ドリフターズ五巻はよ(白目)
第百十九話 拠点製作
取り敢えずペンダントの回収を優先したので奴を逃がしてしまったが、逃げてくれる分には問題無い。 奴の中からはマヌスに近い物を感じたし、下手に追い詰めて自棄を起こされても困る、退いてくれると言うならば今は見逃しておこう。
混沌の刃を納刀し、アリシア達に褒めちぎられてドヤ顔をしていたシフを回収して一度帰還する。 発信機の一つでも付けられれば良かったんだが、思ったよりも退き際が鮮やかだった為にそれをする暇が無かった、追跡班も振り切られてしまったらしく、決着は次の機会にとなってしまった。まあ割れたペンダントを奪還された直後なので暫くはあの男も行動出来ないだろうが、これで奴も後が無くなった訳だから注意しないといけないかな?
拠点に帰還し、シュテルの過剰なスキンシップをあしらいながら奪い返したペンダントをヴィヴィオに投げ渡す。俺が管理しても良いのだが、これは二十年後の未来から渡来した代物なのだから、管理は彼女達に任せるのが筋だろう。
「ほら、目標の一つを取ってきたよ、と言っても殆どシフの手柄だけどね」
「こ、こんなあっさり……」
「さ、流石不死の英雄と灰色の大狼ですね、私達五人でも戦うだけで一苦労だったのですが……」
「其処まで難しい話じゃないだとおもうんだけどね。未来視による先読みで攻撃が当たらないと言うならそれを利用して行動を誘導すれば良いだけの話だから、みんなもその内この程度じゃ苦戦しなくなると思うよ?」
「な、成る程……、勉強になります」
「アインハルトさん、パパの言ってる事はそうやすやすと出来る物じゃ無いと思うよ?」
「姉さん、家出している男衆ならやりかねませんので何とも言えませんよ?」
「真改は多分行けるんじゃないかな? お父さん仕込みの組手甲冑術?っての使えるし」
「カイムも恐らく行けますね、彼は色々力技で何とかしますから」
「オルステッドも頭は冴える方だ、剣の腕も父上に似て中々奇抜な動きをする」
「…………息子も居たのか」
「うん、真改とカイムは混沌の刃と大王の大剣を勝手に持って家出しちゃってるし、オルステッドはアルトリウスの大剣と大盾持って二人を探しにシフと友達連れて行っちゃってるけどねー」
「……詳細をありがとうレヴィ、俺に似たのか随分と自由奔放だな」
正直、未来の自分がちゃんと人の親をやっているのか心配ではあったのだが、正にその心配通りの事態になっているようだ、これはちゃんと家に帰るように心掛けなくてはならないな。
自分の子供達のアクの強さに何とも言えない思いを抱きながら左腕に抱き着いて来ているシュテルを引き剥がし、巻き込まれた形となったアリサ達に事情を説明する。
「……魔法って、何でもありなのね」
「アリサちゃん、この街も割と何でもありだから……」
「すずか、『この街は』じゃなくて『企業連は』の間違いよ。 その辺の境界があやふやになっちゃうと変態の仲間入りだから気をしっかり持ちなさい」
「いやいや、野良AMIDAや量産型ファンタズマが跋扈している街だからと言ってその評価はあんまりじゃないのだろうか? 彼ら企業連のおかげで地球の科学力は跳ね上がっているし、暮らしも豊かになっている。 月と火星も既にテラフォーミング済みで人口問題も完全に解決されている、特に火星には『ディソーダー』と言う治安維持兵器が設置されているらしく非常に治安が良い、ちょっと変わった所があるだけで普通の企業だと思うのだけど、ねえなのは達もそう思うだろ?」
「えっ? そ、そう、だね。 私と姉さんは地球の出身じゃ無いから分からないけど凄い人達なんだって事はわかったよ?」
「うん、ブレンくんもフェイトちゃんも一旦落ち着こうね」
