終わりが見えてきたと言うテンションから非公開で投稿してる作品が何点か、その場のノリって怖いね(白目)
第二百二十一話 仇討ち
ブレンがスカリエッティの元へ向かって暫くした後、ルーテシアは一人で陣地内を歩き負傷兵の治療や炊き出しの手伝いを行っていた。
母が見つかったと言う報告に胸を躍らせていた彼女は良くも悪くも肩の力が抜けており、心に余裕があった。
故に負傷兵の中に数名異質な雰囲気を纏った者がいる事に気が付いてしまった。
周りの陰鬱とした敗北者特有の空気では無く、獲物を狩る狼のような雰囲気を出している者達。兄のように生死に関するドライな価値観を持った目。彼らはリンクスであると即座に判断したルーテシアは魔力刃を射出すると同時にバインドを行う。
彼女のその判断は間違って居なかった。負傷兵の中から飛び出した三名の影はそれぞれ有力なリンクスであるベルリオーズ、アンジェ、ジョシュア、この三人は抜きん出た実力者達。
即座にガリューとシフを召喚、リンクスの恐ろしさに心折られた者は腰が引けて居て戦力として期待出来ず、周りの被害を考えると地雷王や白天王は召喚出来ない。信号弾を発射して六課メンバーに敵襲を伝えた後一番手前に居たベルリオーズに殴りかかる。
ネクストを展開する前に懐に潜り込んだルーテシアは相手の体勢が整わない内にボディーブローを捩じ込み、散開した他のリンクスには気にも留めず、その場に彼を釘付けにする。
「此処まで接近すれば銃火器の射程からは外れてるわよね、ベルリオーズさん」
「………ほう、何処か面影があると思えばあの時の女の血縁者か」
「へー、母さんの事覚えてたんだ、だったら私がオジさんの相手だよ!!」
「成る程、心躍る誘いだが、私は不死の英雄に用があるのだ。君の相手は別の者に頼むとしよう」
ベルリオーズのその言葉と共にルーテシアの背後から高出力のブレードを展開したアンジェが斬り掛かる。背後の殺気から察したルーテシアはしゃがみ込む事で回避。その隙を突いてベルリオーズはVOBで逃走、ブレンの後を追って行った。
自分の事が眼中に無かった事に舌打ちし、ルーテシアは横槍を入れてきたもう一人のリンクスを睨みつける。
「ちょっと、私の仇討ちの邪魔しないでくれる?」
「済まんな、だが私も仕事なんだ」
左腕のブレードを水平に構え、アンジェはルーテシアに向けてその刃を突き付ける。彼女は騎士でありこの騒動にも強者との戦いを求めて参陣した。故にルーテシアを斬る事に対して何処か後ろめたさを感じていた。
「命までは奪わない。だがそれなりの重傷になる事は覚悟して貰おう」
「それは別にいいけどさ、私の事甘く見てると痛い目見るよ?」
シフとガリューは負傷兵の退避と護衛を行わせている。故に応援が来るまで一対一でやり合わなくてはならない。覚悟を決めたルーテシアは拳を固く握りしめる。
先に仕掛けたのはルーテシア。小さな体格を利用してアンジェの足元から懐に飛び込み身体強化魔法を駆使した蹴り上げを喉元へ向けて放つ。
その速さは常人なら蹴り倒された事すら気が付かないほどの見事な蹴り。リンクスの反応速度で無ければ回避出来ない様な鋭いそれは、空振りさせたにも関わらずアンジェの頬を傷付けた。
その傷を見た彼女はニヤリと笑うと、自分の侮りを正したのか回し蹴りをルーテシアに放つが、障壁で受け止められて払いのけられる。
軽く体勢の崩れたアンジェ。その顔面に全体重と踏み込みの勢いを乗せた拳を叩きつける。この一撃を撃ち込んだルーテシアは見事に直撃させたにも関わらずその表情には翳りが見えた。
彼女が放った拳の一撃には御神流の技である徹が込められていた。この一撃でアンジェを仕留める気だったルーテシアはその手応えの軽さから技が浅かったと苦虫を噛み潰した様な顔をしていたのだ。
(殺す気で打ち込んだのに浅かった。今の一撃で完全に本気にさせちゃったかな……)
高町士郎直伝の御神流の技だったが、体格差、疲労感など細かな要因で必殺の一撃たり得なかった。その事を理解したルーテシアはバインドを放ち、彼女を拘束しようとするがQBで回避されてしまう。
