場合によっては今日も一話だけです。
今回もなのはです。
第十八話 誘拐
入学式から一ヶ月がたち、学校生活にも慣れてきたのですが、私こと高町なのはは今絶賛悩み事の最中です。
その悩みの種とはすずかちゃんとブレンくんの仲があまり宜しくないと言う事です。
険悪、とまでは言わないのですが、彼の方が如何してかあまりすずかちゃんの事を良く思っていないようで、彼女とはあまり会話しようとしません。
私が如何したの?って聞くと、決まって『…………私の方は貴女が気にかけるような事は何事も無いよ、それよりも、嫌な言い方だが彼女には気を付けた方が良い、例え友人と言えどだ』と言って初めて出会った時みたいな喋り方をして居ました。
その時のブレンくんは、やっぱり別人みたいに冷たい表情をしているので、私はそれ以上何も聞けなくなってしまうのです。
アリサちゃんやすずかちゃんと一緒に、色々考え付く限りの手を尽くして仲良しになれるように頑張ったのですが、成果は上がっていません。
『彼女には気を付けた方が良い』彼はこう言っていましたが、すずかちゃんはとっても優しい子です、危険なんて無いのに何を気を付けろと言っているのでしょう?
結局、この日も放課後まで四方八方手を尽くしましたが進展は無く、『今日は俺が掃除の当番だから先に帰ってて良いよ』と言っていたブレンくんと別れ、今はアリサちゃんとすずかちゃんの三人で下校しています。
「…………はぁ、中々上手くいかないなぁ」
「そうね……、せめてブレンが如何してすずかを警戒しているかさえ分かれば良いのに」
「…………なのはちゃん、アリサちゃん、無理…しなくてもいいよ?、私は大丈夫だから」
すずかちゃんはこう言ってますが、彼女の方こそ無理をして居るのが丸わかりです。
それに、私はブレンくんのあの冷たい表情が嫌いです、彼には何時もの太陽みたいな暖かい彼で居て欲しいのです。
三人で溜め息を吐きながら道を歩いていると、一台の車が私たちの隣に止まり、中から黒い服の男性が二人現れ、私達に拳銃を向けました。
悲鳴を上げる前に、私たちは口を押さえられてそのまま中に引きずり込まれました。
その際に、私達の携帯を捨てられてしまい助けを呼べなくされました。
「あ、あんた達何者よ!!」
アリサちゃんが気丈にも誘拐犯達に喧嘩腰に食ってかかります、怖くて震えている私やすずかちゃんと違って彼女は勇敢でした。
「兄貴!!、こいつは威勢の良いガキですぜ、きっとジェフリー先生も気に入ってくれますぜ」
「なんたって髪の長いガキは『用心棒 ジェフリー』の大好物だからなぁ、今回の仕事も上手くやって下さるに違いねぇや」
彼らは大笑いしながらとある廃墟に車を止め、私達をその中へ連れて行きました。
そこは注射器や薬の錠剤、錆びた医療器具のある手術室のようでした。
そして、その中には6〜70歳くらいのお爺さんが、宝石の付いた杖を持って立っていました。
「月村家のご息女を攫ってくるとは……クククッ、良くやったぞお主ら、それに他の二人も儂の好みだ」
「へへっ、お褒めにいただきありがとうございます先生!!、じゃあ何時もの通りに俺らが強盗する際は宜しくお願いします!!」
「あ、俺たちみたいな邪魔者は毎度の事ながら別室で待ってますので、ゆっくり『お愉しみ』下さい!!」
彼らはそう言って手術室のドアを閉めて去って行きました。
鍵を掛ける音は聞こえなかったので、彼処からなら逃げ出せると思いましたが、此処に来るまでに私達は手錠を手首と足首にかけられてしまい身動き一つ取れません。
目の前のお爺さんが嫌らしい顔をしながら鍵をちらつかせて、私たちに近づいて来ます。
「此処は昔『アスピナクリニック』と言う総合病院でな?人体実験等を裏でやり過ぎて潰れてしまったんじゃが、なんとその時の色んな機材が全て残ったままなんじゃよ」
お爺さんはすずかちゃんの頬を撫でながら、ゆっくりと言って聞かせるようにこう言いました。
「此処の備品は兎に角頑丈でな?、例え月村の『吸血鬼』でも容易く拘束出来るほどの物ばかりなのだよ」
知る人ぞ知るジェフリー先生‼︎
彼を表すのはあの言葉しかないね‼︎