そして今回はその導入部です。
まあ修行と言う程の物ではありませんが、NEET化し始めたシフ先生に働いて貰います。
第四十二話 レイヴンズネスト
あの温泉旅行から帰ってきて直ぐ、私はフェイトちゃんの速さに惑わされない様になる為には如何したら良いか考える為にブレンくんに相談する事にしました。
ブレンくんは庭に居て、地面に爪を立てて必死で抵抗しているシフちゃんの尻尾を掴み、あの動物病院に連れて行こうと引きずっている所でした。
「えっと、ブレンくん。 ちょっと良いかな?」
「え?うん、良い、けど、ッ‼︎ ええい、シフッ‼︎いい加減諦めて付いて来い‼︎ 最近お前はたるみ過ぎだッ‼︎」
シフちゃんがイヤイヤと首を振りながら私の目を見て何かを訴えてきている、その目から読み取れた感情は『嫌、病院怖い』『痛いから尻尾掴むのやめて』『なのは助けて‼︎』と言う物でした。 潤んだ瞳で私を見つめて来ている彼の愛らしさに負け、思わず助け船を出してしまいました。
「ごめんねブレンくん、シフちゃんにも用があるんだ」
「シフに用って事は、もしかしてあの子関係の話かな?」
「うん、実はフェイトちゃんの速さにちょっとでも慣れたいんだ」
具体的な方法は定まっていないものの、彼との模擬戦を繰り返していれば良いかな、と考えていたのですがブレンくんは顎に手を当てて一つの提案をしてきました。
「速さ、速さか、ならシフとちょっと遊んで見ようか」
そう言ったブレンくんはシフちゃんから尻尾を離し、ユーノくんを呼びながら私の手を引いてある場所へと向かいました。
とある廃墟、其処は二年前に私達が誘拐された場所でした。私が唖然としていると、ブレンくんはそのまま私の手を引き院内へと足を踏み入れて行きました。
リノリウムの床を歩きながら、私達はあるエレベーターの前に辿り着きました。
ブレンくんはポチポチと開閉ボタンを押していますがそもそもこの廃墟に電気が通っているのでしょうか?
「あれ?おかしいな」
「ねえブレン、僕が思うにこの廃墟には電気が流れてい無いんじゃ……」
「ああ、そうだったな。 コンセントは何処かな?」
「ええっとブレンくん?コンセントに何するつもりなのかな?」
「何って、電気を供給するんだよ?」
そう言って、彼はコンセントに向かって『竜狩りの槍』を取り出して……ってええ⁉︎
「待って、ちょっと待って‼︎ なんでブレンくんがそれを持ってるの⁉︎」
「なのは、落ち着いて」
「でも、ユーノくん‼︎」
「なのは、ブレンのやる事なす事に一々驚いてたらキリがないよ? そもそも今更じゃないか」
彼はバチバチと帯電しているその槍を何の迷いも無くコンセントに捩じ込み、凄まじい勢いで放電して行く。
それによって廃墟全体に電気が供給され、次々と廊下の蛍光灯が点灯して行く、勿論エレベーターも起動し、私達はその中へと誘われて行きました。
ブレンくんがエレベーターのボタンを色々と押すと、私達の乗ったエレベーターは地下へ地下へと降って行きました。
最下層に向かっている間にブレンくんが淡々とこの施設についての話を始めました。
「知っての通り、此処はなのは達が二年前に誘拐された場所、通称『アスピナクリニック』総合病院ではあったが無許可で人体実験を繰り返していた為に潰された病院だ。 まあ、それはカモフラージュだったみたいだけどね」
「カモ、フラージュ?」
「そう、カモフラージュ。 此処は病院と言うより各企業の兵器の実験場としての面が強く、傭兵の育成場でもあったらしい。 そしてその当時の名称は『レイヴンズネスト』」
「レイヴンズ、ネスト……」
「待ってよブレン、どうして君は其処まで詳しいんだ?」
ユーノくんのもっともな疑問に、ブレンくんは懐から一つのUSBメモリーを取り出して私達に向かって投げ渡しました。
「それの中にここの情報は粗方詰め込んであるよ、あまり気分の良い内容では無いから見る事はオススメ出来無いけどね」
「……なんでそんな物持ってんのさ」
「この間変なガードメカが出て来たからさ、ちょっと気になって隅々まで調べて見たんだよね。 情報を持ち出す余裕も隠蔽する暇も無かったんだろう、丸々機密情報が残っていたよ」
「そ、その口ぶりだと、ブレンくんはしょっちゅう此処に来てる見たいだけど……」
「だって、此処は俺の秘密基地だし」
「あ、あはは、はは」
なのはにはブレンくんの言っている事がとんでもない事のように聞こえるような気がするのですが……。
そんな私の困惑を知ってか知らずか、投げ掛けられた疑問に答え終わったブレンくんは先ほどの続きを話して行きました。
「俺たちが今から向かうのはレイヴンズネスト時代に使用されていた『アリーナ』と呼ばれる施設だ。 理由としては俺やシフは空を飛ぶ事が出来ないから君達のような戦い方が出来ない、だが充分に壁や足場があるアリーナならばそれに近い動きが出来るし、此処なら人目に付かないから思う存分シフも暴れられるから、と言う理由かな」
「でもさ、それなら態々こんな場所まで来なくても僕が結界を張れば良いんじゃないかな?」
「なのはの砲撃を耐えるのは苦痛だろ? そんな状態で万一ジュエルシードの発動があった場合、満足に戦えるのか?」
「うっ、それを言われると……」
「なのはの場合、ネックレスの力があるからこそ疲労や魔力切れを気にする必要が無いんだがな、君の場合はそうは行くまいさ。 ああ施設の事を気にしてるなら大丈夫だよ、ここの壁は有澤製だから、っともう直ぐ到着するみたいだよ」
ブレンくんの話を聞いていると、エレベーターがその『アリーナ』と呼ばれる施設についたのか、扉が開き、その先には不気味な雰囲気を醸し出している広い通路が私達を待っていた。
不死の英雄伝 〜 舞台裏 〜
NGシーン 彼の趣味
ブレン「なのはの場合、ネックレスの力があるからこそ疲労や魔力切れを気にする必要が無いんだがな、君の場合はそうは行くまいさ。 ああ施設の事を気にしてるなら大丈夫だよ、ここの壁は有澤製だから、っともう直ぐ到着するみたいだよ」
エレベーターの先に見えたのはショーケースに入れられた数々のアクア・ビットマングッズが目に入って来た。 唖然としていると、この部屋全体にアクア・ビットマンの主題歌が流れていて、奥には見覚えのある金髪の少女がアスピナマンのコスプレをして決めポーズまで取っていた。 彼女もアクア・ビットマンのファンだったみたいだ、何処でブレンくんがそれを知ったのか分からないけれども此処に誘うほど話が弾んだのだろう、正直嫉妬している。
なのは「…………」
ユーノ「…………」
フェイト「ふはははは、私の名はアスピナマン‼︎ 最速を信条とし、最速を目指す者だ‼︎」
ブレン「パスワード間違えちゃったや」
ユーノ「もうやだ」