Demon's Stella ~悪魔の彗星~   作:Hershel

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設定紹介

魔物
主に、陸上で現れる生物であり、《深海凄艦》とは別の人間の脅威。
夜に活発に活動し、今のところ昼の被害報告は殆ど無い。
深海凄艦が一枚噛んでいると鎮守府は見ているが、実際のところ不明。

山の近くには、犬型魔物《ウルフ》、人が徘徊する場所では人型魔物《グール》
稀に魔物の中でも上級魔物とされる《ドラゴン》なども出現することもある。
魔物は魔導術の扱いに長けている類も存在する。

艦娘でも襲われる危険があるため、夜間の出入りは鎮守府で禁止されている。
その魔物の討伐を行っているのが池宮憲兵であり、討伐兼住民保護に当たっている。
しかし、魔物の被害は後を立たず、役者不足が否めない状況でもある。


第九話 いただきます

5月22日(金) 午後2時

 

夕張の配属先変更届が届いた日から、一週間が経過した。

俺と夕張の体調は殆ど回復し、仕事が出来るぐらいまで回復した。

長かった治療室の生活とはおさらばし、今日久々に寮に帰って来た俺。

そして、俺の隣には艦娘の夕張。

とりあえず扉を開けてみると・・・

 

「う~ん・・・」

 

放りっぱなしの布団に、洗いかけの食器。

菓子の包み紙や袋、ティッシュやらが散乱している。

俺は家事は一通りできるものの、片付けが異常なほど嫌いだ。

学生時代に、勉強の合間に掃除をしてはまってしまうとき以外は、全く掃除をしたくない。

だが、掃除をしなきゃならないなと思った要員として一つ。

 

「あかん、ゴミ箱妊娠状態や・・・」

 

異臭を放つゴミ箱。それは自らを慰めるために犠牲となったティッシュの山。

さすがにこれはやばい。艦娘とは言えども女の子。

この状態を放置するのは・・・やばい。

 

「悪いな、夕張。ちょっと掃除するから待っといてや」

「いいよ、掃除手伝うから」

「ええって・・・ちょっと先に掃除しときたいとこあるねん」

 

俺は何とか夕張を入れないようにと抑えている。

だが、どんなことを言おうとも夕張は引かない。

 

「それに、こんなに汚い部屋なら、掃除のし甲斐があるじゃない!」

「せ、せやけど・・・」

 

私がやらなきゃ!といった感じで腕にぐっと力を入れる。

 

「それじゃ、お邪魔しまーす」

 

そして、半ば強引に部屋に入る。

その部屋に入った瞬間、夕張は異臭に軽く仰け反るも進んでいく。

 

「はぁ・・・しゃーないか・・・」

 

俺も入って、引き出しからマスクを2枚取る。

1枚は夕張に渡す。さすがにこの部屋の掃除でマスクなしだとかわいそうだからな。

 

「ありがとう」

 

そういって受け取ってすぐに取り付ける。

俺はしぶしぶ掃除を開始する。出来るだけ気づかれないように、ティッシュの詰まったゴミ箱を

処理していこうと思った。

 

「あ、ティッシュのゴミは燃えるよね?」

 

そう言って大きな黒いゴミ袋を持った夕張が近づいてくる。

お前なんでそういいタイミングで来てしまうんだよおおお!!

そう考えている俺より先に俺の持っているゴミ箱を掴む夕張。

 

「ほら、こっちに捨てて」

 

そうやってゴミ箱を傾ける夕張。

そして、なだれのように黄ばんだティッシュが流れ落ちると共に、鼻に来る異臭が夕張の嗅覚を襲う。

 

「す、すごい匂いね・・・なんか・・・イカ臭い?」

 

そうです、イカ臭いんです。だからそれ以上言わないで。

恥ずかしいことに、性欲はかなり一丁前に持っている俺。

草食系が~絶食系が~と言われている昨今では中々珍しいタイプなのかもしれない。

だが、自分の処理したものを女の子に捨ててもらえるってなんという羞恥プレイだ。

若干いいなと思ってしまった自分を思いっきりぶん殴りたい。

 

「・・・鼻かんでたんや」

「そ、そうなんだ」

 

みえみえの嘘をかますと夕張は苦笑。

夕張は何をしていたのか分かっていたのだろうか。もちろん聞き出せないまま作業は進む。

だが、ティッシュ事件は、それ以上進展することは無く、普通に掃除に戻っていった。

これからはトイレに流そう、そうしよう。

いや、夕張と一緒に暮らすんだから、暫くは我慢すべきなのか・・・?

