不死の英雄伝 〜不屈の体現者〜   作:ACS

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不屈の体現者 199

第百九十九話 ミスショット

 

 

RDとスバルが前に立ち、ネクストと斬り結びながら私の指示を待つ、RDの情報によるとアレには人工脳と同じく人工的に製作されたリンカーコアが搭載されているらしく、動きは機械的なので突拍子も無い動きはしないものの、反応速度は人間のそれを遥かに超えている上、ネクスト特有のPAやQBと言う機能も問題無く使用出来るとの事、人間相手ならば思考の隙や癖を探る事は出来るが、機械的な対応をする相手にそれが通用するかどうか……。

 

それに目の前の青いネクストがこれ一機とは限らない、ちびっ子達や隊長達の所にも現れるかも知れない為、長々と作戦を考える暇もそれを実行する暇も無い。

 

様々な事が頭の中を駆け巡り、自身の思考を鈍らせる、しっかりしなくては命を落とすと分かっていても気持ちだけが空回りし、思考がそれに追い付けない。

 

そうしている間にも火花を散らせながらネクストと打ち合っている二人に生傷が増えて行く、QBを駆使した高速戦によってジリジリと追い詰められ、疲労が蓄積して行っている。

 

先程までのネガティヴ思考が尾を引く形で私の邪魔をする、こんな時は一度思考を放棄して完全に頭の中を切り替える必要があると分かっているのに、思うようにそれが上手く行かない、打開策を思い付くことが出来ず苛立ちばかりが募って行く中、傷だらけの二人が口を開いた。

 

 

「大丈夫だよティア、私達二人で間を持たせるからその間にーー」

 

「いや、一旦下がるっす、オレだけであれを足止めするっすからティアナちゃんとスバルちゃんは通信可能領域まで退いてシャマル先生達に連絡を入れるっす、今のティアナちゃんだと何も思い付け無さそうっすからね」

 

 

辛辣な一言、スバルは何時ものように私をフォローする一言を紡いでいたが、RDは一切の容赦が無く足手纏いだと暗に告げてよこした。

 

頭に血がのぼる、ボロボロの身体の癖にそんなに私は使い物にならないか、そんなに私は無能なのか、思わず感情的になりRDを強く睨んでしまったが彼はそれ以上に私を強く睨み返して更に言葉を続けて行く。

 

 

「思った以上に今のティアナちゃんは混乱してるから一旦頭を冷やす事も考えてこの場から離れるっす、……戦場はおままごとの場所じゃないっすよ?」

 

 

おままごと、私がやってきた全てを遊びだと言わんばかりに突き放したような一言は胸に深く突き刺さる。

 

そのままRDは私の事など気にも止めず強引にネクストに斬り掛かり、鍔迫り合いに持ち込むと同時に身体ごと強引に踏み込み、ネクストの注意を引きつけている。

 

 

ーーーーこの時、私は彼の言う通りに一度退くべきだった、冷静になるべきだった。

 

 

クロスミラージュを構え、カートリッジを四発ロードして自分の限界を超えた数のスフィアを展開、RDに釘付けとなっているネクストに背後から狙いを定める。

 

隣ではスバルが不安そうに私を見ている、あんたも私が足手まといだって言うの?

 

 

悔しさに支配された私はそのまま有りっ丈の魔力を込めて引き金を引く、放たれた無数の魔力弾は吸い込まれる様に突き進み、PAを一点突破してネクストを破壊する、ーーーー筈だった。

 

感情に支配された照準はほんの僅かにズレていて、それに気付かずに放った一発の魔法弾がRDの額に炸裂、辛うじてネクストの攻撃を捌いていた彼はその一撃によって足を止めてしまう、おまけにPAを貫く事は出来ず私の放った渾身の一撃は、仲間に致命的な隙を作らせてしまっただけに終わってしまう。

 

瞬間、彼の身体に捩込まれるネクストの鋼の鉄拳、何かが砕ける音と共に殴り飛ばされた彼は木々をへし折りながら雑木林の中に吹き飛ばされ、横たわる。

 

 

ミスショット、しかも味方の頭部に被弾させた上に致命打を与える要因を作ってしまった。

 

手が震える、胃液がせり上がる、後悔が私を支配し身動きが取れない、横に居るスバルが私に何かを話し掛けているが糸が切れた人形の様に動けなくなった私にはその言葉が耳に入って来ない。

 

気が付けば目の前にはネクストが立って居て、私に向かってその左腕を振り上げていた。

 

高出力の大型のレーザーブレード、それが私に振り下ろされると分かっていても身体が動かない、…………私は此処で死ぬんだ。

 

 

「勝手に、人を殺してんじゃねぇっすよ!!」

 

 

ネクストがその左腕を一閃する前に横たわっていたRDが飛び起き、QB並みの速度でネクストを蹴り飛ばす、速度と体重を乗せたその一撃は彼の足を砕きながらもネクストの装甲に亀裂を入れる。

 

それを見たスバルは即座にその拳を亀裂へと叩き込み、カートリッジをロードしてディバインバスターを発動、ゼロ距離で放たれたそれはネクストの胴体を粉砕し、沈黙させる。

 

RDはそれを見届けた瞬間、膝から崩れ落ちてその場に倒れ込む、額からは少なくない出血をしており、口からも血が滴り落ちている、見るからに重傷だ。

 

 

「あ、RD…? ちがっ、私、そんなつもりじゃ……」

 

「…………今は、そんな事よりも、手当、お願いするっす、急所は外したっすから直ぐにはくたばらないっすよ」

 

そう言って、RDは気を失った。

 

仲間を撃って、挙げ句の果てに敵の前で茫然自失を晒してしまったと言う大失態、騒ぎが終わった後私はヴィータ副隊長に殴り飛ばされ、お説教を受けた。

 

シャマル先生の診断ではRDは暫くの間要安静ではあるものの、生命に別状は無く、数日もすれば回復するとの事、その事だけが幸いだった。

 

 

ーー今回のミスショットも、元を辿れば私に力が足りないから起こった出来事、普段の訓練では圧倒的にそれが足りず凡人の私には不死の英雄の様に傷付きながらで無いと強くなれないのでは無いだろうか?

 





原作と違い、ヴィータは足止めと通信妨害のコンボによって間に合わずティアナは味方を誤射すると言う結果を引き起こしました。

RDはこの事を予知しては居た為ティアナ達を引っ込めようとしたのですが失敗、ネクストと交戦中だった為避ける事も防ぐ事も儘ならずに直撃、その後の追撃こそ威力を殺しましたが、死にたくないと言う一心だけで意識を繫ぎ止めました。


二人の今後が気になる事故ですなぁ(意味深)
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