不死の英雄伝 〜不屈の体現者〜   作:ACS

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取り敢えず昔話回は終わりで御座います(白目)



不屈の体現者 175

第百七十五話 ロードラン 後編2

 

背景、お空の上のお星様となったお母さん、いかがお過ごしでしょうか? 私は今とてつも無いピンチに陥っています、超ピンチです、助けて下さい。

 

「兄さん、兄さんってば!!」

 

「ルーテシア、じっとしていてくれないか?」

 

「目が覚めたら命綱無しのロッククライミング状態の人の背中におぶられていた私の気持ちを考えての発言それ!?」

 

そうです、そうで御座います、この馬鹿兄さんは素手でこの断罪絶壁をよじ登ってるのです、ちきしょー!! 珍しくシリアスな感じで少し見直したのに結局これだよ!! このお馬鹿!!

 

 

(ひぃぃぃい!! 風がぁ!! 高さがぁ!! あばばばば!!)

 

し、下が見れない、上はまだまだ先、小石がパラパラ落ちる音が恐怖感を煽る事煽る事、何時の間にか中腹だから戻ることも出来ないし、決めた!! 帰ったらなのはさんに真っ先に飛行魔法を習おう!! そうしよう!!

 

 

「兄さん!! みんなが来てから一緒に連れて行ってもらうとかじゃダメだったの!? 素手で登らなきゃダメだったの!!」

 

「………………登ってから気が付いたからもう遅いよ」

 

「SOS!! SOS!! あっ、そうだ!! 兄さんデバイスと携帯持ってたでしょ!! どっちでもいいから早く出して!!」

 

「それならポケットの中にあったんだけどね」

 

「何でもいいから早く!!」

 

「…………途中で落とした」

 

「け、携帯は!?」

 

「電池切れだ」

 

「ばっきゃろぉぉぉお!!」

 

 

ダメだ、一瞬でもこの駄目兄さんがクールでかっこいいなんて思った自分が馬鹿だった、この人は徹底して駄目だ、何もかもが駄目だ、一生尻に敷かれてろ!!

 

「嗚呼、この超絶ぷりちーでパーフェクトなスーパー美少女のルーテシアちゃんがなんたってこんな目に……」

 

「…………毎度毎度自己評価が高くなって行くのは構わないけど、昔みたいに俺の背中に粗相をしないでくれよ?」

 

「デリカシーって言葉を百回辞書で引き直せぇぇえ!!」

 

「”デリカシー” 感情、心配りなどの繊細さ。微妙さ。使い方としては『―に欠ける振る舞い』『―のない人』と言った形になるね」

 

「喧嘩売ってんの!?」

 

「至って真面目なんだけど……」

 

「なお悪いわぁぁぁあ!!」

 

 

頼りになるようで全く頼りにならない兄さんの上で講義する事小一時間、やっとこさ兄さんが絶壁を登り切り、私は命の危機から解放された。

 

けれど、そこで見た光景は幻想的で、幼い自分の少ない語彙では表しきれないほど美しい物だった。

 

 

「此処が神の国、王都アノール・ロンド」

 

隣に座った兄さんの説明が耳に入ってこない、御伽噺に出てくるようなお城とはスケールが違う建築物の数々、そしてその全てを照らし出す太陽の温かい光、それらが合わさってこの場所に神秘的な雰囲気を醸し出していた。

 

兄さんから教えて貰った太陽の信徒達が、如何して太陽を崇めているのかと言う事が、少しだけ分かった様な気がする。

 

ぽけーっと美しい王都を眺めていると、座ってこの場所の説明をしていた兄さんが歩き出したので、私もそのまま後を追って行く。

 

 

 

 

兄さんが何者なのかは分からない、聞いてもはぐらかされてしまった。

 

冷静になって考えてみれば兄さんはなのはさん達とは違ったベクトルの強さを持っている、どうやってその強さを磨いたのか、兄さんの持っている武具は何処で手に入れたのか、怪我や痛みに無頓着なのは如何してなのか、色々聞いては見たものの、全てノーコメントだった。

 

私は出来る女だから話すつもりの無い事を無理矢理聞き出すような真似はしないし、兄さんの事だからその内なんの脈絡も無く話してくれるだろうと理解してはいるものの、聞けば何でも教えてくれた兄さんにしては珍しい事だった為、どうにも釈然としない気持ちを抱く事になってしまった。

 

(取り敢えず、この釈然としない気持ちは兄さんへの嫌がらせで発散するとして……、今はあんまり深い事考えないで兄さんの話を静かに聞いとこうかな)

 

「じゃあ次はあの梁の上を歩いてみようか」

 

「無理だって!! そんな足場最悪な場所、一歩間違わなくても転落死だよ!?」

 

「彼処には君の勉強になりそうな物がまだ残ってる筈だから見に行っておいて損は無いよ」

 

「それにしたって無理があるって!!」

 

この人の辞書には恐怖心と言う言葉が記載されていないのだろうか?

