Demon's Stella ~悪魔の彗星~   作:Hershel

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キャラクター紹介
谷岡礼司(たにおか れいじ)
性別:男 年齢:28歳 身長:181cm 体重:78kg

舞鶴鎮守府の最高責任者にして、鎮守府最強の艦隊を所持する提督。
黒髪にセミロングヘヤー。
高学歴で高身長、さらに美男子という人が欲するもの全てを兼ね備えたかのような存在。
想像を絶する巨大な野望を抱いており、そのためには手段を選ばない。

《谷岡派》という、谷岡提督を心酔する者達が集う派閥が存在し、実質鎮守府の実権を握っている。

性格は厳格で、他人に厳しく、自分にも厳しい。
しかし、極度の面倒くさがりで、休暇なのに押入れの奥にある私服を取り出さずに、軍服の
まま外出するほど。
私生活もてんで駄目で、艦娘達がいないと生活すらままならないほど。

28歳といういい年をしているが未婚である。


第五話 魔導術

「・・・・・・・・・」

 

沈黙が続く。砲撃が行われ、今戦いが終わるはずだった。しかし、乱入者の登場で状況は変わる。

俺は眼光で相手を殺す勢いで相手、加賀と日向を睨みつける。

その気迫を感じたのか、加賀と日向は一歩後退して、態勢を整える。

加賀の艦載機も一度加賀の元に戻って、彼女の上をぐるぐる回り続けている。

腕には足から血を流す夕張。俺はとにかく彼女の安泰を優先する。

 

「飯田ァ!!」

 

俺は大声で叫ぶ。飯田はその声に驚いて飛び上がる。

場所を把握して俺は飯田の近くまで歩く。

一時加賀と日向に背を向けてしまったが、彼女達が仕掛けてくる様子はない。

そして、飯田の近くまで夕張を連れて歩くと、俺は夕張を飯田に預けた。

飯田は力んで持ち上げようとしたが、思ったよりも軽かったのか、険しい表情が和らいでいく。

 

「治療室や。執務棟の一階に、艦娘と提督専用の治療室がある。

悪いけど連れてってや」

 

夕張は足の怪我の痛みに堪えるかのように顔を顰めている。

その姿を見て、飯田も少し心配そうにするが、彼は艦娘について無知すぎて、小室提督が

先ほど演説した情報しかなかった。

それが、間違った情報だとしても、飯田はその情報しか頼りにすることができなかった。

 

「で、でも・・・艦娘って人間と違ってやわじゃないんだろ?小室提督も撃たれた程度では

死なないって・・・」

 

飯田は少し慌てた様子だ。だがその様子を宥めるほど、俺は理性を保っていない。

俺は残りの良心を振り絞って強く言う。

 

「頼む」

 

怒りに怒った顔を抑え、真顔で飯田に向き合う。

飯田は表情を変えた俺を見て、静かに頷く。

 

「分かった」

 

そう言って、夕張を負ぶった飯田は、演武場を立ち去り、治療室へ向かった。俺はその姿を

見送ると、加賀と日向のほうに振り返る。

自分では分からないけど、俺すごくひどい顔をしている。

その姿を見て、小室提督は声を震わせながら、予め二人に取り付けられた小型無線機で

会話をする。

 

「お、おい、加賀、日向。これは・・・どういうことだ・・・」

 

小室提督は少し混乱している。だが、加賀と日向も、俺の闘気に煽られて少し引き気味だ。

 

「クソッ!何がどうなっている!」

 

小室提督は叫ぶ。無線機のみに音声を飛ばしているため、ギャラリーには聞こえていない。

 

「提督、もうこれ以上は・・・」

 

加賀はこれ以上無意味な争いはするべきではないと小室提督に提案しようとしたら、それを

小室提督は遮るかのように被せて発言してきた。

 

「・・・殺せ」

 

加賀、日向は背筋が寒くなる。

小室提督は何かに取り付かれたかのように早口で話しだす。

 

「憲兵風情がいい気になりやがって・・・人間が艤装をした艦娘に勝てるわけが無い・・・

そうだ、力でねじ伏せればいいのだ。圧倒的な力で、自分の無力さを痛感しながら

肉を裂かれ、血を流し、命乞いをする姿を、皆の前に晒しだすのだ・・・!!」

 

