不死の英雄伝 〜不屈の体現者〜   作:ACS

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前回は気絶してしまったユーノくん、果たして彼はブレンの持つ武器やなのはのネックレスの価値を知って平然としていられるのか‼︎


破壊された水道管は有澤によって修繕されました。


不屈の体現者 23

第二十三話 道具の価値

 

 

あの後スクライアくんを連れて帰ると、桃子さんが彼を可愛がり倒したり、彼の寝床の製作をしたりと忙しく落ち着いたのは翌日となった。

 

なのはが初めての魔法行使の影響で船を漕いでいた為、彼は一旦俺の部屋で預かる事となったが、明日からは魔法の講師としてなのはの部屋に預ける事となっている。

 

登校の準備を終えた頃に、彼が念話と言う魔法を使って俺たちの脳内に直接話しかけてきた。

 

 

『聞こえてますか?もし聞こえて居るなら心の中で返事をして下さい』

 

『うん、聞こえてるよ、ユーノくん』

 

『なのはと同じく、聞こえているよ』

 

聞こえている事を素直に伝えたのだが、何故か彼は驚いた顔をして俺の方を見ている。

 

『デバイスも無しに念話が出来るなんて……』

 

『まあ、俺も魔導を齧って居るからね、話しかける事は無理かも知れないが応答くらいなら可能だよ』

 

『えっ!?ブレンくん魔法使いさんだったの!?』

 

『正確には魔術師だけどね』

 

俺の使う魔術は回数制限がある以上無闇に使う事は出来ないし、日付が変わるか月明かりの大剣を持って安静にしていないと回数も回復しない。 それに、現在記憶している魔術は闇術だ、威力が高過ぎて使い所が難しい。

 

そう考えると使い勝手の面で言えば彼らに軍配が上がるだろうな。

 

取り敢えず、昨日は出来なかった自己紹介を済ませ、名前で呼び合うようにし、彼の魔力や疲労を回復させる為に真横へ月明かりの大剣を置きその上に食事代わりにクッキーと水を置いたのだが、何故か彼が目を丸くして一気に無言になったのが気になった。

 

学校で授業を受けている際に彼が復活したようで、念話で俺たちに話しかけてきた。

 

 

『ね、ねえ、ブレン、そ、そ、そのさ、ぼ、ぼくの隣にあるこれって、も、も、も、もしかしなくてもなんだけどさ、つ、つき、月明かりの、た、たた、大剣なんじゃあ……』

 

『よく分かったね。その通り、正真正銘月明かりの大剣だよ』

 

『ブレンくん、月明かりの大剣ってブレンくんのお話に出てきたあの剣のこと?』

 

 

ユーノが何を震えて居るのかは知らないが、なのはから疑問の声が上がったので悪いがそちらを優先させて貰う。

 

『そうだよなのは、俺のあの剣は『白竜シース』の尾から産出した聖剣の中の聖剣だよ』

 

『えっと、どうしてブレンくんがそれを持ってるの?』

 

『それはね……』

 

 

その先を答えようとした際に横合いから絶叫にも似た声が聞こえてきた。

 

 

『嘘だ!! ぼくは信じないぞ!!』

 

『ゆ、ユーノくん!?』

 

『だって、だって『月明かりの大剣』は贋作を持ってるだけでも重罪なんだよ!? その所為で過去何人も死刑になったり無期懲役になったりしてる程の聖剣なんだよ!? 時空管理局は勿論、聖王教会だって『月明かりの大剣』を筆頭にした『太陽の聖遺物』に関しては全く容赦無いんだよ!? 幾多の次元世界で『月明かりの大剣』の行方を探して戦争が勃発するんだよ!? それなのに、こんな、こんな皿扱いだとか、お盆扱いだとかもう罰当たりを通り越してもう、その、兎に角ダメなんだよ!! ぼくは信じない、コレが本物だなんて絶対に信じないからね!! 例えぼくが今まで発掘してきた全ての贋作がゴミ屑に見える程の神聖さや魔力が刀身から溢れ出して居ても、伝承の通り安静にしているだけで魔力や体力が回復して行くとしても、ぼくは信じないからね!! そうだ、コレは本当は贋作なんでしょ?ねぇ、贋作なんだよね!?贋作だっていってよぉ……』

 

『………なんだか色々ごめん』

 

彼の錯乱状態に思わず謝罪してしまう。

 

俺個人としては、神具や聖剣等は別段特別な物では無く、変わった力を持った道具と言う認識な為、彼が何を憤慨し泣いているのか全く分からなかった。

 

しかし彼の言葉は止まらない、多少持ち直したお陰で精神が回復したのか言いたい事が山ほど溢れ出しているのだろう。

 

 

『それとなのはのネックレスだけど、それは如何したの?異常な力が篭ってるみたいだけど………』

 

『これ?これはブレンくんが誕生日プレゼントとして私にくれたんだけど………』

 

『ユーノ、それが何を使って作られているのか知りたいのか?』

 

『いや、結構です!!寧ろ知りたくない!!知ってしまったらぼくの決定的な何かが崩壊しちゃう!!ああ、天よ太陽よ、これはぼくに対する試練なのでしょうか? この状況を乗り越えてみせろと言う御意志なのですか!!……………待てよ? 思い出せユーノ・スクライア、昨日の夜にブレンがぼくたちを助けた時の事を……いや、やっぱり思い出すな!!その炎に触れた全てを灰燼にする『太陽のハルバード』があんな矢みたいなぞんざいな扱い方をされるなんてきっとぼくの見間違いか気のせいなんだ、そうだよ、アレも贋作なんだ、きっとそうだ、そうに違いないッ!!』

 

 

その後、授業が終わるまで彼は錯乱状態で喋りっぱなしだった。

 

…………今度から、彼の為に多少は武器の扱いに気をつけるようにしよう。





気をつけるようにする(扱いを変えるとは言っていない)
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