久しぶりの二話更新、色々と筆が乗った結果だよ(白目)
第百七話 サンタクロース
クリスマスも近付き街が賑わいを見せ始めた頃、おつかい帰りのフェイトとアリシアは家電量販店のテレビによってクリスマスなる行事の存在を知った。 元々地球の出身では無い二人は聞き慣れない言葉に首を捻り、どのような行事なのかと言う事を、帰宅すると同時に母に聞いてみる事にした。 尚、勿論プレシアは二人のおつかいが心配で心配でしょうが無かったので、こっそり後を付けている。始めの内は通報の嵐だったのだが、今では街の光景に溶け込んでいる。 最近ではブレンから手渡された『エリザベスの秘薬』によって二十代半ばにまで若返っており、ナンパも後を立たなかった。
さて、此処で困ったのはプレシアである、職質を受けたとかまたナンパされたとかそう言った話では無く、この人もまたクリスマスなる行事を知らなかったのである。 しかし、愛娘達が『母さんに聞いてみようよ』とか『お母さんならなんでも知ってるし、きっと教えてくれるよね』とか言っている為、知らない若しくは教えられないと言う選択肢は彼女には存在しない。『ありしあ&ふぇいとのメモリアルNo.9851』を撮影していた彼女も流石に顎に手を当てながら眉間に皺を寄せて真剣に悩んでいた。
このまま帰宅しては娘達の疑問に答える事が出来ない、しかし撮影を辞めるわけにはいかない、暫く考えた彼女はリニスを呼び、撮影を彼女に押し付けると仕事先である『翠屋』に向かった。ジュエルシード事件以降、彼女は此処で働かせて貰っており、桃子とはお互いに色々と相談し合う仲だった。
そして、桃子に相談した結果、クリスマスとはサンタクロースなる人物に扮した親が子供達にプレゼントを渡す日らしく、サンタの衣装等などを見せて貰いながら説明を受けていた。 これもまた厳密には違うらしいのだが、概ねこの通りの意味らしい。
プレシアはお礼を言って翠屋でシュークリームを購入し、帰宅しようとしたのだが、彼女の目にやけに気合の入ったブレンが映った。 声を掛けようと近付いたのだが、『今年こそ、サンタの正体を暴かなくては……』と呟いており、話しかけられそうに無かった。 どうやら高町家も中々大変なようだ。
帰宅したプレシアは愛娘達の質問に答え、『サンタを迎えるにはサンタの格好をしなければならないわ!!』と嘘八百並べ、娘達のミニスカサンタコスを堪能するのであった。
翌日、プレシアからクリスマスとサンタについての話を聞いたフェイトとアリシアは何時もの面子にサンタに何をお願いするのか? と言う話に花を咲かせていた。
「と言う事なんだけど、みんな何をお願いするの?」
「アリシア、あんた若しかしてサンタクロースなんて信じ……」
(しっ、ダメだよアリサちゃん。 フェイトちゃんもアリシアちゃんも初めての事なんだから、ね?)
(うっ、それもそうね。 ありがとすずか)
(どういたしまして)
「なんだか、煮え切らない態度だけど……。 答えたくないなら良いや、無理に聞くのもなんだし。はやてとなのは達は?」
「うーん、私は本かなぁ? お料理本とか(巨乳のグラビア雑誌とかもありやな、最近シグナムもシャマルもリィンも揉ませてくれへんし、薄い本で我慢するしかあらへんし)」
「にゃははは……、ウチはサンタさん出禁なんだ……」
「「「「「えっ?」」」」」
「その、ブレンくんが、ね?」
ぽかんとした表情を浮かべるみんなに対して、少し肩身の狭そうな感じでブレンがポツリポツリと事の発端を話し始めた。
「その、さ。俺がまだこの世界に出て来たばかりの頃の話なんだけどね? 丁度クリスマスに人の気配をなのはの部屋から感じて、急いで向かった訳なんだ、すると其処には白い髭をぼうぼうと伸ばし、白い袋を担いだ全身が赤い装束の男が立っていたんだよ、な? 敵だと思うだろう? 奴の赤い装束は返り血だと思うだろう? またぞろ俺を殺しに来た暗殺者かと思っても仕方ない、うんそうだ。 だからなのはを誘拐しに来たと思った俺がナイフを投げたのは悪く無いし、それを避けられたからといって混沌の刃で首を刎ねに行ったのは悪くない。 けど、なのはが起きそうになったから攻撃の手を緩めたのが不味かった、その一瞬を突いたサンタは御丁寧に窓を開けて音を立てずに飛び降りて行った。 暫くゴーの大弓で屋根を転々とするサンタを狙撃して居たんだが、逃げ切られてしまってね、それ以来サンタは俺が寝たのを確認してからしか来なくなったらしい、それでも毎年トラップを仕掛けてたんだが、遂に去年出禁になった。 そう言えば、父さんが毎年ボロボロだったんだが、父さんもサンタと交戦していたんだろうか? 出禁になったとしてもどうせ性懲りも無く今年も来るのだから今年こそその正体を暴いてやる」
「ブレンくん、そんな夢の無い事言っちゃダメだよ? 後暴力も禁止」
「なのは、奴は不法侵入者だよ? 容赦する必要なんて何処にも……」
「今回の事に関しては口答え禁止だよ?」
「……………分かった」
なのはとブレンの力関係が垣間見えた瞬間である。
ブレンの日記
新暦65年 ○月X日
プレシアさんの病を治療した。
血を吐きながら恍惚とした表情で娘のストーキングに勤しんでいる彼女の命が心配となり、エリザベスの秘薬を渡したのだが、若返るとは思わなかった。 昔はエスト瓶でどうとでもなったので使用した事が無かったので、予想外の結果だった。 世に出せんなこれは……。
新暦65年 ○月X日
サンタ迎撃禁止例が出された、無念だ。