小室提督はけらけらと笑い出す。頭のネジが飛んだような発言。だが、彼女達は彼に従事する艦娘。

いくらその発言が正しくなくても、それを提督が望むなら、成し遂げなければならない。

 

「・・・・・・」

 

二人は素直にはい、とは言えなかったが、艤装の弓、砲台を俺に向ける。

俺はその構えを見ると、背の槍を振り回して構える。

一対二。戦況的には不利極まりないがそんなことは関係ない。

俺は、この理不尽極まりない夕張への行動に怒りを抑えられなかった。

緻密に計画されたこの演習、きっとどんな理由があるにせよ、きっとまともな物ではない。

だが、これだけは確信していることがある。

とりあえず小室提督、あのクソ餓鬼を思いっきりぶん殴る。その意識だけは固めていた。

そう考えているうちに、演武場に備え付けられている拡張器から小室提督の声が聞こえてくる。

 

「諸君、待たせた。急な乱入があってさぞ驚いたであろう」

 

落ち着いた声。人前ではそうやって声質を変えてくるところがまた憎い。

 

「だが、これも私の予定通りだ。これから、特別演習に入る!」

 

ギャラリーが沸きあがる。何でお前らもそんなにノリノリなんだよ。

 

「今から、特別演習として、人間対艦娘という、異色中の異色な演習を行う!」

 

    うおおおおおおおおおお!!!!

 

・・・五月蝿い。感情が故にこの虫が鳴くような歓声に苛立ちを覚える。

俺は思わず本音を零す。

 

「御託はええんや、さっさと始めろや。さっきからピーピー五月蝿いんじゃ」

 

低いトーンで俺は口を開く。その声からは並々ならぬ気を放っており、湧き上がっていた

ギャラリーが再度静まり返る。

加賀と日向は唾を飲み込む。そして、小室提督が無線越しに呟く。

 

「殺せ」

 

加賀と日向は覚悟を決める。そして口を開く。

 

「了解」

 

すぐに加賀は艦載機を飛ばす。上空を舞う艦載機は俺に目掛けて飛んでくる。

それに遅れて日向が俺に近づいてくる。前衛と後衛に分けた、パーティ戦闘の基本的なスタイルだ。

俺はとりあえず日向を対処するため、一気に日向の懐まで踏み込んだ。

その速度は、日向の想像を超えていたようで、慌てるような顔つきで俺を睨む。

その表情を拝む前に、俺は槍を突く。

 

「くっ・・・!」

 

間一髪でかわす日向。その後反撃の態勢を取ろうとしていたが、俺はその隙を与えず、連続で攻撃を叩き込む。

その攻撃を、艤装を使って何とか防いでる日向。

さすがに艤装は固い。俺の蛇矛も、結構な金属を使っていて、かなり頑丈ではあるが

さすがに簡単には艤装を無効化することはできなさそうだ。

金属と金属が交わる音が、演武場に響き渡る。

 

「なんや、艦娘もたいしたこと無いなァ!!」

 

俺は声を荒げて攻勢を止めない。日向は防戦一方であるが、その上空で、数十機が俺の頭上を囲んでいる。

そろそろ一斉射撃が来るだろうと、俺は日向と距離を開ける。

俺は艦載機を見上げる。さすがの蛇矛でも、地上からは届かない。飛んで当ててもいいが

飛んでる間に打ち落とされそうだ。

そう考えている間に、加賀が口を開く。

 

「正射、始め」

 

その号令と共に艦載機が一斉に射撃を開始した。俺はその射撃を回避しながら加賀に近づいて

根本を叩こうとする。

だが、その前に日向が立ちふさがる。艤装で防御をして、時間を稼いでくる。

日向の相手をしている間に、艦載機の射撃が俺を捕らえ、行動の自由を奪ってくる。

 

「クッソ・・・ちまちまうっとおしい奴やな・・・!!」

 

俺は苛立ちを露にする。

だが今のままだと、艦載機を対処することが出来ず、俺はいつか蜂の巣だ。

そう考えている内に、日向も砲撃を放ってくる。

 

「うおっ!」

 

俺は砲撃を飛び込むように避ける。着弾するとそこで爆発を起こし、爪跡を残す。

その光景を見て俺は、食らったときの想像をする。

 

「これは・・・食らったらひとたまりもないなぁ・・・」

 

