漸くみんなの幼女が登場、暖かく見守りましょう(白目)
第二百七話 加速する事件
珍しく大人しいルーテシアを警戒していたエリオだったが、特に彼女は何もアクションを起こさなかった為、杞憂だったかと思い直し、素直に買い物を楽しんでいたのだが、上げて落とすと言う言葉がある様に、ルーテシアは彼の警戒が解けるのを待っていたのだ。
(ふっふっふっ、いい感じにエリオくんの警戒が解けてきたねぇ、この辺りでそろそろ色々と仕掛けてーー)
悪巧みを開始しよう、そう考えていたルーテシアだったが、足元の排水溝からほんの僅かだが何かを引きずる音と、ペタペタと歩く小さな足音が聞こえ、思わず足を止める。
その場のノリとテンションで生きている様な彼女の雰囲気は四散し、兄の姿を幻視させる程真剣な顔付きで神経を研ぎ澄ませる、足元から聞こえる異音にはエリオにも聞こえていたようで、二人は互いに顔を見合わせながら地下へと降りるマンホールを探しに走り出した。
物音を辿って路地裏に向かう、事情が飲み込めないキャロはただ二人に付いて行くだけだったのだが、路地裏に入った所でマンホールから這い出す一人の少女を発見する。
下水道を渡っていたのか、汚水に汚れた金髪、傷だらけの素足、ボロボロの毛布、満身創痍の子供が倒れていた。
慌てて部隊全体に要救助者の知らせを入れるキャロ、倒れている少女の息を調べるエリオ、その二人の動きを見たルーテシアは、救助関連では自分は不要と判断、少女の足に括り付けられた鎖とレリックケース、即座に其れを封印したのだが、鎖の長さ的にまだもう一つ残っていると察したルーテシアは、索敵警戒も込めて単身下水道へと突入、デバイスの展開と共にガリューを召喚し、背後を任せながら魔力で作ったスローイングナイフを握り、敵性反応とレリック反応を同時に調べて行く。
一人でずかずか先に進む愚行は犯さない、自分は一人では無いのだから下からの奇襲に備え、それを警戒すれば良い、上にはエリオが居るのだから多少の事なら大丈夫、万一強敵が現れたとしてもキャロがフリードを召喚すれば形勢は逆転する、だから私は他のみんなが到着するまで下に意識を向ければ良い。
ルーテシアはその様な思いから下水道へと降りたのだが、その判断は正解だった様で、下水道内には無人兵器『ディソーダー』が展開していた。
ガジェットが既に旧型となりつつある中で最近良く各地に出現する無人兵器の一つ、種類は多種多彩、今回展開しているディソーダーは『アーマイゼ』と『ビーネ』と呼ばれる種類の物、名前の由来はそれぞれ蟻と蜂、アーマイゼはその名の通り蟻のように大量発生し、無数のラインビームを発射する、ビーネはその上位互換でカラーリングの違いと装甲の厚さの違いで判断するしか無い。
思った以上に敵が展開していた事に顔を引きつらせるルーテシア、なんたって楽しい楽しいデートの最中にこんな滅入る敵を相手にしなくてはならないのかと溜息を零しながら無造作にナイフを投擲する。
ルーテシアの手から放たれたナイフは寸分違わず自分を狙っているビーネの砲身を射抜く、優秀な砲撃能力を持ったビーネからの攻撃を弾くのは疲れるので先にそれを潰し、残りのアーマイゼからの攻撃を障壁で全て弾く。
圧倒的な速度でディソーダーを粉砕して行くガリュー、指を鳴らす事で彼を強化したルーテシアは、自分には決定打が無い事を理解している為後方支援に徹し、バインドや魔力刃の射出を用いてガリューの討ち漏らしを破壊して行った。
数分、或いは数十分は交戦していただろうか、粗方ディソーダーを排除し終えると、破壊音に紛れて上からは車の急ブレーキ音が聞こえる、そして続くバタバタと走る足音、恐らくスターズが到着したのだろう、お早い登場で大分安心だが、隊長陣はまだ到着していない。
破壊した残骸に腰掛けながら、捕獲したディソーダーにインゼクトを取り憑かせて哨戒とレリックの捜索を開始させる、コレで周辺は大丈夫だろう。
足をぷらぷらとしながらみんなを待っていると、飛行型のガジェットやディソーダーが大漁に郊外に出現しているらしく、隊長達は其方に向かって行く、先ほどの要救助者はヘリで回収されたようで、みんな下に降りてきた。
地上部隊と兄さんの部隊に応援を頼んだらしく、空にはリンクス、此方にはスバルのお姉さんが来てくれる、何だか大事になりそうな予感がしないでも無い。
大きな背伸びをしたルーテシアは気合いを入れ、自分の中の意識を切り替えて行った。
ーーーー時空管理局地上本部。
レジアス・ゲイズ中将は頭を抱えていた、それも盛大に。
秀才だらけの機動六課、気に食わない部隊ではあるが彼女らの戦闘自体は問題では無い、高町なのはとフェイト・テスタロッサが上空でド派手に大暴れしている事もどうでも良い、問題なのは被害ガン無視で暴れ散らしているリンクスどもである。
先程から
早速キリキリと痛む胃と頭痛がし始めた頭を抑えながら奴を出せと、命令したのだが、この小娘は儂の耳が遠くなったのかと錯覚する一言を放ってよこした。
『この通信回線は現在貴方の様なイエローモンキーに対して使用されておりません、もう一度そのMinimumな脳味噌と節穴Eyeでもう一度通信回線をクソお確かめの上、クソ改めて御通信下さい』
あの男の部下に碌な人間は居ないのか? キレ気味に一字一句噛まずに一息に言い放って一方的に通信を切りおった、流石の儂も開いた口が塞がらん。
通信の奥からは銃撃音と爆発音が鳴り響いていた、また襲撃されたのかあの男は……。
十回通信して七、八回は襲撃される男だ、暫くの間はあの秘書ですら通信に応答しないだろう。
儂は懐から胃薬と頭痛薬を取り出しそれを服用する、最近企業連とか言う謎の連中がミッドに進出し、技術力が底上げされ薬もよく効く様になったし、枕の抜け毛も少し治まってきおった。
早くストレッサーを何とかしなくてはならんな、白髪と抜け毛が増えた頭を撫でながら、レジアス中将はソファーに深く腰掛け、遠い目をしながら溜息を吐いたのだった。
レジアス中将は部下の起こす問題事に胃と頭を痛める日々を送っている所為か、大分丸くなってます。
珍しく吐いたキャロりんの暴言、理由としてはリンクスが出張った所に量産型ネクストと量産型ナインボールに襲撃を受けた事と、その所為で態々ブレンが交戦する事になってしまった事に苛立ちを覚えていた所為です。