ぐぬぬ、中々時間が取れない……。
畜生、これもそれも蒸し暑い梅雨がいけないんだ、梅雨前線なんて滅びてしまえ!!
第百二十話 興味本位
あれから数日、ペンダントを奪われてしまった奴は完全に息を潜めてしまった。海鳴市を中心にした周辺の各都市で反応が拾えるものの、駆けつけた時には反応が消えていて、いたちごっこが続いている状態だ。 シフの鼻を使おうとも考えたのだが、こんなタイミングでクロノから俺の力を借りたいと言う要請があり、流石に今この状態でこの街から離れる訳に行かない為、俺の代わりにシフを送りミッドチルダで仕事をして貰っている。
シフとクロノの両名から呆れた顔をされてしまったのだが、俺とシフでは俺の方が恐れられているようだったので抑止力と言う意味では俺がこの地に居た方が彼も動き辛いだろう。そんな訳で、今は会議室兼司令室にてシャマル先生とリィンフォースと共に彼の反応を探しながら、地道に捜索しているなのは達に指示を出している。
「はぁ……、しかしあの男逃げ足は超一流だね。シフが使えない事が此処まで痛いとは思わなかったよ」
「すみません……。私達も必死で探してるんですが、魔力反応を辿っても彼が使用する物は『魔法』では無くて『魔術』に分類される物ですので補足が難しくて……」
「分かってるよシャマル先生、別に責めてる訳じゃないさ、ただ彼が思った以上に引き際を心得てる事に関心してただけだよ」
「……どちらかと言われれば、彼は貴方を過剰に恐れているように感じたのですが」
「過去に彼の信奉する邪神を征伐したからかな? あの時はシフと一緒だったけど」
「完全体だった邪神を撃破した話ですか……。 伝記の内容は教祖様が書き起こした物ですが、ウーラシールの内容に関しては色々と情報が失伝していて断片的な資料を繋ぎ合わせた物だったそうです。 機会があればその辺りのお話を聞いてみたいのですが……」
「今は彼にも動きは無いし、未来の娘達もその辺は聞かされていないようだから夜になら構わないよ。…………自慢するようだからあんまり自分語りは好きじゃないんだけどね」
「…………催促したようで申し訳ありません」
前々から思っていた事だが、太陽の信徒の中でもベルカ系の信者達は俺の事を過剰に崇めている節がある。 普通の人なら多少は良い気分なのだろうが、以前から言っているように俺は英雄を自称した事は無いしそれを誇るつもりも無い、自分の思うままに剣を振った結果それが評価されて英雄として語られているだけの話で、そう呼ばれるのは少々複雑な気分だ。それに加え、当時の俺は毒は使うし罠は張る、不意打ち騙し討ちは当たり前、泥を啜ってでも勝ちに拘り続けていた、そんな俺が英雄の器とは思えないって言うのもあるんだけどね。
そしてその夜、約束通り彼女達にウーラシールのを語って聞かせて居たのだが、少し困った事態になってしまった。
「ロードラン時代のお父さんの周りには『混沌の娘 クラーグ』『人喰い ミルドレッド』『聖女 レア』『火防女 アナスタシア』『ウーラシールの宵闇』『王の刃 キアラン』等の女性達が居ますが、この中の誰かに好意を懐いて居ましたか?」
「…………そんな余裕は無かったよ」
「いえいえ、世の中には吊り橋効果と言う物があります、常に極限状態だった筈のお父さんが行きずりの女に引っかかる可能は多分にあります、さあ!! 素直に吐いて楽になった方が良いですよ」
「うん、シュテルの言う通りだよブレンくん、別に怒ったりしないけど一応正妻としてその辺りの事は知っておきたいかな〜って思って、正直に言って欲しいかな〜?」
「しょ、正直も何も、嘘は付いていないよ」
「はっきりせぇへん物言いやな、これはもしやこの中の女の人に好みの子が居ったんやな?」
「えっとね、ブレン、その、私もブレンの好みのタイプとか聞いてみたいな…」
「さあ、好みのタイプをきりきり吐いてねブレン!! 女なら見境無いとかは止めてよね?」
「みんな少し落ち着いたらどう? そんなに責めたら余計に白状しなくなるわよ?」
「うんうん、アリサちゃんの言う通りだよみんな? こうやって囲んでるから逃げられないんだし。 それに夜はまだまだこれからだよ? ゆっくりじっくりと、ね?」
(は、母上達の目が好奇心に満ちている、父上をお助けするべきか、いやしかし、確かに惹かれる内容ではあるし……)
(どうしましょうヴィヴィオさん、不死の英雄としてのお話を聞けたと思ったら思いっきり踏み込んだ内容になりましたよ!?)
