そして今回のブレンは回復してきた感情から生まれた羞恥心によって終始顔が赤いです。
第三十六話 いい湯だね
俺は、今、人生最大の山場を迎えているのでは無いのだろうか? アルトリウスやマヌスと対峙した時やあの放浪者や大王グウィンを討った時よりも緊張しているとはどういう事なのだろうか?
「どうしたのブレンくん?」
「早くしなさいよブレン、何時まで固まってんの?」
「ち、ちょっと恥ずかしいけど、ブレンくんとなら……」
なのは、アリサ、すずかの三人が何か言ってるが、その言葉を理解出来ずにいた。
現在俺が居るのは旅館の『女湯』前だ、車を降りたと同時になのはとすずかが俺の両腕に抱き着きそのまま此処まで連行された。
まだ俺が右も左も分からなかった頃は、なのはと一緒にお風呂に入って居ても『なのはと一緒に居れて幸せだな』としか思わなかったのだが、今は、その、色々感情も戻って来ている、から、はっきり言って死ぬ程恥ずかしい……。
いや、なのはのお誘いな訳だから断る気は毛頭無いのだが……、彼女だけならともかく、アリサ、すずか、桃子さん、美由希さん、忍さん、ノエルさん、ファリンさん、これだけ居るんだぞ? 確かに女性の身体に少しは興味があるが、この状況を俺は素直に喜べない。
女湯と書かれた暖簾を眺めたまま固まっている俺に業を煮やしたのか、アリサがなのは達に指示を出し、俺はあれよあれよと言う間に女湯の脱衣所へと連行された。
『ぶ、ブレン‼︎どうして僕を義手で握りしめて居るのかな⁉︎ ほら、僕男だから士郎さん達と一緒に男湯に行きたいんだけど‼︎』
『安心しろ、俺も男だ』
『そんな言葉が聞きたいんじゃない‼︎ なんで僕を道連れにしたのかを聞いてるんだよぉぉぉお‼︎』
『……正直何故だか自分でも分からない、だが、不思議と俺一人で女湯に行くと考えると無意識に手が出ていてな、 オ マ エ モ ミ チ ヅ レ ダ 』
『ブレェェェェェェェン‼︎』
『それとなのはの肌を見るなよ? もし見たら…………生皮を剥ぐぞ』
『そんな殺気とドスを効かせ無くても見ないよ‼︎』
『なに?なのはの肌は『見る価値が無い』だと‼︎』
『そんな事僕は一言も言ってない‼︎ 今日の君はかなりおかしいよ⁉︎ 怖い怖い怖い、目が本気だよ⁉︎ 訂正する‼︎訂正します‼︎ なのはの身体に興味あります、あの柔肌を見たいです‼︎』
『握り潰すぞ小動物』
『どうしろって言うんだよぉぉぉぉぉぉぉお‼︎ やめて力入れないで‼︎その義手のパワーで握られたら僕は挽肉になる‼︎ てかそもそも僕を此処に連れて来たのは君だろ?理不尽過ぎるんだよ‼︎』
『なのはの肌を見ないように彼女から目を逸らすな』
『無茶苦茶だぁぁぁぁぁぁぁあ‼︎』
ユーノの抗議を封殺し、彼が逃げられないように握り締めたまま義手を外す。 彼は身を捩らせて脱出しようとしているが、ちゃんと逃げられないような握り方をしている、無駄な抵抗だよユーノ・スクライア。
右手一本で服を脱ぎ、彼女達の肌を見ないようにしながら入浴道具を準備していると、アリサ達から声が掛かった。
「……初めてあんたの身体見たけれど、色んな傷跡がいっぱいね」
「切り傷に刺し傷、後は火傷とかもある、銃創もあったよアリサちゃん、…………きっと此処から一杯血が出たんだろうなぁ」
「すずか、本能がだだ漏れよ? 興奮しながら舌舐めずりしない」
「はっ、ご、ゴメンねブレンくん‼︎」
「いや、うん、大丈夫だから……」
ついすずかの顔を見て返事をしようとして、此処が脱衣所だと思い出した俺は一糸纏わぬ姿の彼女たちを見ないように目を瞑り、抵抗を諦めたユーノを握って急いで風呂場に駆け込む。
人とぶつからないように周りの気配を把握しながら、早く身体を洗ってしまおうと細目を開けてシャワーの前に座った時だった。
脱衣所からなのはが真っ直ぐ俺の右側に座り、今から頭を洗おうとしていた右手を掴まれた。
「えっと、なのは?これは一体なんの真似、かな?」
「ふふん、今日は私達みんなでブレンくんを励ますんだよ?だから何時も洗い辛そうにしてる髪の毛を私達が洗ってあげる」
武器を仕込んだり不意打ちに使うために髪を伸ばしていたのが仇になったか‼︎ 今から纏めて髪を斬り落とすから嬉しさと恥ずかしさが入り混じったこの状態から解放してくれないかな?
「ブレンくんの髪って凄くサラサラだよね?私、前から一度触ってみたかったんだ」
「髪もサラサラだし、肌も綺麗、顔もイケメンだし性格も悪くない、手先も器用だし最近は表情も感情も出て来てる、超優良物件よね」
「もう、アリサちゃん、ブレンくんは物じゃ無いよ?」
「はいはい、ブレンはなのはのナイト様だからね〜、っとなのはをからかうのはこの辺にして置いて丸洗いしましょうか」
髪の毛だけと言う話だったのに、何時の間にか彼女達に身体の隅々まで見られ、そして洗われた。 …………それも一人一回づつ、俺はなすがままだった。
「終わったよブレンくん、気持ち良かった?」
「…………うん」
「やった、じゃあ次はお姉ちゃん達の番だから私達も身体を洗うね?」
「ふっふっふ、最近ブレンは頬っぺた触らしてくれないし抱き締めさせてもくれないからね、今日は今までの分きっちり神懸かり的な身体を堪能させて貰うぞ〜‼︎」
「………………もう、好きに、してくれ」
その後は何故か桃子さんや忍さん、ノエルさんとファリンさんまでも加わり俺の全身はくまなく洗われた。
もう綺麗だろう?もう散々洗っただろ?湯船に浸からせてくれ…………。
なすがままとなっている俺を見たユーノが、こっそりと女湯から去ろうとして居るのに気が付き、美由紀さんに抱き締められた状態から、彼の頭目掛けて手首だけを使って石鹸を投げ付け動きを封じる、逃がすものか。
「よーしブレン、私と一緒に湯船に浸かろう‼︎ そしてなんでまだ私を『姉さん』って呼ばないのか聞くまで離さないからね‼︎」
「ふふっ、私も何時になったら『お母さん』って呼んでくれるのかしらね?」
……………………心が折れそうだ。
当館の温泉の種類は以下の通りです。
一、普通の温泉 (全身リフレッシュ)
二、AMIDA温泉(彼らの吐いた酸に浸かりましょう)
三、ラインアーク温泉(水没者続出)
四、コジマ温泉(高濃度圧縮コジマ)
五、逆流温泉(AMSから、光が逆流する‼︎ギャァァァァァァア‼︎)