とにかく、ずっと謝っていたことは分かる。だが、その後は多分・・・夕張にまかせっきりだった。
だめだな、俺。こんなの、初めてじゃないってのに。
「池宮さん」
隣から聞こえる澄んだ声。
「おはようございます!」
窓から差し込む光に照らし出される夕張の笑顔。
ぼーっとその顔を見ては、俺は目を覚ます。んん!?
そ、そういや・・・俺、今日から夕張と一緒に寝てるんだっけ・・・。
なんというか・・・こんな姿誰かに見られたらどえらいことになるぞ!!
いや、全くやましいことはしていない。していないのだが・・・。
「あぁ・・・おはよう」
そんなこと考えるな、俺。彼女は艦娘。そういう目で見てはいけないのだ!
で、でも・・・実際性欲を満たすために艦娘を呼び出しては
性行為まで発展するケースもあるんだし・・・誤解を生みかねない。
実際俺は、そういったケースを取り締まることもしていたしな。
って、ほんと何考えてんだ俺。
「池宮さん、昨晩は本当にお疲れ様でした」
夕張が、そっと手を握ってくれる。
あったかい。兵器といわれている艦娘だが、この暖かさはまさに人のぬくもりだ。
やっぱり、俺は彼女を兵器として見ることは出来ないんだな。
でも、昨晩といわれると、また思い出す。少女の無残な姿。母親の叫び。怨み。悲しみ。
そして・・・俺の記憶・・・。
でも、そんなことを夕張の前で思いふけるのも違うよな。
「おう。夕張もお疲れやで」
若干参ってるな、これ。
そう思っていると、夕張は布団の隣に置いていた巾着袋を俺に渡してくる。
「はい、これ」
中には・・・3000円。えらく軽いと思ったらまさかの札だったか。
「多いな、今日」
「えぇ~!?」
夕張は驚きのあまり声を出す。
「いやいや・・・これで多いの!?絶対騙されてるよ池宮さん!」
「そっか?何かもうなれてしもたわ・・・」
俺は頭を掻く。まぁ、騙されてる気は最初からしてるけど、もう慣れてしまったのが辛い。
「それで、今日はどうするの?」
首を少し傾けて夕張は俺に問いかける。とりあえず腹ごしらえだ。
「とりあえず飯やな」
「ご飯、炊いておいたよ」
「まじか!大好きや夕張ィ!」
「どういたしまして、ふふっ」
面白おかしく夕張は笑う。
「もう今日はめんどくさいし、卵かけご飯で許してくれや」
「全然いいよ!私結構好きだし」
「んじゃ、適当に卵取って食べよか」
小さな冷蔵庫を開けて、卵を二つ取り出す。
卵を割り、器に入れ、電子レンジで20秒加熱。
うまみ調味料、醤油を入れてかき混ぜる。
お茶碗に入れたご飯の中央に穴を空け、そこに卵を注ぐ。
そしてご飯をかき混ぜる!これが俺的絶品卵かけご飯!!
「うん、うまい!」
俺はがつがつと食べる。そして、同じ作り方で作った夕張も口に入れる。
そして、表情を変えて驚く。
「お、おいしい・・・」
素直にそう言葉がこぼれる。
「おいしいですね!池宮さん!」
「やろ?」
俺はこの生きてきてこの製法で数々の舌を唸らせてきたんだ・・・!
たかが卵かけご飯と侮るなかれ!!