(えっと、こう言う時はさり気なく逃げ道を潰して白状させるべきだと思うんだけど……どうかなアインハルトさん?)
(何だこれ、あたしは純粋にロードラン各地を回った感想を聞きたかっただけなんだけど……、何でこんな状況に?)
シュテルの発した一言、『そんなカビの生えた昔話など興味はありません、私が一番聞きたい事はただ一つ、お父さんの女性歴です!!』と言う言葉だった。
と言うか嘘も何も、本当に当時は色恋にかまける余裕が無かったんだ、なのは達に色々聞かれても答えられない。 それで彼女等が諦めてくれれば良かったんだが、今度は好みのタイプと来た、俺はなのはを愛していると名言しているにも関わらずなのはも非常に興味津々と言った表情だ、俺は一体どうすれば良いんだ……。
キラキラとした目で迫るなのは達、ジリジリと追い詰められて行く俺、こんな状況で助け船を出してくれたのは意外もレヴィだった。
「ねぇみんな、何時あの闇術師が動くか分からないのにそんな事で夜更かししちゃ駄目だと思うんだけど?」
ロードラン時代の話をワクワクした雰囲気で聞いていたレヴィだったが、シュテルの質問以降暇そうにしていた彼女は寝ぼけ眼でみんなにそう言ってのけた。
浮かれていた彼女達は一気に冷静になり、先ほどの浮かれていた空間を四散させて其々の寝室へと向かって行った。
「ねーねー、お父さん。 今晩は一緒に寝ようよ、未来だと仕事で疲れてそうで頼み辛いし……」
「ああ、分かったよレヴィ」
後数日でシフも戻ってくる、そうすれば奴も直ぐに捕縛出来るだろうし、そうなればこの娘達ともお別れとなる。 全部終わったら、元の時代に帰る前に一度甘えさせてやっても良いかもしれないな。
不死の英雄 〜舞台裏〜
NGシーン 据え膳食わずはなんとやら
シュテル「どうも、みなさんのアイドル、シュテルです。 今日はお父さんのベットに侵入し、ファーストキス並びにあんな事やこんな事をしようと思います。 タイムパラドックス? 私がお父さんの妻になるのが正史ですので全く問題ありません」
ーー移動中ーー
シュテル「さあ、お父さんの寝室に来ました。 以前忍び込んだ際にはベットの側まで近寄って顔を近づけだけで反応できない速さで組み敷かれ、首に刃物を突き付けられましたが今回はあらかじめバインドをしておく事にしました。 ………………流石は初代妖怪首置いてけ、死ぬかと思いました」
ーーシュテるんベット際ーー
シュテル「さあ、バインドも済ませましたから抵抗出来ませんよお父さん!! 潔く私の愛を受け止めて下さい!!」ルバンダイブ
シュテル「!? 人の感触じゃ無い、こっ、これは抱き枕!? 変わり身の術が使えたのですか……。流石ですお父さん、ますます惚れ直しました、しかし時間的にお父さんを探すのは厳しそうですね明日に触ります。仕方ありません、今日は妥協してお父さんの匂いに包まれて寝るとしましょう」
なのは「トイレに起きたら娘がパジャマを脱いで未来の夫(予定)のベットの上で抱き枕抱えて寝ていた件について、レヴィの所で添い寝してるの知らなかったのかな? 折角だし、私もシュテルと添い寝しようかな?」