艦載機の射撃より砲撃だな、と俺は思い、回避を続ける。

回避ばかりしてると、ギャラリーからブーイングが飛んでくる。

 

「おい!避けてばっかしないで戦え!!」

「それでも男かよ!!」

 

言いたい放題に罵倒が飛び交う。あぁ、耳障りだ。

だが、この状況は俺にとってもまずい。打開策を考える。

いや、あるにはある。だが、ここで使うべきかは分からない。

力を使うことで・・・俺のこの生きる世界が・・・見る世界が変わりそうで・・・。

少し怖い意識もあった。

だが、俺は夕張の先ほどの状態を思い出す。

彼女は艦娘としての責任をしっかり持っていた。

そんな彼女は、理不尽な演習を強いられ、殺されかけた。事故に見立てて。

自分の無力さを痛感し、強くなろうとした彼女。その気持ちを、小室提督は踏みにじった。

・・・この程度ではなかったはずだ。夕張の心の痛みに比べれば軽いものだ。

俺は決心した。力を使うことをためらわない。たとえそれが、どんな結果を招いても。

 

「うおおおおおおおおおおおああああああ!!!!」

 

俺は雄たけびを上げた。周りは静まり返る。一時の静寂。周りは冷や汗をかき、じっと俺を見つめる。

加賀と日向もそのまま立ち止まり、艦載機の攻勢も止む。

俺は一呼吸置いて、構えを解き、武器を下ろす。

 

「な、なんだ・・・ついに気が狂ったか?」

 

小室提督が怯える半分で口を開く。

そして、俺は加賀と日向を睨む。その視線に反応して、二人は構える。

 

「さすがに・・・艤装相手はつらいわ・・・やから・・・」

 

俺は、武器を持っていない左手を開く。

その手中で何かが蠢く。加賀と日向もそれを感じ取っていた。

 

「悪いけど、ガチでいくで」

 

そう言った後、バチバチと俺の左手で音が立つ。紫の光が迸っている。

その光は瞬く間に大きくなり、俺の握りこぶし二つ分ほどになる。

 

「な・・・何・・・?」

 

加賀は警戒を強める。日向も加賀を庇うような態勢で警戒をしている。

そして、俺は時は満ちたかのように、左腕を掲げる。

 

「雷光・・・我が手中に収めん・・・ッ!!」

 

詠唱の一種。紫の光・・・雷光を左手で俺は握りつぶす。

雷光が迸り、俺を包み込んでいく。そして、その光は、俺の蛇矛の矛先に宿る。

紫の光輝く矛先は、空を切るように迸り、火花を散らしながらうなりを上げている。

 

「くっ・・・!!」

 

加賀は艦載機による射撃を開始する。俺はその射撃を見た瞬間、前方を槍でなぎ払う。

軌道上に電光が走り、弾丸を全て破壊する。

その光景を見て、加賀は驚きを隠せずにいた。

 

「なっ!!」

 

数十機の艦載機の射撃は全て防がれた。その事実に加賀は焦りを感じる。

 

「邪魔やなぁ」

 

俺は艦載機を睨んでは槍を頭上で振り回す。

 

「唸れ・・・」

 

そして、地に槍を刺す。矛先に宿った雷光は、地を伝って広がっていく。

 

「稲妻ァァ!!!」

 

その唸り声と共に、天から稲妻が落ちる。その稲妻は艦載機に次々と命中していき、数秒の内に

全ての艦載機に命中し、打ち落とす。

制空権喪失。正規空母にとって絶対的に不利な状況に陥る。

加賀は後退、日向が前線に出てきて、近接戦が始まる。

先ほどとは違って、日向は積極的に肉弾戦に参加し、俺の攻撃に応戦している。

 

「おい、お前、今回が初めてちゃうやろ?」

 

俺はすれ違いざまに日向に聞く。

 

「白兵戦は《二度目》だな。一度目は・・・思い出したくも無いが」

 

そう言って拳を握りしめて俺を吹き飛ばす日向。

そして、砲口を俺に向ける。が、その動作だけで俺が日向の懐に入るのには十分な時間だった。

俺はすかさず地を踏みしめ、日向を捕らえた雷光を纏った蛇矛を振り上げる。

日向は避ける。が、俺の狙いはそこではなかった。

 

「ちゃうねん、狙いはな・・・」

 

俺は左手に雷光を纏った拳を突き出す。

 

「ここや!!」

 

    ドカァッ!!

