東方饅頭拾転録 【本編完結】   作:みずしろオルカ

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 いつもありがとうございます。

 感想返しとかで色々と言っていますが、私はゆっくりを可愛く書きたいと思ったきっかけである、『きつね』さんという方がいます。

 今回、その方から感想をいただけました。

 本気で嬉しいです。

 これからも、いきいきぷにぷにとゆっくり達を書かせていただます。


蓬莱山輝夜の日記 ω月

ω月ヽ(´ー`)ノ日

 

 暇である。

 毎日毎日、似たようなことの繰り返しで飽きてしまう。

 

 外に出ても似たような人間達が似たような暮らしをしているだけ。

 

 この日記だって変化を求めて初めてみたが、いくら読み返しても似たような事柄ばかり。

 

 妹紅と殺し合いをしている時が数少ない生を実感できる時間だ。

 

 しかし、今日は違う。

 

 興味を引く新聞の広告を見つけたのだ。

 

 『人間も妖怪もお仕事手伝います。護衛から扉の障子貼り、ゲームのレベルアップも手伝います。何でも屋 サンゴをよろしく!』

 

 ゲームというのは遊戯の外来語だということは知っている。

 

 つまり、この人間は人の娯楽にも付き合いますと言っているのだ。

 

 私の暇を潰させる。

 

 いい考えだと思う。

 どうにもならないほどの暇をこの人間がどう潰してくれるのか?

 

 明日にでもイナバに予約を取らせよう。

 この人間が生きているのはせいぜい七・八十年といった所だろう。

 

 その間の暇つぶしができるならかけてみよう。

 

 どうせ、この考えも暇つぶしなのだし。

 

 

 

ω月( ´_ゝ`)フーン日

 

 イナバに頼んでいた依頼は了承されたようだ。

 明日にでもこの永遠亭に来るらしい。

 

 道案内にイナバをつければ問題ないだろう。

 

 永琳に話したら反対されたけど、最終的には折れてくれた。

 

 話を聞くと、良く怪我をしてうちの薬で自宅療養をすることが多いらしい。

 

 なんとも人間らしい。

 

 死ぬ可能性があるにもかかわらず何かに真剣になれるのは、命限られた者の特権だ。

 

 彼はどんな娯楽を私に提供してくれるのだろうか?

 

 

 

ω月(´ヘ`;)ウーム…日

 

 今日はまるで世界に色が着いたような、清々しい気分だ。

 

 娯楽など、誰かが作ったものをなぞらえるのが関の山だと思っていた。

 用意された戦いのルールに則り、その中で戦うしかできないものだと考えていた。

 

 しかし、彼の持ってきたTRPGは、確かに誰かが作ったものだった。用意されたルールの中での役割を演じるだけのゲームのはずだった。

 

 だが、役割を持った人が複数集まり、自分の目的のために行動する。

 そこに共通の目的を持ってくることで、役割同士が接し合う。

 

 これは、遊戯と同時に物語を作るものだ。

 

 同じ台本でもその時の役割と役者が違えば星の数ほどの道筋ができる。

 

 飽きない、とは思えない。

 

 だけど、一つのシナリオに飽きるのにも長くかかりそうなのだ。

 これで誰かが作ったシナリオを遊ぶならまだまだ長く遊べる。

 

 しかも、この遊戯は一つのルールだけじゃなかった。

 

 いくつものルールがあり、そのどれもが面白いと思えた。

 

 最高だ。

 

 海原参護。

 

 面白いものを紹介してもらった。

 

 これは、さっそくオリジナルシナリオととやらを創ってみんなで集まって遊ぶのも楽しそうだ。

 

 ちなみに、GMは参護。プレイヤーは私・イナバ・てゐ。

 

 プレイしたのは、クトゥルフ神話TRPGとサタスペというタイトルだった。

 

 同じTRPGというタイトルを持っているのに内容も世界観も別物だった。

 

 次は彼が居なくても、この環境を整えられるようにしましょう。

 

 イナバにGMができるようルールブックを覚えてもらって、私はオリジナルのシナリオを作るようにしましょう。

 

 ああ、楽しみだわ。

 

 

 

ω月(((( ;゚Д゚))))ガクブル日

 

 昨日に続いて、今日も朝から清々しい。

 

 永琳はうれしそうだったし、何かいいことでもあったのかしら?

