第百九十二話 列車防衛 L
「ライトニング3 エリオ・モンディアル!!」
「ラントニング4 キャロ・ル・ルシエ!!」
「ライトニング5 ルーテシア・アルピーノ!!」
「「「行きます!!」」」
気合い十分に飛び降りた三人、先行したスターズに注意が引きつけられていた為、三人は無事に降下に成功する。
「さて、エリオくんキャロちゃん、こっから私達も内部に潜入する事になるんだけど、出入り口が見当たら無いね」
「列車の窓を割って其処から侵入出来無いかな?」
「走行中の列車の窓を割るのは難しいと思うよ、キャロ」
思案顔のキャロとエリオ、如何にかして二人は隠密に潜入出来無い物かと悩んでいると、唐突にルーテシアが召喚魔法を行使する。
「ヘイ!! カモンガリュー!!」
指ぱっちんと共に決めポーズを決めるルーテシア、それと同時に現れた『ガリュー』と呼ばれる召喚獣、二足歩行をする筋骨隆々の昆虫である彼は、ルーテシアに全幅の信頼を置かれている存在だ。
そんな彼の全身を強化するルーテシア、キャロは一体何をするのかと疑問に思っていたが、エリオは嫌な予感に全身を襲われている。
「ストップ、ルールーストップ!! 僕らの役割はスターズが敵を引き付けている間に背後からレリックを回収する事だって分かってる!?」
「分かってる分かってる、でも道が無いんだから作るしかないでしょ? やっちゃえガリュー」
ルーテシアの掛け声と共に振り下ろされるガリューの拳、エリオの忠告も虚しく、唸る拳が列車の屋根に大穴を開け、中に居たMTやガジェットの背後を取る事に成功する。
エリオは持ち前のスピードで即座に内部へと侵入、展開するガジェットとMTを両断しながら車内の安全を確認する。
ルーテシアは呆気に取られているキャロを抱えて車内へ侵入、ガリューに背後の警戒を任せながらキャロにも自身の召喚獣を呼ぶように指示、彼女は渋っていたが、ルーテシアが『何があるか分からないし、私達はまだ子供、戦力は多いに越した事は無いんだよ?』と説得されたため、不本意ながら言われるがままに自身の召喚獣『フリードリヒ』を召喚する。
フリードリヒはキャロが卵から育てた家族にも近い白竜、本来の姿は翼長十m以上の大きさを持つ堂々たる竜だが、現在はキャロの実力が未熟な為、ボストンバッグに収まる程度のサイズしか持ってい無い。
しかし、白竜と言うだけあってその秘めたる力は凄まじい物、この世界で白竜を表す物といえば『ウロコの無い竜 白竜シース』、裏切り者の古竜であり不死身の古竜、その存在を思わせる白、フリードリヒは直系でないにしろ極僅かながら古竜の血を引いていた。
故に、幼き竜の姿を見せていてもその存在感、威圧感は他者を圧倒する力を持っている、その血に宿る古竜の神性は未だに目覚めてはいないが、ガジェットやMTを粉砕する程度には十二分に戦える。
鳴き声すら上げずに静かにキャロの隣に寄り添うように召喚されるフリードリヒ、その瞬間周囲の音が消える程の圧がその場に居た全員を襲う。
『灰色の大狼 シフ』と言う存在を知っているルーテシアにはこの程度の圧は何でもないのだが、エリオは見事にそれに当てられてしまい、息をするのも忘れてしまう。
キャロが召喚を渋った理由がこれだ、このフリードリヒの圧、常人が呼吸をする事を忘れる程のそれは、意識を保つ事も難しい圧力を持っている為、おいそれと召喚する訳には行か無いのだ。
身に余る強大な力、言われるままに召喚をしたものの、初めて出来た友人に怖がられるのでは? と言う恐怖が後悔へと代わり、キャロは俯いてしまった。
そんな中、ルーテシアが事も無げにエリオの気付けを行う。
「ちょいさー!!」
「はっ!? はっ、はぁ、はぁ、今のは?」
「うーん、フリードの威圧かなぁ……、まあ気を失ってる場合じゃ無いからさっさとやる事終わらせよー!!」
「…………ルーちゃん? 私が怖くないの?」
「えっ? なんで?」
「だって、フリードは普通の竜じゃ無いんだよ? そんな竜を召喚できるんだよ?」
「あー、うー、そう言うこと? 別に怖くないよ? 兄さんの方がバケモンだし、シフの方がもっと圧力あるし」
そう言って、ルーテシアはキャロの頬っぺたを突き、再び指ぱっちんをすると、屋敷の庭で昼寝と洒落込んでいたシフを召喚する。
頭から床に落ちたシフは浮かべていた鼻ちょうちんを割られた上に鼻っ面から床に叩き付けられた事に大層御立腹だったが、ルーテシアはそんな事には構わず首根っこを引っ掴み、キャロに突き付ける。
「それにね、このやる気零な平和ボケわんちゃんが今のフリードよりも上の存在なんだよ? きっとフリードもその内こうなるんだから気にし無い気にし無い」
「えっ、えぇぇ……」
「さあシフ、レリック的な匂いを嗅ぎ出すのだぁ!!」
「あのさルールー、レリック的な匂いって何?」
寝惚け眼のシフだったが、ルーテシアの指示に従い床の匂いを嗅ぎ始める、レリックの匂いを嗅いでいる訳では無いが、其処から発せられる魔力の残り香を辿ろうと試みるのだが、今日は色々と間が悪かった。
時間的におやつの時間、すっかり駄犬に成り果てたシフの中では『おやつ>面倒くさい任務』と言う方程式が成り立つ程平和ボケしきっている。
暫く匂いを嗅いでいたが、敵の数が思った以上に多い為時間が掛かるだろうと判断、途中で面倒臭くなったのか、前足で床を叩き、その衝撃で列車内に急ブレーキを掛け、内部に巣食うガジェット達の動きを止める。
其の後、有人機であるMTの中に居る者達に向かって指向性を持たせた殺気をぶつけて失神させると、残ったガジェットを召喚獣に任せて先に進む。
フリードリヒの吐く炎、突き刺さるガリューの拳、シフが手を下す間も無く粉砕されて行くガジェット達、『いや〜、楽ちん楽ちん』と軽快に歩くルーテシアと、フリードリヒがやり過ぎないか心配なキャロ、召喚獣が暴れ回って居る所為で車内が盛大に破壊され、頭痛がし始めたエリオ、三者三様の思いを抱いているうちにシフがレリックを咥えて帰って来た。
「よーしよし、レリック回収出来たし、信号弾撃って撤収しよー!!」
「盛大に車内がぶっ壊れてるけど、良いのかなぁ……」
不死の英雄伝 〜舞台裏〜
NGシーン 急ブレーキは控えよう
ーシフが力尽くで急ブレーキを掛けた後 ライトニング分隊ー
エリオ「痛たたた……、急ブレーキ掛けるとは、大丈夫? キャロ」←キャロに押し倒されながら
キャロ「だ、大丈夫だよ? それよりエリオ君は?」←エリオを押し倒しながら
ルーテシア「…………なんでも良いから退いて」←二人に押し倒されながら
ーシフが力尽くで急ブレーキを掛けた後 スターズ分隊ー
RD「なん、なんでいきなりブレーキが掛かったっすか?」←転けたスバル、ティアナを受け止めながら
スバル「ゴメンねRD、助かったよ」
ティアナ「……つーかあんた、どさくさに紛れて私らの胸揉んでんじゃ無いわよ、ナニ捻り潰すわよ?」
RD「不可抗力っすよ!!」