東方饅頭拾転録 【本編完結】   作:みずしろオルカ

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 最後の日記形式となります、阿求日記です。

 後は、日記じゃない一話を書きあげれば、本作品は一端終了となります。

 後は外伝だったり、長い時の中のとある一週間みたいな形で投稿していく形になると思います。

 では、どぞ!


稗田阿求の日記 Ξ月

Ξ月(*´∀`*)日

 

 参護さんとゆっくりパチュリーが出会った場所。

 

 以前二人に案内されて行ったことがあるけど、街道から外れた雑木林のちょっと開けた場所。

 

 そこに二人で行ったようだ。

 

 あの位置から里にまで声が聞こえたという事は、相当大声で叫んだのだろう。

 

 まぁ、正確には里の近くで作業していた人が森からの叫び声を聞いたと言う報告を受けた、という形なので里まで悲鳴が響いたわけじゃないんですよね。

 

 参護さんが恥ずかしがっている姿が可愛いので、もうちょっとだけこのままにしておきましょう。

 

 それに参護さんは誇りに思うべきです。

 そんなに叫ぶほど驚いたのに、ゆっくりパチュリーちゃんを投げ出さなかったこと。

 加減を誤って彼女を殺してしまわなかったことを。

 

 二人が出会ったことで、こうして私は参護さんと一緒に居られる。

 

 転生への恐怖がこんなにも和らいでいるのは初めてだ。

 

 すべてが儚い夢。

 だけど、次へ続く夢を私は見ることができている。

 

 きっと、これが私の幸せなのでしょう。

 

 参護さんにもゆっくり妖怪にも、萃香にもパチュリーにも感謝します。

 

 今世をよろしく。

 来世でも会いましょうね。

 

 

 

 

 

Ξ月(`・д・´)キリッ日

 

 参護さんが魔法使いになるという決断をした。

 

 仙人にならないのは少し残念だけど、百年に一度来る死神の襲来を警戒しているのでしょうね。

 

 何かを護る上で必要な事の一つは争いに関わらないことという話ですし。

 

 確かに参護さんは相当に強くなった。

 

 それでも、鬼にはもちろん八雲紫や風見幽香には能力を加味しても勝負にならないでしょう。

 

 参護さんの考えは、同じ場所に立てるようになること。

 

 つまり、銀色の闘気の上位互換である金色の闘気というものを目指しているのでしょう。

 

 銀色の闘気での戦闘力の跳ね上がり方は異常な程だと言うし、金色の闘気になったならもしかすれば同じ場所に立てるかもしれないと考えているんだろう。

 

 争いに近付かない、力を欲する。

 矛盾しているけど、護るとはそういう事だと言っていた。

 

 備える事の繰り返しで、考えることの繰り返し。

 

 それを誇らしそうに語った参護さんはとても楽しそうで輝いていた。

 

 生き甲斐。

 

 私を護ることを、ゆっくり達を護ることをそう思ってくれるのは嬉しい。

 

 けど、萃香やパチュリー達と一緒に居ることも楽しんでほしい。

 そう思う。

 

 

 

 

 

Ξ月(;´∀`)日

 

 魔法使いになる為には学習する必要がある。

 

 魔導書や術式が系統として残っているという事は、理論や公式などが多く存在しているという事だし、学ぶことが多いのだろう。

 

 魔法使いになるという事はそういう事を学ばなければならない。

 

 魔法使いになるのは独学か、弟子入りすることで学ぶらしい。

 

 パチュリーもアリスさんも魔理沙さんも独学タイプらしい。

 

 参護さんは珍しい弟子入りタイプになる。

 

 さっき着替えを持って行った時に、楽しそうにゆっくりパチュリーちゃんと一緒に参護さんの教育計画を練っていたのは微笑ましかった。

 

 熱心に適性とか器用だから他の体系も試す価値があるとか、ゆっくりパチュリーちゃんと話してたので温かい紅茶とクッキーを差し入れてあげた。

 

 パチュリーの話だと参護さんはとても魔力の使い方が器用で、それだけでも十分な才能だという事らしい。

 

 才能もある上に、元々外の世界では魔術師という魔法使いの別系統の家系の生まれらしい。

 

 一子相伝の技だから参護さんは波紋や気功の方向に傾倒したらしい。

 

 参護さんのご家族は一体どんな人たちなんでしょう……。

 

 

 

 

 

Ξ月(=^・^=)日

 

 最近はこの家の家事をすることが息抜きになっている気がします。

 

 編纂作業の合間に、掃除したり、洗濯したり、料理を作ったり。

 

 もちろん、一人では編纂作業に支障が出てしまうのでゆっくり妖怪達に手伝ってもらったり、鈴仙さんや魔理沙さんに手伝ってもらっていますが。

 

 参護さんは笑いながら美味しいと言ってくれる。

 萃香は、テンションが上がって笑いながら元気よく食べる。

 パチュリーは変化が分かり辛いけど、口元が緩んで味わうようにゆっくりと咀嚼(そしゃく)する。

 

