Demon's Stella ~悪魔の彗星~   作:Hershel

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魔物紹介

魔物は基本的に夜にしか出現しない。対策の為魔物避けの電灯が開発されており、主要部と鎮守府、家の中には国の計らいで設置されている。


●ウルフ

4足歩行の狼を模した魔物。
素早いのが特徴で、爪や噛み付き能力は殺傷能力が高い。
しかし、遠距離で攻撃する手段が無い為、銃などの武装を持てば子供でも倒せる相手。比較的弱い部類。

●サハギン
水中から攻撃する魚の顔をした魔物。地上に上がることも可能で、二足歩行。
武器を持つ個体が多く、剣や槍、杖を持つ個体がよく見られる。杖を持つ個体は魔導術を駆使してくるため、この個体から処理するのが基本。

●オーク
人間より一回り大きい太った人型魔物。
素手や棍棒といった打撃武器を得意とする魔物で、その一撃は岩をも砕く。
動きは遅めで魔導術を使うこともないため、遠距離で攻撃していればいつかは倒せる。

●ドラゴンベビー
子供のドラゴン。子供だからといって人間より一回りは大きい。
人を首から食べることを好み、この魔物に襲われた人間は殆どが首から下が野ざらしの状態で見つかる。
炎を吐くこともできるので、油断できない相手。大人のドラゴンは想像したくもない。

●シャドウ
人の怨念が魔物と化した姿。それぞれ生前の服装や武装をしていたりと、魔物一体一体が特徴的。
人間と似たような動きで戦う為、俊敏な動きをするものが多い。連携してくる個体もいるため、厄介。
感情が残っている個体もいるため、未練を晴らすために町を彷徨うことも。復讐を果たそうとする個体もいれば、愛する人への気持ちを伝えて消えていくロマンチックな個体も報告されている。


第二十九話 暗闇に潜む蒼い炎

「・・・・・・・・・」

「おい、何でこいつがおるねん」

 

午後十一時半。俺達はいつも通り魔物討伐に外に出ようとしていたのだが、何故か昼間見かけた顔がそこにはいた。俺はそいつを指差し不満な表情を露にする。

 

「えっと、どうしてもついて来るって言うから・・・」

 

夕張の後ろに隠れるようにしてついて来る少女。夕立だ。警戒心を強め、こちらを睨んでくる。

 

「んなら・・・今日は別行動しよか」

「えぇー!?」

 

夕張は不満の声を漏らし項垂れる。

 

「そいつおるから俺おらんほうがええやろ?」

 

俺は夕立を指差す。ぷくりと頬を膨らまし、指指すな、と言いたげだ。

 

「丁度調べたい事もあるしな」

 

そう俺は付けたし、警備員に軽く挨拶を済ませ、ぷらぷらと手を振りながら外に歩いていった。

 

「・・・行ってしまいましたね」

 

弥生はじぃ・・・と俺の影が消えた暗闇を見つめている。

 

「仕方ないか。それじゃ、今日は私達だけで討伐に行きましょ。内容も親方さんがまとめてくれてるみたいだし」

 

そう言って夕張は無線機を起動させ、親方と段取りを決める。とりあえず西寄りに海沿いを歩くことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「遅いッ!!」

 

雷撃を纏った切り払いの剣技を水棲魔物に見舞う。感電しては硬直し、そのまま消えていく。フフン、と自慢げに鼻息を荒げる私。それを見ていた夕立ちゃんは尊敬の眼差しで見つめていた。

 

「す、すごいっぽい!!」

 

ぴょんぴょん飛び跳ねては私に賞賛の言葉を浴びせる。ここまで褒められたことも無いので私は非常に照れていた。

 

「い、いやぁ・・・そんなこと無いって・・・」

「ううん!凄い凄い!やっぱり夕張さんは凄い人だったんだ!!」

 

きらきらと目が輝いている。うぅ・・・まぶしい。横目でじぃ、と弥生ちゃんが見ている。

 

「・・・まぁ、小型の魔物なら、夕張さんのほうが見栄えはいい・・・ですよね」

「あはは・・・弥生ちゃんのフォローのお陰だって」

 

少しひねくれたような台詞を吐く弥生ちゃん。ちょっと可愛い。

 

「でも、本当に戦うのも慣れてきたなぁ」

 

数ヶ月前までは、地上で自分が武器を取って戦うなんて想像もしていなかったけど、隣に同じ艦娘の子がいて、その子と一緒に魔物を討伐している。ほんと、未来って分からないものよね、うん。

 

「これで終わり、かな」

「そう、ですね。言われていた魔物は全て討伐しました」

 

私達が辺りを見渡して残した魔物がいないかを確認する。真似をするかのように夕立ちゃんも手をかざしてきょろきょろと様子を伺っている。

 

「・・・・・・・・・」

 

ふと、弥生ちゃんがあさっての方向を見ている。

 

「どうしたの?」

 

私は弥生ちゃんの顔を覗き込むように見ると、

 

「・・・いえ、何でもない、です」

 

そういうと弥生ちゃんは先に帰路についた。

 

