不死の英雄伝 〜不屈の体現者〜   作:ACS

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今回から邪神編エピローグ、マテ娘×3との保護者同伴デートとヴィヴィオとアインハルトと遊んでから空白期入りします。


不屈の体現者 134

第百三十四話 後日談 治療で一悶着

 

 

「え、えっと……、ブレンくんの右足がとてもグロテスクな事になっているのですが、私の気の所為でしょうか?」

 

「……まるで魚の開きみたいになってますね、骨も筋肉も丸見えです。 流石お父さん、娘の私としては金輪際こんな真似は控えて頂きたいですね」

 

 

青い顔をしたなのはとシュテルが聖剣に凭れかかる俺に苦言を零す。その視線の先は俺の右足に向かっている、奴の胴を一閃する為に膝から混沌の刃を無理矢理振るって、斬り開きながら奴の身体を泣き別れにしたので右足が見るも悲惨な事になっていた。

 

抜刀する際に一々膝から混沌の刃を抜き直していては動きに無駄が出てしまう、奴が俺の記憶を引き継いでいる以上無駄な動きを一つでもしてしまえば死んでいたのは俺だった、だから足を裂いてでも斬り掛かる以外に手段がなかったのだ。

 

取り敢えず足を治療する為に大王の大剣を取り出し、その炎を使って裂けた足を元へと戻す、その最中にシステムU-Dを抱き抱えたディアーチェが申し訳無さそうな顔をしながら彼女の破壊衝動の治療を願い出て来た。

 

 

「父上、眠っていたシステムU-Dを呼び覚まし、その破壊衝動のタガを外したのはマヌスです。 ある意味ではこの娘も被害者の一人、如何にかして頂けないでしょうか?」

 

「別に構わないよ、減るものじゃないしね」

 

 

ディアーチェは俺があっさりと即答した事に軽く驚いているようだが、そもそも俺は身内の頼みを無下にするほど鬼では無い。 身体の怪我を元に戻し終えた後、ディアーチェの腕の中で気持ち良さそうに寝息を立てているシステムU-Dに始まりの火を当てる。

 

ディアーチェは治療が始まった事に胸を撫で下していたが、実を言うと心の闇と言うものは完全な治療が難しい。心の奥底に眠る彼女の破壊衝動、それは自身ですら持て余している力から来るものなのだろう、そのような心の闇は一度祓った所でいずれまた別の形で現れてしまう。

 

だから俺はこの娘の心の闇を祓うだけでは無く、感受性を高めておいた。恐らくこの娘も未来組と共に帰るだろう、その後生活で彼女達と寝食を共にし、その中で培った物こそがこの娘を真に治療する物となるはずだから。

 

 

後はヴィヴィオやアインハルトだが、いくらシャマルの治療とは言え一度死の淵に立たされた彼女達を完治させるには至っていない。 大王の大剣で治療しても良いのだが、俺も久々に神経をすり減らす戦いをした所為でそろそろ限界だ。 精神面に作用する繊細な作業の後に二人を治療して万一があった場合、始まりの火を使ってしまっているので二度と元に戻せなくなってしまう。

 

ソウルから残る二つのエリザベスの秘薬を取り出し二人の口に放り込み、咀嚼させようとしたのだが上手く口が動いていない。多少意識はあるようだが噛む力が残されていない様子、弱々しくても呼吸ははっきりとしているので仕方無く口移しでヴィヴィオとアインハルトにエリザベスの秘薬を咀嚼した物を飲み込ませる、口移しと言う方法を取ったからか後ろでなのは達の驚きの声が聞こえているが無視だ、人命救助の為なんだからノーカウントだノーカウント。

 

 

「お父さん、私も何気に重傷です、ですのでエリザベスの秘薬を私にも口移しで飲ませてください」

 

「残念だけど今ので品切れだよシュテル、そもそも君は俺の血を引いてるからか全然平気そうじゃないか」

 

「私の目を見てください、この目が嘘偽りを言っているように見えますか? 見えないですよね? と言う事でキスして下さい」

 

「嘘偽りは無いようだけどその代わり隠すべき劣情が見え見えだよ……」

 

何がそこまでこの娘を駆り立てるのか、キスの代わりにデコピンをその額に浴びせながら大王の大剣を一閃し、拠点のベットの上とこの場にいる全員の足元の空間を繋げて場所を移動する。悲鳴を上げながら落ちて行く皆には悪いが、マヌスと闇術師が展開していた結界が無くなった以上一般人に俺達の存在を気取られる危険性があるのでもたもたせずに撤収したかった。

 