俺、やっていけるのかな・・・。

どうでもいいようなことで自信をなくす俺。俺らしいと言えばらしいが。

 

「お皿洗っておくね」

「すまんな、頼むわ」

 

皿洗いをしてくれる夕張。ティッシュ以外はいかがわしいものが無いため、とりあえず不安材料は

取り除かれた。後は普通にやればいい。

とりあえず妊娠状態だったゴミ箱を綺麗にふき取り、部屋の隅っこに置いた。

再度見ると、あまりにも素朴な見た目だった。今度駅前で買い物行ったときにデコレーション用に

何か買って来るか。

 

 

「あのさ」

「何や」

 

夕張が皿を洗いながら俺に話しかける。俺は自分の掃除もしているため、振り返らず聞く。

 

「えっとね。別にイカ臭いティッシュ増えても・・・気にしないからね」

「ブーーッ!!!」

 

ばれてるじゃねぇか!!一応そういう知識あったのかよ!!!!

あぁ・・・お父ちゃんお母ちゃんお姉ちゃん・・・もう俺お婿に行けないよ・・・

 

そうやって掃除をしていっているとき、一つの写真立てに目を向けた夕張。

そこには、中年の男性と女性、小さな男の子と一回り大きい少女の姿が。

 

「あ、これって、小さいころの池宮さん?」

 

喜びながら俺にその写真を見せ付けてくる夕張。女の子ってこういう人の幼少時代の

話とか好きだよな。

 

「せやで」

「それじゃ、この人がお父さんとお母さん、それにお姉さんなんですか?」

「せやな」

 

俺もその写真を見て懐かしむ。そして・・・

 

「それ、戻しといてな」

 

すぐに切り替えて掃除の続きをする。

あまりにも素っ気無い態度に疑問を浮かべる夕張。

だが、何となく、彼の見えない表情から、聞いてはいけないような気が漂っている。

夕張はそう感じ取った。

 

「うん」

 

素直に言うことを聞いて、写真を元の位置に戻す。

皿洗いを再会して、また他愛も無い話に戻った。

 

 

 

 

 

「ふいいい、終わったでええええ!!」

 

午後4時。2時間の死闘を終えて、ようやく掃除が完了した。

部屋は今でも輝きそうなほどぴかぴかしている。

だが、悪い風に考えると、見違えるほど殺風景になった。

布団まで治してしまったため、ちゃぶ台が一つ、それにテレビとゲーム機が置かれている程度。

モデルルームよりひどい気がしてきた。

 

「終わったね~、お疲れ様!」

 

夕張が俺の前に立って笑顔を向けてくる。

少し汗で軍服が濡れている。

 

「汗かいたやろ、シャワーでも浴びとき」

 

憲兵寮は、個室一つ一つに浴場が付いている。ビジネスホテルのようなユニットバスで

浴槽とシャワー一体型であるが、一人暮らしの際には十分だ。

 

「服とかは中で脱いでな」

「見たい?」

 

夕張は意地悪い笑みを浮かべて軍服の襟部分を少しずらし、素肌を晒す。

 

「んな固い丸餅みたいなの見てもなぁ」

 

俺は呆れたような表情をさらけ出して視線をそらす。

夕張は胸の悪口を言われて反射的に俺の頭を叩く。

 

「いでぇっ!!」

 

俺はそのまま地べたに蹲る。け、結構痛い・・・。

 

「それじゃ、ちょっと入ってくるね~♪」

 

鼻歌を歌いながら、夕張は浴場へ向かう。

何でそんなにご機嫌なんだよ。殴ってすっきりしたか?

そう考えていたら、あることに気づく。

 

「俺の部屋で・・・女の子が裸でシャワーを浴びているんか!!」

 

なんだ、これは無性に興奮するシチュエーションだぞ!

非常に素晴らしい、エクセレント!いくら胸が発展途上国だからって関係ない!

