彼女の宝物ですが、見る人が見たら卒倒するね(白目)
第二十二話 お手伝い
なのはの封印が無事に成功したお陰で戦闘が終わり、改めて彼女の方へ向くと、其処には白を基調とした可愛らしい服に身を包んだなのはが杖を片手に立っていた。
以前俺を殺しに来た『ジャック・ザ・リッパー』と言う少年もカードを使って武器と衣装を展開していたが、あれもデバイスだったのだろうか?
そんな事を考えていた間になのはが例の宝石を回収したのか、彼女は俺の方に駆け寄ってきた。
「ね、ねぇブレンくん。若しかしたら私達、ここに居ると大変アレなのでは……」
彼女の言葉に釣られて周辺の惨状に目を向ける。
全壊している病院、これは俺が来た時には既にこの状況だった、恐らくはこのフェレットが多少なりともなかで抵抗したのだろう、彼の魔力が多少だが残留している。
根こそぎ粉砕されたブロック塀、これはシフが足場にした際にその速さによって粉砕されたり、触手による攻撃を回避した際に破壊されたり、俺が電柱をパリィしたりした時の激突で片っ端から倒壊している。
爆散した跡と轟々と燃えているアスファルト、戦闘中は気にも留めなかったが、どうやらハルバードがあの物体に直撃した後切っ先が地面に突き刺さり爆発、その衝撃で転がりながら地面を傷付けて行ったようであちこちに火の手が上がっている。
遠くから聞こえるサイレンの音に、家なし子だった頃を思い出しながら、月明かりの大剣に魔力を込め光波を燃える炎へ叩き込み無理矢理火の手を消し飛ばす。
流石にこのハルバードの炎は普通の水や消火器では中々消えないだろうから、こうして爆風で消しとばしたのだが、よりアスファルトが抉れ水道管を破壊してしまった。
「よし、逃げようなのは、警察はかなり厄介だからね、流石の俺も彼らとの鬼ごっこは二度とやりたく無い」
「えっと、あの色々言いたい事と突っ込みたい事があるけど、ごめんなさ〜い!!」
なのはと共にシフの背中に乗り、彼の神速で公園まで運んで貰う。 その速さになのはとフェレットは目を回し気絶してしまったが、何とか誰にも見つからずにその場から逃げ出す事が出来た。
気絶しているなのは達を起こし、フェレットにジュエルシードの事、彼の出自の事、彼の目的の三つを聞く。
そして、彼の話を纏めるとこうだ。
彼の名前は『ユーノ・スクライア』彼は故郷で遺跡発掘を生業としていて、その過程で『ジュエルシード』と呼ばれる古代遺産を発見した。
この『ジュエルシード』は本来ならば『願いを叶える宝石』なのだが力の発現が不安定な為暴走気味となり、周囲に被害を及ぼす災害の種となっているらしい。
それを然るべき場所へと輸送している際に、その輸送機が何らかの原因で災害に見舞われてしまい、この世界に21のジュエルシードが散らばってしまったらしい。
現在彼が回収したジュエルシードは2つ、残りは19個。
「僕があんな物を発見しなければこんな事には……」
彼は俯きながら、蚊の鳴くような声を搾り出しながら後悔を露わにしている。
「スクライアくん、だったね、反省はともかく後悔はしない方が良い」
彼の落ち込みようが余りにも酷く、なのはも声を掛けにくそうにしていた為、彼に助言を一つ投げ掛ける。
「『後悔先に立たず』と言う言葉があるように、起きてしまった出来事や過ぎ去った過去は取り返しが付かない物だ。 だったら、どんな絶望下であろうともそれを悔やむだけより、次善の手を打ち、策を張り巡らせ、自分が納得する結末を迎えるまで諦めずに足掻きながらでも前を向いていた方が夢も希望もあると言うものだ」
ある意味では、彼は幸運だったのかもしれない。
この街に流れ着いたお陰で、自分の代わりを勤める事が可能な協力者を見つけることができ、尚且つその協力者は心の底から優しい少女で、彼を利用するだけ利用すると言った発想も皆無だ。
それに、なのははこの話を聞いて俄然やる気を出している、『困っている人が居て、助けてあげられる力が自分にあるのなら、その時は迷ってはいけない』彼女は士郎さんのこの教えをしっかりと守り、それを信条としているから意地でも手伝うと言うだろう。
「スクライアくんは今は身も心もゆっくり休めて、俺たちのサポートに徹してくれ。 俺たちが危険な目に遭うと心配しているのなら無用だよ、こう見えて多少なりとも腕に覚えはあるし、俺はなのはの騎士だ、この子の前では膝は付かないし、傷一つ負わせない」
物言いたげな彼女の視線を受けたので、次は俺が彼女の言葉に耳を傾ける。
「ユーノくん、私たちが絶対にユーノくんの代わりを勤めてみせるから、何でもかんでも一人で抱え込まないで、ね?」
その言葉と共に彼女は花のような笑顔を彼に見せる。 その笑顔で彼の肩の荷が少し降りたようで、さっきよりもずっとマシな表情をしながらお礼の言葉を俺たちに向ける。
「…………すみません、御二方のご厚意に甘えさせて貰います」
そう言ったきり、彼は緊張の糸が切れてしまったのか気絶してしまった。
「さてなのは、一応シフの軽い散歩という名目で俺たちが外出している事になっているが、これ以上時間を掛けると変に勘繰られる可能性がある、早く帰ろうか」
「さ、流石ブレンくんだね、なのはは怒られるのも覚悟してたんだけど……」
「第六感なんだけど、こんな事になるんじゃないかなと感じていたから念の為にね。杞憂で済めば良かったんだけど、予想通りになっちゃって複雑だよ。まっそんな事より、お礼に帰るまでで良いから久しぶりに手を繋いでくれないかな?」
「ほえ?そんな事で良いの?」
「うん、そんな事が良いんだよ」
そうして、俺は久しぶりに彼女と手を繋ぎ、その暖かさを感じながら帰路に着くのだった。
火は爆風で吹き消す‼︎
原作より被害甚大だね(白目)