東方饅頭拾転録 【本編完結】   作:みずしろオルカ

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 お待たせしました。

 久しぶりの阿求日記です。

 気づけば三十以上、話数を投稿しているのだと気付きましたね。

 まだ二か月ぐらいなのですが、一話一話が三千字前後なのでこんなものなのでしょう。

 それでは、どぞー。


稗田阿求の日記 Ш月

Ш月(´゚ω゚`;)ズーン日

 

 最近、参護さんの家には色々な人たちが出入りしている。

 

 中には敵対している人達が居たりしているので、間違えれば大惨事になる。

 

 参護さんが少し前に、決まり事を作るって言っていたので、近々できると思う。

 

 この間は、魔理沙さんとアリスさんがゆっくり妖怪を飼い始めたということを参護さんから聞いた。

 

 これは、参護さん以外と長く過ごしたゆっくり妖怪を観察できる。

 何故ゆっくり妖怪たちが、ああまで人間に対して無防備なのか?

 この疑問が、参護さんに原因があるとすれば、容易に解決できる。

 

 参護さん自身が、妖怪に対して何らかの影響力を持っているという仮説だ。

 

 ああまで、ゆっくり妖怪だけでなく、文さんや幽香さんと仲が良くなるのは彼の人徳もあるのかもしれませんが、そういう能力があってもおかしくないという考えから生まれた仮説です。

 

 可能性は無いに等しいですが、ゆっくり妖怪たちの詳細を知れるいい機会に恵まれました。

 

 

 

 

Ш月(゜.゜)日

 

 今日は参護さんを訪ねたら、魔理沙さんとバッティングしてしまいました。

 

 家に行くと、例の参護さんの家での規則が貼り出されていた。

 

 七番目の項目に参護さんの苦労を垣間見ることができる。

 冗談で魔理沙さんに、「女性なのですから、下着ぐらいは自分で洗われては?」と、言ったら慌てて否定していた。

 大丈夫です。

 妖怪の方々だと分かっていますから。

 

 魔理沙さんは、Yアリスを連れていて、Yパチュリーと遊んでいた。

 

 しばらく二人を眺めていたが、手持無沙汰になった私たちは将棋盤を出して、対戦を始めた。

 

 終始私が優勢だったが、魔理沙さんも侮れない。

 徐々に強く、的確になっていくのだから油断ならない相手でした。

 

 やっぱり、彼女は努力の人ですね。

 決してそういう姿を人に見せないように行動していますが、一度だけ見たことがあります。

 

 魔理沙さんと参護さんは似ている部分が多いと思います。

 

 二人ともひたすら努力を重ねて今の力を手に入れて、届かぬと知りながら高みを目指し続けるその直向きさが。だから二人は気が合うか、逆に反発すると思っていましたが、予想は大当たりでしたね。

 

 正確には、魔理沙さんの破天荒さを参護さんが受け止めて、参護さんのオーバーワークを魔理沙さんが指摘して効率よいものに変える。

 

 理想の関係だと思う。

 

 そう考えると、ちょっと切ない気持ちになる。

 やっぱり、参護さんと共にいることが当たり前になりつつあるのでしょう。

 

 いつか、この心もしっかりと定めないといけませんね。

 

 

 

 

Ш月ヽ(д`ヽ)オロオロ(ノ´д)ノ日

 

 昨日の帰りに魔理沙さんから何人かの私物置き場が溢れていることを教えられた。

 

 確かに、最近は彼の家に通う人達も多い。

 着替えや荷物なんかを置いておく部屋も、個人の領域を決めているが、一部はそこからはみ出てしまっている。

 

 衣装箪笥もひき出しに名前を書いた札をかけて、個人の私物を置いておくようになっている。

 

 だが、使っていない人もいるため、私物の多い人は持ち主に相談して借りたりしている。

 

 輝夜さんなんかは使っていないので、代わりに鈴仙さんが使用したりしていた。

 

 それでも、だんだん増える私物たちに部屋が物置のようになってしまっている。

 

 かろうじて歩く領域が確保されているが、このままではこの道も危ない。

 

 だったら、私物の多い人たちに部屋を持たせることが出来れば現状をどうにかすることができる。

 

 そう考えた結果、今回の増築案だった。

 

 他にも、何人かからもどうにかしてほしいという相談があった。

 

 本当なら、外にでも倉庫を作っておくのが手っ取り早いのですが、これからも増える可能性も高いですし、個人的に別荘みたいな感覚で私室を持ちたいという欲もあります。

 

 もちろん増築にあたって、参護さんとゆっくり妖怪たちの意見も取り入れたいですね。

 

 特にYパチュリーはいわゆるこの家の古株だ。

 他のゆっくり達には無い参護さんへの本物の信頼と好意を感じられる。どうすれば参護さんが楽になるか、どうすれば役に立てるか。

 

 ゆっくり妖怪はみんな触れ合ってくれる人たちにはよく懐きますが、Yパチュリーの姿はこの家の誰よりも参護さんありきの行動が多い。

 

 魔法で家事を手伝ったり、彼のつぶやきから求める同族を呼び出す行動力も、参護さんの為だ。

 

 参護さんも分かっているのか、Yパチュリーといる時間が一番多い。

 

 他のゆっくり妖怪も二人の間にだけは入らない。

 特別な関係。

 

 ちょっとうらやましいですね。

 

 

 

Ш月(´・ω・`)日

 

