東方饅頭拾転録 【本編完結】   作:みずしろオルカ

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 ちょっと遅くなってすいません。

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 の結果が残せました。

 本当にありがとうございます。
 ゆっくり妖怪を三段重ねている姿は絵になると思う。


アリス・マーガトロイドの日記 Д月

Д月(゚Д゚)エッ日

 

 以前に、天狗から教えてもらった『何でも屋』に依頼を出してきた。

 

 人里で話題になっていることと、天狗に言われて改めて新聞の広告欄を確認したら、妖怪からの依頼も請け負うという話だ。

 

 試しに雇ってみようと考えたまではいいけど、実力がわからないのに大切な仕事は任せられない。

 

 人形関連の仕事は特にそうだ。中途半端な仕事をされて、大事な人形たちの完成度に支障をきたしてはダメだ。

 

 実力は新聞を読んだり、里の人達のうわさを聞いたりした限りでは、中級妖怪に辛勝できるレベル。

 人柄は、里でも評判のいい青年という話だった。

 

 では、知識……というより、智略に近い方向の依頼を出すことにした。

 

『魔理沙から私の本を回収する』という依頼を出しておいた。

 

 魔理沙はちょっとやそっとじゃ、本は手放さないわよ?

 

 どう対処してくれるのか楽しみね。

 

 

 

 

Д月(´゚ω゚`;)ズーン日

 

 夕方頃に、参護さんが来た。

 

 珍しい妖怪を連れて来ていたので、時間帯も時間帯だったので一部屋を貸して観察してみた。

 

 ゆっくり妖怪という種類の妖怪で、パチュリーの姿に擬態していた。

 

 参護さんに懐いているようで、何も無い時はベッタリと傍に付いていた。

 

 丁度、日暮れ近くに来たのがいい説得材料になったようだ。

 

 寝るまでの雑談としてゆっくり妖怪の生態についての説明を受けた。

 

 驚いたことに、彼の家には他にもたくさんのゆっくり妖怪が住んでいて、共同生活をしているらしい。

 

 他には魔理沙がどんな娘なのかいろいろ聞いてきた。

 

 確かに、これから本の返却交渉をする相手の情報は欲しいだろう。

 

 外来人で、家族が戦える人間だから自分もそれなりに心得があるとか、家に強い人たちが良く来るようになったとか。

 

 人柄はいい方だと思う。

 実力は実際に見て見ないことには何とも言えないが、思慮は深い方だ。

 

 親切心だけで泊めたわけではないと理解していたみたいだしね。

 

 

 

 

Д月o(゚Д゚)oウン!!日

 

 朝一で彼は出て行ったのだが、その際に朝食を用意して行った。

 

 私の印象から洋食風にしたようだが、大正解だ。

 ベーコンと卵、サラダとトースト。

 コンソメスープという基本的なものだったが、非常においしかった。

 

 魔法使いになってから、食事や睡眠はとらなくても問題ないのだが、習慣としてついつい食べたり、眠ったりしている。

 

 自分で作る食事よりも、他人に作ってもらった方がおいしく感じる。と、よく言われているが、実感した。

 

 取り続けていた人間の頃の習慣が、こうして与えられて気づいた。

 

 安心感。

 

 これを感じたかったのかもしれない。

 

 それだけじゃない。

 味付けも丁度良い塩梅で、私の味の好みを知っているかのような感じだった。

 

 昨日泊めた際に振る舞った晩ごはんから、私の好みを予想したと考えるのが妥当かしら?

