私は圧倒的にボンボン派でした(白目)
第百五十一話 正義の味方、怪盗レトルト‼︎
俺の生活スキルはゼロである、料理を筆頭に掃除、洗濯に至るまで自分では全くこなす事が出来無い、先日前にフェイト達を家に止めた際には、犬耳病が治るまでの間彼女達に身の回りの事を色々とやって貰ったのだが、プレシアさんが愛娘欠乏症を引き起こしていると言う連絡を受けて今日朝一で帰ってしまった。
自炊する事の出来無い俺はもっぱら外食オンリーなのだが、屋敷周辺にある飲食店は全て網羅してしまい、食生活に飽きが来ていると言う問題が出ている。
はやての所に食事を摂りに行こうにも、間の悪い事に彼女は任務中、シャマルが残ってはいるものの、彼女の料理は出来れば遠慮したい。
仕方ない、今日は何時もとは別のエリアにまで足を伸ばそう、一月ほど前のように目玉焼きを焼くためだけに屋敷を全焼させる訳にも行かないしな。
出かける支度を終え、屋敷を出ようとした時に偶々付けていたテレビに緊急ニュースが飛び込み、思わず足を止めてしまった。
どうやら近くの銀行で立て篭り事件が起きたらしい。
乗り込もうにも療養中な手前、大っぴらには出歩けんし、如何した物か……。
この日私は、兄さんと共に買い物に出かける予定でした。
しかし、その為に銀行でお金を降ろしている最中、覆面を被った人達が銀行内で銃を乱射し、人質を取って立て篭ったのです。
子供の私が人質の一人として強盗達に捕まってしまったので、兄さんも迂闊に手を出すことが出来ずに捕まってしまいました。
「流石アニキ‼︎ 鮮やかなお手並みですぜ‼︎」
「魔導師連中は質量兵器戦を経験した事がねぇからな、万一管理局の連中が来ても平気つー寸法よ‼︎ そら、無駄話してねぇで、逃走用の車が来る前にとっとと袋詰めしちまわねぇか‼︎」
(……どうする? 相手は五人、二人が金の回収、二人が人質の見張り、最後に親玉がティアの頭に銃を向けている。 クソッ、こんな事なら非番だからと言ってデバイスを置いてくるんじゃ無かった‼︎ せめて、何か奴らの気を反らすきっかけさえあれば……)
兄さんが何か打開策が無いかと必死になっているのが分かります。しかし、私が足枷となってしまい、どうしようもないようで、私は無力な自分が情けなくて涙を流して居ました。
そんな時です、銀行に向かって彼らの逃走用の車らしき物が突っ込んで来たのは。
轟音を立てながら玄関をぶち壊し、中を滅茶苦茶にしながら突っ込んできた車の中から一人の少年?が文字通り飛び出し、着地すると同時にカッコつけたポーズを決めていました。
何故疑問系なのかと言うと、その少年は黒いマントとスーツを着込み、同じく黒いシルクハットと笑顔を貼り付けたような真っ白い仮面を付けていたので顔はおろか、性別すら分からなかったのです。
「ふははは、とおっ‼︎ すちゃ‼︎」
「えっ? 着地音自分で言うの!?」
「…………彩りましょう食卓を!! みんなで防ごう摘み食い!! 常温保存で愛を包み込む!! 華麗なる魔導師、怪盗レトルト!! ただいま参上!!」
「私の疑問無視して口上言い切ったよこの人!?」
「其処の少女よ、細かい事を一々気にしては行けない」
彼の登場で銀行内の重苦しい悲観的な空気が払拭されましたが、代わりに強盗を含めた全員が何とも言えない空気に包まれてしまいました。
「……おい、レトルトだかインスタントだか知らねぇが、テメェは一体何もんだ? 俺達の装備してるライフルやマシンガンが見えねぇって訳じゃねぇだろ?」
「私は怪盗レトルト、それ以上でもそれ以下でも無い!! 中に人など居ないぞ?」
「俺はテメェの正体を聞いてんじゃねぇよ!!」
「……ふむ、強いて言うならば、君が人質に取っているような美少女の味方だ」
あっ、この人絶対私の苦手なタイプだ。
兄さん!! ほら、強盗達は隙だらけだよ!! 次いでにあのバカ怪盗も伸しちゃってよ!! ってあれ?
