不死の英雄伝 〜不屈の体現者〜   作:ACS

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デートとは名ばかりの地味にシリアス回、能天気アリシアさんのお悩みです。


不屈の体現者 170

第百七十話 デート アリシア・テスタロッサ編

 

 

合法ロリ、それは幼い少女の見た目のままで年齢を重ねて行った女性達の総称であり、特殊な趣味の男性達の救いの道である。

 

その多くは神や吸血鬼と言った人ならざる者達であり、実年齢が数百歳を超えている事が多い。

 

また、近年では呪いの道具や聖剣などと言った無機物に宿る精霊などもこのカテゴリーに当てはまる。

 

彼女達に共通する物は、子供らしい寸胴体型と微塵も成長する気配の無い身体であり、彼女達はその事に頭を悩ませている事も多い。

 

 

学校終わりにそのまま制服デートと洒落込んでいたアリシアは、学校終わりにクラスメートから投げ掛けられた『アリシアちゃんて、所謂合法ロリって奴だよねー』と言う言葉がなんとなく気になり、隣に居るブレンの持っていた企業連製の電子辞書で検索したところ、この様な説明文が記載されており、思わずその電子辞書を握り潰してしまった。…………『ネットスラングから業界用語迄、世界中のありとあらゆる言葉と単語を記載しました』と言うキャッチコピーのこの電子辞書のお値段、なんと89,800円也。

 

涙目になっているブレンの隣で『うがー!!』と憤りを声に出しているアリシア、正に彼女は合法ロリその物であり、高等部の男子生徒の何人かから告白された事もあった。ーー尤も、その男子生徒達は告白した翌日にとある人物の手によって血祭りに上げられ、二度とちょっかいが出せない様に真っ当な衆道者へと仕立て上げられたのだが。

 

兎も角、アリシアは自身のコンパクトなボディーに強いコンプレックスを懐いており、日々女性らしくなっている妹とその友達に劣等感を感じられずには居られなかった。

 

ブレン曰く、死者蘇生と言う無茶をしたのだからその程度の不備は当たり前で、寧ろ他の部分に障害が出なかっただけ御の字と捉えるべきらしい。

 

 

「ちきしょー、こんなコンパクトなボディーの所為で私はジェットコースターにも乗れないし、一々身分証提示しなきゃ映画も見れないんだよ? 何とか出来ないのブレン」

 

「……そう言われてもね、前にも説明した通り、君の身体には成長が止まっている以外に欠陥らしい欠陥が無いんだ、俺は君達の容姿を好きになった訳じゃ無いんだし、気にする必要も無いんじゃ無いかな?」

 

「そ れ は !! ブレンが順調に成長してるから言えるセリフでしょ!! 私は知ってんだからね!! 右肩上がりに身長が伸びて行ってるって事!!」

 

「まあ、このまま行けば高等部を卒業する頃には身長も180㎝を越えるかも知れないね」

 

「自慢か!! 私だってフェイトみたいに胸ばーんで、腰がきゅっで、脚がすらーってした大人になりたいの!!」

 

「往来の真ん中であんまり騒ぐ物じゃ無いよ、アリシア」

 

 

地団駄を踏みながら世の格差(身長、バストサイズ、脚の長さ)を嘆いているアリシアと、それを宥めているブレンを道行く人々は微笑ましげに眺めながら擦れ違って行く、それが更にアリシアの導火線に火を付ける。

 

「大体、ブレンも恥ずかしく無いの!? 私達彼氏彼女の間柄なんだから、その内ロリコン扱いされる事になるんだよ!?」

 

「言わせたい奴には言わせておけば良いさ、俺の愛はその程度じゃ揺るがない」

 

「うぅぅ……、どうしてこんな時ばっかりそんな言葉口にするのさ……」

 

アリシアは溜息を一つ漏らすと、騒ぎ過ぎて疲れたのか、ブレンの背中に飛び乗り、自分の弟子が言っていた『兄さんの背中のベストポジション』とやらを堪能し始めた。

 