無事に拠点に到着し、再びインフラ設備に大王の大剣と持って行ったは良いが使う暇と隙の無かった竜狩りの槍を突き刺し、空いているベットの上で横になる。

 

壁に立てかけられた時計を見れば昼過ぎ、朝一で闇術師との鬼ごっこを始め、俺の記憶と経験を所有した邪神との戦闘、色々疲れた。

 

なんだかんだでやはり奴は詰めが甘かった、俺の記憶と経験から此方の手札を全て晒した所までは良かったが、深淵の業に頼り切っていた当時と同じく、俺の経験と戦術に頼り切りになっていた事が奴の敗因。行動が読まれていると言うのならその更に二〜三歩先を行けば良い話、なまじ自分と同じ考えだからこそ今回の奴の思考は読み易かった。

 

横になって暫くして気が付いたが、シュテルやなのはが俺のベットに忍び込んできていない。不思議に思い、全員の様子を見回して見たが各々色々と疲労が溜まっていたのかそのまま眠っている。特に未来組、レヴィは鼻ちょうちんを浮かべながらフェイトと、シュテルもなんだかんだでなのはと、ディアーチェはシステムU-Dを挟んではやてと川の字で眠っている、ヴィヴィオとアインハルトは言わずもがなだ。

 

戦いに参加していなかったアリシア達に全部終わった事を告げ、俺も限界が来たのか微睡みの中へ意識を委ねていった。





不死の英雄伝 〜 舞台裏 〜

番外編 七夕が近いので英雄伝の面子で織姫と彦星

*今回は本編と全く関係ありません*


アリシア(ナレーション)

なのは(織姫)

ブレン(彦星)

放浪者(天の神)←超ゲスト出演


アリシア「昔々、天の川の側に天の神が住んでいました。 天の神には一人娘がいました、名を織姫と申します」


放浪者「おい織姫、今月のノルマ終わったかよ? まったく、周りの馬鹿神共が価値も分かんねえ癖に変にブランド思考な所為でお前も毎日大変だな」

なのは「全然平気だよ? でも仕事一筋なままで行き遅れる事が心配かなぁ」


アリシア「天の神はこの一言で彼女の婿を探す事に決め、その為に旅に出る事にしました。 勿論一人娘の織姫に悪態を吐いておく事も忘れずに」

アリシア「その後、あちこちを探し回った天の神は彦星と言う天の牛飼いの青年を婿に迎えると決め、彼に接触を試みました」

放浪者「おい、テメェが彦星か?」

ブレン「だったらどうしたのかね? ご覧の通り私は今仕事の最中でね、話があるならしっかりとアポを取ってくれなければ困る」

放浪者「お、俺は神だぞ?」

ブレン「知らぬよ、貴様が神だろうが悪魔だろうが私には私の都合と言うものがある、また日を改めたまえ」

牛頭のデーモン(天の牛)の群れ「■■■■ッ!!」


アリシア「…………牛、なんだよね? 牛で良いんだよね? てか神様を門前払って……」

アリシア「ごほん、牛のような何かを率いて去っていった彦星に腹を立てながらも、他に織姫の婿候補は居ない為、天の神は青筋を浮かべながらアポを取って再び彼の元に訪れ、織姫を紹介しました」

アリシア「どうにもお互い一目惚れしたらしく、トントン話で結婚まで行き着きましたが、彼らは年がら年中イチャイチャしており仕事も丸投げ、天の神の元には苦情が舞い込みまくりました」

アリシア「引っ切り無しに繋がるクレーマーとのホットライン、遂に非常に小さな勘忍袋が爆発し、天の神は織姫と彦星の元へと単身乗り込みました」


放浪者「と言う事でテメェら別れて仕事人間になりやがれ、俺のクレームを全てなくせ」

ブレン「断る、そもそも私と織姫以外に出来無い仕事という訳でもあるまい、酒池肉林で遊んでおらずに働けば良いだけの話だ、神の分際でそんな事も出来無いのかね?」

なのは「ごめんねお父さん……、私お腹の中に赤ちゃんいるからどのみちお仕事出来ないかな」

放浪者「喧しい!! 俺はともかく周りの神々が煩いんだよ!! 二十四時間三百六十五日クレームの電話が入ってるんだ、そこまで言うならテメェらが解決しやがれ!!」

ブレン「良かろう『他の神々からクレームが来なくなれば良い』これで間違いないんだな?」

放浪者「おう、勝手にしてくれ。俺はしばらく雲隠れする」


アリシア「…………こうして、一人の青年の手によって神々は一柱残さず駆逐され、織姫と彦星は幸せに暮らしましたとさ、めでたしめでたし」

アリシア「…………天の川って、神様の血で出来てたんだね(遠い目)」
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