不死の英雄伝 〜不屈の体現者〜   作:ACS

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この調子なら二百話台で終わる!!(確信)


不屈の体現者 190

第百九十話 ファーストアラート

 

 

入隊から数日、新人達のデバイスが訓練用から専用の物に切り替わった頃、機動六課としての初めての出撃命令が下される。

 

第一級捜索指定ロストロギア『レリック』、四年前の大火災の原因となったそのロストロギアが郊外の列車で輸送されている所をガジェットに襲撃されたと言う情報が入り、聖王教会から出動命令が下されたのだ。

 

 

移動中のヘリの中でブリーフィングを聞いていた隊員達の心境は様々、ある者は自分の力が不安になり、ある者は真剣にブリーフィングの内容に耳を傾ける、又ある者はこの程度ならば問題無しと気楽に考えている。

 

 

新人メンバーの中に居るRDはこの面子の中で実戦経験を持つ者であり、気負い気味な新人特有の緊張感を嫌ったのか、この空気をある程度払拭する為に明るく振る舞い始めた。

 

 

「まあまあ、みんな緊張し過ぎっすよ、オレらの実力からしたらこの任務もあっさり終わるっすよ」

 

「そーそー、目的のブツは列車の中だし、敵性勢力はガジェット程度だし、らくしょーだよ」

 

 

RDの軽口に便乗したルーテシア、彼女は隣に居るエリオとキャロが思った以上に緊張している事に気が付いた為、普段の様に明るく場を盛り上げ様とする。

 

 

「はぁ……あんたは気楽で良いわねぇRD、私としては最悪の事も想定してるからそんな軽口叩け無いわよ」

 

「でも二人の言う通りだよねティア、あんまり緊張し過ぎるのも考え過ぎるのも良くないよね」

 

「そうっすよスバルちゃん、緊張して二人が実力を出せ無いってなったらオレを守って貰えないっすから、それだとコッチが困るんすよ」

 

「あんた……、恥かしく無いの?」

 

「羞恥心を気にしてたら生き残れ無いっすよ」

 

「あはは、じゃあいざとなったら私が守るよRD」

 

「いやぁ、流石スバルちゃん!! ツンデレなティアナちゃんとは大違いっすねー」

 

「ブチ殺すわよRD」

 

「OK、話せば分かるっす、だからその銃を下ろすっす」

 

RDは両手を上げて無抵抗であると示しながら冷や汗を流しつつちびっ子達の方にゆっくりと振り向き、震える声で一言。

 

 

「三人とも? こんな凶暴な大人になっちゃダメっすよ? オレとの約束っす」

 

「RD、あんた任務が終わったら覚えてなさいよ」

 

 

新人達のその様子を眺めていたなのはとフェイトは良い感じに肩の力が抜けた事に安堵し、ブリーフィングを終了しようとした瞬間、RDの手が震えだした。

 

全員が首を傾げ、口論をしていたティアナも不審に思って銃を下ろす、しかし彼の震えは止まら無い。

 

なのはが心配して彼に声を掛けようとした時、彼の口から『……リンクスが居るっす』と言う言葉が絞り出すように呟かれた。

 

 

その言葉と同時に開く通信画面、其処にはキャロル・ドーリーの姿が映し出されて居る。

 

 

『申し訳ありません、リンクスが一機其方に逃走してしまいました。 実力の程は然程の物では無かった為、そちらで処理をお願いいたします』

 

「リンクスの情報は当然頂けるのですよね?」

 

『勿論です、今回我々が取り逃がしたリンクスは『ドン・カーネル』所有するネクストは『ワンダフルボディ』、正直な話し粗製の出来損ないですので貴女方でも十分撃破可能な相手です、武装の詳細は後ほど送りますが粗製相手に遅れを取る事の無い様にお願い致します』

 

彼女は一方的にそう話すと『ご健闘をお祈りします、そ・れ・で・は』と、憎たらしいほどの笑顔を見せて通信を切った。

 

夫の秘書の棘だらけの言葉に溜め息しかでないなのはとフェイトだったが、送られて来た情報には詳細なデータが掲載されている。

 

彼は拡散バズーカを筆頭にミサイル、ライフルと言った質量兵器を持っているのだが、バズーカやミサイルは既に破壊済み、PA(プライマル・アーマー)すら展開でき無い状態だと言う。

 

敵リンクスの情報に目を通していたなのはは其処まで追い込んだのなら何故逃したのか、と疑問に思っていたのだが、どうも別の場所で『ベルリオーズ』が出現したらしく、満身創痍となったドン・カーネルの処理が後回しになった為、その隙を突かれて逃走を許してしまったとの事。

 

 

「リンクスの相手は私達でするから、みんなは列車の方をお願いね?」

 

「大丈夫、流れ弾は一つも飛ばさ無いから」

 

「レオンハルトやセレンは何してたっすかー!!」

 

「ちょっ、騒が無いでよRD!! 隊長達がリンクスを相手してくれるって言うんだから平気でしょ?」

 

「粗製が相手だって言っても万一があったらどうするんすか!? オレはまだ死にたくないんすよ!!」

 

「だぁぁあ!! 喧しい!! スバル殴って黙らせなさい!!」

 

「えぇっ、私が殴ったら駄目だと思うんだけど!?」

 

取り乱したRDを落ち着かせようとしているティアナ、先程とは立場の逆転した二人は周囲の視線を集めている事に気が付かずドタバタと暴れ出し、青筋を浮かべたなのはの雷が落ちるまで非常に騒がしかったと言う。

 

その後RDは落ち着きを取り戻して気を引き締め直す、共に怒られた事で軽く彼を睨んでいたティアナだったが、急に彼の纏う雰囲気が変わった事に戸惑いつつも、自分も意識を切り替える。

 

 

「……高町隊長、敵勢力は本当にリンクスとガジェットだけですか?」

 

「えっ? うん、情報ではそうなってるけど……」

 

「オレの経験から言わせて頂きますと、多分MTも何機か居る筈っす、レリックを強奪するにはガジェットだけでは火力不足っすからね」

 

 

突然人が変わった様に話し出すRD、自分の経験則から予測出来る追加戦力を話し出す。

 

「無人ネクストと言うパターンが一番最悪っすが、流石にそのレベルだと閣下の部隊からリンクスが出撃するんで多分それは無いっす、次にMTの兵装ですがレリックの性質を考えると火薬を使った物は有り得ない、近接兵器かエネルギー兵器の二択っすが、足場の悪い列車戦では近接武器は使い辛いっすからエネルギー兵器が相手になると思うっす」

 

 

指折ながら説明をしていたRDは其処で一息付き、作戦の立案に役立つであろう細かな情報や経験を一通り話した後に窓の外を眺め、迫り来る戦いの時に備えて精神を集中させて行った。




マジモードのRD、原隊ではレオンハルトやセレンと言った凄腕が居たので呑気できてましたが、六課では新人の中で二番手程度の実力ですので呑気出来ません、嫌々ながらもドミナントの実力を発揮する事となって行きます。
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