 

 おいしい朝食を食べたおかげか、今日一日気分が良かった。

 

 私の気分が良いと、シャンハイ達の動きも良くなる。

 一日中、元気よく動いていたので、私の気分も一日中良かった、そう考えるのが妥当なのだろう。

 

 

 

 

Д月(`・ω・´)ノヨロシク日

 

 今日もまた参護さんがうちに来た。

 

 たった一日で、魔理沙から指定していた本を全部取り返してきてくれた。

 

 そしてゆっくり妖怪が増えていた。

 その娘は、魔理沙に擬態していた。

 

 なんでも、魔理沙は私に擬態したゆっくり妖怪を引き取って育てるようだ。

 

 参護さんは私に魔理沙に擬態しているゆっくり妖怪を育ててみないか? と言っていた。

 

 育てるのは構わないのだが、私には生涯をかけて研究しているものがある。

 もし、研究でこの娘と暮らせなくなったら参護さんの家に頼むことを了承してもらった。

 

 面倒を見きれなくなって捨ててしまうわけにはいかない。

 万が一も考えて、きちんとこの娘が暮らせるようにしないとね。

 

 その後は参護さんのゆっくり妖怪講習を受けた後に、パチュリーに擬態したゆっくり妖怪が操る魔法を間近で見た。

 ゆっくり妖怪は、周囲から魔力・霊力・妖力・気などを一か所に集中させた結果生まれる妖怪で、その際に最も取り込んだ力の多い人の形に擬態する習性がある。

 

 そして、その人の力を多く取り込んでいるので、その人の持つ力も使えるというわけらしい。

 

 パチュリーの魔法の理論が使われている魔法陣が展開されていた。

 『火+水+木+金+土+日+月を操る程度の能力』、まさにこの能力にふさわしい魔法だった。

 

 彼女の魔法理論を教えてもらったことがあるけど、その理論にしっかりと則った魔法の行使方法。

 そのうえ、同時展開するときの魔法陣の展開順序すら彼女と同じだった。

 

 本能でやっているのでしょうけど、随分とすごいことだ。

 私のゆっくり妖怪や魔理沙のゆっくり妖怪も、魔法の理論や能力をなぞることができるだろう。

 

 理論ではなく本能で操るのだから、私の技術や魔理沙の技術、パチュリーの技術が他に漏れることは無い。

 そもそも、魔法を操る上で魔法陣の展開は特に文字の配列や展開方法などで技術が図られやすい。

 

 だから、あまり魔法陣を多用する魔法使いはいない。

 

 強くなればなるほど、その技術は他者に読み取られ辛くなる。

 その最たる者が、パチュリーだ。

 

 彼女は技術を盗まれるとかそういう次元じゃない。

 普通なら展開されている魔法陣を見て、解読できる者がどれだけいるのだろう。

 

 それほど高度な技術の塊なのだ。

 

 それほどの技術を持った彼女に擬態したゆっくり妖怪が……。

 

「ゆー……」

 

「シャンハーイ」

 

 シャンハイに転がされて満足そうにしている姿は気が緩んでしまう光景だった。

 

 魔理沙に擬態したゆっくり妖怪も楽しそうに転がされている。

 

 シャンハイもホウライも何してるのよ……。

 二人とも気に入ったみたいだからいいけどね。

 

 正直、本が返ってくることは期待していなかったので、嬉しい誤算というやつだ。

 

 お礼と言っては何だが、今日も一泊してもらうことにした。

 

 彼の料理はおいしいし、シャンハイもホウライも妙に懐いていた。

 おそらく彼の身体から漏れている奇妙な力のせいだろう。

 

 波紋とか言っていたが、あれは気功の強化ではなく、活性化だ。

 

 その活性化の力を貰って二人とも今まで以上に動きが良くなった。

 これは後々しっかりと研究する必要があるだろう。

 

 あと、参護さんはお手玉が非常にうまいということが分かった。

 

 毎日やっているのだという。

 

 

 

Д月ヾ(゚Д゚ )ォィォィ日

 

 朝一で今日も、参護さんは出て行った。

 

 朝食はしっかりと用意して行った。

 まさに洋の朝食といった感じで、ベーコンエッグとサラダ、サラダには特製ドレッシングがかかっていてさっぱり食べられた。

 

 ゆっくり魔理沙は、キノコのソテーが気に入ったようでもぐもぐと食べている。

 そういえば、魔理沙もキノコ好きだったわね。

 

 研究の一環で集めてたはずだから食用も詳しい。

 たまに私でも食べられるキノコをお裾分けしてもらえるし、貴重なキノコももらえる。

 

 後、お菓子が好きなようで、ゆっくり妖怪たちが好むお菓子を売っている店を一覧にしておいていってくれた。

 

