不死の英雄伝 〜不屈の体現者〜   作:ACS

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ヒャッハー質量兵器で血の雨が降るぜぇぇぇえ!!

ブラボのSLはどの辺りで止めるのが良いのだろうか……。


不屈の体現者 177

第百七十七話 マグリブの落日 上

 

 

その日は隊長達の命日で、ルーテシアと二人並んでメガーヌさん達の墓参りに来ていた。

 

毎年の事なのだが、ルーテシアは墓の前に立つと饒舌な口が閉じてしまい、俺の手を強く握りながら一言も口にしなくなる。

 

メガーヌさんの遺体が発見されていないと言う事は未だルーテシアには話していない。

 

散々悩んだのだが、あの惨状では生存は絶望的であり、遺体が見つかっていないと言うだけで生存していると言う証拠にはなら無いだろう。

 

故に、俺は変に希望を持たせる方が残酷だと判断し、この遺体の無い墓の事はルーテシアには秘密だった。

 

俺が大切な事を自分の一存で黙ったままにしている事に後ろめたさを感じ始めた頃、しとしとと雨が降り始めた事に気が付いて居なかったようで、ルーテシアに手を引かれて漸くその事に気が付いた。

 

空を見上げると鉛の様な曇天が空を覆っていた。

 

今にも豪雨になりそうな雲だった為、無言のまま『帰ろう』と手を引くルーテシアが風邪をひかない様にコートを着せ、墓地を後にしようと思ったのだが、雨の音に紛れて何かが飛来する音が聞こえ、反射的にルーテシアを抱き抱えてその場から飛び退いた。

 

その瞬間、ライフル弾が墓石を粉砕し、地面に着弾して石畳を大きく抉った。

 

突然の奇襲に面食らっているルーテシアを抱き締めながらデバイスを取り出し、即座に近くの部隊に連絡を入れようとしたのだが、帰って来るのはノイズのみ、携帯も圏外になっている事からこの辺り一帯にECMが展開されているのだろう。

 

墓石の影に隠れながら、怯えるルーテシアを安心させる為に先程よりも強く抱き締め、全神経を集中させて周囲の索敵を開始する。

 

(…………周囲には人影どころか気配一つ無い、雨音はするがまだ豪雨と言うほどの物でも無いから呼吸音や衣擦れの音を聞き逃している事も無い、となると狙撃か)

 

狙撃手を探そうと墓石の影から辺りを伺っていると、再び風切り音が聞こえたので、ルーテシアを抱き抱えながら全力でその場から離れる。

 

着弾と同時に容易く墓石が砕けている所を見ると、相当な威力を持った物という事が分かる。

 

 

(…………ざっと見た所狙撃手は五㎞圏内には存在しておらず、もっと遠くから俺の事を正確に狙い撃っている、そしてそんな長距離から狙撃出来るだけの腕とそれを可能にする銃を持っている存在、それは即ちーー)

 

 

ーーーーリンクス。

 

それも唯のリンクスでは無い、発砲音すら聞こえ無いような距離からの狙撃を可能とする様なリンクスだ、必然的にその存在は限られてくる。

 

 

(恐らく俺を狙い撃っているリンクスは『女王 メアリー・シェリー』と見て間違いない、相手が一人なら何とか撒けるか?)

 

 

相手を撃破してしまえばそれで終わりなのだが、此方の射程範囲外から一方的に狙い撃たれている為、反撃は難しい。

 

逃走経路を脳裏に浮かべながら逃げていると、激しくなって来た雨の所為で大分緩和されているが血と硝煙の匂いと共に周囲から銃声と爆発音が鳴り響いている事に気が付いた。

 

俺は市街地が戦闘状態になっている為、無傷で逃げる事は不可能と判断、即座にデバイスを起動し、格納していた装備を身に付けると共にルーテシアの背中にアルトリウスの大盾を貼り付けておく。

 

「ルーテシア」

 

「な、なに、兄さん? は、はやく、はやく逃げ無いとーー」

 

「暫くの間、目を瞑って耳を塞いで居なさい」

 

「にい、さん?」

 

「先ほどシフに連絡を入れたから数十分後には彼が到着する、それまでの間は何も見聞きし無い様にするんだ」

 

「シフが? でも、シフは地球じゃあ……」

 

「アレは俺の使い魔である前に一体の神狼だ、どれほど距離が離れていようと彼の前では些細な事だ」

 

「でも、だって、シフは何時も蝶々追っかけたり、ひっくり返ってお昼寝してるような犬だよ? シフを呼んだからってーー」

 

「ルーテシア、今はそんな事を言っている暇は無い、シフが到着したら彼の背中に乗って逃げるんだ、ーー此処から先は君にとっては刺激が強すぎる」

 

