東方饅頭拾転録 【本編完結】   作:みずしろオルカ

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 今回は主人公の日記です。

 ちょっと、主人公の家族の設定と能力の設定を出しました。

 タグの追加をしておきますね。


海原参護の日記 △月

△月×日

 

 今日も阿求様が来てくれた。

 

 前にまとめたゆっくり妖怪の特徴を渡した後、少しの間に阿求様と懇談(こんだん)をした。

 

 元々生活するのに余裕ある収入があって、最近は阿求様からいろいろお金を貰っているので、仕事の頻度も下げられる。

 家でやるタイプは続けているから、溜り気味の内職を消化するいい機会でもある。

 

 Yパチュリーを拾ってから阿求様とも友好な関係を築けていると思う。

 元々、原作知識はあっても、戦闘能力やら接点やら、挙句の果てには生活のために奔走してて中々原作キャラ達の友好度を上げられていなかった。

 

 仲良くなりたいと思いつつも、生き残るために里の人と交流して、住居を手に入れ、自分の持つ能力をフルに使ってお金と信頼を集めまくって今がある。

 

 その過程で阿求様にお世話になり、今も敬意は持っている。

 

 そういえば前に、危険な場所に住まわせたことを恨んでないか? という趣旨の話があった。

 俺としても思う所がなかったわけじゃなかったが、それでも家と信頼を得るための戦闘能力を示すことが彼女の判断で早まったのだ。

 

 誰が何と言おうと、俺は阿求様には感謝してもしきれないのだ。

 現代よりも、幻想郷の方が信用・信頼が生活にダイレクトに直結する。信用が無いと仕事が取れなくなるし、物も売ってもらえなくなる。

 もっとひどいと、里の敷地にすら居られなくなる可能性があるのだ。

 

 住居と里の人間の信用・信頼を手にするきっかけをくれた阿求様を恨むはずなどない。

 ありがとう、この言葉しか見つからない。

 

 

 

△月○日

 

 昨日の今日で、今度は慧音さんが来た。

 

 阿求様から連絡が行っていたようで、件のゆっくり妖怪を目で見て確認したいと言っていた。

 

 当人はお客さんに興味があったのか、玄関まで出てきてから土間に落ちていた。

 涙目になって、プルプル震えて、「むきゅー」って鳴いている姿に慧音さんも毒気が抜かれたような顔をしていた。

 

 まぁ、可愛いよね。あれ。

 

 危険性が無いか、凶暴性が無いか、里への脅威にならないかを探りに来たんだろうけど、おそらく食物連鎖的に下の方にいる妖怪なのだろう。

 

 正直な所、パンダ、コアラ、ナマケモノ。パッと思いつくのがこういう癒し系の動物だしね。

 

 慧音さんも、安心したようで少し談笑してから戻っていった。

 

 どうやら、定期的に危険性が無いか見に来ると言っていたけど、たぶんちょっとYパチュリーが気に入ったのかもしれない。

 

 彼女的には藤原妹紅さんのゆっくり妖怪がいれば引き取りたいと言い出しそうだ。

 まぁ、今の所Yパチュリーしかいないみたいだし、それとなく護衛依頼中にも探したりしているが、同族がいる様子が無い。

 

 本当に珍しいと阿求様が言っていたのは間違いじゃないようだ。

 

 

 

△月□日

 

 どうも、Yパチュリーは読書が好きなようだ。

 元のパチュリー・ノーレッジも『動かない大図書館』なんて呼ばれるぐらい、読書を好んでいる設定のはずだ。

 だけど、本人に会ったことが無いから断言はできない。

 

 それはさておき、今日はYパチュリーの読む本を揃えた。

 俺自身も本は読む方だけど、Yパチュリーも読むとなると、仕入れておきたかったのだ。

 

 仕入れはとりあえず十冊。

 

 ついでに内職の完成品を依頼人に渡して報酬を貰った。

 