「人質諸君!! 私が来たからにはもう大丈夫!! 直ぐに彼らを始末してーーーー」
「おい、お前、ちょっと良いか?」
「何だね強盗犯、今私が話している最中だろう?」
「人質の一人、踏んでんぞ?」
「えっ?」
「兄さぁぁぁぁぁん!!?」
急展開過ぎて気がつかなかったけど、そう言えば車が突っ込んで来た瞬間に兄さんが動いてたような気がしたような、……丁度彼が立って居る場所に。
「ごほん、こ、これはきっとコラテラルダメージと言う奴だ、事件解決の為の致し方ない犠牲だよ」
「事件をややこしくしてんのはテメェだろうが……」
震え声で兄さんを踏み倒した事を正当化しているバカ怪盗に、強盗達は一斉に銃を向ける。ふざけた空気で忘れてたけど、彼らは質量兵器で武装しているのだ、あんな英雄気取りの少年など一瞬で蜂の巣だろう。
思わず私が叫んだのと、彼らが引き金を引くのは同時だった。
「馬鹿ッ!! 逃げなさいッ!!」
「じゃあな英雄気取りくん、俺達の車を駄目にした罪を身を以て償えよ」
私のすぐ側で彼らの持つ銃が金切声を上げ、バカ怪盗に向かって一斉に凶弾が放たれる、あのバカの直ぐ下には兄さんが居る、あの距離では流れ弾を浴びてしまう。
目を強く瞑り、兄さんが死んでしまったと言う事実から目を逸らそうとしたのだけど、何か様子が可笑しい。
恐る恐る目を開けると、兄さんの襟首を掴んだバカ怪盗が無傷で質量兵器の雨を潜り抜けている姿が目に飛び込んで来ました。
私は呆気に取られてしまい、開いた口が塞がりませんでしたが、それ以上に驚いたのは、強盗達がマガジンの取り替えをする瞬間にバカ怪盗がマントの下からナイフを投げ付け、彼らの銃に深々とそのナイフを突き立てて行く事です。
実力の違い、とでも呼べば良いのでしょうか? 信じられ無い強さを見せ付けるその少年に恐れを成したのか、強盗団の団長が私に銃を押し付け、彼に脅しを掛けました。
「動くんじゃねぇぞ!! 調子に乗りやがって!! これならテメェが何かする前にこのガキの頭ブチ抜ける!!」
「そうか、ではやってみたらどうかな? それが出来るならね」
「……頭逝かれてるんじゃねぇのか? どう考えても、俺が引き金を引く方が早いだろうが」
「いや、君が引き金を引く事よりも、私が君を仕留める方が圧倒的に早いよ」
「つくづく舐め腐りやがって!! やってやろうじゃねぇか!!」
そう言って、強盗団の団長は本当に引き金を引こうとしたのですが、宣言通りにバカ怪盗は私に向けられた銃を弾き上げ、水面蹴りで強盗の足を払って転倒させるとそのこめかみに蹴りを入れて気絶させました。
その後は彼が銃を失った残りの強盗を片っ端から素手で伸して行きました。
気が付けば人質は全員解放され、私の目の前にはバカ怪盗が立っていた。
「私の一言で少し怖い思いをさせたようですまない」
「えっ?」
「足が震えているよ?」
見れば、私の足は確かに震えて居ました。
不思議な空気の中に居たので死の恐怖に晒されていた事をすっかりと忘れていたけれど、今になって命の綱渡りをされていた事に身体が震え始めました。
「良く頑張ったね、そんな君にはこのオレンジのガーベラだ」
「……オレンジの、ガーベラ?」
「この花の花言葉は『冒険心がある、我慢強い、神秘』と言う物、泣かなかった君にはぴったりじゃないかな?」
黒いシルクハットの中から手品のようにガーベラの花束を取り出し、私にそれを手渡した彼は、執事の様な丁寧な一礼をすると銀行の外へ視線を向けました。
どうやら管理局の人達が到着したようで、少し入り口が慌ただしくなっていました。
「それでは諸君、然らばだ!! 縁が合ったらまた会おう!!」
そう言って、彼は高笑いと共に煙玉を使用し、煙が晴れる頃には彼はその場から消えていました。
一体、彼は何者だったのでしょうか……。
不死の英雄伝〜舞台裏〜
NGシーン レトルトの正体
ユーリ「ブレンさん、倉庫掃除してたらこんな物が出てきました〜」つレトルト衣装一式
ブレン「ああ、それは私が変装用に昔使っていた物だよ」
ユーリ「へ、変装ですか!? かっこいいです!!」キラキラ
ブレン「ふむ……もう私はその服を着る必要は無いし、それは君に進呈しよう」
ユーリ「本当ですか!?」
ブレン「服の調整と共に専用の口上も考えておくから期待して待っていなさい」
ユーリ「はいっ!!」わくわく
〜後日〜
ユーリ「咲かせましょうお米の花!! 散らしましょう悪の華!! 天より舞い降りた美少女魔導師、レトルトレディ!! ただいま参上です!!」
ディアーチェ「……」絶句
シュテル「……」先を越された絶望
レヴィ「かっこいい!!」キラキラ