不死の英雄伝 〜不屈の体現者〜   作:ACS

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本日は月初めの更新ですので昨日の分も合わせていつもの倍になってます。


不屈の体現者 156

第百五十六話 白き閃光

 

 

乱入したリンクス、ジョシュア=オブライエンは肩の大口径レーザーキャノンを構え、俺とアマジーグの間を離すように発射すると、オーバードブーストを維持しながらクイックブーストを発動、高速移動中の急加速によって手に入れた並外れた速度で回避行動に移っていた俺の前に詰め寄り、クイックターンによる回し蹴りを放って俺の月明かりの大剣を蹴り飛ばす。

 

腕がもぎ取られたような痛烈な一撃、俺は弾き飛ばされた月明かりの大剣を追う真似はせず、デバイス内に格納してある黒竜の大剣を取り出してその力を解放、地面に突き立てられた切っ先から噴き出す黒炎はリンクス二人をその場から引き剥がす。

 

黒炎の波が二人の視界を塞いでいる間にゴーの大弓を取り出し、波の後ろから彼らを狙い撃つ。

 

先ずは竜狩りの矢を二発づつ彼らの動きを制限するように放ち、乱入者であるジョシュアに向かって黒騎士の大剣を無理矢理撃ち込む。

 

炎の壁の中から矢が放たれるのは彼らの想定内だったのだろうが、大質量の黒騎士の大剣を放った事でほんの一瞬だけ彼らの気を反らす、そしてその一瞬を利用して竜狩りの槍を展開、アマジーグに向かって雷の槍を放つ。

 

光速でアマジーグへと迫る雷の槍はプライマルアーマーを容易く貫き、そのまま彼を撃墜すると思っていたが、またしてもそれを阻んだのはジョシュアだった。

 

 

彼は自分に向かって放たれた黒騎士の大剣の腹を蹴り飛ばし、アマジーグと雷の槍の間に滑り込ませる事で彼を守る盾とし、左腕のレーザーブレードを展開しながら斬り込んで来た。

 

彼の展開したブレードはリーチが非常に長く、間合いが多少遠くても斬撃を届かせる事が出来る代物で、槍のような竿状武器とは違い、レーザーブレードはそれそのものが光の刃、軽い上に実体の無い刃なので腰の入らない体勢からでも良く切れる。

 

彼はネクスト特有の超高速移動で俺の背後に回り込み、格納が間に合わなかったゴーの大弓へと斬撃を放ち、張られていた弦を切断する。

 

彼の一閃によってゴーの大弓が使い物にならなくなった、これで俺は長距離攻撃を封印されてしまったが、俺もタダで転ぶつもりは無い。

 

弦が切断された大弓を俺の背後に回り込んだジョシュアの視界を遮るように投げ付け、帯電させた竜狩りの槍を突き出し、彼の心臓を貫きに掛かる。

 

仮にクイックブーストで回避したとしても、雷の槍を追撃として放つ事で確実にダメージを与える事が出来る。

 

しかし、ジョシュアの回避に合わせて俺の背中にミサイルが直撃、鎧越しだった為にそれ程のダメージは通ってはいないが、完全にジョシュアを取り逃がした。

 

爆風に押されるように地面を転がりながら機を狙っていたアマジーグに向かって溜めていた雷を放ち、今度こそ彼に雷の槍を被弾させる。

 

光速で対象を追跡する雷はジョシュアによるレーザーキャノンを使った撃ち落としによってその威力を削がれてしまい、見事にプライマルアーマーを貫いてアマジーグへ雷の槍が到達するも撃墜に迄は至らなかった。

 

レーザーキャノンによる威力減衰に加え、思っていたよりもプライマルアーマーの抵抗が強かったのが仕留め損ねた原因だろうが、悔やんでいる暇はない。

 

あの白いネクスト、ジョシュアの腕が非常に立つ上に咄嗟の判断能力と反応速度が優れている、要所要所で此方へ妨害の手を入れ退くべきところではきっちりと退くので中々本命のアマジーグを墜とせずにいる。

 

 

リンクスの規格外さを噛み締めながら、俺は地に伏した体勢から身体のバネを使用して飛び起き、竜王の大斧を地面に叩き付けてその力を解放、地面にクレーターを作りながら土煙を舞い上げて再び目眩ましを敢行する。

 

彼らの視界を塞ぎながらローガンの杖を取り出して魔術を放つつもりだったのだが、先ほど舞い上げた土煙がアマジーグのミサイルによって払われる。

 

此処までは想定内、同じ奇襲や奇策は二度通用しない事は分かりきっていたが、彼らが銃を向けるよりも先に一呼吸早く俺の魔術が発動すると踏んでいたのだが、想定外な事に、俺が仕掛けた奇襲によって破壊された装甲車が投げ込まれ、逆に此方の視界を遮られる。

 

 

俺は混沌の刃を取り出し、投げ込まれた装甲車を両断するつもりだったのだが、両断した際に生まれる隙を突かれる可能性に思い至ると同時に抜刀しかけていた刃を納め、先ほど使った竜王の大斧を両手で握って迫る車体を殴り付け、インパクトの瞬間にその力を解放して装甲車を弾き返す。

 

竜王の大斧を振り抜くと同時にそれを手放してクレーターの中から飛び出し、スナイパークロスを展開、矢を装填しながらデバイスの中からカートリッジを取り出す。

 

このカートリッジは以前、レイジングハートとバルディッシュを強化する際に際に手に入れた物、カートリッジシステムの搭載されていない俺のデバイスでは使用出来ないが、物は使い用だ。

 

俺が弾き返した装甲車の影から左右に二人が飛び出し、其々が此方に照準を合わせてきている。ジョシュアは肩のレーザーキャノンをチャージしながら右手のライフルを構え、アマジーグは全ての火器を此方に向けていた。

