東方饅頭拾転録 【本編完結】   作:みずしろオルカ

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 まいど、読んでいただいてありがとうございます。

 比奈名居の付き人さんからのリクエストで、料理屋を営む参護さんとその日常でした。

 何気に、ゆっくり達の能力がハマっている件について……。

 それでは、どうぞ!


外伝 『食事処さんご』

 

 幻想郷。

 

 人と妖怪の住む世界で、一人の男がこの世界に連れてこられた。

 

 その男は世にも珍しい妖怪を拾い、人生が大きく転換していく。

 

 これは、海原参護のもう一つの可能性。

 

 

**********

 

 

 幻想郷で飲食店は難しい。

 

 仕入れの問題から調味料の問題などいろいろある。

 

 しかし、俺は多くの恵まれた条件があった。

 

 Yパチュリー、塩の生成、その他調味料の加工担当。

 Y幽香、砂糖・コショウなど植物系調味料・食材生産担当。

 Y咲夜、調理・接客など実務系の担当。

 Y美鈴、会計兼用心棒担当。

 Yチルノ、氷や冷やしを必要とする調理担当。

 Y大妖精、全般業務補助担当。

 Yレミリア・Yフラン・Y小悪魔、店のマスコット。

 

 このような形で経営している。

 だから野菜系が多いが、食べたい料理の材料を持ってくるなら、最高の味で対応する。

 

 それが、俺たちの店『食事処さんご』だ。

 

 最初のお客は阿求様だ。

 

 Y咲夜に導かれるまま席に座ると、参護さんにお任せという注文をいただいた。

 

 見たところ、幻想郷縁起の編纂でかなり疲れているようだ。

 ならば、疲労に良く効く上に少食気味な阿求様でも食べられるクリーミーアスパラスープとデザートに眼精疲労に良く効くフルーツスムージーを出そう。

 

 待っている間、YレミリアとYフランが阿求様と遊んでくれる。

 といっても、お手玉しているだけなのだが。

 

 うちの店はテーブルは三つしか用意していない。

 

 元々外食する人間も少なく、特別な日に食べに来る人が多い。

 当然普段は暇だ。

 

 しかし、こうして阿求様や妖怪のお得意様もいる。

 

 一度に多く店に入れても、俺とY咲夜しか接客が出来ないので店が回らなくなる。

 

 なのでテーブルは三つしかないのだ。

 

 テーブルに一人のゆっくり妖怪マスコットが常駐している。

 

 もちろん、手荒いことをしたらY美鈴の制裁が待っている。

 前は一撃で店の外まで吹き飛ばした戦歴がある。

 修理代は高く付いたが、Yレミリアが虐められたのは許すことができない。

 

 後々、俺も丁寧に修理代と治療代を徴収して丁重におかえり願ったが……。

 

 こうして誰もいない時に来店すると、三人とも独り占めできる。

 

 今、Y小悪魔はYパチュリーに付いて魔法を練習している。

 ゆくゆくはYパチュリーと同じ仕事をしたいようで、暇を見てはこうして練習している。

 

 さて、今回作るクリーミーアスパラスープとフルーツスムージーだ。

 

 まず、玉ねぎをじっくり炒めるのだが、あらかじめ炒めておいたものをYチルノに頼んで凍らせておいたものがある。それを使い、薄くスライスしたアスパラと一緒に炒める。

 この時、アスパラにはしっかりと火を通すのがポイントだ。

 

 火が通ったら鍋に移して、たっぷりの牛乳を入れて加熱しながら滑らかになるまで泡だて器で泡立てる。これが重労働だが、なめらかになったところでコンソメとバターを加えてさらに温める。

 

 塩で味を調えながら、こしょうを加えて仕上げに生クリームを混ぜて完成だ。

 

 ポイントは玉ねぎを炒める際に形を潰しておくと早くなめらかになり、火の通りも良くなる。

 

