東方饅頭拾転録 【本編完結】   作:みずしろオルカ

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 おまたせしました。

 さとりんの日記です。

 50万UAとかデイリーランキング一位とか、色々ありすぎてガクガク(((( ;゚Д゚))))ブルブル状態。


古明地さとりの日記 Λ月

Λ月(;^ω^)日

 

 お空が私とこいしの頭だけの生き物を拾ってきた。

 お空もお燐もよく面倒を見ているけど、初めて見る生き物だし、きちんと飼い方とかを知る必要がありますね。

 

 勇儀さんの記憶の中に似たような妖怪を連れている人間を読み取ることができた。

 

 海原参護さん。

 

 お空やお燐の記憶にもあったけど、家の壁に二回も突っ込んで穴を開けた人間という話でした。

 

 驚くべきことは、その二回とも鬼を相手に戦った時のことだという事。

 

 鬼と言えば、妖怪の中でも最強クラスの強さを誇る者たちで、弾幕ゲームが普及した今でもその強さに衰えは見えない。

 

 それを相手にして生きている人間なんて、想像できない。

 弾幕ゲームであれば、人間が勝つこともあるのは分かるし、そういう目的で作られたゲームなのだから当然。

 だけど、純粋な白兵戦で戦って生き延びた人間など、歴史から見ても私は知らない。

 

 騙し討ち不意打ちで勝った人間はいたはずだけど、一対一で正面から殴り合う人間。

 

 昔、大陸の戦国時代に生きた英雄は一騎当千なんて言うほどの実力があったらしいし、その類かしらね?

 

 今の世界でそんな実力を持つ人間が出るのは考えられないけどね。

 

 

 

 

Λ月( ゚д゚ )ボー日

 

 妖怪は人里の近くなんて中々来ることは無い。

 

 人間に害があるとされている妖怪は特にそうだ。

 

 私は覚妖怪なので、相手の思考を読んでしまう。

 それ故に人間からは避けられる対象であり、私が地底に住む理由でもある。

 

 今日会った海原参護さんという人間は、会う前にお空やお燐から人柄を読み取ってはいたし、鬼と殴り合ったという話からも考えて出した結論が、人間と思わないでおこう、だった。

 

 それを正解だと思ったのは、彼の家の前に来た時。

 

 家全体が凄い力を発していた。

 

 土地全体から生命力が溢れていて、家には独特の力がこびりついているような状態。

 肥沃な大地などという言葉があるけど、まさにこの土地のことを言うのかもしれない。

 

 そして出会った海原参護さん。

 

 確かに人間だった。

 だけど、纏っている力は人間とは思えない。

 

 そして、彼の中に面白い記憶があった。

 私達が描かれている書籍や映像だ。

 

 そしてそれを隠そうとしていること、私のことも知識として知っていて、能力でこの知識がバレることを恐れていた。

 

 これから、この妖怪のことを教えて貰う立場として、関係を悪化させるのは得策ではない。

 関係悪化を防ぐためにも、彼の知識は他言しないことを約束した。

 

 それだけで、参護さんは心から安堵したようで、それを恩として考えて私達を精一杯もてなしてくれた。

 

 おいしい料理、おそらくこいしの分も用意されているだろう布団はフカフカでほのかに暖かかった。

 

 実力としては人外だけど、いい人間であると言う事なのだろう。

 

 お空やお燐のこともあるし、これからも仲良くしていきたいものだ。

 

 

 

 

Λ月(`・д・´)キリッ日

 

 眠っている間も参護さんの力が作用しているのだろう。

 目覚めてからの体調も良好だった。

 

 地底が非常に暑い場所だったこともあり、地上はかなり涼しく感じられる。

 おかげで布団の暖かさを味わえたのは良かった。

 

 今日から参護さんのゆっくり妖怪の育成講座が始まったわけだけど、一年以上彼女達と過ごしているそうで、本当に的確な育成方法だった。

 

 私みたいに相手の考えや感情を読めるわけじゃないのに、彼女たちが喜ぶことをしっかりと理解している。

 

 ゆっくり妖怪達の思考は殆ど参護さんのことばかりだし、参護さんに対してすごい恩義を感じていた。

 

 私やこいしのゆっくり妖怪は初対面という事もあり、遠巻きに見ているだけだったけど、一番参護さんと一緒に居ると言うゆっくり妖怪、ゆっくりパチュリーが二人を連れて参護さんに引き合わせていた。

 

 私のゆっくり妖怪も私と同じ能力があり、そのせいで対人恐怖症のような状態になっていた。

 参護さんはわざと自分の思考を読ませて安心させていた。

 

 思考が読めるという相手に対してなかなかできる事ではない。

 考えが読めるのを知っていて、自分に優しくしてくれる相手は私のゆっくり妖怪も初めてだったのでしょう。恐る恐るではあったけど、寄って行って思考を読んではビクビクしていた。

 

 参護さんは参護さんで、思考が読める相手に「家には色んな娘たちが居るから、大丈夫だよ」って考えていたけど、大物なのかバカなのか、ズレている人だ。

 

 だけど、講義はしっかりとしていた。

 

 ゆっくり妖怪達の食事や魔力などの供給、私が私のゆっくり妖怪に妖力を分け与えると存在感が強まり、丈夫に育つのだそうだ。

 

 事実、博麗の巫女のゆっくり妖怪はこの家のどのゆっくり妖怪よりもしっかりとした存在感と、感情や思考の面でもかなりの成長が見られる。

 なんでも、長い間神社に住み着いている内に博麗の巫女の霊力を日々得ていたそうだ。

 

 参護さんは、このぐらいの存在感になってくれれば安心だと言っていたが、確かに内面的な部分でもこのぐらいになってくれれば安心できる。

 

 

 

