東方饅頭拾転録 【本編完結】   作:みずしろオルカ

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 日記形式って難しい。

 アルコール入ってるだけに余計に……。

 主人公は最強じゃありません。

 一般人よりは強いけど、原作キャラ相手だと分が悪いです。
 低級妖怪等はサシで戦える程度。

 一年間幻想郷で生活していましたが、原作キャラとの絡みは非常に少なく、知識がある主人公としては珍しいです。


海原参護の日記 〇月

○月×日

 

 初めましてだ。俺の名前は『海原 参護』

 今日この日から日記なるものを書いていこうと思う。

 それというのも、俺は今『東方project』という作品の世界にいる。

 幻想入りというやつだ。やりつくされている感じもあるが、俺の場合はそんなことは関係ない。

 

 俺は弱い。

 

 いや、こっちに来てから相当に鍛えたのと、元々親父が人外じみて強かったから俺も少し戦いの心得はあるけど、それにしたってここの世界の妖怪たちには敵わない。

 そんな俺がなんやかんやあってこの世界に来たわけだ。

 

 最初こそ混乱したが、今は下級妖怪なら一対一で勝てる程度の戦闘能力を利用して護衛をしたり、湖や川で魚を取ったり、無縁塚から物を取ってきたりして生活している。

 

 原作キャラ?

 慧音先生と薬売りに来る鈴仙さんぐらいしか交流ありませんよ。

 しかも、人里の会合での決まり事を知らせに来る時と、置き薬補充に来るぐらい。

 見事なくらいにビジネスライクだね。

 

 さて、なぜ今になって日記なんて始めようかと思ったかというと……。

 

 生首拾ったわ……。

 

 

 

○月△日

 

 昨日は端折りすぎた。

 正確には、川魚を取った帰りに、森の中で生首を見つけた。

 

 この世界じゃ珍しくない。

 妖怪に食い殺された人間の生首が転がってるなんて割と頻繁に有るからたちが悪い。

 この時も俺は埋葬しようと穴を掘り、埋めてあげようとした。

 

 顔を確認しようと持ち上げて、顔を確認した。

 

 目が合った。

 

 あの時の悲鳴は下手すれば周囲の妖怪も呼び寄せてしまうかもしれない。

 でも、仕方がないと思うんだ。死んでると思った生首と目が合って、なおかつ『ゆっくりしていってね!』などと叫ばれては、むしろ放り投げたり取り落としたりしなかったのは褒めてほしいぐらいだ。

 

 その後、この生首饅頭はれっきとした生物であり、人懐っこい性格であることが分かった。

 

 つか、森から自宅まで付いて来た。

 

 どうやら懐かれてしまったようで、俺の足元で犬や猫の様に体をこすり付けては、甘えるようにこちらを見るのだ。

 

 正直、こちらに来てからと言うもの、ビジネスライクな人付き合いしかなかったから、ついつい癒されて家に上げてしまった。

 

 今膝の上でスヤスヤと寝ている。

 

 東方projectの知識の中で、この容姿に当てはまるのはパチュリー・ノーレッジさんだ。

 しかし、原作の中でも上級の実力がある彼女があんな下級妖怪しかいないような森でこんな姿でいるはずもない。第一、彼女は紅魔館の大図書館から出ることはほとんど無いのだから。

 

 そこで別の知識だ。

 某動画投稿サイトではやっている存在。

 

 ゆっくりだ。

 

 この場合、ゆっくりパチュリーという事になるのだろう。

 何気に好きなキャラだったので嬉しいのだが、同時になんでゆっくりがいるのかが分からない。

 

 とりあえず、この子の生態を知らないといけない。

 明日にでも阿求様の所にお伺いに行こう。

 

 

 

○月□日

 

 今日は阿求様の所にこの『ゆっくりパチュリー』を連れて生態を調べてもらった。

 

 結果は微妙なところ。

 

 まんじゅう族ゆっくり妖怪

 

 という事しか分からない非常に珍しい妖怪の類なのだそうだ。

 害が無いようならそのまま一緒にいて生態を調査して報告してほしいと頼まれてしまった。

 

 今のところ、懐いてくれているようなので了解して、そのまま自宅へ戻った。

 

 しかし、次に気になるのが食事だ。

 

 この子は何を食べるのか?