夕張は胸を除けば顔は整ってるし、身長もいい感じで、スタイルもへそ出せるぐらいにいい。

しかも、性格も気さくで男に媚びてこないところも好感が持てる。

うん、実にいいぞ!だが、俺の童貞っぷりが半端なく出てて考えていく内に惨めになってくる。

 

「・・・はぁ。何で俺こんな興奮してるんや」

 

一旦落ち着きを取り戻そう、そうしよう。

なんというか・・・大変だ。本当にやっていけるのかな。

この感じに早く慣れてくれ・・・。

 

 

 

 

 

 

「シャワー上がったよ~」

「ほいほい」

 

夕張を覆っているのはバスタオル一枚のみ。考えてみれば、彼女は軍服以外に服を持っているのか。

それが非常に疑問でもあった。

谷岡提督の所は軍服しか持ってなかったし、これは私服ないにワンチャンか。

 

「夕張」

「はい?」

「服は?」

 

そう俺が言ったら、夕張が少し顔を赤らめて言う。

 

「・・・無いです」

 

やっぱりか。俺は軽くため息をつくと、彼女でも着れそうな服を探す。

さすがに汗のかいた軍服を着させるのはかわいそうだからな。

 

「悪いけど、ちょっと暫くはこれで我慢してくれや」

 

俺は押入れからグレーのスウェットを取り出す。部屋着としては、女の子が着ていても

別に支障は無い形だ。

だが、下着はさすがに俺も持っていないため用意はできない。というか、持ってるわけ無いだろ。

 

「ん~、今までどないしてたんや?ブラとか」

「一応取り寄せで注文してたんですが・・・小室提督のところに届いてるのかな?」

 

取り寄せなのか・・・と思いながらも、俺はスマホを取り出して小室に電話をかける。

あの餓鬼はアレからもちょこちょこ治療室に顔を出しては様子を見に来てくれた。

その際に電話番号やチャットアプリ《KINE》のアカウントも教えた。

とりあえず、提督とパイプがつながっていると、夕張と生活するにもいいからな。

ぷつっ、と効果音、電話がつながる。

 

「師匠ぉ~!師匠から電話してくれるなんて感激っす!!」

「五月蝿いわ!」

 

いきなりのラブコール。だから男は興味ないんだって。

 

「いきなりで悪いけどな、小室、そっちに夕張の下着とか届いてないか?」

「えらく直球っすね、師匠・・・」

 

小室は少し引き気味ではあるものの、電話越しにガサゴソと音を出して、探してくれた。

 

「あ、これかな。ダンボールに何か入ってるっす。

宛名が《夕張》様って書かれてるから多分これっすね」

「センキュ。取りに行くわ」

「い、いえいえ!師匠に取りに来させるなんて・・・!すぐにそちらに行くっす!」

「いや、こっちに来られたほうが面倒・・・」

 

と言ってるうちに電話が切れる。

憲兵寮に、提督が入ってきたらそれだけで騒ぎになるだろ・・・。

俺は頭が痛くなってきた。頭に手を当てる。

若干心配そうにしている夕張が顔を覗かせて、

 

「どうだった?」

「あったって。届けてくれるらしいで、自ら」

 

夕張は何故俺が苦しい表情をしていたか理解した。

 

「ちょっとした騒ぎになるでしょうね・・・」

「せやな・・・はぁ」

 

ため息が止まらなかった。

 

 

 

 

 

    コンコン・・・

 

「師匠~いるっすか~?」

 

聞きなれた幼い声。小室だ。

 

「はいはい、開けるから待っとけ」

 

俺はすぐに玄関まで歩いて扉を開ける。

ダンボールを両手で持つ小室と、その隣には加賀が付き添いでいた。

念のため扉から顔を出してみると、廊下ではその二人を物珍しそうに見る憲兵の姿。

 

「はぁ・・・とりあえず入り」

「へっ!?い、いいんっすか!?師匠の部屋に・・・」

「廊下おったら目立つやろ?はよ入れ」

「うわぁ~い!!お邪魔するっす!!」

 

靴を脱ぎ捨て颯爽と入る小室。ダンボールを一度部屋の扉に引っ掛けながらも、さっさと入っていく。

 

「うはぁ・・・ここが師匠の部屋なんっすね・・・小さいのがまた風情があるっす!」

「嫌味か」

 

小室の執務室と比べても一回り二周りも小さい俺の部屋。

だが、その部屋を見て小室は目を輝かせている。

 

「でも、師匠の匂いがするっす!心と身体に刻み込んでおくっすよ!!」

 