 この辺りで、Y小悪魔が阿求様の所に合流。

 お手玉が三つになったが、苦も無くお手玉をしている。

 多少ズレてもYレミリアたちが自身で軌道修正するので、やっている本人も楽しくやれているようだ。

 

 Y咲夜からお冷のお代わりが注がれる。

 いつ見ても、あの背伸びしながら一生懸命水を注ぐ姿はかわいい。

 

「お待たせしました。クリーミーアスパラスープです」

 

「ありがとうございます。んー、とてもいい香りですね」

 

 一口、阿求様が口にスープを含んだ。

 口を動かして噛むように味わっている。

 

「あぁ……。とてもおいしいです。クリーミーで優しい味の中にしっかりとしたアスパラの歯ごたえ、玉ねぎの甘みも丁度良くスープに溶けています」

 

 本当に幸せそうに、噛みしめるようにスープを飲む。

 

 こうしておいしそうに食べてくれる阿求様は、常連になる。

 食事が始まるとYレミリア達は、邪魔にならない様に別テーブルでじゃれ合っている。

 

 コロコロと転がるYレミリア達を見ながら、ホッコリしながら食事ができる。

 今は阿求様しかいないので、少し話し相手になっていた。

 

 スープが半分を過ぎた頃に

 

「デザートを用意してきますね」

 

 と言って、デザートの用意の為に厨房にこもる。

 

 フルーツスムージーだ。

 スムージーとは、食材自体を凍らせて作るドリンクだ。

 

 ミキサーの無い幻想郷でどうやって作るか?

 

 まず、カットしたフルーツをYチルノに凍らしてもらう。

 ストロベリー・ラズベリー・ブルーベリーのベリー系、これだけでは甘みが足りない。

 本来ならバナナなどを使用するとエネルギーも増えて良い味になるが、今回はアボカドと蜂蜜で作る。

 アボカドは青臭いという人もいるが、熟成が足りないとそうなってしまう。

 食べごろのアボカドは生でも行けるほどにクセが無くなる。

 

 さて、それぞれの食材を凍らせたら、それを容器に入れて蓋をする。

 

「Yパチュリー、頼む」

 

 風の魔法で高速ミキサーと同じ効果を得られるのだ。

 

「ゆっくりおいしく作ってね!」

 

 容器の中でミキサーの様な音がしてすぐに収まる。

 蓋を開けてみると、完璧なスムージーが出来上がっていた。

 

 名付けて、ハニーベリースムージー~アボカド風味~かな?

 

 アボカドは様々な栄養効果がある上に、蜂蜜も栄養の宝庫。

 ビタミン系統もベリー系が補完してくれる。

 

 阿求様にびったりの一品だ。

 

 彼女はスムージーに舌鼓を打ち、幸せそうにくつろいでいる。

 

 彼女の膝にはYレミリア達が三人まとまってスヤスヤと眠っている。

 三人まとまってお昼寝タイムだと……可愛くて微笑ましくてついつい見てしまう。

 

 饅頭妖怪と呼ばれるだけあって、お月見団子を思わせる寄り合い方が絶妙だな。

 

 うん、阿求様とゆっくり妖怪が一度に視界に入るのは本当にうれしい。

 

 うららかな日差しが窓から入ってくる。

 風はそよ風、香りは花の香り。

 

 この落ち着いた空気は、小洒落た雰囲気のカフェテリア……

 

「参護~! 飯食いに来たぜ!」

 

 バンッと戸を開けて魔理沙が突っ込んで来た。

 

 彼女も常連だが、同時にツケの常習犯だ。

 まぁ、食材を持って来てくれるから仕入れの値段を安く済ませてもらっている。

 

「いらっしゃい、空いてる席へどうぞ」

 

「ホレ、今日の仕入れ分。シイタケとマイタケがたくさん入ってるぜ」

 

 渡された籠にはたくさんの種類のキノコが詰まっていた。

 これは……相変わらずいいモノばかり、特にこのシイタケは肉厚で香りも良い。

 

「おう、阿求も来てたのか。相変わらず毎日いるな」

 

「毎日はいませんよ? 私が居る時に魔理沙さんが来るだけです」

 

「いや、私飯食いに来るし、仕入れに来るしで結構来てるんだが……」

 

 さて、言い争いにならないうちに注文を取ろう。

 今日の彼女はどんな注文かな?