そう思っているうちに二人とも間食。一緒に洗い物をする。
「うん、これからはレンジで20秒だね」
「友達に教えてもええんやで」
「加賀さんに今度教えておこうかな・・・」
「あ、でも加賀さんって料理下手なんだっけ・・・」
「あんな母性感出てる顔なのに料理できないって何か抜けとるな」
「でも、その代わり日向さんはすごく上手なんだよ!力持ちだし、何でも出来る人だなぁ
って、一緒の艦隊にいたときは思ったよ~」
「確かに・・・馬鹿力やったなぁ」
実際に俺は日向と対峙したとき、艤装関係ない素の攻撃で、思いっきり吹っ飛ばされた。
艦娘だからといって、アレは人間でいう格闘競技で食って行けるレベルの威力だったぞ。
あはは、と笑いながら話を続けていくと、夕張の手が少し止まる。
「それでさ、池宮さん」
「ん?」
俺は夕張を見つめる。夕張は少し間を置いてから口を開く。
「昨日のこと、あまり思いつめちゃだめだよ」
そういうと、俺は俯く。やっぱり、気にしてるんだねと思いながら夕張は言葉を続ける。
「親方さん、言ってたよ。お前は完璧なんかじゃないって」
「・・・・・・」
俺は黙り込む。やっぱり、そんな簡単にいかないんだよ。
「ここからは私の持論・・・なんだけど」
夕張はそう言って話し続ける。
「完璧なんて、こんな世の中に存在しないんだよ」
胸に手を当ててそう言う。
俺はやっぱり、完璧を求めていたのかな。あいつを助けられて、さらにあいつも助ける。
そして魔物も倒して・・・皆ハッピーエンド。
それが、完璧ってことなんだろうか。でも、俺の考えは多分、夕張の言う『完璧』に合致しているのだろう。
「・・・だから、生きてるって実感できるんじゃないかな」
完璧な存在はいない。それは俺もわかっている。
というか、そのことは加賀にも言った。俺は、人に言ったことを自分に返しているように感じた。
なんていうブーメランだよ。でも・・・
俺の持っていた持論とは、少し違った気がした。
もっと、なんというか・・・
・・・駄目だ。今は上手く表現できない。
でも、俺はその夕張の言葉に、少なからず感動している。
「お前、ええこと言うなぁ」
「そ、そう?あはは・・・」
夕張は笑った。自分の言葉が響いてくれたのか、少し喜んでいる。
こういう姿を見たら、俺も自然と元気が出てくる。
「ねぇ、今日は憲兵のお仕事は休みなんだよね?」
洗い物を終えると、俺の顔を覗き込んでくる夕張。
「日中は何処か行かない?」
夕張は楽しそうに話す。だが、俺はあえてここで反論してみる。
「なんや、お前のことやからゲームしよう!とかでも言うかと思ったわ」
「失礼ね!いつもゲームしてるみたいじゃない!」
「せやろ!俺と同じなんやから!」
軽い口喧嘩をかわす。数秒間言い合っていると、会話をやめて、二人は吹いてしまう。
「ぷっ・・・・・・あはははは!!」
二人とも笑った。こういうどうでもいい軽い口喧嘩はやっていて楽しい。
今まで一人だった分、余計に充実感で満たされるのかもな。
「ええで。何処行きたいんや?」
「う~ん・・・」
指を頬に置いて考える仕草をする夕張。そして、すぐに答えを出す。
「私、ショッピングしたいな~」
「そっか。んじゃ、駅前うろつくか」
「うん!」
とりあえず私服に着替える。というか、俺は私服のまま寝てしまったからそのまま。
夕張は部屋着のスウェットから、昨日の俺の貸した服で外出の支度をする。
歯磨きを済ませると、夕張は俺に話しかけてくる。
「お化粧するから、ちょっと洗面台借りるね」