そうやってごろごろと転がりながら息をすーはーしている。

お前は掃除機か。

 

「だが、4人となると、少々狭いですね」

 

ちゃぶ台は3人でも一杯なのに、4人となるとさらに狭い。

なんというか・・・定員オーバーだな。

 

「んなことはええから、はよ礼のものくれ」

「はい!これっす!!」

 

小室は起き上がってダンボールを持ち上げ、俺のところまで持ってきてくれる。

俺はそれを受け取ると、夕張に渡し、中身を確認させる。

 

「うん、確かにこれだけあればいけるかな」

 

中身を確認した夕張はすぐにダンボールの蓋を閉じる。

 

「夕張、今日は軍服ではないんですね」

「はい。掃除していたら汗をかいてしまって・・・池宮さんにスウェットをお借りしたんです」

 

そういいながらスウェットの袖を広げて全体を見てもらう。

それを見て目を輝かせたのは、小室だった。

 

「師匠のスウェット・・・おいらも!師匠のスウェット着たいっす!!」

 

とりあえず俺は殴る。もう反射的に。

加賀が怒ってきても知らない。これはもうなんというか、こいつはホモなのか?

 

「とりあえず、下着だけでもはよ着て来いや。

さすがにスースーせんか?」

「そうね・・・そうさせてもらおうかな」

 

そう言って夕張は浴場に入って着替えをする。

部屋を見渡していた加賀は、素直な感想を言う。

 

「それにしても、一部屋だけなんですね。

異性二人ではいささか厳しいものがありそうです」

「しゃーないやんけ。一人用の部屋なんやから。」

 

正直俺だってこのままじゃよくないって思ってるよ!

何とかしなければ・・・うん。

 

「せめて、艦娘の寮が引き続き使えれば良かったんっすけど・・・」

「なんやねん、お前が追い出したんちゃうんかいな」

「違うっすよ!結構説得したんっすけど、認可されなかったっす・・・」

 

小室がしょげる。こいつなりに頑張ったっぽいし、これ以上責めるのはやめるか。

そう会話していると夕張が出てくる。

 

「おまたせ~」

 

下着を身に着けた夕張が戻ってくる。

といっても、見た目は変わっていないんだけど。

 

「おかえり。下着置く場所作っとくから、今はダンボールに入れといてや」

「うん」

 

ダンボールを角に置く夕張。

そのついでに時間を見ると午後五時半を過ぎている。

そろそろ晩飯の仕込みしたいし、仮眠したい。

 

「小室、悪いけどそろそろ飯作らなあかんから・・・」

「師匠って、自分でご飯作ってるんっすか?」

「一人暮らしやからな」

 

そう言ってるとまた小室が目を輝かす。

 

「すごいっすすごいっす~!ますます尊敬するっす!!」

 

スイッチが入った。面倒になる前に加賀に処理してもらおう。

 

「加賀~悪いけどさ・・・」

「連れて帰りますね」

 

察したのか加賀は小室を引っ張り出して部屋を後にする。

名残惜しそうに手を伸ばす小室の姿を見送って俺は料理の準備をする。

 

「手伝うね」

「頼むわ」

 

夕張が手伝ってくれる。せっかくの好意だ、拒否することなく素直に甘えることにする。

 

「そういや、夕張は料理できるんか?」

「うん。下手でもないと思うよ?」

 

スウェットの腕を巻くってガッツポーズをする夕張。

自信ありげだし、期待していいのかな。

 

「んじゃ、時間もないことやし、今日はラーメンとチャーハンでも作るか」

「どっち作ったほうがいい?」

「チャーハンは俺が作るから、ラーメン頼むわ」

「オッケー」

 

この前つくったチャーハンと同じ作り方で作る。

その光景を見ていた夕張が関心する。

 

「二度炒めするんですね~」

「こっちのほうがうまいねん」

 

手際よく炒めていく俺。

夕張は具材を丁寧に切り分けていきながら、スープの味付けをしている。

かなり手際がいい。料理が好きなのかな。

麺をすぐに茹でないところも分かっている。

 

「・・・うん、味はこれでいいかな」

 

スープの味付けが終わったようだ。

具材は別の皿に分けて、麺を茹でる。

スープに通さず、まずはただの湯で茹でる。

その後に軽くスープに通してから、ラーメン鉢に盛る。

そして、その上に具材を乗せて完成。

ほうれん草に缶詰コーン、チャーシューになると、メンマに焼き海苔にもやし。

スープはしょうゆで、中華調味料を使ったため、かなり安定した味に仕上がっている。

 