圧倒的な速さで瞬時にルーテシアの視界から消えたアンジェは死角から背中に向けて蹴りを放ち、衝撃で肺の中の空気を吐き出させた後、首元に向けてブレードを振り下ろす。
その凶刃を見たルーテシアは自分の身体をチェーンバインドで後方に引きずり、その勢いを生かしたまま肘鉄をアンジェの脇腹に打ち込み、手の平に魔力で作ったナイフを展開してそのままPAの中を滑る様に肩まで一気に斬り上げる。
そして、それと同時に厄介なQBを留める為、ワンテンポ遅れたタイミングで空いているもう片方の手にナイフを展開し、二度目の徹を放ってブースターを一つ粉砕。腕を切り落すつもりで振り抜いた一撃目は残念ながら膝を捻じ込まれて弾き飛ばされる。
蹴りの一発と引き換えにブースターを一つ破壊出来たのは上出来だと、ルーテシアは内心ほくそ笑んでいたが、身体が離れた瞬間に放たれた返す刀の一閃が直撃、胸元を袈裟斬りに裂かれてしまう。
斬り裂かれた痛みとレーザーブレード特有の熱さ。ルーテシアは想像を絶する激痛に身をよじらせるが、弾き飛ばされた状態のルーテシアは空中で身体をくるりと回転させて受け身を取り、戦いの高揚感によって痛みを乗り越える。
だが、其処からアンジェの猛攻が始まった。
着地したルーテシアに対してアーマーを全てパージしたアンジェが踏み込みと同時に左腕を鞭のように振るい、その首を刎ねようとする。
ルーテシアはそれに反応し身体を逸らすが、逸れきった身体に叩き込まれる様に右腕で殴り付けられ、威力を殺すことも出来ずに殴り飛ばされた。
その際に殴り付けられた右腕に斬撃を放って浅くは無い傷を付けては居るものの、アンジェはその事をものともせずに踏み込み、殴り飛ばしたルーテシアの背後に回り込んだ後ブレードを突き出す。
後方に複数の障壁を展開し、その刺突を力尽くで受け止められはしたが、アンジェはそのまま前方に重心を移動する様にしてソレを押し切った。
貫通したブレードはルーテシアを貫きはしなかったが、彼女の額を傷付け、鮮血によってその視界を奪う事に成功する。
もう一歩踏み込めば彼女を両断出来る。そう確信したアンジェはグッと踏み込み胴を一閃しようとしたのだが、その一瞬の勝気を見抜いたルーテシアは彼女の四肢をバインドし、高町なのはの得意魔法であるディバインバスターを直撃させる。
彼女どころかスバル以下の威力の砲撃。本来なら徹を重ねてゼロ距離から砲撃する為に覚えた物なのだが、PAを剥ぎ取る位の威力はある。
丸裸の胴体、其処に向かって御返しと言わんばかりに大量のナイフを投げ付け、針ダルマにする。
斬られた傷を無視してルーテシアは油断なくアンジェを睨みつける。砲撃の影響で爆煙が舞い相手の状況が分からない状態だ。勝ちを確信するにはまだまだ早い。
冷や汗を流しながら警戒していたルーテシアは、その中から二つブレード光波が飛んで来るのを視認し、ソレを弾きながら後退しようとした。
だが、その瞬間身を低くしたアンジェに間合いを詰められ、反応出来ないまま下から斬り上げられてその場に崩れ落ちる。
「流石は機動六課、粒ぞろいとは聞いていたが此処までとはな」
「そ、そりゃどーも」
「名を聞かせて貰えないか?」
「…………ルーテシア、よ」
「そうか、ではルーテシア嬢、君を一人の戦士としてトドメを刺させて貰う」
「そんな気遣いノーサンキューなんだけどね……」
軽口で返したルーテシアだったが、出血や痛みなどで思うように身体が動いて居ない。『兄さんに叱られるなー』などと他人事の様に思いながらアンジェが振り上げたブレードを見つめていた時だった。
二人の間に割って入る様に奔った閃光。それと共に振るわれた斬撃がアンジェを後退させる。
ルーテシアを護るように立ちはだかったのは幼き騎士エリオ。彼はストラーダを突き付けながら油断なくアンジェを睨みながらルーテシアに微笑んだ。
「ごめんルールー、遅くなった」
「エリオ、くん?」
「後からキャロ達も来る、だから僕にバトンタッチだ」
「で、でも、まだエリオくんは––––」
「大丈夫、僕が君を護るから」
「––––っ」