 洋菓子を好むことが多いようで、チョコやクッキーの受けがいいそうだ。

 一番ダメなのが、作られてから時間の経ったイチゴ大福だった。

 理由は書いていない。

 

 私もこの娘の好むお菓子を見つけてあげたいものだ。

 

 

 

Д月(´ε`;)ウーン…日

 

 まだ早朝だというのに、魔理沙が訪ねて来て、シャンハイを見せてくれと言ってきた。

 

 彼女が持ってきたのは、私に擬態しているゆっくり妖怪。

 その頭の上にシャンハイっぽい人形が鎮座していた。

 

 シャンハイを呼ぶと奥からきちんと出て来ていた。

 

 ということは、このデフォルメされた人形は、ゆっくり妖怪が調達した人形という事だろうか?

 

 しかし、初めて自分のゆっくり妖怪を見たが、なんというか微妙な気分だ。

 魔理沙の手の中で満足そうにホッコリした表情をしているのも微妙に恥ずかしい。

 

 それは魔理沙も一緒だったようで、

「うわ、私がアリスに懐いてるぜ……」

 と呟いていた。

 

 懐き方が犬猫みたいだものね。

 

 あと、なぜかシャンハイ達に転がされても無抵抗どころか微妙に楽しんでいるようだし。

 

 魔理沙はすぐに専門家? の参護に相談に行った。

 

 ああ、なるほどゆっくり妖怪関連で家を訪ねればいいのか。

 

 明日はそうすることにしよう。

 

 

 

 

Д月(・∀・)ニヤニヤ日

 

 今日、参護さんの家にお邪魔したらなぜか感動されて、歓迎された。

 

 昨日、魔理沙が箒で突入したので、普通に来た私がありがたかったらしい。

 

 とりあえずはゆっくり魔理沙も遊び相手が欲しいだろうと、参護さんの家に来た。

 ゆっくりパチュリーは新しく生まれたらしいゆっくり妖怪を紹介していた。

 

 参護さんは誕生の瞬間に立ち会ったらしい。

 やっぱり専門家で間違いないのかもしれない。

 

 本当にたくさんのゆっくり妖怪が居て、あちらこちらを飛び回っていた。

 

 あの氷妖精といつもそばにいる大妖精のゆっくりも居たが、完全に姉妹のようで、みんなで鬼ごっこだろうか、家の中を走り回っていた。

 

 参護さんとの雑談中に何度も廊下を行ったり来たりしていたから仲が良くなったのだろう。

 

 参護さんの事もたくさん知ることができたし、今日は大収穫といった所だろう。

 

 また来たいと言ったら、よく出入りしている人たちのことを教えてくれた。

 

 永遠亭の人はほとんどが来るらしいし、烏天狗はもちろん、あの風見幽香も来ているらしい。

 たぶん、喧嘩しない様にという配慮なのだろうが、一度ルールを決めた方が早いだろう。

 

 そして、目的の一つである参護さんの料理をごちそうになった。

 

 晩ごはんは持ってきた大きなキノコと大根のステーキと、オニオンスープにベーコンを混ぜたもの。

 サラダも新鮮な野菜が使われていて、トマトとチーズのサラダは本当においしかった。

 

 これはあれだ、参護さんはここに料理屋を始めてもいいと思う。

 こんなにおいしいのだから、繁盛間違いなしだと思う。

 

 今度はきちんと別の食材も持ってお邪魔しなくては!

 




 いかがだったでしょうか?

 実は上海人形や蓬莱人形が結構好きです。

 いや、東方キャラで嫌いなキャラっていないんですが、その中で好きになるキャラって自分の趣味が出てきますよね。

 パチュリー、美鈴、椛、橙、お燐、お空、にとり、射命丸、魔理沙、萃香、うどんげ、てゐ等々、獣娘が多いな。

 まぁ、モンスター娘のいる日常とか好きだし、当然と言えば当然か。


追記:アリスがキノコに関して書いている部分。
おいしいキノコ→私でも食べられるキノコ に修正しました。

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