「それにしても池宮さん、この中華調味料、結構マイナーな奴よね?」

「そこはこだわりやな。これやないと味がなぁ」

 

俺はどちらかというと、食材の質より、味に五月蝿い。

食材も大事だとは思うけど、やっぱり人間の舌を唸らせるのは味だと思う。

関西人がうどんの麺より出汁にこだわる理由って、多分これに似ていると思う。

 

「そっかぁ」

 

そうしていると、俺もチャーハンを盛り付け、ちゃぶ台に並べる。

久々に自分で調理した食事にありつける。今まではコンビニ飯だったからな、俺は。

 

「んじゃ・・・」

 

夕張を見て、俺は手を合わせる。

 

「えっと・・・」

 

夕張は困惑する。

 

「ん?手、合わせへんのか?」

「手を・・・合わせる?」

 

夕張はまるで頭にクエスチョンマークを浮かべるかのように首を傾げる。

まさか・・・いただきますを知らないのか!?

 

「えっとやな、俺みたいに手を合わせてみ」

「うん・・・」

 

夕張はゆっくり手を合わせる。

そして俺は口を開く。

 

「食べ物は、たくさんの命で出来てるんや。それに感謝せなあかん」

「うん」

 

夕張はまじまじと聞いている。

 

「やから、食べるときは・・・《いただきます。》って言うんや」

「なるほど、感謝の意味を込めて・・・ね」

「普段から感謝する気持ちが大事なんやで」

 

ほうほう、と聞く夕張。本当にいただきますを知らなかったのだろうか。

そう考えている内に、夕張の頭の整理が終わり・・・

 

「うん。それじゃ・・・」

 

目を瞑る夕張。そして、軽く頭を下げて

 

「「いただきます!」」

 

俺と一緒に、その言葉を呟いた。

俺はラーメン、夕張はチャーハンに手を出す。

 

「うまい!中々ええ味付けするやんけ夕張!」

「うわぁ・・・このチャーハンおいしい!すごいよ池宮さん!」

 

二人とも絶賛。そして

 

「あはははっ」

 

二人同時に笑った。

 

「いやいや、うまいで、夕張。これは中々いけるで!」

「池宮さんだって!おかゆのときもそうだったけど、本当に料理上手いね!」

 

互いを褒めだす。料理が進みながら会話も弾む。

今までは一人寂しくテレビを付けながら、適当に食事を進めてきたのに、充実感がすごい。

これが、共同生活って奴なのか。いいな、共同生活。

そうやっているうちに二人ともぺろりと食べ終わり、皿洗いをする。

 

「夕張」

「ん?」

 

俺は夕張を呼ぶ。そう、俺の仕事が刻一刻とせまっている。

彼女をどうするかも考えなければならない。

 

「11時回ったら、出るけどどうする?」

 

出る、その意味を夕張は知っている。

そして、夕張から出た答えは・・・

 

「邪魔にならないから、ついて行っていいかな?」

 

同行を希望する。本当だったら来てほしくないが、彼女の気持ちをへし折る気持ちは無い。

 

「ええよ。何かあったら助けたるからな」

「うん。でも、そうならないようには気をつけるね」

 

そういって笑顔を向ける夕張。

少し心配ではあるものの、この憲兵寮に置いてけぼりにするほうがもっと心配だ。

いざとなれば俺が守ればいい。せっかく力があるんだから、こういうことに使いたいよな。

 

「んじゃ、片付けたら俺ちょっと寝るわ」

「うん。私は起きてようかな」

「ゲーム、しててええで」

「お言葉に甘える」

 

そう言って彼女はゲームの準備をする。だが、準備を終えたらすぐに始めなかった。

 

「池宮さんが寝るまで見ておこっかな」

「見んでええわ!」

 

そういって俺は毛布だけ取り出して隅っこで寝転がる。

くすくす笑った夕張は暫くその姿を見守っていた。

 

 

 

 

 

 

そして・・・夜が、訪れる。




お気に入り登録20件ありがとうございます!!

どんどん短くなっている気がしますが気にしない気にしない。
執筆している時間で急に腹痛がきたんで切り上げました・・・w
次は長くかけるかもです!
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