「ゆっくりでええからな~」
そう言われて俺は浴場の洗面台を後にする。艦娘でも化粧するんだな。
そういや、谷岡提督の護衛のときも、筑摩は化粧をしていたな。霰はノーメイクだったけど。
「化粧かぁ・・・どんな感じになるんだろ」
俺は若干楽しみにしている。夕張の性格からして、厚化粧はしてこないだろう。
ちょこちょこポイントを絞って、ナチュラルな仕上がりにしてきそうだ。
十分ぐらいで出てきた。女の子の化粧はよく分からないが、多分早いほうだろう。
「おまたせ~」
「おぉ・・・」
決して派手な化粧ではないが、彼女の清楚さをより引き出したナチュラルな仕上がりだ。
服装が服装なだけあって、ガンガン化粧されても困り者だからな。
けばくないだけでもよかったのだが、個人的には想像以上の仕上がりだ。
「ええやん、綺麗で」
「ふふっ、ありがとう」
夕張はぺこりとお辞儀。
そして、俺も洗面台に言って、ヘアースタイルだけ整える。
お気に入りのワックスを使って髪の毛を整えて、洗面台を後にする。
「池宮さんも似合ってるよ」
「センキュ」
ニシシと笑う俺。そういわれるのは悪くない。寧ろなんか嬉しい。
「んじゃいくか」
「うん!」
部屋を出る。この時間から出て行く憲兵達もちらほらいるようだ。
皆それぞれの休日を満喫するのだろう。
その中で、何人かの視線が痛い。やっぱり、あの演習から俺は殆どの憲兵に恐れられている。
外だったら石を投げられてもおかしくないような痛い視線を感じるが、できるだけ
気をとられないように歩く。
「あいつ・・・艦娘と一緒に歩いてるぜ」
「しかも、一緒の部屋から・・・」
「これってまずいんじゃね?」
ひそひそと小言が聞こえてくる。夕張も聞こえているようで、聞きたくないかのように俯いてる。
やはり、俺達は異端の存在として見られているのだろうか。この状況下ならそう思えて仕方が無い。
だが、現実はそう酷でもなかった。
「おはよう、池宮憲兵!」
廊下の壁にもたれかかった二人組の男憲兵。挨拶代わりに手を振っている。
多分だけど、何度か一緒に演習を組んだことのある憲兵だった気がする。
「おはよう」
正直な話、こんな気軽に話しかけてきてくれたのは久々だったし、ちょっとためらって返事をした俺。
「おっ、その隣が噂の艦娘?」
夕張の顔を覗き込むようにして見つめる。
視線を感じて夕張は俯く。
「なんだよ、すげぇ可愛いじゃん!うらやましいな、オイ!」
「いいな~そんな可愛い子なら俺だって・・・なぁ!」
なんか尊敬の眼差しで見られてるんだけど・・・
そんな姿を見て夕張は笑いをこぼす。
「おっ、笑ってるところもかわいい!」
なんか二人が興奮してる。でも、俺もこんな感じなんだろうな。
考えるだけで恥ずかしいな、これは。
そう考えていると、悟られたかのように、二人組の一人が、こっちに来て肩を組んでくる。
「いろいろあるかもしれないけどさ、あんま気にすんなよ」
意外な言葉が飛んできて俺は拍子抜けする。罵倒の言葉ではなく、擁護の言葉だった。
もう片方の憲兵は夕張と楽しく喋っている。
「確かに、お前のことを恐れてるやつは一杯いる。それは事実なんだ」
深刻そうな表情を浮かべる。だが、それは紛れもない事実。俺も痛感していたことだ。
「でもさ、俺はお前のことを特別扱いで見てないぜ。
お前はどんな力を使って艤装付きの艦娘を圧倒したのか、わかんねぇけどさ」
うーん、と考える憲兵。
「お前は、うちの憲兵ってことは変わんないだろ?
