不死の英雄伝 〜不屈の体現者〜   作:ACS

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『皆さん今日はBFF報道のリリウムです。 本日のトップニュースです。先日開催されたクレー射撃の世界大会でリリウムが金メダルを獲得致しました、褒めて下さい。 お父様のジーン・ウォルコットは銅メダルでした、はぁ。 尚銀メダルはポール・オブライエンと呼ばれる男性でした、あんなライフルでリリウムと渡り合うとは……。以上リリウムでした』


不屈の体現者 34

第三十四話 竜狩りの槍

 

 

竜狩りの槍。確か『不死の英雄』が神の国アノール・ロンドで四騎士の長オーンスタインを討った時に餞別として譲り受けた槍……だったよね?

 

小さい頃にブレンくんが話して聞かせてくれたから良く覚えている、でもなんで彼女がそれを?

 

ユーノくんも私と同じ疑問を持ったのか、その顔には驚きの表情がありありと浮かんでいました。

 

「嘘、だろ?そんな、『竜狩りの槍』だって⁉︎」

 

「何を勘違いしているかのかは知らないけれど、私のこの『竜狩りの槍』は贋作だ、本物ほどの力は無いよ」

 

 

その言葉に安堵したのも束の間、彼女は『でもね』と続けて槍の切っ先を私に向ける。

 

 

「この槍は『竜狩りの槍』を再現しようと生涯を賭けた刀工の熱い魂が篭った一振りなんだ、その性能は出回っている見てくれだけの贋作とは一線を画している」

 

「贋作なら尚更何故⁉︎持っているだけで重罪なのに何処でそんな物…」

 

「贋作を所有する事自体は罪じゃないんだ。 罪なのはその贋作が『太陽の聖遺物の名を著しく穢すほど出来が悪い事』そして『それを知りながらも無許可で所有する事』、つまり贋作と言えど一定以上の力と許可証があれば所有する事は認められる。 そして、この槍は私の母さんが嘗て報酬として正規の手段で貰った物、それがこの槍を誰に憚る事無く私が使える理由だ。 …………少し喋り過ぎたね。君、名前は?」

 

覇気と共に射抜くように私を見つめ、彼女は名を聞いてきた。

 

 

「……私はなのは、『高町なのは』‼︎」

 

「『なのは』か良い名前だ……。 私はフェイト、『フェイト・テスタロッサ』君が敗北する女の名前だ‼︎」

 

彼女はそう叫んで槍を両手で握り、私に向けて突進してきました。 初めの一撃と同じ体制だったので簡単に対処出来ると思っていましたがその予想は大きく外れ、私は彼女の姿を捉えることが出来ずに胸に槍を突き立てられていました。

 

本当に一瞬でした、彼女の槍が僅かに放電したかと思った時には彼女は私の胸を貫きそのまま私を持ち上げていました。

 

 

「あ、れ?」

 

「どうやら君には私の速さが見えているようだからね、それなら私が君が対処出来ないほど速くなれば良い。 私の竜狩りの槍は『所有者を加速させる能力』が備わっているんだ、『四騎士の長の速さをある程度再現出来る事』コレがこの槍の存在が認められている理由だよ」

 

私は貫かれた状態から無理矢理ディバインバスターを放とうとしたのですが、彼女の握る槍から電流が迸り、私の全身を駆け巡りました。

 

 

「うわあああああああッ‼︎」

 

「非殺傷設定にはしてあるから、安心して」

 

 

フェイトちゃんが私をユーノくんに預け、ジュエルシードを封印して回収して行ったのを、私は薄れ行く意識で眺める事しか出来ませんでした。

 

それから暫く経ったのか、私の意識が覚醒したのは夕陽が沈もうとしている頃でした。

 

「…………此処は?すずかちゃんの家?」

 

「なのは‼︎」

 

 

まだ少し覚醒仕切っていない頭で状況を把握しようとしていた私はブレンくんに強く抱き締められました。

 

「ふえ?ぶ、ぶ、ブレンくんどうしたの?」

 

「良かった、本当に無事で良かった‼︎ 本当に、本当に…………生きていてくれて‼︎」

 

 

身体を震わせボロボロと大粒の涙を流しながら私を更に強く抱き締める彼に少し戸惑いましたが、その姿はそれほどまで彼に心配を掛けた事になってしまったと悟るには十分過ぎるものでした。

 

 

「俺が居ながら、こんな、こんな……。すまないなのは、君の騎士を自称しながら守る事が出来なかった、本当にすまない……」

 

「ブレンくん……」

 

 

彼はずっと自分を責め続け、普段とは全く違う今にも折れてしまいそうな弱々しい印象を受けました。

 

そんな彼の姿を見ていられなくって、気が付いたら私は彼を抱き締め返してその頭を撫でていたのです。

 

「泣かないで、ブレンくん。 私は無事だから、大丈夫だから、ね?」

 

「なのは……?」

 

「ブレンくんはちゃんと私の騎士だよ、だからそんなに自分を責めないで? 今回は私の所為だから」

 

「……なのは」

 

「……ブレン、くん」

 

 

ブレンくんの涙を拭い彼の目を見つめていると自然とお互いに顔が近付いて行く、吐息がかかるほど顔が接近しこのままーー。

 

 

「ゴホン、あんた達、良くこの状況下で周りの目をそっちのけでイチャつけるわね」

 

「アリサちゃん、私はもっと複雑だよ?」

 

「…………ブレン、お前の思いは知っているからなのはとの関係についてはとやかく言うつもりは無いが、時と場所を考えろ」

 

 

みんなの総ツッコミを受けて、私達は近付いていた顔を離し、そこで始めてブレンくん以外にも人が居る事に気が付きました。

 

………………………あは、あははは、は、穴があったら入りたい。

 

 

 

 

それから数時間後、とあるマンションにて。

 

 

「ただいまアルフ、今日の収穫は一つだけだったよ」

 

「こっちは結局見つかんなかったよ……ってフェイト、あんた『アレ』使っただろ?」

 

「え?どうして分かったの?」

 

「歩き方がぎこちないし、若干身体のあちこちを庇うようにしてるからさ、それより『アレ』を使う必要があったのかい? まだフェイトも使いこなせてないだろ?」

 

 

フェイト・テスタロッサの持つ竜狩りの槍は、雷の力を備えてはいないが所有者を加速させる力を持っている。

 

しかし、それはあくまで『速度を加速させる』と言うだけであって思考速度や五感のような感覚は通常のままであり、所有者であるフェイトでさえその速さに付いて行けていない。

 

結果、彼女は自身の有無を言わせない暴力的な速さの一点突破の反動を受け、全身が悲鳴を上げているのだ。

 

彼女の帰宅が遅くなったのも、彼女がなのはを倒した後反動による激痛によって長時間意識を失っていたからだった。

 

 

「あははは、バレちゃった? 母さんが泣いちゃうから秘密だよ?」

 

「はぁ、逆に隠し事されたってプレシアが知ったらショックで3日は飯が喉を通らないんじゃないかい?」

 

「でも、これ使ったってバレたらきっと母さんは『まさかそんなに危ない世界だったなんて……良いわ、私がジュエルシードを集めます‼︎だからフェイトは家でお留守番してなさい、知らない人が訪ねてきても居留守を使うのよ?知ってる人でも私が居ないからって追い返しなさい。 料理はちゃんと作ってあるからアルフと一緒に食べなさい? さあ行くわよリニス‼︎』ってなるから……」

「…………子離れ出来ない親バカはやっかいだねぇ」

 




ブレンが涙を取り戻しましたね、順調に人間性を取り戻せてますね(白目)

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