ユーノ(はぁ、始めてなのはと会った時の笑顔を見て以来どうにも彼女に恋したみたいなんだけどなぁ)
なのは「もうブレンくん、まだしょぼくれてるの?」
ブレン「コジマパンチ、かっこいいのに……」
なのは「ブレンくんはそんな物無くても、かっこいいよ」
ブレン「なのは?」
なのは「だって何時も私を守ってくれてるし、私が一人にならないようにずっと側にいてくれる、ブレンくんは私のヒーローだよ?」
ブレン「……ありがとう」
ユーノ(外は人外魔鏡、外を見ないように目を瞑れば初恋の人が他人といちゃつく声が聞こえる、僕、この一件が終わったら故郷に帰るんだ〜)(遠い目)
第三十二話 お茶会
バスに乗っている間何故かユーノが遠い目をしていたが、何事もなく月村家へと到着した。
本当はシフも連れて行きたかったのだが、月村家には沢山の猫が居る、シフは気にしないだろうがそれでも威圧してしまう事になるため今回はお留守番だ。 もっとも、行く気満々だったシフにその事を伝えると彼は不貞腐れて犬小屋の中に入っていったのだが。
その後は月村家のメイド長であるノエルさんの案内ですずか達のいる場所まで案内して貰う。
案内された先にはすずか達が忍さんと一緒に猫に囲まれて紅茶を飲んでいた。
側にはすずかの専属メイドであるファリンさんが立っており、彼女は俺たちに挨拶をするとノエルさんと共にお茶を淹れに行った。
俺たちもみんなに挨拶を済ませ、忍さんが恭也さんを連れて席を外した所ですずか達が今日俺たちを誘った理由を話し始める。
「今日二人を呼んだ理由はね、ブレンの事を私達はあんまり知らないからそれを話してもらえないかなって思ったのよ」
「ふえ?ブレンくんの事?」
「うん。私もアリサちゃんもブレンくんの昔の話とか何が好きかとか聞いたこと無かったなって思ったから」
「成る程ね、良いよじゃあ何から聞きたい?今日は何でも答えるよ」
今になって思い返すと、彼女達には俺の身の上話を話した事が無かった、まぁ身の上話と言っても戦いの旅路しか覚えて居ないため彼女達が求めるような話は出来ないだろうが。
「じゃあ、先ずは血液型からよ」
「忘れた」
「誕生日は何時なのかな?」
「忘れた」
「……出身地は?欧州の何処かだと思うんだけど?」
「知らない」
「ご、ご両親は?」
「忘れた」
「あ、あははは、ゴメンねアリサちゃん、すずかちゃん。ほらブレンくんも謝って?」
「でもなのは、事実だし」
正直に答えていたのだが、アリサが下を向いてわなわなと身体を震わせ、すずかも笑顔を引きつらせている。
「?どうしたのさ二人とも、質問はもう良いの?」
「〜〜〜〜っざけんなぁ‼︎答えになってないわよ‼︎」
「あ、アリサちゃん、ちょっと落ち着いて」
「無理よすずか‼︎こいつ答える気ゼロじゃない、自分の事を『忘れた』はないでしょ⁉︎」
「そう言われてもなぁ……、実際自分の事は何一つ覚えてないんだから仕方ないだろ?」
ロードランでの長い旅路は自分が何者なのかと言うことを忘れさせるには充分過ぎた、亡者化の影響も合わさり表情や感情も凍り付いていた事からもそれが分かるだろう。
彼女達は俺の目を見て冗談で言っている訳では無いと感じたのだろう、急に黙り込み『……ごめん』と謝罪の言葉を口にした。
「謝らなくても大丈夫だよ、気にして無いし」
「……その、記憶喪失、で良いのよね?」
「気が付いたら殆んど全てを忘れてたからね、なのはと出会った時は本当に何も知らなかった」
「えっと、じゃあなのはちゃんとブレンくんが初めて出会った時のお話を聞かせて欲しいな」
「す、すずかちゃん、ほら私が恥ずかしいからちょっとそれは……」
「ふ〜ん、それは益々聞きたくなってきたわね」
「あ、アリサちゃん⁉︎」
なのはの抗議の声が聞こえたので話すのを辞めようかと思ったのだが、彼女達に話せる事があまり無い上になのはの恥ずかしがる姿が最高に可愛いので話す事に決めた。
「俺にとってのあの日は、正に運命の日だった」
「ブレンくん⁉︎」
「俺の目の前に現れた一人の少女、彼女は自分の中の孤独を自覚しながらも家族を思い、迷惑をかけまいと必死になってそれに耐えていた、涙を堪え、孤独に怯えながらも上を向くその姿が、その心が、その魂が、その全てが気高く美しかった」
「ブレンくん、恥ずかしいからもうその辺で……」
「記憶も感情も無くしていた俺が彼女を見た瞬間に一目で恋に落ちた、俺は彼女の全てが愛おしくて仕方なかった」
なのはが顔を真っ赤にしながら俯いている、その姿は非常に愛らしく、正に天使のようだった。
もう少し彼女の顔を見て居たかったのだが、ユーノが猫に追い回され始め、彼が逃げ回っている所にファリンさんが紅茶を持ってきた。
足元をぐるぐると回り出した小動物達に彼女は目を回し、今にも倒れようとしている。
「ファリン危ない‼︎」
すずかとなのはと一緒に彼女を支えたお陰で紅茶は無事だった…………紅茶は。
彼女が持ってきた紅茶はイチゴミルクティーらしく、そのミルクとジャムが俺の頭に掛かってしまった。
「服が……」
「うわ〜ん、なのはちゃん、すずかちゃん、ブレンくん、ごめんなさ〜い‼︎」
「ふ、ファリン、それよりも早くブレンくんをお風呂に‼︎」
ドタバタとした事態になってきた時、最悪のタイミングでジュエルシードの発動を感じた。
『二人とも‼︎』
『分かってる、しかし俺はこの通りの有様だ、無理に行けばそれこそ不審に思われる。ユーノ、なのはを頼んだぞ?』
『うん、任せて‼︎』
『なのはもゴメンね、今回は君と並んで戦えそうに無い』
『大丈夫、私一人でもちゃんと出来るから安心して?』
俺は念話で彼らとのやり取りをしながら、ファリンさんの手によってお風呂へと連行されて行くのだった。
『皆さんこんにちは、ネットショッピングのお時間となりました。 司会進行は私アディ・ネイサンでお送りします。 本日紹介する商品はオーメル社製の小型ジェット機です。 このジェット機はメインブースターに『CB-LAHIRE』バックブースターに『LB-LAHIRE』サイドブースターに『AB-HOLOFERNES』オーバードブーストに『KRB-LAHIRE』を搭載しており、PA並びにAAも使用可能となっています。 更に両翼に主砲として『EC-O307AB』、更に機体底部に副砲として『AR-O700』と『EG-O703』が其々二門設置され、レーダー障害用に『AR-O401』が装備されています。自家用機としていかがでしょう?今なら我が企業連の各社員の性格や声などを完全にトレースしたサポートAI組み込むオプションも付いてきます。説明は以上です。オーメル・サイエンス社との繋がりを強くする好機です、そちらにとっても悪い話では無いと思いますが?』