だからさ、俺はお前のこと、特別になんか思ってないさ」
憲兵ははにかむ。なんか心のもやが晴れていく気がした。俺も自然と口角が上がる。
「・・・そっか。お前みたいな奴もいてくれたんだな」
「あぁ、だから、どうか堂々としててくれ」
「んじゃな、デート、楽しんでこいよ!」
「デートちゃうから、安心しときー」
ふらふらと手を振りあう俺達。そして、俺は憲兵寮を後にする。
「いい人たちね」
「あーゆーやつもおるってことや」
俺はニシシと笑う。夕張も頷きながら口角が上がる。
敵ばかりではない、それだけが分かっただけで心強かった。
「うわぁ・・・結構広いね~」
駅から少し歩いてドンと佇む大型ショッピングモール。俺達は中に入ったところだ。
谷岡提督と一緒に来た以来か。靴見て、飯食って・・・それぐらいしかしてないような・・・
「ここいらやったら一番でかいやろなー。衣料品や食品はもちろん、
ゲームやおもちゃ、家電製品に百均や生活用品、ブランド品やゲーセンもあるからなぁ」
「へぇー、何でもあるんだねー」
そう、ここにくればたいていのものは揃ってしまう。しかも一気に買い物を済ませられるし
車の駐車場まで完備されている。しかも、大手ファーストフード店も入っていて
若者や子連れには大変人気だ。
「まぁ、その代わり商店街の商品より質落ちるし、値段交渉もできん。
それに、質悪い割にはまぁまぁええ値段するからな」
しかし、難点もある。この世にメリットのみで成り立つものなんてないんだ。
「といっても、大手会社が販売するジュースやお菓子、アイス等々は
こっちで買ったほうが安いけど」
「いろいろ知ってるね」
「まぁな」
こういう安売り情報は俺なりの情報網でよく仕入れている。
お母ちゃんが、けち臭かったのが原因なのかな。
「ほら、服でも見に行くか?さすがにその格好やと恥ずかしいやろ」
俺の服を着こなしている夕張。だが、少しボーイッシュではある。それがそそるんだけど。
夕張は首を振る。
「ううん、この服好きよ」
パーカーの袖を掴んで腕を広げて全体を見渡せるようにしている。
いや、俺敵には似合っているとは思うんだけど・・・本人は女の子っぽい格好とかしたくないのかな。
「でも、一応女の子らしいのも買っておいたほうがええんちゃうか?
その服洗ってるときも困るし・・・軍服で歩くのもあれやしな」
「う~ん・・・それもそうね」
考える仕草をした後に頷く夕張。だが、俺には一つ問題があった。
「女の子の服とか真面目に見たことねぇ・・・」
そう、俺には男の服装にはそれなりに自信はあったものの、女の服装の知識はかなり浅かった。
こういうのはお父ちゃんがお姉ちゃんにいろいろ着せてあげるために勉強してたっけ・・・。
くっそー!俺もあのときに勉強しとくべきだった!頭を抱えていたら、夕張が俺の頭を軽く叩く。
「私もさ、あんまりそういうの知らないから・・・一緒に探してほしいな」
上目遣いで夕張は話す。なんというか、もう言い返せない。
「役にたたんけど・・・いこか」
「うん」
俺が先行して店の中を歩いていく。この機会に女の子の服について勉強するのもいいな。
二階が成人服売り場。店の中央にあるエスカレータで上り、いろいろな店舗に入っていく。
少し抵抗はあるものの、別に男が入ってはいけないということはないので出来るだけ気にしない。
というか、隣に夕張がいてくれてるから、周りからも付き添いとして見られてるため
一人で来るときより抵抗は無かった。
「あっ、これかわいい!」
暗めの青色のワンピースを手にとって、自分の身体に合わせ始めた。
見たところ、肩を露出するタイプのようで、かなり丈も短い。完全に夏用って感じだ。
丈が短いワンピースは生脚で勝負するのもいいし、タイツ履いて安定を貫くのもいいし
ファッションとしては面白そうだ。ショートパンツぐらいならもしかしたら合わせられるかも?