 最近思うが、少々金運というか、全体的な運気が上がっている気がする。

 今まで疎遠気味だった原作キャラと接点が増えて、仕事も順調。一人暮らしにパートナーが増えて、さみしさがだいぶ和らいだ。

 

 Yパチュリーにあげていた飲み物の中では、紅茶が好きのようだ。なので茶葉から入れられるように一式そろえてみた。

 ……今度誰かに入れ方教えてもらおう。

 

 

 

△月×日

 

 今日は久々に長距離の護衛依頼が来た。

 

 いつもは里周辺の森や川が多いのだけど、今日は無縁塚までの護衛だった。

 どうやら、無縁塚に流れてくる外の道具が欲しいようだ。

 

 俺自身も片手間に探索と、ゆっくり妖怪の捜索をしてきた。

 

 結果としては、道具として頑丈な棒を一本手に入れた。

 俺は杖術を使って戦うので頑丈な棒はうれしい。

 

「突けば槍 払えば薙刀 持たば太刀 杖はかくにも 外れざりけり」

 

 という言葉が杖術の中にある。

 器用貧乏と親父や兄貴に言われたことがきっかけだったが、俺に一番合う武器に出会えた。

 

 今までは拾った棒切れを杖術の長さの120センチに加工して使っていたけど、何度も折れるし、全力で振るっても壊れてしまう。

 

 今回手に入れた棒は杖術用の規格をクリアしているモノの上、金属を複数編みこんでいる物のようで全力で振るうのも妖怪の一撃を避けるのも可能な丈夫さだ。

 

 帰りに妖怪に襲われたが、これのおかげで終始余裕をもって立ち回れた。

 俺の呼吸の仕方は特殊らしく、波紋という力を使える。

 それでも親父よりは弱いし、兄貴は天才クラスらしく、親父が言うには一族最強らしい。

 

 それはさておき、一匹の下級妖怪。

 帰り道で襲われたが、何とか撃退できた。

 

 おかげで、村からの護衛信頼性が上がったので良かった。

 

 

 

△月∀日

 

 今日朝起きたら、拾ってきた棒にYパチュリーが何やら術の様なものをかけていた。

 いたずらかと思ったが、どうやら強化してくれているようだった。

 

 頑丈でなおかつ打点にかかる圧力が上がるらしく威力も上がっている。

 

 昨日の護衛した人からお礼にと食料をたくさんもらった。

 

 話によると、昨日の下級妖怪は中級に片足突っ込んだような相手だったらしく、近々博麗の巫女に討伐を依頼する予定だったらしい。

 それを撃退できたということで、感謝してくれているそうだ。

 

 それを聞きつけて、阿求様と慧音さんが突撃してきた。

 

 なんでそんな無茶をしたのかとか、危険な所はできるだけ避けてくれとか、心配してくれているようだった。

 

 Yパチュリーも心配されて当然だとばかりに(うなず)いている。

 

 俺が悪いのだろうか?

 

 

 

△月☆日

 

 今日は阿求様と慧音さんからしっかり休むように言われて、強制的に自宅療養中。

 

 ダメージ自体はあったから仕方ないけど、強制療養はひどい。

 

 なぜか、鈴仙さんにまで話が行ったようで、今日は里に来る時と帰る時に一回ずつ看病していってくれた。

 なんというか、置き薬見に来るだけの家の人間の看病なんて逆に申し訳なかった。

 

 しっかりと謝ったら、気にしないで下さいと笑顔で言ってくれた。

 お仕事とはいえ、きれいな対応をしてくれる鈴仙さんに不覚にもキュンと来た。

 

 帰る時にお裾分けを渡して感謝の意を示した。

 

 Yパチュリーは張り切って家事をしてくれてた。

 魔法連発して調理とかびっくりした。

 

 卵粥おいしかったです。

 




 どうでしたでしょうか?

 別視点日記の予定は阿求・慧音の予定です。

 鈴仙は登場はしましたけど、まだ日記を書くには早いかなっと。

 書くときに抜粋して△月☆日の部分は入れたいと思っています。

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