『偽りの依頼によってカーパルスに誘い出されたアクア・ビットマン、同士オールドキングは墜ち、彼は嘗ての仲間との五対一に挑む!! 次回、企業戦士アクア・ビットマン最終回『アクア・ビットよ永遠に』』
第三十一話 ユーノの苦労
僕ユーノ・スクライアは今、ブレンの隣に座ってあるアニメを彼と共に視聴している。
今日は二人のお友達の家にお茶会をしに行くらしいんだけど、なのはの準備がまだ終わっていないらしくて、こうしてブレンと並んでいると言う訳だ。
今視聴しているアニメは世界緑化をテーマにしたアクア・ビット社のアニメらしく、初めてそれを知らされた時に『世界緑化なんだから植林でもするのかな?』と呑気に視聴していたのだけど、良く考えれば非常識な彼が好むアニメだ、常識的な内容である訳がない。
内容を簡潔に説明すると、『もしかしたら万能なような気がする粒子であるコジマ粒子を多分荒廃した世界中に充満させれば人類は救われるかも知れない』と言う思想を持った男がアクア・ビットマンと言うヒーローに変身して勝手に戦う話だ。 ………ツッコミが追いつかない。
「はぁ、遂に『企業戦士アクア・ビットマン』も最終回を迎えるのか、コレの視聴は俺の楽しみだったんだけどなぁ」
本気でこんな番組の終わりに落胆の声を上げている彼はこうして見ると変わった少年なのだが、こと戦いになると様々な武器を使いこなして難なく敵を圧倒するだけで無く、先見性やメンタルも僕たちとは比べ物にならない。
彼は一体何者何だろう?前に一度なのはに聞いたんだけど、彼女も良く知らないらしい。
所持品の真偽はともかく彼はあの『不死の英雄』の持っていた武具を所有しているから一般人では無い事は明白、なら何故それらを彼が使用でき、失われた『ソウルの業』を会得しているのかが全く分からない。
(まるで不死の英雄の再来だけど……まさかね)
かの英雄は修羅の道を歩き、出会いと別れによって孤独となり、薪の王を討ってその茨の人生を終えた為に子孫や後継者を残していないと聖書に明言されていたし、彼の偉業を讃える遺跡の壁画からも同じ事が刻まれていた為、その情報の信憑性は高く、彼が英雄の血筋と言うことは無いだろう。
だが、彼はこの前の大木を見て『瓜二つだ』と言っていたし、混沌の力が宿っていないと一目見て断言した、それはまるで自分の目で見てきたかのような発言だった。
(ダメだ、余計に分からなくなった、彼は何者なんだ、まさか本当に『不死の英雄』の再来……?)
『ユーノ、聞こえるか?』
『えっ?あっうん、聞こえるよ。と言うか念話って一時間前くらいに軽く教えたばかりだよね?』
『簡単な術式だったから直ぐに理解したよ、それはともかく君に一つ意見を聞きたいんだけど良いかな?』
『…………まさか左手の義手にコジマを搭載するなんて言わないよね?』
『なんで分かったんだ⁉︎君はエスパーか⁉︎』
『…………さっきから左手見ながら小声で『コジマパンチ』って言ってたからだよ』
『なるほどね、それよりどうだろう?いい案だと思うんだけど』
…………うん、彼が英雄の再来な訳ないし英雄の血筋でも無いよね。 もしこんな変な少年が『不死の英雄』だったら、世界中の信徒達がショック死しちゃうよ。
ブレンの何時ものお馬鹿に呆れていると、準備を終えたなのはがお兄さんと共に現れた。
「お待たせ、ブレンくん『それとユーノくんも』」
『全然待ってないよなのは、ブレンとアニメ見てたしね』
「なのは、俺の義手にコジマを搭載したいんだけどーー」
「ダメだよブレンくん」
「いや、でもカッコイイしーー」
「ダ・メ・だ・よ?」
「ちょっとだけならーー」
「だ〜め、お兄ちゃんも待ってるし早く行こっ?」
ズルズルと引きずられていくブレン、最近の彼はなのはの尻に敷かれているようで、良く今みたいな姿を目にするようになった。
なのはが彼の保護者となってくれている為、僕もツッコミを入れる必要が無くなり胃の痛みからも解放された。 本当になのは様々だ。
移動するためのバスに乗車した後、僕はなのはの肩の上に乗りながら窓の外を流れる景色を眺めて、僕はこの世界から一刻も早く元の世界に返りたくて仕方が無いと心底思う。
だってこの世界、ブレン以外にも非常識な人が盛り沢山なんだもん。
なんなんだよあの変態企業達、後で調べて分かったけど1COAM一万円レートなんでしょ!?なのになんで一世帯1000万COAMとか言うあほみたいな金額を現ナマで渡すんだよ!!しかも僕らが壊したものが色んな企業の所為になってて尚且つそれを本人達も認めるってどういう事なんだよ!!周りの人も『またキサラギか……』とかいって妙に納得しちゃうし、もう本当、早くジュエルシード回収してこんなおかしな世界から帰りたい……。
窓の外ではキサラギの車が火炎放射を撒きながらミラージュの車とカーチェイスを繰り広げている。
そこから目を逸らして反対方向に目を向けると、今度は普通の車が全方位弾幕を撒き散らすファンタズマに追われている、車の運転手は覆面を被っているから多分泥棒だろう、可哀想に……入る家を間違えたんだね、死ぬ気で逃げてるや。
現実逃避しようと空を見上げると、旅客機がアクア・ビットマンがやってたようなクイックブーストのような超急加速をしたかと思えば、なんの前触れも無くオーバードブーストですっ飛んでいった、乗客は無事なのだろうか?
ああ、早く目的地に着いてくれないかな、胃が痛いや……。
急用があったため今日は一話のみです。