 

「そだな、がっつりしたのが食べたいぜ! あ、持ってきたキノコも使ってくれ!」

 

「了解、好きな所に座って待ってろ」

 

 さて、ガッツリしたキノコ料理と来たか。

 

 では、山の幸天丼とシイタケの肉詰めで行こうじゃないか。

 

 まずは天ぷらだが、用意するのは山の幸。山菜にシイタケとマイタケ、鶏肉を丁度いい形に切り、下味をつけて天ぷらにしていく。

 この時、大葉を使う際は片面だけに衣をつけるのがコツだ。

 熱されて鮮やかな緑色になる大葉は、彩にも最適なのだ。

 

 ここで気を付けるのは、タレの存在だ。

 こちらでかけて出してはいけない。

 食べる人にかけてもらえるように、別に容器を用意して出すのが基本だ。

 

 ここで席の方を見ると、魔理沙がYフランと遊んでいた。

 魔理沙とYフランの相性はとてもいい。

 飛び回るYフランを魔理沙は捕まえることができるし、Yフランが構って欲しいという感情を知ってか知らずか、基本的に猫かわいがりしている。

 

 具体的には、掌に乗せて撫でる、つつく、頬ずりをする。

 これが結構Yフラン的には好みだったようで、魔理沙に懐いている。

 Yレミリアは、なぜか霊夢さんの近くでゆっくり眠るのが好きらしい。

 見事に好みが分かれている姉妹だな。

 

 さて、次はシイタケの肉詰めだ。

 これは、ピーマンの肉詰めと同じ要領で作っていく。

 シイタケの茎を切り取り、裏側に水に溶かした片栗粉を塗って、そこにハンバーグと同じ要領で作ったタネを詰めていく。

 

 この時点でフライパンで両面をカリッと焼いてもいいし、セイロに入れて蒸してやるのもいい。

 照焼き風にタレを絡めてもいいし、衣をつけて揚げてやるのもおいしい。

 

 応用が利くのがこの料理のいいところだ。

 今回はスタンダードに両面を塩コショウで焼いてあげるだけのシンプルな手順で行く。

 素材が上等だからできることだ。

 

「お待ちどう、山の幸天丼とシイタケの肉詰めだ」

 

「おお! さっそくシイタケ使ってくれたか。実に美味しそうだぜ!」

 

 魔理沙はタレを天丼にかけると、ガツガツとかき込んでいく。

 阿求様のように、じっくりと幸せそうに食べてもらえるのも実にうれしいが、魔理沙のように箸が止まらないって感じで食べてくれるのも料理人冥利に尽きるというものだ。

 

「シイタケの天ぷらもサクサクプリプリで、肉詰めなんて肉汁がシイタケに良く絡んで噛む楽しみがあるぜ!」

 

 実に美味しそうに食べてくれる。

 阿求様とは逆の味わい方だが、どちらも自然と笑みがこぼれてしまう。

 

「ごゆっくりどうぞ……いや、ゆっくりしていってね! って感じかな?」

 




 いかがでしたか?

 もしかしたら、続きを書くかもしれません。
 いや、夜の酒屋風経営も書きたいですし。
 萃香出るよ萃香!

 さて、木曜日は仕事場に泊まりなので更新できません。

 感想の返信はできますので、よろしくお願いします。

 いつもは活動報告で書きますが、更新が重なったのでこちらで報告をば。

 ではまた次回もゆっくり読んでいってね!
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