ルーテシアの指に霧の指輪と静かに眠る竜印の指輪を付け、アルトリウスの大盾の力を使って彼女の周りに結界を張る。

 

俺が逃げる事を辞めた理由、それは市街地にてゲリラ戦を行っている者達の装備に見覚えがあったからだ。

 

 

マグリブ解放戦線、俺が数年前に『砂漠の狼 アマジーグ』を撃破した事によって衰退の一途を辿っている反体制勢力で、当時の部隊が壊滅した原因の一つ。

 

現在は残党と称される程弱体化しており、最早当時ほどの力を持ってい無いと聞いていたが、追い込まれているからこそ形振り構わない作戦に打って出たようだ。

 

 

俺がルーテシアの安全を確保した瞬間、三度俺の頭を狙った狙撃が敢行され、それを回避する為に転がる様にしてライフル弾の弾道から逃れたのだが、地面が抉れる音でマグリブの残党に俺の居場所がバレてしまった。

 

「アマジーグの仇ィィィィイ!!」

 

 

吠えるようにライフルの銃口を俺に向けたのは少年兵、年はルーテシアよりも二~三歳年上だろうが、敵である事に代わりは無い。

 

彼が引き金を引いた瞬間、ライフルが金切り声を上げ鉛玉を盛大にばら撒く、身を低くしながら急所に被弾し無いように突っ込み、混沌の刃を抜いてライフルごと少年の身体を両断する。

 

背後のルーテシアを確認すると言い付け通り、何も見聞きし無いように目と耳を塞いでいる、流石に血の噴水ショーは子供に見せられる代物では無い。

混沌の刃を血払いし、鞘に刃を納刀した瞬間、灯りの消えていたビルの窓からロケットランチャーが放たれる。

 

納刀時の奇襲の為、抜刀して両断する事をせず、そのまま鞘を使って弾頭を弾き飛ばし、襲撃を受けたビルの窓に向けて背中に貼り付けた月明かりの大剣を振り下ろす。

 

魔力を流しながら振り下ろした月明かりの大剣から魔力の光波が射出され、俺を襲撃した者を跡形も無く消し飛ばす。

 

瞬く間に二人の命が奪われたからか、偶々二人しか居なかったのか分から無いが、殺気や殺意が収まったので周囲の索敵をしながら辺りに横たわる遺体を調べる事にした。

 

大多数の遺体はマグリブの者達だが、犠牲者の中には一般人も含め管理局の陸士部隊の者たちも転がっている、ルーテシアの周りから離れ無いように、且つ警戒しながら呻き声が聞こえる方へと向かう。

 

応急処置様の救急キットを使用しながら巻き込まれた人や、まだ息のある局員達に応急処置を施して行く。

 

そんな中、比較的軽傷で且つ狙撃銃型のデバイスを持った男性が壁に凭れ掛かりながら震える手の平を必死で抑えようとして居る姿が目に映った。

 

 

「落ち着け…!! 落ち着け…!! クソッ!! 震えが止まらねぇ!!」

 

「……そんな時は目を瞑ってゆっくりと深呼吸をするんだ、心臓の鼓動を落ち着かせるようにゆっくりと」

 

 

男性は俺の言った通りに深呼吸を始めたのだが、色々と思い詰めていた様で非常に荒々しい深呼吸になってしまっている。

 

「…………ゆっくりと吸ってゆっくりと吐くんだ、荒い呼吸では落ち着く事は出無いぞ?」

 

「…………はぁ、はぁ、すいません、落ち着きました」

 

「…………命の取り合いの最中は悪い事ばかり思い浮かぶ物さ、今は兎に角生きる事だけを考える方が良い」

 

「……はい」

 

 

落ち着きを取り戻した彼は『ヴァイス・グランセニック』と言い、シグナムの部下として働いているそうだ。

 

彼がここに居ると言う事は即ちシグナムもこの戦いに身を投じていると言う事だが、問題は連絡手段が無く、この周辺にそれらしき気配を感じられない事と、ヴァイスが言うには、彼女は他所の救援に向かっているらしく増援には期待出来ないと言う事だ。

 

 

雨も豪雨に代わり、けたたましい音と共に冷たい雨粒がスタミナを消耗させて行く。

 

ーーーーシフには残党の掃討を任せたかったが、怪我人や民間人の搬送を任せた方が良さそうだな。

 





ミッドチルダの地で無差別テロ、アマジーグと言う中心人物であり、英雄である人物を失った事でマグリブは統制を無くし、形振り構わなくなりました。

考えてみればac4でも彼らはアナトリアのコロニーに襲撃仕掛けてますからね(白目)
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