 こういう風な表情を見るのが楽しい。

 

 前に見れた表情よりも美味しそうにしてくれると、やっぱり嬉しい。

 

 ゆっくり達も美味しいと嬉しそうに鳴いて、食べる速さが上がる。

 

 こうやって試行錯誤して、皆が笑顔で居てくれることを探せる家事が楽しいと思える。

 

 来世もこうしてみんなの台所を預かれれば嬉しいな。

 

 

 

 

 

Ξ月(´ヘ`;)ウーム…日

 

 今日は魔法使いの三人が揃って家に来た。

 

 参護さんの魔法講義が終わってからだから、たぶん次の講義の準備や話し合いなんだろうけど、アリスさんや魔理沙さんを呼ぶという事は、範囲を広げるという事かしら?

 

 とりあえず、六人分のお茶とお菓子を用意した。

 ゆっくり達も連れて来てるから、お菓子も甘めの洋菓子を出した。

 

 パチュリー達は色々と理論やら系統の話をしていて理解できない部分が多かったが、ゆっくり達は図を描いて三人で話し合っているようだった。そっちも理解しづらかったけど、参護さんらしき人型に記号やらを周囲に書き込んでいる。

 

 何かの儀式だろうか?

 

 そういえば、参護さんの普段使っている杖はゆっくりパチュリーちゃんが直々に魔法を編み込んだ特別製だったはずだ。

 その魔法のおかげか、その杖は折れず曲がらず、波紋も気功も銀色の闘気も良く通すという最高級の武器に仕上がったようだ。

 

 もしかしたら、この娘達は参護さんを護る物を作ろうとしているのかもしれない。

 

 参護さんは私のために色々としてくれているけど、ゆっくり達は参護さんの為に色々としているのね。

 

 やっぱり、この家は最高ね。

 

 

 

 

 

Ξ月(´;ω;`)日

 

 今日一日を幸せと言わずに、何を幸せだと言えばいいだろう。

 

 参護さんとゆっくりパチュリーちゃんと一緒に、ひたすらにまったりと過ごした。

 

 最初はお昼ご飯を食べた後に参護さんが居間で昼寝をしていた。

 

 ちょっとした悪戯心で参護さんに膝枕をしてあげたら、ゆっくりパチュリーちゃんが寄ってきて参護さんのお腹の上に乗って眠りだした。

 

 参護さんとゆっくりパチュリーちゃんの寝顔をじっくりと見ることができたし、参護さんが身体を預けてくれている幸福感もあった。

 

 参護さんが目を覚ましてからは、たくさんたくさん話をした。

 

 今までの転生での不安や恐怖感。

 虚無感や孤独感を語った。

 気付いたら涙が流れていた。

 

 そんな私に参護さんは、私の場所はここにある。そう言ってくれた。

 

 重い話も辛い話も、くだらない話も笑い話も、全部全部話せた幸せな一日。

 

 ありがとう参護さん。

 今日の事は死んでも忘れないからね。

 

 

 

 

Ξ月(´▽`)アリガト日

 

 家族。

 

 そう、家族でゲーム大会を開いた。

 

 お酒を飲みながら、ゆっくり妖怪達をパートナーにして、トランプや麻雀、双六やTRPGなんかもやった。

 

 参護さんは相変わらずだったけど、本当に楽しい時間だった。

 

 TRPGで私がGMでやったセッションは参護さんのキャラだけエンディングまでたどり着けなかったし、双六は終始最後尾、トランプと麻雀も呪われてる? と思わせるぐらいにひどい手札と手牌。

 

 それにちょっと拗ねた参護さん。

 

 爆笑する萃香に参護さんを慰めるパチュリー。

 

 これは家族と言っても良いと思う。

 

 血は繋がっていない。

 

 だけど、それぞれがそれぞれの役目の様な物を持って調和して、一緒に居て楽しくて、一緒に居るのが当然の様な気持ちになって、家族と一緒に居られるのは素直に楽しい。

 

 私は後十数年で一端別れるけど、こうしてまたこの世界で生きていきたい。

 そう思えた。

 

 この四人とゆっくり妖怪達と、今世も来世もその先も、一緒に居られるだろう。

 

 なぜか、その確信だけはあった。

 

 ありがとう萃香、私の望みに気付かせてくれて。

 ありがとうパチュリー、私の事をたくさん気遣ってくれて。

 

 ありがとう参護さん、私と出会ってくれて、幻想郷に来てくれて、居場所をくれて。

 

 この家族が、ゆっくり達が、いつまでも幸せでありますように。

 

 大好きです、参護さん。

 




 この作品は、基本骨子がすでに決まっていて、それ以外は皆さんの意見やらを取り入れている部分がかなりある作品です。

 もちろん、応えられない声も多々ありましたが、阿求さんのヒロイン化なんて答えた結果ですしね。

 そのせいで手を広げすぎて、訳が分からなくなってましたがw

 それでは次は最後の一話です。

 お楽しみに!

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