東方饅頭拾転録 【本編完結】   作:みずしろオルカ

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 参護の日記になります。

 今回で紅魔館勢全員そろいました。

 次の参護日記では、ランダムゆっくりになりますのでお楽しみに。

 それではどうぞ。


海原参護の日記 ※月

※月( ´Д`)=3 フゥ日

 

 入浴は生きていくうえで大事な行為だ。

 

 家の風呂は、俗に言う五右衛門風呂なのだが、ゆっくり妖怪たち専用の桶も用意している。

 

 五右衛門風呂からお湯を取ってその桶に汲むことで、ゆっくり妖怪たちも風呂に入れるという寸法だ。

 

 お風呂の好みは個々によって違う。

 たとえば、Yパチュリーは風呂好きで、Yレミリアは風呂嫌い……というよりは、風呂に入っている時間すら遊びたいらしい。

 

 四人とも同時に入れることはできないので、一人一人入れてあげているのだけど、Y美鈴の入浴時間が長い。

 

 よく運動するからなのか、じっくりと疲れを取っているような形だ。

 二人ずつ入れてあげているのだが、Y美鈴が長風呂のせいで他のYパチュリーやYレミリア、Y咲夜が放置され気味になってしまう。

 

 理想としては2:2:1の組み合わせで、Y美鈴を最後にすることでバランスを取りたい。

 

 まぁ、こういう考えを小さい黒板に書きながら悩んでいたのだが、気付いたら後ろからYパチュリーが見ていて、目が合うと首をかしげていた。

 

 うん、奇妙な既視感が溢れるわ。

 

 明日はバタバタしそうだ。

 

 

 

※月( ゚д゚ )クワッ!!日

 

 予想大当たり。

 

 言葉にしなくても呼んで来るとか、Yパチュリーさんマジ敏感だね!

 

 予想はしていたが、ゆっくりフランドール、Yフランと呼ぶとして、これで紅魔館の人達のゆっくり妖怪が揃ったのだろうか?

 

 明日にはまた阿求様に報告しなくてはいけないなぁと考えていると、Yパチュリーが空き部屋に呼んだのだ。

 

 そこには五つの座布団が円になる様に配置されていて、俺はそこから少し離れたところの座布団に座った。

 

 円に配置された座布団の真ん中にも座布団が配置されていて、ゆっくり達はその周囲の座布団に次々に座っていく。

 そして、一斉に歌い出した。

 

「ゆー……、ゆー……」

 

 とまるでUFOでも呼んでいるかのような光景。

 

 あれはゆっくり達の儀式だ。

 

 緊張しつつも黙って成り行きを見守っていると、光の粒子が……まるで弾幕の弾の様な物が中央の座布団に集まって、光が少しずつ大きくなって行き、形を成していく。

 

 光が収まり、そこにいたのは、ゆっくり小悪魔。

 Y小悪魔。

 

 ゆっくり妖怪の赤ん坊だ。

 

 YレミリアやYフランよりも小さく、自力で動くこともできないようで、座布団の上でプルプルと震えていた。

 

 ゆっくり達は一仕事終えたぜ、みたいな表情でこっちを見ていた。

 

 いや、俺にゆっくり誕生秘話の様な光景を見せられましても……。

 

 色々ありすぎて疲れた。

 

 とりあえず、ゆっくり達の反応を見ながら、タオルやら子守に必要そうなものをそろえた後に眠った。

 

 明日が大変とかそんなレベルじゃないだろうなぁ。

 一気に二人増えただけでもびっくりなのに、ゆっくり妖怪誕生の瞬間を見るってもしかして人間として初かもしれない。

 

 ああ、現実逃避したい。

 

 

 

※月クッ……ヤラ( ゚∀゚ )レタ!!!日

 

 朝起きて一番にしたことは、そっとY小悪魔の様子を見る事だった。

 いや、起こしたらかわいそうだしね。

 

 YパチュリーとY咲夜が食事を与えていた。

 

 見ると離乳食の様な物を冷ましたものだった。

 

 ここまで、観察していると阿求様が訪ねて来てくれた。

 正直、家に行く間に何かあったらと思うと行き辛かったので、来てくれて助かった。

 

 阿求様に昨日の出来事を報告すると非常にうれしそうにY小悪魔を観察していた。

 

 YフランとYレミリアは昨日の真剣な儀式の姿が間違いだったのだろうか?と思えるぐらいに元気いっぱいだった。

 

 Yレミリアが幼子の行動だとするなら、Yフランは初めて行動範囲が広がった幼子の行動だ。

 元気いっぱいにあちらこちらを飛び回り、色々なものに興味を示しては突撃を繰り返す、小さな破壊神だった。

 

 Yレミリアは止めようとしているのか追いかけまわしているし、壁ギリギリでYフランが方向転換して、止まりきれずに壁にぶつかり、涙目になってうーうーと泣いていた。

 

 思わず駆け寄ろうとしたら、Yフランに後頭部に突撃をかけられて目の前がブラックアウトしそうになったりもした。

 

 Yレミリアを肩に乗せて休んでいると、Yフランも反対側に乗って、ステレオで姉妹の歌を聞いた。

 

 うん、痛みを忘れる可愛さをありがとう。

 

 その後に、阿求様を見に行ったらすごい勢いでY小悪魔の詳細を記入していた。

 今まで一行のみしか幻想郷縁起に記載されていなかったのだから、書くことをまとめる為にも多くの特徴を書いていかなくてはならないのだろう。

 