彼の身体にはRDのフレンドリーファイアによって受けた傷がまだ残っている。頬に貼られたガーゼや上着の裾から覗く乱雑に巻かれた包帯、彼の身体が満身創痍だと言うのが嫌でも分かる。そんな身体で一人で戦う気なのかとルーテシアは思わず止めたくなった。
だがその背中には兄のような不退転の決意が透けて見え、彼女は確かに頼り甲斐を感じてしまった。普段の優しさを知っているからこそ、その闘志溢れる姿に場違いながらも見惚れてしまった。
エリオは傷だらけになったルーテシアを横目で見てアンジェに対する闘志を更に燃え上がらせる。大切な友人の救援に間に合わなかった自分への怒り、そしてルーテシアを此処まで傷だらけにされた事への怒り、それが全てエリオの闘志を燃やす燃料となる。
その場で気を静める為に槍を一閃。両手で槍を構え直してその剣尖を突きつける。
「…………小さな
「何を言われても僕は退かない。逃げるわけには行かない」
「管理局の局員だから? それともその子を傷付けられたから?」
「違う、僕が男だからだ!!」
そう叫んだエリオは先手必勝を体現する様に突撃。地面が抉れる程の踏み込みと共に眉間を狙って槍を突き上げる。
首を逸らす事でアンジェはその一撃を回避するが、エリオはその一瞬で槍を反転させて石突で顎を弾き上げ、その回転を利用して続け様にアンジェの胸元を大きく斬り裂く。
アンジェは先程のルーテシアの一撃に少なからずダメージを負っていた。そしてだからこそ彼らは拮抗した。
フェイトと同じスピード重視のエリオは、一度も足を止めず槍を短く持ってすれ違いざまに斬り捨てると言うヒットアンドアウェイに徹した戦いをしていた。
しかし本気を出したアンジェはその全てをブレード一本で見切り、捌き、弾きながら拳や足による打撃を的確に当てて行く。
額、顳顬、喉、胸元、急所と呼べる部分を正確に殴り付けられ、痛みと吐き気がエリオを襲う。
(ダメだ!! 急所に何発も貰ってる、まだ速さが足りない!! もっと疾くッ!! もっと鋭くッ!!)
地面を、廃墟の柱を、彼はありとあらゆる物を足場に駆け回り、段々と加速して行く。
––––––疾く、鋭く、反応されない程の速度をッ!!
そんな思いが彼の殻を破ったのか、徐々にアンジェの剣を掻い潜って行く。
徐々にエリオの姿が捉えきれなくなり、次第に斬撃が残像を斬る様になって行く。一太刀を振るう度に二つ返され、二の太刀を振るった頃には三つ帰って来る。圧倒的劣勢に立たされたアンジェは何かを悟った様にフッと笑った。
エリオは壁を蹴って加速を乗せた刺突を放ち、それを逸らそうとしたアンジェのブレードを掻い潜る様に身体ごと穂先を回転させ、ブレードの反対側から槍を振り抜く。
直線的な加速を殺さずに捻じ曲げて振るった槍。アンジェは右腕を差し込んでガードしたが、爆発的な速度を乗せた斬撃は容赦無くその腕を粉砕、再び槍を振り抜いた速度を殺さない様に踏み込んだエリオは、アンジェの背後に回り込み両膝を斬り裂く。
遂に残像すら追い抜く程の速さになったエリオは膝から崩れ落ちながらも全ての魔力を使用して左腕を振り抜いたアンジェに向け、後の先を取るようにほぼ同時に三つの刺突を放つ。
「…………誇ってくれ、それが手向けだ」
アンジェは防御不能のその三段突きを前に抵抗を辞め、その全てを甘んじて受け止めると、そのまま意識を刈り取られた。
不死の英雄伝〜舞台裏〜
NGシーン 命名
エリオ「ハァ、ハァ、ハァ、か、勝った」
ルーテシア「えっと、その、か、カッコよかったよ」
エリオ「あ、ありがとう、ルールーも大丈夫?」
ルーテシア「んーまぁ、これ位なら自己治療出来るかな? そんな事よりもさ、一個良いかな?」
エリエ「えっ? な、何かな?」
ルーテシア「最後に使った技さ、こーアレだよアレ!!一歩音越え、二歩無間、三歩絶刀!! って感じだったから技名を『無明三段(ry 』」
エリオ「ストップストップ!! それ以上はダメだって!!」
ルーテシア「えーっ、カッコイイのになぁ」
ルーテシア(良し何時ものノリだ、そーともルーテシアちゃんはこんな事で堕とされる様なチョロインじゃないですよーだ!!)