「・・・どうしたんだろ」

 

私は弥生ちゃんが向いていた方向に目をやった。その先は、大浦半島という舞鶴の東にある海沿いに村がある所。って池宮さんに教えてもらったっけ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー、やっぱ郊外に出ると結構おるなぁ」

 

俺は昼間見た事件が起こった場所、大浦の親海公園に来ていた。そこは魔物が大量発生した区域で、釣堀だった公園も今や閉鎖し、見所である船のミュージアムも扉を閉め寂れている。少し離れた場所に車を止め、蛇矛を右手に持ちながら脱ぐ歩いてここまで来た。かつて親海公園の駐車場だった場所まで来ると、そこには魔物が数匹巡回していた。

 

「数も中々やな」

 

見る限り二十数体は小型の魔物が居る。海辺ということもありサハギンなどの水辺に生息する魔物が大半のようだ。その地に俺はあえて大きな足音をたて踏み入れる。その瞬間、数十匹の魔物の目線が一気にこちらに向けられる。それを感じ取ると俺の左手には暗闇を照らす紫色の雷光が集っていた。

 

「いくで・・・一匹も残さん」

 

雷のエンチャントルーン《スルポール》を発動し、その力を矛先に宿すと一気に魔物の群れに向かい突撃する。水属性の魔導術による牽制も雷の力を宿した蛇矛の一振りで軽々とあしらう。高く跳躍した後魔物の群れの中心部に矛先を地面に突き刺す。

 

「唸れ、稲妻ァ!!」

 

掛け声と共に魔物の群れに無数の雷が堕ちる。その雷は魔物を焼き尽くしていく。俺が槍を引き抜いた瞬間には、駐車場に居座っていた魔物は全て消え去っていた。

 

「集団戦は慣れてるんやけどなぁ」

 

元々は一人で魔物討伐をしていたし、俺はそもそも集団を一気に殲滅するような戦い方をしていた。何だか昔を思い出すような感じで半分懐かしく半分寂しい。そんなことを思いながら俺は停泊している船のミュージアムに目を向ける。甲板には魔物の影がいくつも見当たる。夜は船への桟橋が閉鎖されており、普通に入ることは出来ない。

 

「飛び乗るか」

 

俺は船に向かって全力で走り、岸壁の間際で跳躍する。海を越え、甲板に飛び移る。転がるように甲板に着陸すると、徘徊していた魔物が驚いたかのように高い声で唸る。俺は直ぐに体勢を整え蛇矛を構える。魔物の姿は、船の乗務員の服装をしている。だが、その姿には命の気を感じず、人の姿をした紛れも無い魔物だった。

 

「ここに居た人の怨念って感じなんかな」

 

俺は何となくそういう推測をする。人型の魔物は俺の方に向くと、刀、銃と各々の武器を構え襲い掛かってくる。

 

「悪いけど、俺かてこんな所で死なれへんねん」

 

俺の左手からには白い霧のようなものが集められ、それを握りつぶすと氷の礫が周囲に飛び散り、甲板の地面に付くとそれは氷柱となり人型の魔物を襲う。氷のエンチャントルーン《ゲールス》だ。

 

「今回は魔導術で相手したるわ!」

 

俺は遠距離で支援を行う銃を持つ魔物を見、詠唱を開始する。

 

「慈悲深き氷霊にて、清冽なる棺に眠れ!!」

 

魔物の足元で冷気が放出され、相手は結晶化し身動きが取れなくなる。俺が詠唱を終えると、氷の剣が具現化される。手を振り下ろすとそれは一直線で魔物の方角に飛び、結晶を貫く。結晶が砕けると同時に魔物も跡形も無く消えていった。

 

「んで、そろそろ出てくるはずなんやけど・・・」

 

そう独り言を言っていると、コツン。と甲板を歩く足音が聞こえてくる。暗闇から姿を現したのは、先日見かけた黒い影。今度はその姿がくっきりと見え、黒い髪に顔が隠れ少し破れた軍服を着た少女。背中には艦娘の艤装らしきものが装着されており、その砲口は俺に向けられていた。

 

「ド、コ・・・」

 

その一言呟くと、鈍い金属音が鳴り、砲撃が放たれる。場所が悪い。俺は陸地に飛び移るように横に避ける。着地すると船の上から砲撃を開始しようと標準を定めだす。

 

「させるかいな」

 

蛇矛を一度背にしまい、足に取り付けたケースから投槍用の槍を組み立て、淡い白霧を纏った右腕で握り締める。その槍は冷気を纏い白く輝いている。

 

「降りて・・・こいや!!」

 

大きく振りかぶり、冷気を纏った槍を敵に向かって投げつける。それは間一髪で敵は回避するも、刺さった箇所から氷柱が出現し、敵を陸地に押し出す。自由を失い宙に投げ出された敵は叩きつけられる様に地面に転がり落ちる。しかし直ぐに起き上がって来ては黒髪から薄ら見える淡い翡翠色の瞳が俺をじっと睨みつける。そして直ぐ様俺に向かって駆けて来て左拳を俺に向け突き出してくる。