 

日向の艤装の主砲に命中。砲口は捻じ曲がり、砲撃できない状態にした。

雷光が艤装を伝って他の機関にまで行き渡り、艤装が殆ど機能しないようになった。

 

「君の狙いは・・・これだったか・・・!」

 

日向は一旦後退する。俺は槍を構え、加賀と日向の動向を探る。

そのとき、ギャラリーから声が聞こえる。

 

「なんだ・・・あいつ・・・」

「雷が・・・落ちてきて・・・」

「あいつが・・・やったのか・・・?」

「う、嘘だろ・・・人間じゃないのか・・・あいつは・・・」

 

何かこそこそと話しているが、今はそんなことどうだっていい。

俺は目の前のことに集中する。間合いを詰める。

日向が立ちふさがるが、俺は槍の石突を彼女の溝に打ち込む。

 

「がはっ・・・!」

 

見事に命中し、彼女は唾液を吐き出して吹き飛ばされる。

そのまま立ち上がることなく、横たわっている。

 

「日向!」

 

加賀は振り返る。しかし、目の前で俺が歩みを進めている。

駄目だ、適わない。艦載機が落とされた空母は、戦場ではもうただの鉄くず同然。

艤装である弓を落とし、膝をつける。

 

「・・・池宮憲兵」

「あぁ?」

 

俺は不機嫌そうに返事する。実際に不機嫌なんだけどな。

だが、加賀は真剣な眼差しで俺のことを見つめている。その姿に偽りはなかった。

 

「私は・・・小室提督の任務を・・・達成できそうにありません。

彼は、貴方を殺せと命令してきました。尽力はしたつもりですが、艦載機が落とされた以上

今の私に、貴方を殺生する手段は・・・残されていません」

 

俯きながら加賀は話す。俺は何もせずに話を聞く。

 

「私は兵器として失格かもしれません。お役目を果たせず、言われたとおりのことができない。

だから、置いていかれた。あの方にも・・・追いつけないところまで離されてしまった。

私は・・・何もかも中途半端なんです」

 

そう呟く加賀は、少し涙声になっている。

 

「言い訳になりますが、夕張のことについては、殆ど事前に提督から話されていました。

最後まで私は反対し続けたんです。ですが、押しが弱く、最後まで自分の意見を

貫き通せませんでした。中途半端なんです。どっちつかずの私なんです。」

 

地が透明に滲む。

 

「いろいろな方に・・・会わせる顔がありません。ですから・・・」

 

加賀は俺を見上げる。目からは涙、顔は崩れている。

 

「私を・・・殺してください・・・」

 

切実な願い。中途半端な私を、せめて一思いに。

思い出だけでも残して、中途半端な私に終止符を。

このまま中途半端を貫くなら、せめて、バラバラになってから、また組み立てて。

綺麗になって・・・完璧になってから・・・

そんな願いを込めた一言。だが・・・

 

 

 

 

 

「・・・何が『殺してください』や・・・」

 

俺は加賀の胸倉を掴み持ち上げる。俺より身長の高い加賀は、首を絞められることはなく

立つことと同じだが、ただ糸に釣られているかのように脱力している。

 

「ふざけんなや」

 

俺は怒る。涙顔の加賀に顔を近づけ、その場で話し続ける。

 

「中途半端やから殺せやと?何様やねん、自分」

 

加賀の涙は止まらずに、濡れた目で俺を見つめてくる。

 

「逆になんやねん、自分は完璧になりたいんか?あぁ?

