本当に何があったし?
さて、阿求視点のちょっとバトル描写。
阿求視点では主人公の度量はかなり広いらしい。
3/22 ☆月×日のYパチュリーとの省略表記を使う理由を追加しました。
☆月○日
世代を跨いでもほとんど謎であったゆっくり妖怪の記述がここ数日で驚くほどに増えた。
参護さんの家に住んでいる実物が良い情報を提供してくれる。
この前、海原さんに撃退されていた件の妖怪は最近めっきりと話を聞かなくなった。
なんでも、戦いの中で参護さんに折られた腕が中々治らず、暴れることができなくなっているのだそうだ。
私も参護さんも人間だ。
ただ、私は転生を繰り返して幻想郷縁起を編纂することが目的で、転生を意図して繰り返せるという点で人の枠からずれてきている。
参護さんの実力は人間の中でも特筆すべきところがある。
私の中で特筆するべき人間。
博麗の巫女 博麗霊夢
普通の魔法使い 霧雨魔理沙
この二名は人間の中でも別格だ。
その別格に入れるかもしれない人間。
一度、参護さんの戦闘場面をこの目で確かめてみたい。
特殊な力と言っていた、波紋の呼吸法。
参護さんが異変解決を行えるぐらいに強いのかどうか。
弾幕ごっこはできないようだが、本人の才覚は二人と近い所にいる、と私は考えている。
☆月□日
先日、参護さんを出汁にして無縁塚まで護衛をさせていた商人。彼は今回の件で参護さんに世話になっている他の商人や小売店からの評価を落としていた。
家の者からの報告だが、自身で集めた商品を購入してもらうことはできるのだが、商人同士の集まりからは弾かれ、小売店や消費者からも白い目で見られるようになったとのことだ。
数少ない顧客もこの商人特有の物を買いに来るだけだ。
まぁ、騙された本人が先日大量の茶葉、紅茶から緑茶、中国の烏龍茶まで様々購入して行っていたので、参護さん自身は気にしてもいないようだ。
私の時もそうだったが、彼は自分に向けられる悪意や害意を飲み込んだ上で許す。
人間性ができていると評価されるのも頷ける。
徳が高いと言えるそのあり方。
かといって、宗教家のような雰囲気も持っていない。
本当に珍しい人間だと思う。
海原参護。
彼が里に馴染んでいることを私はうれしく思います。
☆月×日
今日、慧音さんと談笑している所に参護さんが訪ねてきた。
なんでも、ゆっくり妖怪が増えたらしい。
昨日、仕事から帰ってきたら、ゆっくりパチュリーと(参護さんから毎回貰っている報告書で表記する際によくYパチュリーとしていたので私もこれに習おうと思う、なんでもYとは『ゆっくり』という言葉の頭文字を別の国の文字で表したものらしい……、居間にYパチュリーと一緒に新しいゆっくり妖怪である) Yレミリアが居たのだそうだ。
しかも、住み着く気のようで、今は里に妖怪を連れて歩くと里の人がおびえる可能性があるから留守番させているとのことだった。
参護さんは前日に、一人ではさびしくないか? という疑問を投げかけ、友達は多い方がいいぞ、とも言ったそうだ。
その次の日にYレミリアが現れた。
偶然ではないだろう。Yパチュリーは参護さんの言葉を理解して、心配ないという意思と仲間が安全だという確信に似た何かをもってYレミリアを連れてきたのだろう。
参護さんがいうにはかなり幼い性格をしているようだ。
レミリアさん本人は、館の主であるという事実に恥じない人だ。外見と精神年齢が一致しない妖怪によくある傾向を強く持つのが彼女だ。
吸血という特性も持ち合わせているようだが、指先を切った時に出る少量の血で十分らしい。
あとは、Yパチュリーと同様、人間と同じ食料を少量食べる。
これは後日、改めてYレミリアを見せてもらいにお邪魔するしかないと思う。
私としては明日にでもお邪魔したい。
