不死の英雄伝 〜不屈の体現者〜   作:ACS

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大体一週間ぶりの更新(白目)

場面が飛びます、ヴィヴィオの養子イベントはほぼ原作の通りです。


不屈の体現者 212

第二百十二話 公開意見陳述会

 

 

『公開意見陳述会』

 

それは主要世界において一、二年に一度行われる会議。発表された地上本部の運用方針に対する議論が行われ、その様子の公開は当該世界のみならず各世界で行われる。

 

今回は『アインヘリアル』と呼ばれる防衛兵器の運用に対する注目が集まっていた。

 

アインへリアル。地上防衛用の巨大魔力攻撃兵器であり、魔力による対空砲撃が可能な遠距離用魔力砲を三連装している。 既に三基が製造されており、射線を確保する為にその三基ともミッドチルダの高地に建造されている。

 

レジアス中将と『時空管理局最高評議会』が推し進めている計画故、内外からも注目度は高かった。

 

特に今回の議論ではブレンも参加する事から、例年以上の注目が集まりマスコミの報道もそれ一色に染まっている。故に警備は厳戒であり、軽く見られがちな地上の力を全世界に知らしめる事が出来る機会でもあった。

 

熱気に包まれる会場。秘書を連れて其処へと入場するブレン。周囲の者にとっては意外な事に彼はアインへリアルの運用に賛成的であった。

 

魔法にしろアインへリアルにしろ、所詮力は力。そこに善悪や優劣等無い。質量兵器にした所でそれは変わらない。そう考えているブレンから見れば、この問答は児戯にも等しかった。

 

彼の戦いに置いての価値観は誰よりもシビアだ。どんな正義も、誰もが陶酔するような理想も、力無くしては成り立たない。そしてそれを為すだけの力には相応の意思が必要なのだ。

 

力なき正義は成り立たず、意思なき力は無力である。

 

地上の正義を通す為には力が必要であり、そしてその力を振るう為に地上の意志を見せる。それが彼の目的であった。

 

 

会場周辺には機動六課を始め、ブレンの所有する実験部隊の者も配備されている。ガジェットやMTなどでは突破する事は不可能である。

 

更に地上本部には外部からの侵入を拒む障壁が備わっている。この鉄壁の防衛の前では何者も無力。そう思われていた。

 

ーーーー薄暗い室内でモニターを眺めながら薄ら笑いを浮かべる、ジェイル・スカリエッティを除いて。

 

 

 

彼は公開意見陳述会が開始されると同時に自分が制作したナンバーズとラインの乙女に襲撃開始指示を出し、モニター越しにその様子を観察する。

 

 

「さあ、財団殿。 我々が本格的に表舞台に這い上がる時が来た。世界の終わりをこの目にする為の序章だ、嗚呼胸が踊る。今すぐにでも絶頂を迎えそうだ!!」

 

『同感だよドク。僕もいよいよ全てが灰になる様を思い浮かべると心底愉快で笑いが止まらない』

 

 

薄暗い室内に二人の狂った笑い声が響く。作戦の失敗など微塵も頭に無い二人はその先にある絶望に、プレゼントを貰う少年の様に胸を踊らせていった。

 

 

 

作戦開始の命令。それを受けてクアットロが他のナンバーズへと指示を出す。先ずは無機物へと潜行する能力を持つ『セイン』がその能力を使用して内部に侵入、その後は各ナンバーズに其々指示を飛ばす予定だったのだが、此処でクアットロの予想外の行動を起こす者が居た。

 

それはラインの乙女と呼ばれた白銀の少女。彼女は予め超強力なOBを使用して急上昇。PAを展開しながら大気圏を突破。宇宙空間、空気抵抗等無いその空間へ躍り出ていたのだ。

 

神族である彼女は生身であっても宇宙空間であっても数十分は余裕で活動が可能である。その上彼女のデバイスはそう言った場所での行動が可能な様に調整されている。深海だろうと宇宙だろうとだ。

 

 

膝を抱えて丸まっていたラインの乙女は静かに目を開き、漆黒の空間に散らばる星を見つめる。その視線の先に込められた感情には何が映るのか。

 

羨望か、或いは憎しみか。それは見る者にしか分からぬ感情。しかし彼女はそれが分からない。理解する事が叶わない。

 