「そんなん好きなんか?」
「うん、好き」
ハンガーごと自分にあわせて、どう似合う?といった顔で首を傾げる夕張。
俺はグッと親指を立てる。夕張の顔が晴れやかになる。
「うん、買おう!」
そう言って夕張は服を抱いてその場を立ち去ろうとした。
「その前に、一回着てみ」
俺はそう言ってフィッティングルームのほうへ指を指す。
「あ、そっか。サイズ合ってない可能性もあるもんね」
「それちょいと小さいかもしれんからな。もう一個大きいサイズ、持ってきとくわ」
「うん、ありがと」
夕張は持った服と一緒にフィッティングルームへ向かう。俺はそれと同じ服で、サイズが一つ
大きいものに手を取った。
そして、彼女が着替えている部屋の前で待っていた。
「うん、終わった!」
そう聞こえたときに、カーテンが開かれた。
すらっとして見える白い脚。そこから上を見ていくと綺麗な湾曲のラインにそっていくボディ
にしっかりフィットしている服。肩は下にシャツを着ているため露出はしていない。
さすがに肌で直接着るのはと思ったのか、シャツだけ残していた。
だが、ズボンは脱いでいる。下はパンツの状態なのかと思うとちょっと興奮する。
「うん、ばっちり!どう?池宮さん」
「似合うと思うで」
うんうん、と俺は腕を組みながら頷く。実際に似合っている。綺麗なボディラインを見せるなら
少し小さめのを買ったほうがいいかも。太ったら着れなくなるし、意識向上にもよい。
「一応大きいサイズも着てみるか?」
「うん」
そう言って俺の持っていた服を受け取り、カーテンを閉じて着替え始める。
1分ほどしたら着替え終わって見せてもらったが、少し大きかったため
小さいほうのサイズを買うことにした。
「そういや、金もっとるんか?」
「大丈夫!ちゃんと持ってるよ」
そう言って後ろポケットから小さな財布を取り出す夕張。
艦娘も財布を持っているんだな、てっきり提督が資金管理をしていると思っていたが・・・
って、今はこいつに提督いなかったんだった。
「それじゃ、行ってくるね」
軽く手を振るとそのまま会計に向かった。俺は受け取った大きいサイズの服を戻そうとする。
そうしていると、店員が「お預かりしますね」と言って服を戻してくれた。
「ただいま!」
笑顔で夕張が戻ってくる。大きな袋を提げて歩いてくる。
「よかったな」
「うん!帰ってちゃんと着なきゃね」
夕張はうきうきとした表情をしている。
「でも、さすがに服だけやとあかんやろ?」
俺はニシシと笑う。
「靴や。まぁ、女の子のネックとかは分からんから、とりあえず靴見たらええんちゃう?」
なるほど、と言わんばかりに夕張は頷く。
「ワンピースならスニーカーは似合わんやろうし、ヒール買ったほうがええやろ?」
「ヒールかぁ・・・うん、そうだね」
軍服の衣装は、何故かヒールになっているが、普段用の靴は、俺の持っていた
スニーカーを履いている。
今のスタイルには合っているのだが、さすがにワンピースにスニーカーはちょっと冒険気味だ。
そう思って俺は下の階の靴売り場に来ていた。
「いろいろあるんだね~」
夕張は物珍しそうにいろいろ見渡している。
「あ、これとかどう?」
夕張が見せてきたのは赤色のローヒールのパンプス。うん、確かにオシャレなんだが・・・
「ぱっと見・・・ワンピースにはどうなんやろなぁ」
「う~ん、似合わないかな?」
考える仕草をする夕張。俺も腕を組んで考えてみる。