「昔やったらアポロが月に降りたってだけでも大騒ぎやのに、それを飛び越えて月と火星を開拓する連中がまともな訳無いやろ、しかも会見で連中が何て言うたと思う? 『地球が狭くなったので月と火星を人が住めるようにしました』とか『重力制御装置を作ったので重力は問題ありません!!』とか『除草剤ならぬ増草剤を土と一緒に星全体に撒き散らしたので木や草がもりもり成長していますので自然に満ち溢れています!!』とか、物心付いたばっかりの当時の私ですら『何言うてんの此奴?』ってなったわ」
「う、うわぁ……、私もフェイトと一緒だから二、三週回ってこの街はこれが普通なんだって思ってたんだけど……、全然違ったね」
「…………本当に酷い言われようだ」
取り敢えず、マヌス撃破地点周辺には警報機等の設置を終えているのだが、何が起こるか分からないので帰宅する訳にも行かない、暫くは此処で寝泊まりする事になるだろう。
幸い、この施設は元病院なので寝具や調理機材、入浴施設等も整っているので泊まり込みで行動する事が可能だ。 アリシア達の非戦闘員を帰宅させるかどうか迷ったのだが、顔を見られている以上人質に取られる可能性もあるので返すわけには行かないだろう、それにみんなで固まって行動していた方が色々と動き易い。
本格的に此処を行動拠点にするに決めたのは良いのだが、流石に埃まみれの廃墟で女の子達を生活させるのはマズイ、かと言って俺は掃除が苦手なので箒や掃除機を使えない。 なので大王の大剣を取り出し、微量ながら始まりの火を使用して埃や錆びなどの劣化を修正し、丸々新品に戻してしまう。
台所のコンセントに竜狩りの槍を捩じ込み発電機とし、同じく台所の水道管とガス管を纏めて大王の大剣で突き刺し、水とガス生成させておく、これでこの施設の全てが使用出来るようになった筈だ、これで長期戦になったとしても大丈夫かな?
不死の英雄伝 〜不屈の体現者〜
NGシーン ブレンの優雅な一日
シュテル「ドーモ、ミナ=サン、シュテルです。 今日はお父さんの日常生活を物陰からこっそりとリポートして行きたいと思います」
ディアーチェ「お主はルシフェリオンをマイクに見立てて何をしておるのだ……」
シュテル「何と聞かれましても……、ストーキングとしか」
ディアーチェ「お主と言う奴は……」
シュテル「良いですかディアーチェ、お父さん自身はあまり自分語りをしたがりませんし、お母さん達に聞いてもそれはお母さん達の視点でのお話です。幼少期のお父さんをこの目で知る良い機会なんですよ? 」
ディアーチェ「だからと言ってストーキングをして良い理由にはならんぞ……」
シュテル「そんな事はありません、ストーキングなんて面倒くさい事、相手が好きじゃないとできません。 つまり、ストーキングは愛情の証です」
ディアーチェ「成る程成る程、ならその持論をお主の後ろに居る者にも申してみよ」
シュテル「えっ?」
なのは「シュテルー、ちょっとお話しようか?」
シュテル「…………良いでしょう、貴女を越えて私はお父さんの元へと向かわせて貰います。 更に言えば、前回の勝負も決着を付ける前に水が入りましたからね」
なのは「今度は勝たせて貰うよ、シュテル」
シュテル「残念ですが、経験の浅い今の貴女に遅れを取るつもりはありません」
ディアーチェ「行ってしまったか、流石は親子、思考が似たり寄ったりだ」
ブレン「ん? 其処に居るのはディアーチェかい?」
ディアーチェ「あっはい、色々ありまして。 ……それは釣竿、ですか?」
ブレン「あぁ、久々に釣りに出掛けようと思ってるんだけど、なのはは居ない見たいだし、良かったら付いてくるかい?」
ディアーチェ「釣り、ですか。 お供させて頂きます」
ブレン「数少ない俺の趣味なんだけど、クロノの人使いの荒さの所為で中々できなくてね〜」
ディアーチェ(未来で釣りをしている姿は見た事無かったのだが、単に趣味に費やす時間が無いのか……。 早く我々も大人になって父上の負担を減らしたい物だ)