バトルが欲しい……、バトルが足りない……。
という訳で邪神復活編スタートですが、ギャグテイストとなります(多分)
第百十話 立ち込める暗雲
とある平日の昼下がり、首に割れている古びたペンダントを掛けた一人の魔導師が海鳴市に現れる。彼の首に掛かっているペンダントは何の変哲も無いアクセサリーに見えたが、其処に内包された力は時を超える能力と言う人智を超えた物だった。
事の発端は20年後の未来で彼の首に掛かっているペンダントが発掘された事に始まる。闇術師であった彼は深淵の力に魅入られた男であり、『邪神 マヌス』を信奉する者であった。 そんな彼がある日の酒の席で、嘘か真か邪神が20年前に一度復活し、再度討伐されたと言う話を耳にする。 酒の席での与太話ではあったが、彼は例の割れたペンダントを使用出来ればその噂を確認出来るかも知れないなと考え、そのペンダントが輸送される瞬間を多数の傭兵と共に襲撃して強奪する。
此処までは彼のシナリオ通りであり、何の問題も起きなかったのだが、いざ時間転移を始めようとした際に三人の少女による妨害を受ける事となり、その少女達諸共2000年後の未来へと転移するハメになってしまう。 尤も、その時代で彼は邪神の欠片達と会合し、その力の一部を受け取り、マヌスの居場所を知る事に成功、二度目の転移で一度現代へと戻り彼の肉体として『英雄の再来』として名高い『ブレン・シュトッフ』への襲撃を画策するも、自分の時間転移に便乗して帰還した例の三人娘と『聖王』と『覇王』による迎撃を受け、幾度もの激戦を経て退散、最後の手段として自らを生贄に邪神の完全復活を目論んだ彼は便乗される事も厭わず、最後の時間転移を敢行、現在に至る。
ある種の因縁めいた物を感じずには居られない彼であったが、英雄の娘達と聖王、覇王の二人に見つかる前に邪神を復活させなければならない、舌打ちと共に彼はその場を離れ、暫くの間自分の身が隠せる隠れ家を探しに行った。
彼がその場を去った後、暫くしてから彼を警戒していた一組の少女達がこの地に降り立った。しかし、転移の際に多少バラけたのか、海鳴市各所に分散してしまっていた。
『ちっ、ばらけてしまったか……、シュテル!! レヴィ!! 姉上達はお前達の所に居るか?』
『残念ですが、私は一人です。 レヴィの方はどうですか?』
『僕も一人だよ〜、あっココイチ!! ねぇねぇディアーチェ!! 食べに行っても良い? ドラングレイグじゃカレー無かったし、良いよね!!』
『ええい!! 我らと合流するまで待て!!』
『……えっと、私はアインハルトさんと一緒に居るから大丈夫だよ?』
『そうですか。でしたら時間もあまりありませんので別れて奴を捜索いたしましょう』
『うん、分かった』
『はっ!! ディアーチェ、私は重要な事に気が付いてしまいました!!』
『ほう? 申してみよ、シュテル』
『今私達が居る地球は20年前の地球です』
『奴の言が正しければそうだな』
『つまり、この時代のお父さんは私達と同い年ぐらいの筈!!』
『おい、まさか……』
『今の内にお父さんを誘惑しておけば将来きっと親子の一線を越え、私との禁断の愛に踏み出してくれる筈!! こうしては居られません、私はお父さんに会いに行ってきます!!』
『この大うつけがッ!! そんなアホな事に、って奴め、一方的に念話を終わらせよった……』
ディアーチェは頭を抱え、自分達の中でも飛び抜けてファザコンであるシュテルが問題を起こす前に回収しなくてはならないと言う事と、しきりにカレーコールをして来るレヴィをどう黙らせた物かと悩みながら取り敢えず先にシュテルを追う事とした。
と言うのも、彼女は本気で『将来の夢はお父さんのお嫁さん』を目指しており、『実の親子と言う問題など些細な物です』とか、『そもそも私はお母さん似、お父さんのストライクゾーンど真ん中であり、年頃になる頃にはお母さんも女としての旬は過ぎています、つまり若い私の方が有利!!』などなど、彼女の世迷言は数知れず。 しかもその悉くが本気である為にタチが悪い、『打倒お母さん!!』と言うやけに達筆な張り紙が彼女の部屋に貼ってある事からもその本気度は伺える。
そんな彼女がこの状況で何も行動せずに居られるだろうか? いや無理だ、彼女は親譲りの不屈の精神で禁断の恋に挑んでいる、事を起こす前に止めなければ大変な事になるのは自明の理だ。
決して、決して抜け駆けが許せないだとか、自分の欲望を素直に表に出せるシュテルが羨ましいだとか、ディアーチェはそんな事を思ってはいない。 精々洗濯の際に父の脱ぎ捨てた衣服の匂いを嗅いだり、枕に顔を埋めたりする程度である。 シュテルのように寝室に忍び込んだり、お風呂場に乗り込んだり、父の歯ブラシを使用したりしていないのでまだ健全なのだ。
そして、当の問題児であるシュテルであったが、彼女は早速立ちはだかる強大な壁とばったりと出会ってしまった。
「ッ!! 貴方はおか……高町なのはッ!!」
「え、えっと、いきなり如何したのかな?」
ブレンが『調べ事が出来た』と言って慌てて家を飛び出してしまったので、それを追って来たなのはは何処か自分に似た少女に指を刺されながら名前を呼ばれ、非常に困惑していた。 目の前の少女は妙に敵意剥き出しなので、どう接した物かと思案していると、彼女から爆弾発言が飛び出し、なのはは固まってしまう。
「突然ですが、貴女を倒してブレン・シュトッフを寝取らせて貰います!! 精々柱の影でハンカチを噛んで居て下さい」
「…………へぇ、私からブレンくんを盗ろうって言うんだ、ふ〜ん」
普段なら自分が頂点で揺るぎ無いと確信している筈のなのはだったが、どう言う訳かこの時ばかりは彼女の挑発に乗ってしまった。
「手は抜きません、全力全開で行きます」
「分かった、全力全開で受けてたつよ!!」
新暦85年 ○月X日
最近シュテルの様子がおかしい。
どうにも私の事を一人の異性として見ているようだ、どうしてそうなった。物凄く甘えてくれるのは有難いのだが、なのはと並んで座っていると割って入って来たり、一緒にお風呂に入った時も膝の上に乗ってきたり、行ってきますのキスやお帰りなさいのキスもなのは達に混ざってやろうとして来る。
教育方針を間違えたのだろうか? 娘に手を出す気は無いし、この子に将来恋人が出来るのか非常に心配になって来た…………。
ps
私はお父さん以外に興味がありませんので安心して手を出して下さい。