「脚を出すんやったらパンプスでもええと思うんやけど、ここはあえてこういうのはどや?」
俺が取ってきたのは、黒色のローヒールのニーハイブーツ。
「へぇ・・・池宮さんってこういうのが好きなの?」
「イエス。」
俺は声を張って言う。夕張は少し驚いて苦笑している。
「えっとな、タイツ履くならちょっと考え物なんやけど、生脚ならニーハイブーツはええで。
太ももの辺りだけの露出が逆にそそるっていうか・・・」
「・・・・・・」
夕張が不満そうに睨んでいる。
「えっとな、別にそういうエロイ目だけで見てるんちゃうで。
ニーハイブーツのええところは、冬場でも使えるから、今買っておくと冬のコーデにも
便利なんや。難点としては逆に真夏はきついけどな。
真夏になったらパンプスを買ったらええんちゃうかな」
「う~ん、そうしようかな」
夕張は若干納得・・・というか怪しんでいるが一応承諾してレジに持っていく。
パンプスを元の位置に戻して、袋を増やした彼女が戻ってくる。
「うん、もう一回見たらやっぱあれいいかも!」
「やろ?」
やっぱ俺の目に狂いは無かったんや!そういうわけで靴と服を買って満足そうにしている夕張。
そろそろ休憩をとってもいいかな。
「飯でも食うか?」
俺は親指で、近くにあるファーストフードのハンバーガーショップを指す。
夕張もこくりと頷いて中に入っていく。
ギリギリ二人用の席が開いていて、夕張に席取りをしてもらう。
「何食う?」
俺が何気なく尋ねてみると、夕張は困惑した表情をする。
「ごめん、ここ来た事無くて・・・」
そういや、艦娘だったのを忘れてた。別に鎮守府から出なくても生活はできるからな。
「あー・・・んじゃ俺と同じのにするか?」
「うん、そうしよっかな」
夕張は頷く。
「あ、飲み物だけ適当に言ってや」
「それじゃ、メロンソーダ」
「メロンソーダやな、了解」
俺はそのままレジに言って注文を済ませる。
「フィッシュバーガーのセット二つ。オレンジジュースとメロンソーダで」
オレンジジュースは単品を買うと20円高い。だが、セットだとどのジュースも同じ値段なのだ。
これはお買い得!だがそれと同時になんて俺は小さな男なんだ。
すぐに出来上がり、トレーを夕張のいた場所に置く。
「おまたせやな」
「ありがとう、池宮さん」
「フィッシュバーガーや。ポテトは一人で全部食べや。あと、これがジュース」
俺はもう一つ持ってきたトレーに夕張の食べるものを置いた。
夕張も見てるだけではなく、自分からぽんぽんと置いていく。
「いただきまーす」
一通り分けたら早速夕張はフィッシュバーガーの包み紙を剥き、頬張る。
一口目で、夕張の顔がぱぁーっと明るくなる。
「お、おいしい!おいしいよこれ!」
夕張は机に身体を乗り出してきた。そんなに美味かったか。
「うん、うまいな」
俺も美味い美味いと頬張る。まぁ、いつも美味い思って食ってるからな。
夕張は幸せそうに一口一口食べている。なんか、ファーストフードで
こんなに喜んでもらえるのは不思議な感じだ。
「あ、そうだ・・・お金・・・」
思い出したかのようにはっと表情を変えて財布を取り出したが、俺はその手を押さえる。
「ええよ、俺のおごりや」
「で、でも」
夕張はためらう。だが、俺にもかっこいいことさせてくれ。
「ちょっと格好付けさせてや・・・俺やって男やで」
後から考えると、ファーストフードをおごっても特にかっこよくは無いがな!