☆月∀日
今日、参護さんの所にYレミリアを見に行ってきた。
今日は本当に実りのある日だった。
Yレミリアは、本当に幼い性格のようで、終始ニコニコと部屋を飛び回り、参護さんの頭の上に乗ってご満悦の表情をしていた。
私の周りをフヨフヨと飛び回って、観察しているように感じた。
そして何より、Yパチュリーだ。
この前は、ただ参護さんに甘えるような仕草が目立っていたが、今日は私にお茶を出してきたのだ。
参護さんに甘えるのは変わらないが、Yレミリアの面倒を見ている、そう受け取れる。
これは、ゆっくり妖怪の中の生活関係が見れる。
ゆっくり妖怪同士のやり取りは、新たな生態を知ることに繋がる。
妹ができて張り切るお姉ちゃんという印象で、とても微笑ましかった。
☆月Д日
今日は慧音さんが、参護さんの所に行ってきたはずだ。
本当は一緒に行けばよかったのだろうけど、昨日は慧音さんが一日里の有力者と会合があった。
私としては、一日でも早くゆっくり妖怪を見たいという気持ちがあった。
なので、申し訳ないとは思ったけど、別々の日に伺わせてもらった。
今日一日、ゆっくり妖怪に関する編纂が充実して行えてとても気分がよかった。
夕方に、慧音さんが訪ねてきて、Yパチュリーにお茶を出されたことに戸惑っていた。
まぁ、確かに奇妙な光景ではあると思いますけど、背伸びしているお姉ちゃんみたいで可愛かったと思いますよ?
お礼を言えば、笑顔で返してくれますしね。
☆月ш日
最近、参護さんに負けた例の妖怪が活動を開始したと報告を受けた。
かなりの被害が出たらしい。
里の外で妖怪に襲われるのは自業自得という部分がある。
スキマ妖怪の八雲紫も人里とそれ以外の場所で明確に取り決めている。
人里で人を襲うべからず、里の外で襲われても自己責任。
しかし、今回は人里の近くだ。ギリギリ外だったので処罰対象にはならなかったが、近いうちに必ず人里に攻めてくるだろう。
そうなれば、確実に参護さんが危ない。
一度勝利しているとはいえ、あれからさらに力をつけていることは間違いない。
今日明日と、里に厳戒態勢を敷き、博麗の巫女に頼みに行くしかないだろう。
☆月И日
今日、参護さんの戦闘を生で見ることができた。
弾幕勝負に慣れた私たちだが、それに頼らない戦いが無くなったわけではない。
参護さんの戦いは素人の私から見ても、速さ重視だ。
変わった呼吸から、電気の様な力を纏い、人とは思えない速度で妖怪に挑んでいく。
電気と書いたが、波紋は強力に練ると電気の様な反応をするらしい。
つまり、電気とは別物であるということだ。
見た目は蘇我屠自古という亡霊の能力に似ている。
しかし、そこから相当な速さで走り回り、例の妖怪に戦いを挑むのは本当に実力者であると断言できる。
Yパチュリーの魔法で強化された杖と波紋で強化された身体能力。
その状態で参護さんの決め技というべき、杖を槍のように持って突きを連続で放つ技。
妖怪は両腕の骨を折られて撤退した。
いや、骨を折られたなどと生ぬるいものではない。
あれはかろうじて繋がっているだけで回復は無理だ。
しかも全身に波紋の力を流し込まれて痺れて鈍くなっている動きで、これ以上生きてはいけないだろう。
ある種の報いであり、残酷な最後だ。
海原参護。
彼は本当に強く、私やあの商人を許すほど優しく、ゆっくり妖怪が懐いて住み着くような不思議な魅力を持つ人だ。
いかがだったでしょうか?
この部分だけ読むと結構強めですが、そもそも参護の兄の設定がぶっ飛んでいるので、本人は弱い、もしくは上には上が居るということをしっかりと自覚しています。
日記形式なので派手さが無いのはすいません。
それでは、ご意見ご感想、誤字の指摘などありましたら、お気軽にどうぞ。