不死の英雄伝 〜不屈の体現者〜   作:ACS

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今回、遂に混沌の刃が………。


不屈の体現者 11

第十一話 黒鉄の銃

 

 

あのボウヤめ、とんでもねぇ物を引っ張り出しやがって!!

 

 

男はスコープ越しに見た月明かりの大剣に威圧され、対魔導師弾の一発を放ってしまった。

 

 

あの弾は障害物を全て貫通する物なので、跳弾させる事は出来ず、必然的に自分の位置を割り出される。

 

だからこその必殺、切り札だったのだが、あの得体の知れない剣を見た瞬間に、心臓を鷲掴みにされたような圧迫感を味わい、思わずそれごとターゲットを殺そうとしてしまった。

 

 

だが、結果は失敗。

 

「手品かレアスキルかは知らねぇがあんな物どっから出した!?、ともかく今ので確実にばれた、早いとこポイント変えねぇと……」

 

退散の準備をしながら男は思わず愚痴をこぼしてしまう。

 

スナイパーには焦りは禁物だ。

 

一発の弾丸で相手を仕留める以上、常に冷静で居なければならない。

 

そう考えると、今の一撃は間違い無くミスだった。

 

 

男が愛銃を解体して、ギターケースの中にそれを締まった後、次のポイントまで向かおうとした時だった。

 

 

「動くな」

 

 

首元に突き付けられた小太刀、知らぬうちに背後を取られた事に男は驚愕し両手を上げる。

 

 

「オーライ、一旦落ち着こうや、にいちゃん」

 

 

彼の背後に立っていたのはまだ若い黒髪の青年、年の頃は17〜8と言った所か。

 

ターゲットと共に朝食を取っていた男だった。

 

「で?にいちゃんよ、何で此処が分かったよ?」

 

男は刃物を突き付けられながらも、戯けたような態度で彼に何故ここが分かったのかを聞いて行く。

 

「自慢じゃねぇが、さっきの一発以外に居場所を割り出されるようなヘマはしてねぇぜ?」

 

 

それに、男の銃には特殊な消音加工がされていて、銃声を辿れる程の音は出ないようになっている。

 

 

「土地勘と言う奴だ、この街の事は隅から隅まで知り尽くしている、狙撃地点にヤマを張るくらい造作も無い」

 

青年は冷たい声で彼の質問に答え、銃を捨てろと要求し、彼に目的を聞く。

 

「銃を捨てる次いでだ、何故ブレンを狙った?」

 

男は『思わぬ所でターゲットの名前を聞き出せたな』と内心で思いながら、そのターゲットの魔力がこのビルまで接近して来るのを感じ、強引な手段に出る。

 

「それを教える殺し屋が居るか、よッ!!」

 

手元のギターケースで後ろの青年に殴りかかり、何とかその場から逃げ出そうとしたのだが、驚いた事にギターケースごと中身を両断された。

 

「斬鉄だと!?、クッソよくもやりやがったな!!」

 

そう言いながらも、彼が小太刀を振った隙に男は屋上から飛び降りる。

 

「ッ、待て!!」

 

青年が屋上から飛び降りた男の安否を確認するために、眼下を確認すると、真下にゴミ袋が山積みとなっているのが見えた。

 

 

「いっててて、緩衝材が足りなかったか?」

 

男は痛む身体を抑えながら、逃走用に用意していたバイクに向かって行く。

 

「ターゲットを殺せなかったのは残念だが、命あっての物種だ、引き際は弁えねぇと」

 

情報収集の面では充分だろうし、愛銃を破壊されるとは思わなかった、これ以上深追いは出来ない。

 

 

だが、その逃走用のバイクの前にはターゲットである銀髪の少年が立ちはだかっていた。

 

「漸くご対面だね、殺し屋さん?」

 

少年は腰に刀を差し、此方を見据えている。

 

「チッ、俺もヤキが回ったかよ」

 

男は懐からある物を取り出し、少年に向ける。

 

彼が取り出した物は、全てが黒塗りの銃。

 

「此奴の名前は『ジャッカル』対化物戦闘用13mm拳銃だ」

 

男は続けてジャッカルの説明を続けて行く。

 

「全長39cm、重量16kg、装弾数6発、専用弾13mm炸裂鉄鋼弾、純銀製マケドニウム加工弾殻、マーベラス化学薬筒NNA9、法儀式済み水銀弾頭」

 

それは最早人類ではまともに扱える代物では無かった。

 

「こいつは俺の正真正銘最後の切り札だ、今までは化け物相手にしか使わなかったが、今はこいつしか手元に無ぇんだわ、恨むんじゃねぇぜ?」

 

 

そう言って彼は引き金を引き、その魔弾を発砲する。

 

ただの一発で、男の腕が悲鳴を上げ、骨や筋肉に深刻なダメージを与える。

 

目の前の少年は放たれた魔弾を紙一重で回避したようだが、真後ろでアスファルトが粉砕されたのを見て、僅かに目を見開く。

 

その隙を狙って、腕が砕けるのも構わずに男は少年の額を狙い撃つ。

 

少年は飛来する魔弾に身じろぎ一つ見せず、隻腕で居合いをして見せ、銃弾を両断する。

 

男はその光景に舌打ちをしながら、砕けた腕と反対の腕にジャッカルを持ち替え残る4発をほぼ同時に発射する。

 

その早撃ちは、四つの銃声を一発と錯覚させる程の物だった。

 

此れならば、いくら反射神経が良くとも対処出来ない筈。

 

だが、そう思っていた男の目論見は見事に外れる。

 

少年は手に持って居た刀を男の胸に投げ付け、壁を駆け上がり迫る弾丸を回避した。

 

 

胸に突き立った刀を眺めながら、男は自嘲するように笑いながら絶命した。




やった、漸く主人公にも銃を持たせられる(白目)
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