東方饅頭拾転録 【本編完結】   作:みずしろオルカ

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 久々に本編を更新です。

 そして、この月分+1話で最終回となります。

 たくさん読んでもらって、ここまで来れて感無量です。

 Ξ→くしー です。

 Ξガンダムとかありましたよね。

 では、どぞ。


海原参護の日記 Ξ月

Ξ月(*´∀`*)日

 

 Yパチュリーを連れて、この娘に初めて出会った森へ足を運んだ。

 

 つい最近阿求様から聞いたのだが、Yパチュリーを初めて見つけた時の俺の悲鳴は里にまで響いたらしい。

 

 一年越しだが恥ずかしい。

 

 こうして振り返ると、波紋のみの戦闘方法から波紋と気功を使い分けるようになって、さらに混ぜ合わせて銀色の闘気を使えるようになった。

 

 阿求様とも親しくできるようになり、他にもたくさんの人や妖怪達と友好を結ぶことができた。

 

 Yパチュリーを拾い上げた時から、まるで欠けていたパズルのピースを手入れたかのように、俺の世界は形にハマったのだ。

 

 兄貴の言っていた、護るモノが出来れば強くなる、という言葉を実体験で理解できるようになるとは思わなかったな。

 

 俺にとってもYパチュリーにとっても思い出深い場所。

 

 奇跡の様な出会いを、俺は……そうだな。

 

 龍神様に感謝しようかな。

 

 

 

 

Ξ月(`・д・´)キリッ日

 

 どの種族になるべきか、それを考えていた。

 

 どれにもメリットデメリットがあり、即決定できるほどの差が見出せなかった。

 

 しかし、パチュリーさんが先日の雨の日にくれたアドバイス。

 

 あれのおかげでだいぶ固まった。

 

 今日それをみんなに伝えたのだ。

 

 俺は『魔法使い』に転生する。

 

 たぶん魔法使いに転生したら、霊力が使えなくなるだろう。

 

 だけど、それ以上に魔力を使えるようになることが重要だ。

 

 魔法という選択肢も戦いでは相当に重宝する。

 

 魔法使いになるデメリットは才能の有無に左右される事らしいが、パチュリーさんから才能は保障された。

 

 最大のデメリットである霊力の消失だけど、それ以上に魔力や気功などの総量が増える傾向があるというパチュリーさんの研究結果がある。

 

 阿求様とゆっくり妖怪達を、家族を守る上で霊力と全体の力の底上げで悩み、結果的に全体の力の底上げを選んだ。

 

 銀色の闘気の使用時間が増えれば停止時間がさらに長く使えることになる。

 

 護る上でこれほどに必要なスキルも無いだろう。

 

 その使用時間を延ばせるならその選択が一番だ。

 

 兄貴に固執して、目的を見失うのもおかしい話だしね。

 

 

 

 

 

Ξ月(;´∀`)日

 

 魔法使いになる為に捨虫の術をパチュリーさんから教わることになった。

 

 日記に内容を記そうと考えてたけど、内容を書くとこの日記が魔導書化するからやめるように言われた。流石に愛用の日記帳を魔導書にするわけにもいかない。

 

 魔理沙に持って行かれても困るし。

 

 こうしてきちんと技術として魔法を学ぶとパチュリーさんやアリスさん、魔理沙の実力が良くわかる。

 

 属性をいくつも使いこなすことの大変さが、指先に魔力でできた糸を作って人形を操ることの難しさが、八卦炉というアイテムを使用しているけど広域魔力砲を発射するだけの出力と同時に飛行魔法を使える器用さが、どれも恐ろしく高度なものだと理解できた。

 

 パチュリーさんが師匠になるわけだけど、呼び方を変えた方が良いのだろうか?

 

 師匠? マスター? 候補は色々あるけど、悩むな。

 パチュリーさんで慣れているから、新しい呼び方だと違和感が出てしまう。

 

 違和感と言えば、Yパチュリーが講義中に眼鏡をかけていた。

 雰囲気から入るタイプなのかもしれない。

 

 正直、メガネかけても喋れないから教えられないだろうと考えていたのだけど、彼女の図解は予想以上に分かり易かった。

 

 ドヤ顔で図解された魔法の理論はすぐに覚えられる。

 

 優秀すぎるだろう……。

 

 

 

 

Ξ月(=^・^=)日

 

 魔法使いになるという決意を話してからも阿求様は我が家で家事をしてくれる。

 

 望む種族ではなかったけど、来世でも俺と過ごせることが嬉しいのだと言ってくれた。

 

 嬉しいやら恥ずかしいやらで、冷たい水で顔を洗いに行ってしまった。

 

 Yチルノ特製の氷水は気持ちよかった。

 

