不死の英雄伝 〜不屈の体現者〜   作:ACS

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主人公は転生者絶対殺すマン、慈悲は無い。

それとこれ以上新しい転生者は出しません、ややこしいしね。


深刻な主人公の骨抜き化と水銀インストール、なのはにべた惚れだから仕方ないね。


不屈の体現者 4

第四話 安息の時

 

 

さて、先ずは二人。

 

ハルバードをソウルに戻し、改めて転生者について考える。

 

この世界に紛れ込んだのは三人、そして出現位置はこの町だった。

 

無論、彼らを転生させた神は処分したが、入り込んだ彼らの排除が間に合わなかったためこうして現界し、直接的な手段を取らなければならないので、如何しても捜索に手間がかかる。

 

 

 

ハヤト、スズと呼び合っていた彼らは知り合いのようだった、となると残る一人はシロウと呼ばれていた者か。

 

 

魔力の残滓は残っているだろうから、残る一人も直ぐに此処を嗅ぎつけるだろう。

 

 

彼らの死んだ場所に聖剣と魔槍を突き立て、周囲に結界を作る。

 

純粋な人間には見ることも触れる事も出来なくなる結界、それを使って残る一人を炙り出すつもりだったのだが、後ろから声を投げ掛けられた。

 

 

「あ、良かった、まだ此処に居たんだね」

 

その声の主はなのはだった。

 

別れて三十分もしていない筈の彼女だが、俺に何か用があるのだろうか?

 

「お母さん達にね、ブレン君の事をお話したら、『なのはの初めてのお友達だから、是非お家に招待しましょう』っ言ってくれたの」

 

「でもね、私はブレン君のお家を知らないから公園まで戻って来たんだ」

 

 

居てくれて良かった。 そう呟いていた彼女を見て、俺は暖かい気持ちで胸が一杯になった。

 

彼女と会話出来ただけでも幸せなのに、まだ彼女と共に居れる

のか……。

彼女との出会いは、俺に孤独を自覚させると同時に他者との繋がりの暖かさを教えてくれた。

 

出会って数時間で骨抜きにされてしまった、正に彼女は俺にとって女神と言っても過言ではないだろう。

 

その女神からのお誘い、思わず嬉し涙が溢れてくる。

 

「えっと、なんで泣いてるの?」

 

 

「つい、嬉しくてね」

 

「大丈夫、もう直ぐ治るから」

 

「そうなんだ、じゃあ明日にでもーー」

 

 

彼女と明日の晩餐へお呼ばれする約束を交わしながら、日も暮れて来たので帰り道を送って行く。

 

この時、俺は彼女の事で頭が一杯になってしまい、残る一人の転生者の事を後回しにしてしまった。

 

その事について後悔はしていないが、後にこの事が大きな波紋を産んでしまう事となる。

 

夕暮れ時、誰も居なくなった公園に魔力の残滓を辿った一人の少年が現れた。

 

奇しくも不死の英雄が己が女神を家まで届けている最中だった為、彼らは出会う事は無かった。

 

この少年は三人の転生者の生き残り。

 

百年の修業では飽き足らず、魔法球の中で更に修業を重ねていた為、幸運にも死なずに済んだ。

元々、彼ら三人の転生者達は幼馴染み同士で、強い絆で結ばれていた。

 

苦楽を共にし、修業の中でも支え合っていた。

 

他の二人の強さは身に染みて知っている、普通の敵には遅れを取るはずがない。

 

 

なのに、何故このような事になったんだろう?

 

 

中程から圧し折られた紅い魔槍、熔解して辛うじて原型を止めているだけの黄金の剣。

 

何処を探しても幼馴染み達の魔力や魂の存在感は感じられない。

 

放心状態でそれを眺めていた彼は、ある物に気が付いた。

 

 

地面に魔力を集めて書かれたのであろうメッセージ。

 

 

 

薄汚い神の尖兵よ、貴様の存在は私が許しはしない。

 

その存在の全てを滅尽滅相すると宣言しよう。

 

この二人のように、塵のように死ね。

 

 

 

そして彼は事ここに至り、自分の相手にする者の強大さに気が付いてしまった。

 

メッセージに込められた魔力の量と質、そして自分が転生させて貰った神とは桁違いな神性。

 

メッセージを読んだだけで、本能的な恐怖が全身に刻まれ、彼はその場で膝をつく。

 

 

この世界で人助けをする、紅い弓兵のような男になる、そして幼馴染みだった彼女に思いを告げる。

 

それは彼が転生した際に抱いていた感情で、皆の共通した思いだった。

 

世界の歪みの元兇を討って欲しい。

 

我々神では彼に太刀打ち出来ない。

 

選ばれた人間である君たちならそれが出来る。

 

頼む、世界を在るべき姿へと戻してくれ。

 

彼の頭の中に、自身を転生させた神の言葉が繰り返される。

 

今にして思えば、彼の目は自分たちを何処か道具として見ている節があったように思える。

 

 

「あの神様は、俺たちを騙したのかよッ!!」

 

 

彼は血が滲む程強く拳を握り締め、血反吐を吐くように声を絞り出した。

 

どうやらこの男は自身が傀儡だった事を早くも受け入れたらしい

 

「隼人、鈴、お前達の仇は俺が必ず取ってやる!!」

 

「何があっても必ず、必ずだ!!」

 

彼はその瞳に復讐の炎を灯しその場を後にしていった。

 





この後、転生者は暫く出番無し。

バトルパートもお休みとなります。
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