左の親指の爪が捲れると言うアクシデント、薄皮一枚残ったけど力が入らないよ……。
まあ利き手じゃないんでどうでも良いですが。
第四十五話 理由
なのはのトレーニングが終了したその日の夜、ジュエルシードを探して街中を散策しているとアルフの魔力がこの街一帯に叩き込まれたのを感じた。
魔力流とでも呼べば良いのか、それなりの魔力の滞留によって今まで大人しくしていたジュエルシードが発動し、その居場所を俺たちに晒し始める。 ユーノは周辺に被害が及ばない様に結界を展開し、ジュエルシードを中心にして周囲の空間を切り取った。
なのははそれに素早く反応し、ジュエルシードに向かって砲撃を放ち封印処理を施そうと試みるが、それは向こうも同じ事。
なのはの桃色の砲撃が直撃する瞬間にフェイトから放たれた黄色の砲撃が同時に着弾し、互いに競り合いながら半ば力尽くでジュエルシードの力を封印した。
即座に回収に向かおうとしたなのはの前に、向かいの高層ビルの上からオレンジの狼が立ちはだかるように突撃して来た。 時間稼ぎのつもりだろうが、残念だが今回は彼女の相手をする気は無い。
戸惑うなのはにフェイトを抑えるように促し、シフを呼び寄せアルフに当たらせる、そして残った俺とユーノでジュエルシードを確保すると言う算段だ。
シフは残像を残しながらアルフの脇腹に体当たりをかまし、そのまま俺たちから距離を離させる。 彼女はシフの事を知らない為、完全にその不意打ちに嵌り地面を転がって行く。
アルフもアルフで直ぐさま体制を立て直し、シフを無力化しようとバインドを試みるが、拘束しようとした瞬間に速力だけで振り切られてしまい空振りに終わり、それどころか下手に足を止めた所為でシフの一撃が身体に叩き込まれている、これで彼女はシフに釘付けとなった、俺たちも早くジュエルシードを確保しよう。
ブレン達がジュエルシードの確保に向かった頃、空中で二人の少女が対峙していた。
高町なのはとフェイト・テスタロッサ、数奇な運命によってぶつかり合う事になった彼女達は戦いの中で少しづつ相手の事を理解し始めていた。
「フェイトちゃん‼︎ 私がジュエルシードを集め始めたきっかけはね、ユーノくんのお手伝いだったんだよ‼︎」
砲撃を放ち、ビル群の隙間を縫って回避するフェイトを狙い撃ちながらなのはは言う。 言葉にするだけでは伝わらないと知りながら、しかし言葉にしなければ伝わらない事もあると知っているから。
そう、この二人の戦いは『闘争』では無く『対話』なのだ。 語り合い、思いをぶつけ合って相手を理解しようとする戦いなのだ。 だからこそ、それを理解した彼女の騎士はフェイトに手を出さず、その戦いの成り行きを眺めるだけに止めている。
彼女は続ける、己の戦う理由を。
「でもそれだけじゃあ駄目だったんだ‼︎ 甘かったんだ‼︎ 分かってたつもりなだけだったんだ‼︎ 失敗してから気が付いた‼︎ ジュエルシードはとっても危なくて、みんなが危険な目に遭う物だったんだって‼︎ だから私は杖を握るんだ‼︎ 護りたいから‼︎ この街が好きだから‼︎ これが私の戦う理由だよ‼︎」
真っ直ぐにフェイトを見据え、ディバインバスターを薙ぎ払うように放出してフェイトが障害物として利用している摩天楼達を破壊して行き、彼女の逃げ場を無くす。
完全に周辺の建物を破壊し尽くされた為、正面からぶつかり合うしか無くなったフェイト、彼女の切り札である竜狩りは彼女の身体にも大きな負荷を掛ける。 その為に本来ならやすやすと使える物では無いのだが、なのはとの戦いで間を置かずに二度も使用する羽目となってしまっている。 しかし使わなければ勝てない状況だった為、彼女は自分の判断に誤りは無いと思っているのだが、使う為のインターバルが短かった為か今もまだ身体の節々に痛みが走っている。
近い内に母親の元へ経過報告の為に一度帰るので、それまでに身体を万全にしておかなければならない彼女は今回の戦いで竜狩りの槍を使う事が出来なかった。
一瞬、彼女はなのはを振り切ってジュエルシードを回収しに行こうかとも考えたのだが、敢えて対話の道を選ぶ事とした。
「私がジュエルシードを集めるきっかけとなったのは、私自身の真実と、母さんの願いを知ったからだ‼︎」
前回の引き分けによって、目の前の白い少女『高町なのは』の成長の早さに気が付いたフェイトは完全に彼女を認め、己の戦う理由を彼女に向けてぶつけ始めた。
「失った物を取り戻す事、それが母さんの願いでもあり、私が『フェイト・テスタロッサ』となる為に私自身が決めた事なんだ‼︎ 荒唐無稽な事だとか、不可能な事だとか、そんな事は知った事じゃない‼︎ 例え神にしか出来ない事だったとしても母さんならきっと実現する‼︎ そして、その時こそ私は私になれるんだ‼︎ その為に私は戦うんだ、母さんの為に私の為に‼︎」
彼女の言う『失った物』それが一体何なのかはなのはには分からない。 だがしかしその思いの丈は伝わった、なら後はただ、互いが納得する決着が着くまでひたすらぶつかり合うだけだ。
「行くよ‼︎ フェイトちゃん‼︎」
「来いッ‼︎ なのは‼︎」
不死の英雄伝 〜 舞台裏 〜
NGシーン 暴れすぎ
ブレン「ユーノ、自販機の下にジュエルシードが転がり込んじまった」
ユーノ「これだけ派手にどんぱちやってれば仕方ないよ」
ブレン「あっ」
ユーノ「どうしたの?」
ブレン「シフのソニックブームでジュエルシードごと自販機が吹き飛んだ……」
ユーノ「え?」
ブレン「あ〜あ、瓦礫に埋もれちゃったや」
ユーノ「もう辺りには魔力が散らばりまくっててジュエルシードの反応をサーチ出来ないんだけど…………まさかあの瓦礫の山から手探りで探さないといけないの?」震え声
ブレン「追加でビルがもう一棟瓦礫になって山積みになったぞ」遠い目
ユーノ「みんなジュエルシードそっちのけじゃないか……」遠い目