あれだけ騒いでいたアリシアだったが、自分の成長に関しては半ば諦め掛けていた。何故なら、リンカーコアこそ存在しないものの彼女も大魔導士プレシアの娘であり、その頭脳は聡明であった故に自分がどれだけ恵まれているかを理解出来て居たからである。

 

 

(…………まぁ、私は一度死んでるから、生き返れた事は幸運以外の何物でも無いし、その代償として成長が止まってるって言うんなら我慢も出来るんだけどさ。…………全く自分に変化が無いと、今が現実かどうか分からなくなるんだよね)

 

彼女は幼いままでその生命を散らし、数年越しにプレシアの手によって再びその生命が此の世に舞い戻った。

 

しかし幾ら母が大魔導士と呼ばれていても、死者蘇生などという道理を外れた事を実現してみせた事がアリシアには時々信じられ無くなり、今自分が現実と思っている世界が走馬灯の見せる幻覚なのでは? と言う不安にその都度駆られている。

(…………ちょっと違うかも知れないけど、こう言うの胡蝶の夢、だったよね。 …………こんな楽しい毎日が私の幻覚でしたー、なんて言うのは流石にいや、かな)

 

 

成長しない身体に彼女が文句を零す理由、それは即ち自分が生きていると言う確信が欲しかったから、この幸せな日々が夢幻の物では無いと言う実感が欲しかったからだった。

 

(……中学になって、私以外はみんな大人びて来た、私だけ子供の姿のままで取り残されて、もしかしたらって気持ちが強くなって、……もうどうすれば良いのか分かんないや)

 

 

ぐるぐるとアリシアの頭の中をネガティヴな考えが駆け巡って止まらなくなる、優しい家族も、楽しい仲間達も、師匠と慕ってくれる女の子も、この背中から伝わる温かみも、みんなみんな自分が最期に見ている幻なのでは無いかと、そう思ってしまっていた。

 

そんな中、彼女を背負いながらも黙々と街を歩いていたブレンが口を開いた。

 

 

「…………アリシア、この世界は諦めなければ、思い続けていれば、どの様な願いであったとしても何時の日か必ず願いが叶う世界なんだ。 私がそう言う理を創り、法を創り、世界を創り変えた、だから自分の身体と状況を気に病む事は無い、必ず成長すると思えば必ず成長するし、君自身が生きていると思えば君は生きているのだ」

 

 

ーーーーだから、些細な事で頭を悩ませる必要は無い。

 

 

ブレンはそう締めくくり、近くのショッピングモールへと足を踏み入れた。

 

 

ーーーーねぇ、ブレン。

 

ーーーーん?

 

ーーーーありがと。

 

ーーーーどういたしまして。





不死の英雄外伝 〜舞台裏〜

NGシーン 握り潰した物


アリシア「よっしゃー!! 日々諦めずしょーじんしてればフェイトや母さん見たいなナイスボディーに慣れると分かった以上、うじうじは終っわりー」

ブレン「悩みが取れた様で良かったよ(尤も、小さいお陰で細かな事が得してるみたいだし、その誘惑に勝てるかどうかが勝負なんだけどね)」

アリシア「なんかいったー?」

ブレン「いいや、何にも?」

アリシア「ふーん、あっそうだ、これ弁償するね」つ電子辞書だった物

ブレン「別にいいよ、それ其処まで高く無いし」

アリシア「いやいや、だったら尚更弁償させてよ、ほら一応私おねーさんだからさ」←自慢気

ブレン「うーん、じゃあ金額だけ返してもらおうかな? 中々売ってないし、企業連の製品は一週間単位で新商品が出ちゃうしね」

アリシア「……地球って、本当に訳わかんないよね」

アリシア「ま、良いや、取り敢えず幾ら渡せば良いの?」

ブレン「89,800円だね」

アリシア「ぱ、ぱーどぅん?」

ブレン「?89,800円だよ?」

アリシア「…………」←サイフミルミル アッ ゼンゼタリナイ

アリシア「か、身体で払うね?」

ブレン「えっ? あっ、うん」
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