 

「っと!」

 

肉弾戦に入った。相手の速度は思った以上に早く、小さな体からは想像も出来ないほど俊敏で力強かった。多分一撃喰らうと結構なダメージを受けるだろう。だが、

 

「甘い甘いで!」

 

避ける分には簡単だった。身体能力なら負ける気がしない。敵の攻撃を上手く受け流しながら蛇矛を構えなおし、槍把で敵の腹をえぐる。敵はふらりとよろめきながら後退する。だが、俺は攻めの手を緩めなかった。

 

「いっくでぇ!」

 

槍を思い切り振りかぶり、敵の戦意を喪失させるべく止めの一撃を振りかざす。が、その前に敵の砲台の鈍い金属音が鳴り響く。俺の武器が敵の元へ届く前に砲弾が俺を直撃した。砲弾が炸裂し、俺は遠くへ吹き飛ばされる。ズザザァ、と体全身が地べたに引きずられる。止まった時、体から流れる赤く滲む血がその軌道を捉えていた。幸い意識はある。

 

「・・・って・・・」

 

エンチャントルーンによる防御方陣も無いまま直撃してしまったので流石に堪えてはいる。明らかに負傷した姿を敵にさらけ出す。敵も負傷してはいるものの、こちらほどではない。相手は再度砲撃を打つ構えを見せている。

 

「まだ・・・動ける・・・!」

 

構えを作る前に俺は直ぐ様地面を蹴り上げる。そして、自分の掌て相手の顔面を覆う。

 

「・・・永久(とこしえ)の闇よ。」

 

そう静かに台詞を吐くと、辺り一面暗闇で覆われていく。親海公園周りは人気の無い夜の暗闇以上に黒く塗りつぶされていった。

 

 

 

 

 

 

「んっ・・・あ、あれ・・・」

 

黒髪の少女は目を覚ます。左には薄暗い蒼い炎がゆらゆらと揺らめいているが、先ほどのような殺意は感じられない。起き上がった彼女の目の前には、頭から血を流す胡坐をかいた俺がじっと見つめている。

 

「よぉ。元気か~?」

 

俺はにかり、と口角を上げる。彼女は目をぱちくりしてから小さく溜息を零す。

 

「元気、では・・・ないかな」

「まぁ、あんだけ暴れてたからなぁ」

 

俺はけらけらと笑い飛ばす。しかし、少女の方は俺の額から流れ落ちる血を見てなのか、自分の手を見つめ返しては軽く俺の髪を撫でだす。

 

「僕の、せい・・・」

 

俺はふと、少し真顔になる。少しながらも彼女は深海化をしていることに覚えがあるようだ。申し訳なさそうにする少女の頭を軽く撫でる。

 

「気にすんな。慣れとるねん、こっちは」

 

実際怪我することには慣れている。この仕事を始めてからも怪我をすることは割とあったし、昔に関しては死と隣り合わせのような状況だった。周りが見ている以上に俺は平気だった。

 

「・・・一時的、なんだよね」

 

蒼い炎に手を触れては、悟ったかのように俯く少女。俺はこくりと頷く。

 

「もうちょい時間はある。何か言っとくことあるか?」

 

俺がそう返すと、彼女は顔を上げる。

 

「・・・パスタを食べた後、お皿を水につけなくてごめんね、って・・・」

 

そう静かに言うと力無い笑みを見せる。俺はその言葉を聞いてはしっかりと笑って見せ、紙とペンを放り投げた。

 

「言うの面倒いから書いといてくれ」

 

少女も笑いながらこくりと頷く。さらさらと、慣れた手つきで紙に言葉を記していく。そして、書き終わると自分自身で悟ったのか、少女は口を開く。

 

「もうそろそろ・・・時間、かも」

「まぁ安心しとき」

 

そう言って、俺は少女の掌を握る。紙とペンをしっかりと受け取る。

 

「次はばっちり、助けたるわ」

 

手を離すと少女の掌の上には、小さな袋に入った芋羊羹が置かれていた。俺は背を向け、傷ついた身体に鞭打って公園を後にした。

 

「あはは・・・変な人」

 

背中を見送り、掌の羊羹を口にする。

 

「あ、甘い」

 

そう素直に感想を述べてはくすり、と笑う。

 

「・・・待ってるからね、槍使いさん」

 

そういいながら、少女は瞳に写る蒼い炎を原点に、再度黒く塗りつぶされていった。




またまた超久々の投稿です。自分が書きたい話がまだまだ先でペースが伸びないのが現状です。
相変わらず単車を乗り回してます。北海道にツーリングにいったりリアルはエンジョイしています。
艦これアーケードが出ましたね!ゲーセンではいつも見ないような人がいっぱいで普段ゲーセン行く人間からしたら困惑ものです。艦これの勢いは劣っていませんね。・・・実は艦これカードがかなり高値で売れることもあって、ビジネスでやってるなぁという人もいますけど。
少し触ってみたけど面白いです。夕張でたら本気出すんでそれまではCOJやってます。
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