「・・・わかった。ご馳走になるね」
夕張はフィッシュバーガーをすぐに平らげ、ポテトに食いつく。
美味しいといいながら頬張っていき、どんどん無くなっていく。
やがて空になったトレーを直して店を出て行く。
「うん、おいしかったね!」
残っているジュースを歩きながら飲む夕張。
俺もオレンジジュースが残っていたため、一緒に隣で飲みながら歩いている。
俺達は今三階に来ていた。ゲームショップや百均、おもちゃやゲームセンターの売り場が並んでいる。
「そう、ここに着たのは他でもないんや」
俺は飲みきったジュースのコップをゴミ箱に捨てては握りこぶしを作る。
「ゲーセンや!!」
夕張もゴミ箱にコップを捨てて俺を見つめる。
「ゲーセンかぁ・・・行ったことないのよねぇ」
「百聞は一見にしかずやで!」
そう言って俺はゲームセンターに歩みを進める。夕張が後ろからとてとてと付いてくる。
「へぇ~」
物珍しそうにゲームセンターエリアのものを見渡す。目の前にドンと出た大きな機械には
銀色のコインが敷き詰められている。
「これはコインゲームやな。お金でコインと交換して、それでゲームができるんや」
「へぇ~・・・何か面白そう」
興味心身で辺りを見渡す夕張。
とりあえず夕張の楽しみを奪いたくなかったため、暫くは付き合った。
カードを使ったゲーム媒体、レーシングゲーム、シューティング。
子供用のゲームまで、夕張は興味心身に見渡していた。見るものが新鮮なのかな。
「すごいね・・・ゲーセンって」
「やろ。やけど、俺がゲーセン来た時にやるのは・・・これや!」
俺はそこで立ち止まった。そこには・・・
「あっ!これ知ってる!UFOキャッチャーだよね?」
そう、UFOキャッチャーである。クレーンゲームとも言うだろう。
これで、俺は箱の景品を取ることに幸福を覚えている。
「これか・・・箱の・・・フィギュア?」
「せや。箱物が一番落として気持ちええねん」
そう言って俺は100円を入れてゲームを開始する。
慣れた手つきでクレーンを動かしていく俺の姿を見て、夕張は少し感心して見入っている。
そうやって俺は上手いこと自分の行きたいところにクレーンを持っていった。
持ち上がらないのは分かっていたため、なんとかずらそうと試みた。
そう思っていたら、少し出口のほうへ景品がずれた。
「おっ、動いたね」
「これで動かしていって穴かな」
俺は同じようにクレーンで動かしてずらしていく。
しかし、途中からまったく動かなくなった。ここがここの店の落とし穴か。
「う~ん、あかんな」
「えっ、もうちょっとじゃない」
夕張ががんばれ!と言わんばかりに俺の顔を覗き込む。だが、駄目だ。
「これは罠やな。何回やっても同じところに戻るだけや」
「そうなんだ・・・」
経験者の感ってものが、やっていくと働いていく。簡単なように見えて実は取れないのは
クレーンゲームの基本だ。何かトリックがある。それを見抜くためにお金をまず費やすのだ。
「こことか・・・どやろか」
俺は普通の人なら狙わないようなところを狙っていった。
試行錯誤を重ねて、いくつかの点に絞り込んで試してみることにした。
すると、一発目で当たった。箱が大きく持ち上がり、ずれてそのまま穴に落ちた。
俺より先に夕張が喜んでいた。
「やったー!!すごーい、池宮さん!」
俺の手を握ってくる夕張。俺は何か二重に喜んでいた。
「どや!慣れたらこんなもんやで」
店員を呼び出して袋をもらって、景品を袋に入れる。何故か俺以上にうきうきしている夕張。
俺はこれ以上金を使うことを恐れてか、夕張と共にゲームセンターを後にする。
夕張は名残惜しそうにしていたが、また来ると説得して納得させた。
そして、俺はジュースと合わせ味噌、いくつかの食材を食品売り場で買い
ショッピングモールを後にする。
帰路途中の東舞鶴商店街で、残りの食材を買うことにした。生肉屋で肉を買う。
豆腐屋に行く。豆腐屋はうちのおばあちゃんが働いているところだ。
だが、今は出かけているらしく、店には叔父しかいない。