 俺はY小悪魔の頬を下の方から指に頬の肉を乗せるように触れてみると、非常に柔らかく、下手に力を加えると壊れてしまいそうなほどに儚げな感触だった。

 

 その感触を楽しんでいると、プルプルとしながら俺の指を咥えてきた。

 

 うん、正直この瞬間が一番やばかった。

 

 可愛過ぎて、危険だ。

 

 阿求様はどうやら、泊まり込みでYフランとY小悪魔を観察するようだ。

 

 急いで来客用の布団と部屋を用意しなくてはな。

 

 

 

※月(@_@;)日

 

 朝一で俺は阿求様の朝食の用意を始める。

 

 Y咲夜とYパチュリーが手伝ってくれたのですぐに用意は完了した。

 

 様子を見に行くとメモの途中で眠ってしまったのか、紙が散らばり、昨日の服装のままだった。

 

 女性の寝姿を見てしまうのは申し訳ないが、揺すり起こし食事の用意が出来ていることを伝えると、その足で風呂場へお湯を張りに行った。

 さすがに昨日夜遅くまで熱くなりながら生態調査をしていたのだろう。

 少々汗のにおいがしていたので、自分が入るためだという方便で湯を沸かして、先に入ってもらうことにする。

 

 用意をしていると、Yパチュリーが火をおこしつつ、水の魔法で浴槽を満たし、火の勢いを風の魔法で調節してくれた。

 

 うん、最近Yパチュリーに助けてもらってばかりだ。

 

 今日一日、じっくりと揉んであげよう。

 

 ちなみに、阿求様は今日も泊まられるようだ。

 

 二度目の風呂を沸かすと、再び先に入ってもらい。その間に、自分の洗い立ての服を用意してから阿求様の服を洗う。

 

 着物系の洗いは特殊なので、手順を間違わない様に丁寧に洗うとしっかりと干す。

 

 阿求様に現代風の格好をしてもらうことになったが、それはそれで眼福だったので良しとしよう。

 

 ジーンズの裾を折って、大きめのワイシャツ。

 うん、可愛いね!

 

 Y小悪魔はまだ自立歩行できないようで、足……じゃなくて地面に接している部分を拭いてあげたり、かるく体を拭いてあげたりして清潔を保つようにした。

 

 しかし、万国共通で子供というのは可愛いものだ。

 

 

 

※月(^_^)v日

 

 今日はさすがに阿求様も帰って行った。

 

 家で今日までメモしていた記述をまとめるのだろう。

 

 お付の人が山の様なメモ用紙を持って行ったが、数日がかりになるかもしれないな。

 

 さて、ゆっくり妖怪たちは揉まれることを好むと前に書いたが、一度に揉まれに来ることもある。

 

 そういう時は、お手玉をしている。

 どうやら相当お気に入りのようで、Y小悪魔以外全員が今日は集まって、お手玉をねだってきた。

 

 比較的大人びているY咲夜やYパチュリーもこれは相当楽しみなようで、わくわくといった感情を隠しきれていない。キラキラ光る瞳で見つめてくるのだからやってあげるしかない。

 

 Yフランも相手をしてあげている間は大人しいので、ちょくちょく相手をしてあげないと家の障子や壁が穴だらけになるのだ。

 

 なぜか放置が過ぎると、YレミリアとYフランとでドックファイトが始まるので本気で満足させてあげなくてはならない。

 

 そういえば、今週に入って里に出ていない。

 

 仕事も内職が多いので余計にそう感じる。

 

 明日は里に行くことにしよう。

 

 

 

※月( ´ー`)フゥー...日

 

 里に出て最初にしたことは、菓子折りを持って阿求様の所に行くことだった。

 

 予想通り、編纂でクタクタになっていたので甘いものの差し入れは喜んでもらえた。

 

 やはり、女性の寝姿を見てしまったのは失礼だったかもしれない。

 いつもと阿求様の対応が違ったのを感じてしまった。

 

 早めにお暇して、Y小悪魔用に色々な雑貨を買い集める。

 

 後日改めて、阿求様にお詫びをした方が良いだろう。

 

 今は双方落ち着くのを待った方が良さそうだ。

 

 

※月ε-(´∀`*)ホッ日

 

 Yフランがいい感じに暴走しそうだったので、捕まえて揉みほぐしてやった。

 

 Yレミリアのようにサラッとした触り心地と、手の中で動こうとするので指の隙間からスルッと逃げていくように出ていくのでそれを逆の手で捕まえて揉む。

 この応酬がお気に入りのようで、逃げたのを放置すると機嫌が悪くなる。

 

 構えば構うほど、非常にべったりと甘えてくる。

 

 おそらく、元気に飛び回っているのは俺や他のゆっくり達に構ってほしいのだろう。

 

 じっくりと遊んであげるとどうなるのか?

 簡単だ。

 

 今日一日肩に乗ったまま離れなかった。

 

 スリスリとたまに身体をすり寄せては満足そうな目で俺を見てくる。

 

 やばい、可愛すぎる……。

 

 これに対抗して、Yレミリアも反対側に乗っては体を摺り寄せてくる。

 

 両肩に吸血鬼のゆっくり妖怪を乗せて歩く奇妙な姿になった。

 

 今日一日中離れないので俺の部屋にゆっくり達を集めて団らんしながら眠りにつくことにしよう。

 

 家族っぽくて心が温まる。




 いかがでしたでしょうか?

 今回関わったのは阿求さんだけですが、いつも通り二人の視点日記を投稿予定です。

 お楽しみに!

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