細かい事ですが隊長の他人称を間違えていたので修正しました(白目)
第百五十四話 部隊復帰
俺が退院してから一週間と少し、体調も万全なので療養を切り上げ部隊へと復帰となった。本当はあと半月ほど休暇が残っているんだが、少々厄介な事になったらしく人手が足りなくなり、俺にも招集が掛かったようだ。
隊に復帰した俺を同僚達は暖かく出迎えてくれたのだが、案の定クイントさんとメガーヌさんに弄り倒されてしまい、真面目な話をしようとしていた隊長が二人を張り倒すまで俺は玩具にされてしまった。
「…………やっぱり、貴女がたは俺の天敵だ…」
「も〜っ!! 隊長!! 軽いスキンシッブでしょ!?」
「そーだそーだ!! 私達は単純にブレンくんの復帰を祝ってるんですよ!? なんで殴られなきゃならないんですか!?」
「……重要な話の前だ静かにしていろ、それとも静かにされたいか?」
隊長は文句を垂れる二人をドスの効いた声で黙らせると、緩くなってしまった空気を引き締め直し、咳払いを一つ置いてから現在の状況説明を開始する。
現在、この隊は戦闘機人と呼ばれる者達の開発プラントの捜査をしている。
彼ら戦闘機人はあのスカリエッティが作り出した存在であり、その戦闘力は非常に高いのだが、問題は彼らでは無くまた別の所にあった。
現在、この部隊が捜査しようとしている機人プラント周辺に『マグリブ解放戦線』の者達が展開しており、捜査が滞っているそうだ。
彼らは時空管理局に対する反体制勢力の一つであり、ここ数ヶ月で急速に勢力を拡大した連中で、全体的な勢力としては小さいものの、彼らには砂漠の狼ことアマジーグが付いている。
彼は戦闘機人のノウハウを流用した『リンクス』と呼ばれる者達の一人であり、『ネクスト』と言う専用のデバイスと直接繋がる事で戦闘能力を別次元に跳ね上げる事の出来る連中だ、アマジーグが空の部隊と交戦した際の公式記録では個人で一個大隊を壊滅させたとある。
他の陸、海の部隊にもアマジーグによる甚大な被害が出ており、各反体制勢力からは英雄とまで呼ばれているそうだ。
そして、問題とはそのアマジーグが我々の捜査を妨害して居ると言う事と、捜査対象のプラントに怪しい動きが見られる事、俺が呼ばれた理由は恐らくーーーー。
「…………砂漠の狼が居るとは言え、攻めあぐねいている訳にも行かん」
「俺が呼ばれたのは、アマジーグにぶつける為ですか……」
「……毎度毎度、お前は察しが良過ぎるな」
「不死の英雄の察しが悪ければ生き残れませんでしたからね」
俺が呼ばれた理由は敵の最高戦力であるアマジーグの注意を引き付ける為、隊長の考えた作戦では無いだろうが、煮え湯を飲まされた上層部が考えそうな物だ。
メガーヌさんやクイントさんが絶句し、隊員のみんなが騒つく中、隊長が俺に最終確認を取る。
「本気、なのだな?」
「勿論、寧ろ囮程度なら俺一人で十分です、隊長は余計な心配をせずに残りの隊員を率いてプラント捜査に専念して下さい」
この言葉に嘘偽りは無い、マグリブ解放戦線が台頭し始めた頃にその戦闘映像を見たがアマジーグの使用するデバイスはあの転生者が使用していたデバイスやナインボール・セラフに似た機能が搭載されているようだった。初見ならば兎も角、二度も同じ様なデバイスと交戦したのだから十分対応出来るし、自分一人だけならば他の者に気を取られずに思うように戦える、そんな気持ちを込めながら渋る隊長の目を見つめる。
「…………分かった」
「隊長!! 本気ですか!? いくら何でもそれは!!」
「そうですよ!! せめて私かクイントをサポートに!!」
「ナカジマ、アルピーノ、病み上がりの子供に任せる任務では無い事は俺も十分理解している。しかしだ、目を見れば分かる。シュトッフは子供である前に俺達と同じ騎士なのだ、本人がやる気な以上俺達がどうこう言える立場では無い」
「決まりですね、クイントさんもメガーヌさんも心配せずに捜査に専念して下さい」
子供を持つ親として俺の事が心配なのだろうが、今の俺は無事に平常心を取り戻している、余程の事がない限りもう二度と折れはしない。
俺の意志が硬いと知った二人は本当に渋々と言った感じで納得し、作戦内容に耳を傾けていった。
作戦開始日は二日後、俺がアマジーグを襲撃すると同時に隊長達が他の場所からマグリブ解放戦線の防衛網を強行突破し、速やかにプラント内を強制捜査、一通り押収した後に退却、隊長達が安全圏まで撤退した後に俺も退却する手筈となった。
それは目には目をと言う上層部の意図がはっきりと分かる作戦内容であり、最早言葉も出ないが戦う俺としては非常に有難い内容だった。
尤も、クロノの下に居た頃に二人でやりたい放題やってた所為か俺も一部の連中からは怨まれているようだし、もしかすると嫌がらせなのかも知れないが。
ブレン・シュトッフ復帰後の初任務、それは伝説である不死の英雄と英雄と呼ばれる砂漠の狼との戦い、己の信念の為に戦う者達の戦い。
この時、彼らは一つだけ見落としている事があった。
プラント内の戦力、それが決して貧弱な物では無いと言う事、この見落としによってゼスト隊は甚大な被害を被る事になる。
この世界のリンクスは戦闘機人のバリエーションの一つです、直接オーバースペックなデバイスとリンクする事で跳ね上げる事が出来ますがその分寿命がマッハです(白目)