俺の姿に気がつくと、叔父は絹ごし豆腐二丁に、厚揚げを持ってきてくれた。
「持ってけ」
「お金は?」
「ええよ、持ってけ」
ありがと、と言って俺は素直に受け取る。そのやり取りを夕張は不思議そうに見ている。
見慣れない女の子の姿に叔父は少し困惑していた。
「その子は?」
「艦娘や。ちょっとは知ってるやろ?」
「驚いたな。普通の女の子と変わらへんやんけ」
叔父はまじまじと夕張を見つめる。夕張は少し恥ずかしそうにしている。
「広樹のこと、よろしくな」
それだけ言うと叔父は中に入っていく。夕張は疑問を浮かべている。
「あの人は?」
「俺の叔父」
「そうなんだ~」
夕張は少し納得していた。だからこうやってただで豆腐をくれるんだ、と。
とりあえず俺はおばあちゃんがいなくて一安心だった。
確実に長話になるからだ。
鎮守府に戻ってきた俺達は、すぐに憲兵寮の部屋に戻って晩飯の仕込を始める。
フライパンをある程度暖めておく。特に意味は無いが、何となくいつもやっている。
夕張には野菜を切ってもらう。ほんと、夕張がある程度料理が出来て助かる。
俺は別の鍋で味噌汁を作っている。味噌が出たらわかめと豆腐を入れて一煮立ちさせる。
そして肉を塩コショウで軽く焼く。しょうが焼きにでもしようと思ったが段々面倒になった。
今夜の食事は、コールスローサラダと卵と肉の塩コショウ炒め、味噌汁にお米。
非常に手抜きではあるので、味付けだけはしっかりしたつもりだ。
「いただきます」
手を合わせてから食べる。うん、うまい。特に味も悪くない。
味噌汁の豆腐も上手い。さすが叔父だ。夕張もおいしそうに食べてくれている。
豆腐を食べて「美味しいね」って言ってくれる。あとで叔父に電話しておこう。
全て食べ終わるといつも通りの片付け。そして、身体を洗って就寝する。
昼間は休日ではあったものの、夜は怪我さえしてなければ年中無休だ。
また11時まで寝て起きて・・・戦う生活だ。
そう考えていたら、夕張が俺の顔を覗き込んでくる。
「頑張ろうね」
そう言って夕張は布団にもぐりこんだ。彼女は戦えない。でも俺のために応援してくれて
一緒に戦ってくれている。
・・・頑張らなきゃな。無理しない程度に。
「そうやな」
ぼそっと呟く。多分夕張には届いていないだろう。
またいつも通りの生活が始まる。目を閉じることに、休日が終わっていく。
いつも通りに日常が過ぎていく・・・そう誰もが思っていたが・・・
後日、夕張に転機が訪れる。
えっと、設定紹介ですが、この作品の舞鶴鎮守府は、軍艦停泊所のところにある設定です。
ですから、停泊所から赤レンガパークまでの敷地内・・・と思ってください。市役所までは行きません。
あそこなら徒歩で東舞鶴駅まで余裕でいけますからね!うん、設定的にはおかしくない!うん。
夕張の口調がだんだんおかしくなってきた・・・ような。適当に過去作品のも修正いれるかもです。
脳内変換して、温かい目で見てあげてください。
どうでもいいですけど、この作品のイメージソングは、ACIDMANの「EVERLIGHT」です。
youtubeでMVが視聴可能です。いい曲なんでぜひ聴いてくれれば嬉しいです。
つ、ついでにACIDMANのファンになってもいいのよ・・・(チラッ)
夕張という光が世界を照らし、その命を示してくれる・・・みたいな。変な妄想です。
イメージ的には夕張視点で、闇に飲まれる池宮を照らすとかね。
でも、一応太陽嫌い設定がある池宮なので・・・どうかみ合わせていくか自分でも楽しみです(えっ)
池宮が闇のような存在なので、夕張は光のような存在にしていきたいと思っています。
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艦娘回が全然な作品ですが、引き続き応援よろしくお願いします!
進んでいくと艦娘が大活躍~オリキャラなんてひっこんでやがれ!みたいな話も出しますので
安心してください。
一生懸命かきますので、次回にご期待ください!