不死の英雄伝 〜不屈の体現者〜   作:ACS

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前回の出来事でブレンとなのはは人間寄りの半神半人になりました。

それに伴い、始まりの火を使った万物創造が出来なくなりました。




不屈の体現者 103

第百三話 共有する生命

 

 

始まりの火を利用して俺の存在を繋ぎ止めたのか、随分無茶をしたものだ、幾ら始まりの火の所有権が移っている最中だったとは言え、下手をすれば始まりの火の熱で自分が灰になって居ただろうに。

 

ソウルから混沌の刃を取り出し、その刀身を鏡代わりに使用して自分の姿を確認する。其処に映ったものはなのはと同じ年代の姿をした自分、『ブレン・シュトッフ』だったが、以前の姿とは違い、抉り出された右目と灰になった左腕が再生した姿となっていた。

 

恐らく本来の姿を基準に肉体が再構築されたのだろう、そう判断した俺は再びソウルに混沌の刃を仕舞おうとしたのだが、混沌の刃がソウル化しなかった。

 

生命を共有した弊害なのだろうか? いや、寧ろ生命の共有によって消え行く俺を無理矢理繋ぎ止めたのだからいくつか不具合が起きるのは仕方ないか。 妙に納得しながらソウルに仕舞っていたデバイスを取り出し、そちらの中へと仕舞い込む。

 

そして、可能な限り今の自分の存在について調べた所、次の事が分かった。

 

先ず一つ、先の通り今まで自由に使えていたソウルへの出し入れが一方通行になっていると言う事だ。 推測だが、今の俺は俺自身の魂となのはの魂が合わさった状態、その所為で仕舞い込む場所を認識出来無いのだろう。

 

次に二つ目、始まりの火が限定的にしか使用出来なかった。 これは恐らく、俺の事を無理矢理繋ぎ止めた所為で始まりの火の所有権が中途半端になのはに移った事が原因だろう、最早世界に干渉する大規模な力は使えないが、溶接くらいにならば使えるだろう。

 

三つ目、生命だけでなく存在も共有しているのか、俺もなのはも中途半端な存在となってしまっていると言う事だ。 消えかけだったとは言え、俺の魂は神の物、そしてなのはの魂は人間の物、その二つが合わさり二人とも神でも人間でも無い存在となってしまっている。 だが、ベースが人間の為か殆んど力無く、寿命も存在しているようだった。それに加え、これも推測だがお互いの生命を共有していると言うことは、俺が死ねば彼女も死ぬだろう、そしてその逆も然り。

 

 

俺を死なせまいと必死になっていた少女、彼女の尊い生命が掛かっているのだから、もう生命を粗末にする真似は出来無いな。

 

取り敢えず現状整理が終わったので、大王の大剣を握ったまま気を失って居るなのはを抱き抱え、始まりの火を纏った大王の大剣を振るい、地上へ向かう穴を開ける。

俺の腕の中で安らかに眠っているなのはの寝顔に満たされながら、生きる決意をなのはに囁く。

 

「なのは、もう俺の生命は君の物だ、だからもう死にたいなどと言わない、殺してくれとも言わない、君が生きろと言うならば俺は君のために生きよう」

 

 

気を失って眠っている筈なのだが、嬉しそうに笑ってくれたような気がした。

 

地上に戻った俺は、時間を止めていた事を思い出したのだが、既にその力は失われていたようで、俺がなのはを抱き抱えながら地上に出ると同時にクロノから通信が入り、一度アースラに帰還するようにとの連絡が入った。

 

命令通りにアースラに帰還し、なのはを医務室に寝かせに行った俺は、全身に包帯を巻いて寝込んでいるクロノと鉢合わせた、彼の横ではエイミィさんがりんごを剥いていて、所謂あーんの体制だった。

 

 

「…………用が済んだら直ぐに消えるよ」

 

「待て、僕は身体が動かないだけだ、お前の想像しているような事は無い」

 

「はいはい、クロノくんは絶対安静なんだから興奮しちゃダメだよ」

 

「エイミィ、変に茶化すな」

 

痴話喧嘩を始めた二人の邪魔をしないようにこっそりと空いているベットに寝かせ、状況を聞く為に一度ブリッジへと向かった。 本当ならなのはが起きるまで側に居てあげたがったのだが、馬に蹴られたく無いのでそちらを優先する事にした。

 

ブリッジに着いた俺の目に真っ先に映ったのは、守護騎士達に囲まれたはやてと、その前に立ってリンディに何やら詭弁にも似た事を熱く語っている銀髪の女性だった。

 

「ですから、私は『夜天の書』であって、『闇の書』ではありません。 なんなら調べて下さっても結構ですよ?」

 

 

はやては俺が来た事に気がつくと驚いたような表情を浮かべながら、嬉しそうに手を振っていた。俺に気が付いた守護騎士達も色々と思う所が有るような表情を浮かべ、頭を下げていた。 そして、自分達がもう無害だと言う事を熱弁していた銀髪の女性は、一通り安全性の根拠と自分の状況を話し終えると、俺へと向き直り、太陽賛美の後に膝をついて頭を下げる。

 

 

「お初にお目にかかります、不死の英雄様。我が名はリィンフォース、夜天の書の管制プログラムです。 知らなかったとは言え貴方様に刃を向けた事をお許し下さい、如何様な罰も代表である私めが負う所存で御座います」

 

 

彼女の一言がブリッジに静寂を齎した、誰もが何をバカな事をと一蹴出来なかった。それは多分、何故知っているのか? と言う威圧感を込めて俺が彼女を睨み付けていたからだろう。 隠している訳では無かったが、誰彼構わずに話せる内容では無かった為、誰にも話していなかったのだが、こんな所でそれが露見してしまうとはね。

 

只管頭を下げ続けるリィンフォース、別に俺は彼女に何かしようとも思って居なかったのだが、俺のプレッシャーから何を勘違いしたのかリィンフォースの前にはやてが立ちはだかる。

 

「主人はやて?」

 

「ブレンくん、ううん、不死の英雄様。 罰を与えるんやったら、主人である私に与えて下さい」

 

彼女の目は本気だった、家族の為にその命すら問わないと言う決意が読み取れた。だが、俺は先程も言った通り別に気にしては居ないし、俺に剣を向けたのだって固い決意の下の戦いだ、俺もなのはも生きているし一々気にしないさ。

 

取り敢えずはやてにデコピンを一発与えてから目線を合わせるためにしゃがみ込み、優しく笑いかけながら気にしていない事を告げ、去り際に俺の正体やその辺の事情はなのはが目を覚ましてから説明をすると言って、なのはの元へと向かう事にした。

 





不死の英雄伝 〜舞台裏〜

NGシーン ちょっとしたお茶目

リィンフォース「お初にお目にかかります、不死の英雄様。我が名はリィンフォース、夜天の書の管制プログラムです。 知らなかったとは言え貴方様に刃を向けた事をお許し下さい、如何様な罰も代表である私めが負う所存で御座います」

ブレン「突然だが今から勝手に俺的皆殺しタイムに入る!!」

リィンフォース「ッ!!」

ブレン「みなごろし~~、みなごろし~~、ひとりも~残さね~~~、ラララルラ、ジェノサイド~~、リリルリル、血のオ~シャ~ン、レッツビギンさ、キリングタ~イ~ム~」

はやて「な、なんて最悪な歌詞なんや!?」

ヴィータ「しかもスゲェ音痴だ……」
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