彼女は意識を切り替えると自分が行動出来る限界ギリギリまで距離を取り、連続した二段QBとOBを組み合わせた爆発的な速度で自分が今抜け出た星へと向かって急降下する。

 

目指すのは眼下に見える大気圏。更にその下、時空管理局地上本部。作戦時間にはまだ早いのだが、身体が勝手に動いた。

 

何故だか分からない。だがしかし、急に自分の中でたった一つだけ認識する事が出来る感情が産まれたのだ。

 

この下に、この先に、己の手で討た無ければならない者がいる。己とは相容れない存在が下に居る。それを理解した瞬間心臓が跳ね上がり、それまでの憎悪とは違う使命感にも似た感情に突き動かされる。

 

それまでその身を支配していた負の感情は四散ーー否、目的地までの距離が縮むと同時に比例して強くなるその感情、使命感、それが彼女に巣食っている星の数程の人生を押さえつけ、その結果現れた断崖への誘惑すら振り切った。

 

 

ーーーー答えが見つかる。

 

自分が求めているその者。それと相対すればそれを討てば、自分と言う存在の答えが判明する。

 

確信に満ちたその思い、それを遂げる為に彼女は動き出した。

 

 

クアットロが行動を起こすよりも先に地上本部上空に出現した彼女は眼下から放たれた高出力の砲撃に晒される。雲の上だと言うのに正確な射撃。次弾までのインターバルは多少長いものの、その強力な砲火は止まずに彼女に向かう。

 

QBを駆使しながら回避を続ける彼女。一秒以下のコンマ単位の回避行動は撃ち手の疲労を加速させて行く物であり、次第に砲撃の精度、発射感覚が短くなって行った。

 

彼女は即座に二段QBの連打で加速。砲撃を振り切ると地上本部周辺に展開された障壁に向けて左腕のブレードを展開。無人ネクストに搭載されていた高出力なそれを前面へと突き出し、爆発的な速度を利用した一点突破で力尽くで障壁を粉砕。その直後背中のグレネードを放ち、足元の局員を薙ぎ払うと、そのまま壁を斬り裂き内部へと突入して行った。

 

 

ーーーー其処で彼女は出会う事となる。何故自分が生み出されたのか、何故自分の事が分からないのか。その答えを持つ宿命と。

 





補足 最高評議会について

旧暦の時代に次元世界を平定し、時空管理局設立後一線を退いた3人の人物が、その後も次元世界を見守るために作った組織。前記の3人のみで構成され、それぞれ議長、書記、評議員の役職についている。

本編で入れれなかったのであとがきにて概要を説明、要するに自分等の手の平の上で全ての事が動くと勘違いした老害だと思って頂ければ分かりやすいです。


不死の英雄伝 〜舞台裏〜

・とある息子の悩み


ストレイボウ「そういや、前々から思ってた事なんだけどよ、一個だけ良いか?」

オルステッド「どうした?」

ストレイボウ「お前ん家の家系図って結構複雑だよな」

オルステッド「……唐突だな」

ストレイボウ「だってよ、異母兄妹が五人だろ? それに義理の姉のヴィヴィオさんと義理の妹、最近家に来たユーリちゃん…だっけか? エロゲの主人公かテメーは、ちょっと俺と代われ、割とマジめに」

オルステッド「確かに我が家は特殊だな、姉上も考え過ぎて幼い頃は知恵熱を出したとか言っていた様な……」

ストレイボウ「そりゃ、母親が六人にあの規格外筆頭の親父だろ? 訳わからんのは普通だなうん、相変わらずトンデモ家族だな」

オルステッド「心外だぞストレイボウ、それと一つお前に訂正がある」

ストレイボウ「ん? なんだよ訂正って、まさか下が出来たとかか?」

オルステッド「…………よく分かったな」

ストレイボウ「マジかよ」

オルステッド「何でも妹らしくてな、母上の出産までにはミッドに戻らないといけない。 因みに名前はマルグリットと名付けたそうだ」

ストレイボウ「戻るっつってもよ、お前が拾ったロストロギアの所為で異世界くんだりまですっ飛ばされてるんだぞ? どうやって帰るんだよ」

オルステッド「真改やカイムなら次元を斬って帰るなり、大王の大剣を使うなりと方法があるんだがな」

ストレイボウ「お前の兄妹みんな規格外な連中ばっかだな……」

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