 

 イナバはイナバで、真っ白になってたし。

 ルールブックは覚えてくれたようなので、私も後はシナリオを作ることにしよう。

 

 明日はイナバに頼んで参護の家に行くことにした。

 妹紅もたまに行くらしいが、知ったことじゃない。

 

 参護は本当に面白い男だった。

 

 妹紅のために彼との交流をあきらめる義理は無いのだから。

 

 そうね。

 別に、妹紅と殺し合いが永遠に続くのなら、参護との交流も続けられるようにすればいいのかもしれない。

 

 参護の蓬莱人化計画。

 まぁ、無いでしょうけどその気になったらお土産に薬でも盛ることにしましょう。

 

 

 

ω月( ゚д゚)日

 

 完成したシナリオを持って参護の家に来た。

 

 その時丁度人里の貸本屋の娘が来ていたが、丁度良かった。

 

 参護は依頼という形で巻き込めるけど、この貸本屋の娘は参加させるのに苦労した。

 

 最終的に参護に説得してもらったからよかった。

 

 しかし、この家は初めて見る妖怪が多く住んでいる。

 ゆっくり妖怪と紹介されたが、月では見たことが無かったし、幻想郷に来てからも見たことは無かった。

 

 私自身あまり外に出ないというのもあるのでしょうけど、それにしたって見たことの無い妖怪がこうもたくさん住んでいると、驚くものだ。

 

 この光景だけでも暇は潰せたかもしれない。

 

 この子たち、私達がTRPGをしている最中、適切な時にお茶やお菓子を持って来てくれるし、紫色の娘なんて魔術で部屋を快適な状態に整えてくれていた。

 

 なんというか、この家は彼女たちが頑張っていて、彼も頑張っているからこういう形で落ち着いているんだと思う。

 

 この光景を見るのもいい暇つぶしになるかもしれない。

 

 イナバがここによく通う意味がよくわかる。

 

 癒されるのだ。

 

 参護が笑顔をゆっくり妖怪たちに向けるたびに、彼女たちは張り切って彼や私たちに尽くしてくれる。

 

 まるで、彼の喜びが自分たちの喜びであると言うかの如く、あの手この手で尽くしてくれている。

 

 いい空間ねここは。

 

 

 

ω月(´ぅω・`)ネムイ日

 

 昨日に引き続き、TRPGをした。

 

 見事にエンディングにまでたどり着いて、個人的に満足だった。

 

 しかし、あのゆっくり妖怪はとてもかわいらしいと思う。

 参護の膝の上に乗って何かをねだるようにしている姿も、参護に揉まれて満足そうな表情をしている姿も、可愛いという言葉がよくあてはまる。

 

 興味が出たので参護に確認したら、許可が出たので近くにいた緑の帽子に星の飾りのついたゆっくり妖怪を揉んでみた。

 

 あれは座布団だとか枕だとかそんなものとは比べ物にならない。

 月にいた頃だってこんな上質な肌触りと揉み心地のモノは触ったことが無い。

 

 しかも、揉んでいることが嫌じゃないようでうれしそうにプルプルと震えている姿が非常にかわいらしい。

 

 これは、イナバが通うわけだし、悔しいが妹紅が通うわけだと思う。

 

 今日はさすがに永琳が心配するので永遠亭に帰ったが、あのさわり心地が忘れられない。

 

 参護が言うには、ゆっくり妖怪ごとに感触が全部違うという事だったので、次に行く時は他の娘も是非に触ってみたいものね。

 

 

 

ω月(`・д・´)キリッ日

 

 今日も今日とて永琳の機嫌が良かった。

 何かいいことでもあったのかしらね?

 

 鼻歌なんか歌いながらカルテを整理している姿はここ数百年ほど見ていない気がする。

 

 イナバとてゐは疲れているようだが、TRPGを楽しいと言ってまたやりたいと言ってくれた。

 

 私の作ったシナリオでだ。

 

 こんなにうれしいと思わなかった。

 

 聞けばTRPGはまだまだ種類があるし、二つのルールを合わせて遊ぶなんてこともできるらしい。

 

 しばらくは暇をつぶせそうだ。

 

 海原参護。

 

 あの男の周りには面白いものも、癒されるものもある。

 

 本気で蓬莱人にしたくなってしまう。

 

 本当に明日が楽しみなんていつ以来だろう?

 




 いかがだったでしょうか?

 ちょっと輝夜を暴走させすぎましたかね?

 そして、何気に参護呼び捨てキャラ第一号です。

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