 

そんな二人の間に先程取り出したカートリッジを投げ込み、彼らが其々引き鉄を引いた瞬間にそれをスナイパークロスで撃ち抜き、カートリッジに込められた魔力を爆発させる。

 

俺が投げたカードリッジはなのはの持つ膨大な魔力が圧縮された物、それを撃ち抜く事で圧縮された力が空中で暴発し、彼らの放つ鉄の雨を吹き飛ばすだけに飽き足らず、この場に居る全ての者をその場から弾き飛ばす。

 

 

魔力の波動によって弾き飛ばされながらも、空中にいる彼らが体勢を立て直している間に真っ先に蹴り飛ばされた月明かりの大剣を回収しに向かう。

 

俺の動きにジョシュアはいち早く対応し、不完全なチャージながらも肩のレーザーキャノンを放ち、俺の足を止めにかかる。

 

俺は迫り来るレーザーをギリギリまで引き付け、それを紋章の盾でパリィしてジョシュアに向かって打ち返し、取り出していたローガンの杖を使用して魔術を発動、選択した魔術は闇の飛沫、散弾のように拡散する深淵の力は足の止まった俺に斬り込もうとしていたジョシュアに鑪を踏ませる。

 

その瞬間、蹴り飛ばされて地面に突き刺さっている月明かりの大剣の柄を踏み付けると共に足を通して魔力を聖剣へ流し込み、柄を踏み台にして飛び上がると同時に光波を暴発させて加速、デバイス内のハルバードを取り出し空中にいるジョシュアに向かって一閃する。

 

彼は咄嗟にクイックブーストで回避したものの、ハルバードの炎が厄介なレーザーキャノンに燃え移る。

 

ジョシュアは誘爆を警戒したのか、それともこの炎の力を察したのか、即座にレーザーキャノンをパージ、落下する俺に向かってレーザーブレードを展開して斬り掛かる。

 

落下するだけの俺は避ける事も逸らすことも出来無い為、左腕の紋章の盾でブレードの一閃を凌ぎつつ、ジョシュアの背後から放たれるアマジーグの弾丸をハルバードで焼き払いながら肉薄しているジョシュアのプライマルアーマーにハルバードの切っ先を捩じ込み、爆風を巻き起こして地面まで一気に落下する、その際にジョシュアのブレードが俺の鎧の隙間を縫うように右肩に突き立てられていた。

 

恐らく盾受けされていたブレードを一度消し、紋章の盾をやり過ごした後に再度ブレードを展開したのだろう。

 

 

肩の傷もさる事ながら、かなりの高さからの落下だった為、受け身を取りながらも衝撃で足を痛めてしまったが、その代わり至近距離でハルバードによる爆炎を厄介な男に浴びせる事が出来た。

 

だが、重要な事は俺が彼らを討つ事では無く、隊長達が目的を果たすまで耐える事、撃墜できれば問題無いのだろうがこの分だとどの道時間が掛かる。

 

先ほど、無事に潜入に成功したと言う連絡を受けた、予定の時刻より少々遅れてはいるがそれ程マグリブ解放戦線の抵抗が激しかったのだろう。

 

隊の仲間達にも多数の犠牲が出ており、調査人数も大幅に減ってしまったとの事、俺は嫌な予感がして来たもののその思いを振り切り、目の前のリンクス達に集中する。

 

足や右肩を痛めている為深い踏み込みや先ほどのような爆風の利用などが難しくなったものの、月明かりの大剣を回収出来ればその問題も解決できるし、まだ俺には魔術も残っている。

 

二人のリンクス達もジョシュアは中破、アマジーグは小破と言った形なので戦況自体は悪くは無いのだが、此方はゴーの大弓を潰され、月明かりの大剣は蹴り飛ばされたので長距離に対応出来る代物が少なく、引き撃ちを徹底されては手も足も出ないだろう。

 

武器自体のストックはまだ幾らか残っているので全く戦えないという事は無いが、使い道が限られて来る上に基本的には近接武器ばかり、やはりゴーの大弓を潰されてしまった事が一番の失態か。

 

長年使ってきたハルバードを構え直し一度呼吸を整え直してからよりダメージの深刻なジョシュアに向かって視線を合わせる。

 

 

彼はアマジーグ以上に此処で殺しておくべき存在だ、既に私生活ですら死に体のアマジーグとは違い、彼の動きは軽快でリンクス化の影響は軽そうだ。

 

アマジーグは一つ一つの行動に血反吐を吐くような表情を浮かべているのに対し、ジョシュアはクイックブーストやオーバードブースト等の動作を問題無くスムーズに行えている。

 

アマジーグ一人ですら多大な被害を被っているにも関わらず、彼以上に厄介なこの男を逃しては後々に必ず禍根を残すだろうが、かと言ってアマジーグを無視してジョシュアとの一騎打ちを望む事は難しい。

 

俺がどうやってジョシュアを墜とすかを思案していると、アマジーグがジョシュアの前に立ち、何やら一言二言ジョシュアに投げ掛けると彼は少し悩みながらも撤退して行った。

 

 

「彼には退いて貰った、元々この戦いは私と君の戦い、部外者である彼が生命を掛ける物では無い」

 

「良かったのかい? 二対一なら兎も角、一騎討ちならば君に勝ち目なんて無いよ?」

 

「…………どの道、私にはもう時間は残されていない、終わりが早いか遅いかの違いでしかないさ」

 

 

アマジーグは自嘲するようにそう嘯くと覚悟を決めた表情でオーバードブーストを起動するのだった。

 

 

 





流石にジョシュアを落とすのは早いので彼には此処で退場です。

彼にはsts時代でもう少し活躍して貰いたいので(白目)
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