 

結局、再びおんぶされながら梁の上を渡って行く、その最中周辺の柱に幾つかボウガンが設置されていて、その矛先は全て此方を向いていた。

 

見れば辺りには其処彼処に罠が設置されていて、その何れもが単純かつ効果的な代物に見える。

 

ワイヤーが残っている所を見ると、これらはワイヤートラップの類の様子、その気になれば私だって設置出来そうだ。

 

その後、兄さんにはこの広いアノール・ロンドを色々と案内してくれたのだけど、取り敢えず一個だけ兄さんに聞きたい事が出来てしまった。

 

 

「なんで一箇所だけ爆破された様な跡があるの!? 壁とか床とかとんでもない事になってるんだけど!?」

 

「此処の床は地雷原でね、先を急いでいた事もあって処理するのが面倒だったから全部起爆させたのさ、壁にも相当量仕込まれていたみたいだからこんな事になってしまったんだ、ソラールには悪い事をしたよ」

 

「一人でしみじみしてるとこ悪いけど、此処って神話の時代の土地だよね? なんで現代兵器があるのさ、てかソラールって誰?」

 

「これは例の放浪者が設置した物でね、相手を殺す為だけにこれを思い付いた奴は本当に天才だった」

 

「…………この時代の人は化け物ばっかりじゃん」

 

「ソラールはまともな男だったぞ?」

 

「どーだかねー、兄さんの”まとも”は信用出来無いからねぇ……」

 

その後、散り散りとなっていたみんなと合流し、そのままこの地を余す事無く巡って行った。

 

此処で見聞きした事を、私は一生忘れはしないだろう。





妹様ダイジェスト

妹様in不死教会

ルーテシア「兄さん、彼処になんか刺さった跡があるけど、あれ何?」

ブレン「あれはハルバードを蹴り飛ばした時に出来た跡だね」

ルーテシア「ハルバードとは一体何だったのか……」

妹様in最下層

ルーテシア「うへぇ……」

ブレン「汚水処理施設だからこんな物さ」

ルーテシア「腐った何かがドロドロになってよく分からない物体になってるよぉ……」

妹様in病み村

ルーテシア「足場やばいよ!? 頼りない木製の橋的な物だから引き返そうよ!! 見るからに劣化してるから!!」

ブレン「何とかなるよ、渡るところさえ気を付けていればね」

ルーテシア「それが出来るのは兄さんだけだよ!!」

妹様in地下墓地

ルーテシア「地蔵から針が飛び出るってどーゆーこと?」

ブレン「さあ、これも供養の一環なんじゃ無いか?」

ルーテシア「どんな供養よ!!」

妹様in古城

ルーテシア「振り子ぶらぶら、足はがくがく、かわいい妹虐めるのがそんなに楽しいか!! この鬼畜!!」

ブレン「そんな減らず口が叩けるならおんぶを辞めてもいいんだよ?」

ルーテシア「やめてください死んでしまいます」

妹様in書庫

ルーテシア「蔵書が……、一つも無い……、だと?」

ブレン「折角だから根刮ぎ失敬して置いた、今思えば本棚ごと失敬するべきだったね」

ルーテシア「書庫とは一体何だったのか……」

妹様in巨人墓場

ルーテシア「暗っ!!」

ブレン「ほら、明かり」つ頭蓋ランタン

ルーテシア「ギャァァァァア!!」

妹様inデーモン遺跡

ルーテシア「此処だけ異様に焦げてるんだけど……」

ブレン「放浪者と共闘していた事をすっかり忘れていてね、うっかり黒竜の大剣の炎で焼いた男が居たんだよ」

ルーテシア「は、傍迷惑な……」

妹様in小ロンド

ルーテシア「おー、何だか遺跡って感じだね」

ブレン「タチの悪い亡霊がウヨウヨとしていたけどね」

ルーテシア「や、止めてよ、そうやって私を怖がらせるの」

妹様in火の炉

ルーテシア「…………紛争地帯?」

ブレン「当たらずとも遠からずかな、放浪者の最期の地だよ」

ルーテシア「へー、放浪者って此処で死んだんだ」

ブレン「彼は君の理想の男性像をバッチリと満たした男だったんだけどね、潔く散ったよ」

ルーテシア「た、例えば?」

ブレン「?」

ルーテシア「顔とかの話」

ブレン「顔か、私同レベルだったな」

ブレン「後は面倒見も良さげだったし、家事炊事も十全にこなせると言っていたが、何より特筆すべき点はーー」

ブレン「弄りがいのある男と言う点だな、ルーテシアならきっと気に入ったと思うよ?」

ルーテシア「何故死んだし」
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