何時もの事ですね(震え声)
第百二十九話 父の教え
時は遡りブレンとマヌスが衝突した頃、システムU-Dの足止めを引き受けたフェイトとレヴィは、持ち前のスピードでシステムU-Dを翻弄しながら慎重かつ丁寧に攻撃を当てていた。
システムU-Dの目が彼女らの速さに慣れていないと言う事もあるが、時折挟み込まれる時間停止がシステムU-Dの感覚を大きく鈍らせ、中々彼女達への対策を建てられずに居ることが大きく、終始圧倒していた。
とは言えシステムU-Dは非常に硬く、彼女達だけでは倒しきる事が出来そうに無い。
その事を分かっているディアーチェは治療に回っているなのは、アルフ、シャマルの三人を除いて作戦会議を開く。
「時間も惜しいので、現状で取れる手段の中で手短に且つ単純な作戦を取ろうと思います。 …………まあ時間も道具も全く足りないので小細工も何も使えませんので作戦と呼べる物では無いですが」
そう前置きした彼女が口にしたのは要約すると自分達が持っている技の中でも比較的高火力な魔法なり技なりを使った力押しだった。
「見た所、シュテルの一撃にしろレヴィ達の一撃にしろ、僅かなりともダメージは通っています、それは我らのデバイスが父上の手によって神代の鉱石で強化されているお陰だろうと思うのですが、問題は父上による強化を受けていない母上と守護騎士達のデバイスではシステムU-Dに何処まで効果があるのか分からないと言う事です。恐らく唯の武器による物理攻撃では毛ほどもダメージを与えられ無いでしょう、なので守護騎士達にはこれを使用して頂きます」
そう言ってディアーチェが取り出したのは淡く青白い光を放つ何かの粘液と黄金松脂、前者の粘液は武器に塗る事で魔法の武器と同じエンチャント効果を得る事が出来る代物で、黄金松脂は使用する事で武器を帯電させる代物だ。 炭松脂や闇松脂もあるにはあるのだが、炎のエンチャントを掛けたとしてもルシフェリオンブレイカーによって吸収されてしまう、闇のエンチャントなど論外だ。
「但しこの道具は使い捨てですし、効力もそう長く続きません、精々三十秒程度ですので気をつけて下さい」
ディアーチェは守護騎士達に使用に際しての注意事項を告げながらエンチャントアイテムを手渡し、今度ははやてへと向き直る。
「次に母上ですが、母上にはある指輪を装備していただき、その上で魔術を使用しながら戦って頂きます。 ああ、勿論リィンフォースとユニゾンして貰ってですよ?」
「それはかまわへんけど……、私は魔術なんて使った事あらへんよ?」
「いえ、夜天の書には一度父上のリンカーコアが蒐集されています、ならばロードラン時代の魔術が本来の形で使用出来るはずです。 使用の際の劣化もデバイスには魔術を記憶だけさせておいてちゃんとした触媒を使えば劣化しません。 触媒は私の持っているものを渡しますのでそれを使ってください」
そう言ってディアーチェは一本の杖を取り出した。 その杖は魔法派生された叡智の杖、魔術しか使用出来ない代わりに触媒としての性能は最高級、ディアーチェ自身も魔術を使用する際に愛用している杖だ。
ディアーチェは軽くはやてに魔術の手解きをしてから自分がドラングレイグで手に入れた魔術も夜天の書へと記憶させて行く、そしてその間になのは達の治療のお陰でまずシュテルが目を覚ました。
「…………お母、さん?」
「良かった、目を覚ましてくれた……。 待っててね? 今すぐ完璧に治してーー」
「いえ、こ、このままで、結構です、下手に治療されてしまうと、せ、折角の指輪が使えません」
「で、でも……」
「こ、この、指輪は、瀕死、でなければ、効果を発揮しない、んです、ですから、大丈夫」
治療を拒否したシュテルはルシフェリオンを杖にしながら立ち上がる。 彼女の指には赤い涙石の指輪、澄んだ蒼石の指輪、佇む竜印の指輪、炎の奇手の指輪の四つが付けられている、瀕死な身体の方が今の彼女には都合が良かった。
「良い、ですか、お母さん。 私も、ディアーチェも、レヴィも、姉さんだって、何時までも、お父さんの背中には背負われたくは、無いんです。 お母さん達のように、お父さんを、楽にしてあげたいと、みんな思ってるん、です」
そして、彼女はまだ徹底的に攻撃力を跳ね上げるつもりなのだろう、呪術の火を取り出して身を焦がす炎を使用して全身に炎を纏い、更にルシフェリオンにも炎の武器を使用する事で此方にも炎を纏う。 そして、燃え盛る業火から熱を吸収しながらルシフェリオンブレイカーの準備を整える。
「だから、こんな所で、この程度の相手に負けていられないんです!!」
満身創痍の自分の身体へ喝を入れるように叫んだシュテル、彼女の戦う理由は絶対に弱音を吐かず、それを抱え込みながら解決する父の負担を減らしたいと言う一心から来る物だった。 決して膝を付かず後ろを向かない父は傷付く事を厭わない、シュテルはその姿勢が最早死んでも治らないと知っているので、それならばその傷を一つでも減らしたいと願っている。
その為には、助けられるような存在ではダメなのだ。
安心して見てもらえる存在にならなければならないのだ。
だからこそシュテルは親譲りの不屈の魂を持って立ち上がる、相手との力の差を見せ付けられても尚、彼女は勝つ事を諦め無い。
「お母さん、この一件が終わったら、私達が帰る前に、お父さんとお母さんと、三人で、デートしましょう」
「……うん、約束だよ?」
「はい、約束、ですよ?」
不死の英雄伝 〜舞台裏〜
NGシーン 足止め?
レヴィ「……ねぇお母さん、一つ聞いても良いかな?」
フェイト「如何したの?」
レヴィ「……あの子、僕らの事を目で追いまくってた所為で目回してぶっ倒れちゃってるんだけど?」
フェイト「えっ?」
システムU-D「うぅ、め、目が回りますぅ」
レヴィ「……如何しよう?」
フェイト「……如何しようか?」