完璧になれば、全部正しい方向へ持っていけるって思っとるんか?」

 

涙で濡れる加賀。涙は止まらず流れ続けている。

 

「あんな、命ってのは、そのときにしか無いものやねん。生まれ変わるとか、そんなんは有り得へん。

ご都合主義の口車や。命は今あるからこそ、それに価値があるってもんや。

それを生かすも殺すも自分次第やとは思う。

やけどな、中途半端だから死ぬなんて・・・そんなんでその価値を捨てるほどのことやと思ってるんか?」

 

俺は左手で握りこぶしを作っている。力強く、爪がめり込んで今でも血が飛び出てきそうな勢いだ。

 

「ええか?中途半端の何が悪いねん。中途半端ってことは、ただ迷ってるだけや。ゴールに

たどり着いてないねん。そんな状態で諦めてどないすんねん。

命っていう迷路から、脱出する前に諦めてどうすんねん。

諦めるときは今やない。命の迷路は、簡単にリタイアするもんやない。

ゆっくり考えて進めばええねん。自分には立派な体、心がある。

それを使えば、少しはわかることやろ。正解のルートを知ってる奴なんておらんねん。

自分で見つけなあかん」

 

俺が熱く熱弁する中、加賀は涙顔で口を開く。

 

「でも・・・私は兵器・・・貴方達人間とは違う・・・!!」

 

大声で叫ぶ。俺は一呼吸置いてから再度話す。

 

「価値感は人それぞれやと思う。でもな、俺は・・・」

 

一気に目を見開いて、声を荒げて叫ぶ。

 

 

 

 

「「お前ら艦娘も、命を燃やして、心を灯す、人や!!!!」」

 

 

 

そう言って俺は握り締めた左拳を加賀の左頬に目掛けて突き出す。

その衝撃で加賀は吹き飛び、地面に横たわる。

女性やからって、俺は手加減しない。悪いけど、加賀には少し反省してもらう。

 

「お、おい・・・どういうことだ・・・」

 

小室提督の声が震える。

ギャラリーも静まり返っている。皆呆然としている。

艤装を装備した二人の艦娘は、力なく横たわっている。

 

「あいつ・・・艦娘に勝ったっていうのかよ・・・」

 

ギャラリーがざわめく。そんなこと俺はお構いなしに地を踏みしめ跳躍し、待機室のガラス窓を

雷光を纏った蛇矛で突き破る。

俺はそのまま中に進入し、小室提督に近づく。

 

「や・・・やめろ!私に手を出したら・・・どうなるか分かっているのか!!??」

 

命乞いに近い台詞を吐く。俺にそんな脅しは通用しない。俺は歩みを止めない。

 

「まて、分かった、お前のほしいもの何でもやろう!金か?名誉か?地位か?

艦娘か?ほら、言ってみろ!」

 

小さい体の癖によく喋りやがる。無性に腹が立つ。

俺は小室提督を壁際まで追い詰めると、そのまま彼の顔に近づく。

そして、小さな声で彼の耳元で呟く。

 

「んなもんいらんわ。俺がほしいのはな・・・」

「ヒィ!!」

 

胸倉を掴む、そして、左拳を顔面目掛けて・・・

 

「夕張の心を踏みにじった・・・そのことへの謝罪やあああ!!!」

 

振りかぶる。小柄な小室提督の体は宙に舞い、窓を突き破って演武場まで落ちていった。

その後、腑抜けた表情で横たわる小室提督の姿があった。

 

「あああああああああああ!!!!すっきりしたわ!!」

 

俺は怒りが収まり、気分爽快といった顔つきになる。

だが、今までやってきたことを振り返る。

 

「《魔導術》・・・使ってしまったな」

 

俺は雷光が迸る蛇矛を見て呟く。左拳の力を抜くと、雷光は空に消え、跡形も無くなる。

力を使ったということは、皆いろいろ俺に対して思うことがあるだろう。

だが、今はそんなことより、夕張のことのほうが気になる。

 

「大丈夫かいな・・・?」

 

俺はこの場を後にし、執務棟の治療室へ早足で向かった。

 

 

 

 

しかし、俺は執務棟の前で違和感に気づく。

視界が歪み、衝撃が走る。

体が冷たい。俺は地べたに倒れ込んでいた。

自分に起こる異変の正体に気づくことなく、目の前が真っ暗になった。




ご閲覧ありがとうございます。今回は戦闘シーンのみとなってしまったので、ボリュームは少なめです。
初めての艦娘との戦闘シーンだったので、なかなか文章の表現が上手くいかず、むしゃくしゃしてしまいました。なんとかして技術を身につけたいものですな。

ちょっとオリジナル設定が濃くなってきました。魔導術に関しては追々説明していきます。魔導術はいつぞやのキャラ紹介のときの《マジック》と同意語です。ネタバレ防止で今まで濁してきましたが、こんな早くばれると濁した意味があまりありませんねw
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