 

Λ月( ̄ー+ ̄)キラーン日

 

 今日初めて確認したけど、こいしがやっぱり来ていた。

 

 確認したのが参護さんの背中に張り付いている姿だったけど……。

 

 参護さんの背中への意識を逸らしているのね。

 何がしたいかわからないけど、気に入っているのでしょう。

 

 参護さんは肩を回して不思議そうだったけど。

 そりゃ、人一人分の重さが一日中肩にかかっていれば、肩が凝るのも当然ね。

 

 参護さんはずっと、私のゆっくり妖怪が他のゆっくり妖怪と馴染めるように色々と考えている。

 触れるのも怖がるから、少しずつ指先を触れる程度で慣らしてみるか? とか、まずは他のゆっくり妖怪と触れ合わせてみようか? とか、本当にゆっくり妖怪の先生のような人だと思った。

 

 氷の妖精のゆっくり妖怪と、紫の魔女のゆっくり妖怪が自分たちの能力を使ってかき氷を作っていた。

 イチゴのシロップで頂いたけど、このシロップは参護さんのお手製らしい。

 シロップの感想が聞きたかったようで、思考がそわそわしていた。

 

 この時は中々に年相応に見えて可愛らしいと感じた。

 

 

 

 

Λ月(・3・)アルェー日

 

 参護さんの日記にこいしが落書きをしているらしい。

 

 なにやら参護さんから後悔の念があったので覗いてみたら、普段から萃香さんにセクハラされていて、それが最近無いことを日記に書いたらしい。

 それをこいしが落書きする時に読んでしまい、教育上よろしくないなっと後悔しているようだった。

 

 まぁ、あの娘がその程度でどうこうなる娘じゃないのは私がよくわかっているけど、後悔しているなら少し注意してあげるだけで罪悪感は薄れる。

 注意の仕方にもよるけど、上手な注意は罪悪感を軽くしてくれる。

 

 そうして、参護さんはゆっくり妖怪の講師として、すごい成績を収めてくれた。

 

 私のゆっくり妖怪を他のゆっくり妖怪や私以外の人達と接することがどうにかできる位まで回復させてくれた。

 

 悲観の塊みたいな私のゆっくり妖怪をここまで回復させてくれた。やっぱりそれが参護さんはゆっくり妖怪の専門家なんだなと感じた理由だ。

 

 お燐が死体がどうのと言ってたので、死んだら彼女のコレクションに加わるのかしら?

 そうすれば、亡霊になるし地霊殿で過ごしてくれれば助かるわね。

 

 死後の予約でもあれば取っておきたいぐらいね。

 

 

 

 

 

Λ月( ´Д`)ノ~バイバイ日

 

 今日で参護さんの家にお世話になっていた生活とお別れをして、地霊殿に戻る。

 

 対人恐怖症をある程度克服した私のゆっくり妖怪と一緒だったが、道中お燐がずっと世話をしながらだったので楽に帰ることができた。

 

 こうして地霊殿以外で暮らしてみて思う事は、参護さんの料理の腕に関してだ。

 

 結構な期間お世話になったが、最初の二、三食を済ませてから異様な食事レベルの向上が見られた。

 多分私たちの味の好みを計られたのだろう。

 

 お弁当まで持たせてくれて、ある意味本当に先生の様な感じだ。

 面倒見が良くて、優しくて、強い。

 

 優良物件と言う奴だろう。

 

 事実、稗田阿求とパチュリー・ノーレッジ、伊吹萃香の三人は確実に彼を求めている人達だろう。

 

 恋愛事情は心が読める立場としては、かなり見ていて面白い。

 

 下衆と思われるかもしれないが、推理小説を犯人を知りながら読む感覚。

 いや、犯人を知りながら他人に読んでもらっている感覚かしら?

 

 見ていて微笑ましい気持ちが、他人よりも強く感じられるモノだからついつい気になってしまう。

 

 近々参護さんが来てくれるだろうし、その時に近況を読み取ることにしましょうか。

 

 

 

 

 

Λ月(*´ω`*)ポッ日

 

 地霊殿で目覚めて最初に感じたのは、暑いってこと。

 

 地上はやっぱり季節が顕著に出るから、地底の暑さは中々に堪える。

 

 お空もお燐も参護さんの暖かい力が恋しいようで、物思いに耽っていることが多い。

 

 こいしは多分参護さんの家に行っているだろう。

 あの娘は、気に入ったらとことんだし、ずっと参護さんの背中にくっ付いていたのだ、それなりに理由があるのかもしれない。

 

 私のゆっくり妖怪は、こいしに連れて行かれたようでいなかった。

 

 こいしのゆっくり妖怪は、私の部屋から出ようとしない。

 ずっと私にくっ付いている。

 

 参護さんの講義で、ゆっくり妖怪は元になった人物の趣味趣向が強く出ると言っていた。

 そう考えると、こいしは私を憎からず思ってくれているということだ。

 

 正直な話嬉しい。

 

 お空もお燐も参護さんの家に行く計画を立ててるみたいだし、それに乗るのも面白いかもしれない。

 

 妖怪として畏れを受けていないにも関わらず、空腹感を感じることなく過ごせた。

 

 参護さんの力はもしかしたら、妖怪のあり方を変えるかもしれない。

 本人にその気があれば妖怪の指導者的な立ち位置にすら収まれるほどに。

 

 だけど、参護さんはその気はない。

 断言できるけど、彼はどこまで行っても稗田阿求や人里、ゆっくり妖怪を護ることを至上の目的としている。

 

 参護さんはどこまで行っても今の立ち位置を変えることは無いだろう。

 

 それこそ、人間でなくなったとしても。

 




 さとりんは心が読める分、深い所までかけるのが良いな。

 難産だったけどw

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