 Y大妖精の能力を最近まで知らなかったのだけど、どうも植物と意思疎通ができるようだった。

 Y幽香に近いものがあるけど、それ以外にも若干風を使えるようなので、Y幽香と一緒に外での植物の世話を好んでいる。

 

 先日幽香さんが来て、自分のゆっくり妖怪とY大妖精を愛でていた。

 

 その時に幽香さんにも人外への転生を話したら、長く戦えるならそれに越したことは無いと言われた。

 

 転生後も俺の生活は変わりそうにもない。

 

 

 

 

Ξ月(´ヘ`;)ウーム…日

 

 パチュリーさんは何気に教えるのが上手い。

 

 魔法使いは自身の目的のための研究があるから、普通は他人に教えるなんてことは中々無い。

 

 例外としては、弟子を取っていた場合。

 弟子の才能が研究の助けになると考えた場合、自分の技術を教える代わりに研究を手伝わせる。

 

 今の俺がまさにそういう形なのだろう。

 

 Yパチュリーも図解や魔法陣の講義では大活躍する。

 

 二人とも知識や技能は同じで、最近では同期している感覚も短くなっているようで、同心異体という形になりつつあるようだった。

 

 波紋や気功の操作を見ていて、どうやら俺は力関係の操作が細かくて上手いらしい。

 

 早い上達には出力よりも精密性が問われるらしいので、期待できる弟子だと笑顔で言われた。

 

 確かにうれしい話だけど、なぜアリスさんや魔理沙に自慢したのかな?

 

 そして、どうして三人ともやる気の漲る目でこっちを見ているのかな?

 

 俺の魔法使いとしての道は波乱万丈なようだ。

 

 

 

Ξ月(´;ω;`)日

 

 初めてかもしれないな。

 

 阿求様とYパチュリーと三人で、まったりと過ごしていた。

 

 居間で横になっていたら、阿求様が膝枕をしてくれて、俺の腹の上にYパチュリーが乗っかって、そのまま日が暮れるまでしゃべったり、触れ合ったりして過ごした。

 

 今思えば恥ずかしいけど、一番長くて一番深い付き合いの彼女とこういう時間を過ごせたのは良かった。

 

 今までの事と、これからの事。

 

 たくさんたくさん話した。

 

 不老の存在ではなく、一度死ぬ恐怖と次の転生で確実に友人が居なくなる虚無感。

 

 それらの感情が阿求様から涙と共に語られた。

 

 あの時も言ったけど、ここにも書き記そう。

 

 俺は何度でも阿求様を待つ。

 阿求様が生まれてくるなら、俺は何処にも行かず、貴女の場所を護ろう。

 だから、安心して戻ってきてくれ。

 

 Yパチュリーも一緒だ。

 戻ってきたらゆっくり妖怪達が増えてるんだぜ?

 幻想郷縁起の編纂のやりがいがあるってものだろう?

 

 阿求様の場所はここにある。

 

 

 

Ξ月(´▽`)アリガト日

 

 俺、阿求様、萃香、パチュリーさんの四人でゲーム大会の様な形で遊んだ。

 

 それぞれゆっくり妖怪をパートナーに一人付けて、相談しながら色々なゲームを遊ぶというものだ。

 

 俺はYパチュリー、阿求様はY咲夜、萃香はY霊夢、パチュリーさんはYレミリアをパートナーにしていた。

 

 お酒も入ったせいか、大いに騒いだ。

 

 勝敗は、別として。

 

 いつまで続くのかなんて分からない。

 

 考えるのもバカらしい。

 

 この四人とゆっくり妖怪達で何度でも楽しむ。

 

 幸い、人よりは長生きできる機会に恵まれた。

 護ってあげたい彼女を転生するまで待つだけの寿命なんて、欲しいと思っても得られるモノじゃない。

 

 俺は恵まれている。

 兄貴と一緒に居た頃は弱いと嘆いていたし、誰かを護りたいって考えたことも無かった。

 だって、弱い人間が誰かを護ろうなんて考えない。

 

 でも、この幻想郷に来てからは生きていくのに必死で、気付いたら護りたい対象ができていて、護れるように鍛えて。

 

 もし人生に意味があるとして、きっとその意味を見つけられないまま、気付けないままに過ぎていくのだろう。

 幸いにも俺は見つけられた。

 

 家族を護ろう。

 

 俺は参護という名前だ。

 

 三つ、阿求様もゆっくり妖怪もこの空間も、護ってみせる。




 参護さんは、阿求とゆっくり妖怪だけじゃなく、萃香とパチュリーがいるその家族と言う空間を護ることに決めたようです。

 あまり長く続けても、グダグダするだけだししっかりと終わるべき場所で終わる。

 これは、友人から言われた言葉。

 良い友人を持ちましたよ。

 金曜と土曜がちょっと更新できなさそうなので、お知らせします。

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