 増築するとなると、土地も重要になってくる。

 

 特に裏庭には幽香さん監修の花壇や畑がある。

 日当たりや、建築中に誤って畑を壊したりしない様に気を遣う必要がある。

 

 そこを含めても、Yパチュリーに図面を見せながら相談しつつ予定や意見を取り入れていく。

 

 Yパチュリーが要望したのは、ゆっくり妖怪たちが遊ぶ大部屋だった。

 

 確かに、Y小悪魔やYレミリア、Yフラン達子供組が元気よく遊ぶ場所も必要だし、基本的にゆっくり妖怪自体が幼い思考を持っている場合が多いので、こういう遊び場は重要だ。

 

 離れに酒蔵庫を作ったので、お酒好きな人たちにも受けが良くなるだろう。

 

 長屋を思わせるが、何でも屋なんて危ないことをさせているよりも、こうして集合住宅の管理人……はイメージが合わないから、支配人かしら?

 そういう事をしてもらえれば、心配しないで済むのだけどね?

 

 Yパチュリーに話すと何度もうなずいていた。

 同じ気持ちを共有できる仲間がいるのはうれしい。

 

 

 

 

Ш月(ノ∀\*)日

 

 参護さんの家の増築にあたり、準備をしていますが、その前に彼の家に来る人たちに知らせておかなくてはならない。

 

 しかし、どうしても捕まらない人もいる。

 幽香さんは特に花から花へ移動する人だから余計に捕まりづらい。

 大抵は太陽の畑か参護さんの家にいるのだけど、いなかった場合お手上げなのだ。

 

 今度、文さんに会ったら伝言を頼むことにしましょう。

 

 文さんは頻繁に取材で人里に現れますし、結構目を引く方なので見つけるのも簡単です。

 

 明日は職人の方の予定を詰めることにしましょう。

 

 

 

Ш月(・∀・)日

 

 失態です……。

 

 今日はYレミリアとYフランと遊んでいた。

 ただ、ちょっと興が乗ってしまい、ゴロゴロと寝転がりながら、赤ちゃんに話しかけるような口調で話していた。

 

 そこを、参護さんに見られてしまった。

 

 参護さんは気を遣って立ち去ろうとしてくれてたみたいですが、Yフランちゃんに捕まってました。

 

 そこからは、恥ずかしくて逃げだしたい気持ちを堪えて、弁明に時間を割きました。

 

 女性としてあまりに無防備でだらしの無い姿です。

 正直、今すぐにでも部屋にこもってしまいたい気持ちなのですが、私がそんなだらしの無い女性だと思われるのは我慢できませんでした。

 

 それでも、顔をまっすぐ見ることができませんでしたし、顔は真っ赤、声も張れずにボソボソ喋るだけになってしまいました。

 

 いくら落ち着く場所とはいえ、居間でだらしの無い恰好でくつろぐのは良くありませんね。

 

 次からは私室でこういう事をするようにしましょう。

 

 参護さんは紳士ですから、女性の部屋には進んで入ってこないでしょうし、見られることは無いでしょう。

 

 参護さんはもうちょっと女性に対して積極的でもいいと思うのですが、これは私のわがままですね。

 

 

 

 

Ш月☆-(ノ゚Д゚)人(゚Д゚ )ノ日

 

 やはり、人里から大工の人達を雇うのは良くありませんね。

 

 ゆっくり妖怪の観察研究のために、参護さんが自宅に受け入れている旨は、里の有力者の会合で話していることですので問題は無いのですが、さすがに一般人が妖怪に近寄られて怯え無い訳がないですからね。

 

 ここは、魔理沙さんの言っていた鬼の力を借りることになるでしょう。

 

 萃香さんなら妖怪に対しては問題ないでしょう。

 

 ただ、鬼の習性で強者との戦いに飢えている部分がある。

 参護さんは幻想郷でも急成長中の有望株と言っていい実力を持っている。

 

 会わせて大丈夫だろうか?

 

 鬼は強者に対して友好的だ。戦って生き残れればの話だが……。

 

 参護さんは騙し討ちをするような性格ではないので、余計に気に入られそうな気がする。

 どんな強者に対しても、搦め手を使ったとしても騙し討ちや闇討ちを好まない。

 

 そのあたりは彼の兄上の教育なのでしょうが、幽香さんや美鈴さん相手に正面から挑むその姿勢は無謀とも取れる。

 

 それで全身傷だらけになってしまうのだからタチが悪い。

 

 怪我をして、心配する身にもなってほしいものだ。

 

 波紋の影響で常人よりも高い回復力があるとしても、呼吸法である以上は肺へのダメージは致命的なのだから、絶対じゃない。

 

 喉だって危険なのだ。

 

 それなのにホイホイと強者と模擬戦模擬戦と、私を大事にしてくれているのはうれしいのですが、自身を顧みてほしい。そんなに日常的に怪我などされていては、私の心労が絶えないのです。

 

 ああ、でも強さを求める理由が人里や私を護る為だと明言されては文句も言えません。

 

 苦言位は受け止めてくださいね。

 

 こんなにも私を心配させるあなたが悪いのですからね。

 




 いかがでしたか?

 活動報告にて、趣味の合いそうな方のリクエストを受けています。

 ターコンさん、さっそくのリクエストありがとうございます。
 ゼロ使は短編になるでしょうが、少々お待ちください。

 アニメで妄想力をかきたてることにします。

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