 妖怪なら人間の血肉かとも思ったが、本人? は否定するように首を振る。

 

 いろいろ与えてみたが、結局人間とさほど変わらない食事をするようだ。

 量は茶碗半分ぐらいで十分らしい。

 

 食べた後はなぜか俺の布団の横で眠ってしまった。

 

 明日はさすがに仕事に行かないとまずい。

 

 

 

○月◇日

 

 今日は川魚と木の実の採取だ。

 下級妖怪に襲われたら守り切れる自信が無いので、ゆっくりは家に置いていくことにした。

 

 話したら、「留守は任せて!」って感じで鳴いていた。「むきゅー」だって、かわいいな。

 

 収穫としては上々。川魚は海の無い幻想郷では唯一の魚なのだが、なにぶん人里の外は戦闘力が無いと出歩くのは危険だ。

 

 だから俺の様なちょっと戦える一般ピーポーも稼いでいけるのだ。

 

 昨日のお礼に阿求様の家に魚をおすそ分けして、自分用のモノ以外は店に売る。

 上々の稼ぎになったが、これからは居候が増えたのでいろいろと入用になるだろう。

 

 明日はこれを使って居候の日用品を買わないといけない。

 

 幸い、ゆっくりパチュリーはオリジナルのパチュリーに近い思考をしているようで、留守の間家から出た気配もなく、本が大量に開かれていた。

 どうやってページをめくったりしていたか気になったが、一緒に暮らしていればそのうち分かるだろう。

 

 

 

○月☆日

 

 ゆっくりパチュリーは、どうやら警戒心があまりないのかもしれない。

 

 拾ってから今日で五日目だけど、懐き方が半端じゃない。

 

 胡坐をかいて書き物をしていると足に乗ってくるし、寝転がっていると近くまで来て体をすり寄せてくる。

 

 猫を飼うとこんな感じなのだろうか?

 

 今日は阿求様が訪ねてきてくれた。どうやらゆっくりパチュリーの状況が気になって見に来てくれたようだ。

 

 そういえば阿求様は妖怪や重要人物などのステータスや説明などを記録する仕事をされているようだ。

 

 だからゆっくりパチュリーという珍しい妖怪のデータが欲しいのだろう。今わかっているのは、人間が食べるものと同じものを食べられる、おそらく元の人物の性格にある程度似ていること、人懐っこいというか警戒心が非常に低く心配になるレベルであることを伝えた。

 

 阿求様はうれしそうに報告したことをメモして、上機嫌で帰って行った。

 

 どうやら依頼という形であったらしく、少しだけ依頼料を貰った。

 

 明日はこれでゆっくりパチュリーの小物を買いに行かなくちゃな。

 

 

 

○月И日

 

 ゆっくりパチュリーと書くと長いので、Yパチュリーとしようと思う。

 書く分の手間省きだ。

 

 今日はYパチュリーのための生活道具を買いに行った。

 

 と言っても、寝床のために小さめの布団セットを購入して、呉服店から厚めの生地を購入して裁縫で彼女に合わせた掛布団を作っただけ。

 他は家にある分で事足りる。

 

 後、地味な発見。

 Yパチュリーのさわり心地が非常にいい。

 

 手に吸い付くようなもっちりとした肌と、上質なクッションのような弾力。

 くすぐったいのか触れていると、プルプルと震える感触がたまらんのです。

 

 抱っこするのがひそかな楽しみです。

 

 

 

○月∀日

 

 やはり、Yパチュリーはパチュリー・ノーレッジの性格や能力を持っているようだ。

 

 今日、水瓶に井戸から運んだ水を溜めていると、水系の魔法を使って水瓶を満タンにしてくれた。

 

 『火+水+木+金+土+日+月を操る程度の能力』だったか? 他にも、炎系の魔法を使って釜戸に火を灯してくれたり、なぜか薪用の枯れ木を置いていた場所に木が増えていたりと、その力を俺の生活を助けるために使ってくれている。

 

 言葉で意思疎通はできないけど、行動で示してくれている。

 だけど、言葉は理解しているようで、俺が一方的に話しかけている図になるのだが、理解をして反応している。

 

 まぁ、一方的に話しかけている+揉みしだいている状況だ。

 

 昨日、水瓶の中身が少ないから汲みに行かなくてはならない、めんどくさいっと愚痴った為にYパチュリーが助けてくれたのだと思う。

 

 拾ってから今までの状況を読み直すと、

 

1.人語を理解するが、意思を伝えるのはジェスチャーか行動しかない。

2.食事は人とほぼ同じものを食べる。量は少ない。

3.その容姿の元となった人物の性格や能力を持っている。

4.非常に人懐っこく、警戒心が薄い。

5.触り心地がよく、触られることを好んでいるようだ。

6.移動はボールの様に弾んだり、ホバーしているように見えるが、魔法で飛んでいることもある。

 

 以上となる。

 

 阿求様に報告する内容としては十分だろう。

 

 

 




 主人公は阿求に様付けをします。

 これは、人里で名家であることと、主人公が里の外れとはいえ住居を構える事ができたのが彼女のおかげだからです。

 慧音は、里の外れに住んでいる主人公へ、村で決まったことを知らせることのできる数少ない人であることがきっかけで交流が少しある。

 鈴仙は、何でも屋の関係上怪我が多く、一人暮らしなので病気をしたら危険なため、主人公が置き薬を契約しているため、定期的に家に来ます。

 二人とも今回は登場しません。
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