仕方ないね、私はバトル大好きだからね。
第四十六話 好敵手
お互いの戦う理由を知り、そこに篭った思いを知った二人の間に最早語る言葉は無かった。
開戦の合図はなのはのディバインバスターによる閃光、それをフェイトは回避し、デバイスに魔力刃を展開してなのはへと肉薄する。
彼女達の戦いはこれで三度目だ、一度目の戦いでは竜狩りの槍に対応出来なかったなのはの敗北、しかし二度目の戦いでは、なのはは自分なりにフェイトへの対策を考え、引き分けにまで持ち込んだ。 ならばこの三度目の戦いでは一体どちらに軍配が上がるのだろうか。
なのはの成長と才能を最も間近で体感しているのは実際に対峙しているフェイトだ、だからこそ彼女は攻めに打って出た、守っていては勝てぬから避けていてはいつか撃ち落とされるからだ。
フェイトが身を以て理解したなのはの恐ろしさは三つ。
まず一つ、これは見ての通りの超火力。 一撃で摩天楼群を瓦礫へと変貌させる威力があるため、どれだけ優勢であってもたった一撃で何もかもをひっくり返される為、全ての砲撃を完全に避けなければならないと言う事だ。
次に二つ目、鉄壁の守り。 砲撃の影に隠れてしまっているが彼女の障壁は厚く硬い、竜狩りの槍による突進ですら一撃では粉砕出来なかった事からも、生半可な攻撃ではその障壁を越えられない事が容易に理解できる。
最後に三つ目、これが最も重要な事だが彼女には魔力切れの概念が無いかの如くに高威力の魔法を放っている事だ。 どんな原理かは知らないが、なのはの首に掛かっているネックレスから常に魔力が供給されている為、時間を掛ければ掛けるほど自分が不利になるのだ。
この難攻不落の要塞を攻略するならば、それはなのはの戦闘スタイルに付け入り、押し切るしかない。
彼女の戦闘スタイルは回避を捨てた攻撃特化、障壁に阻まれて足が止まった瞬間に一撃で叩き落す事に重きを置いているため回避行動が二の次になっていると言う事だ、そこを突く事しか無いとフェイトは考えている。
なのはの途切れる事の無い砲撃を躱しながら一気に肉薄したフェイトは鎌のような魔力刃を防がれる事を承知でなのはに振るい、その障壁にほんの僅かな傷跡を残し、その場を離れる。 しかし、退避先を狙い撃つがの如くフェイトの前を砲撃が過ぎ去って行った。 その光景にまるで自分の動きが完全に把握されているような錯覚を覚えながらも、フェイトは諦めずに果敢に斬り掛かって行く。
フェイトの取った行動はヒットアンドアウェイ、砲撃の雨を神経を擦り減らしながら回避し魔力刃の一閃一閃を障壁の傷跡目掛けて正確に振るい、徐々にその堅牢な盾に亀裂を加えて行き、そこから幾度目かの攻撃で遂になのはの障壁に大きなヒビが入り、それを好機と見たフェイトが其処へ渾身の一撃を叩き込みそれごとなのはを斬り捨てようと刃を振り下ろしたその刹那、彼女の脳裏にある違和感が浮かんだ。
それはこの目の前の少女は障壁を一度も張り直していない事。 それどころか先ほどから向けられていた砲撃の雨も、今になって思えば何処と無く不自然な隙があったようにも思える。
フェイトが自分が誘導されたと気付いた時には全身がバインドで拘束され、身動きが取れない状態になっていた。
そこへ向けられた、今正にディバインバスターを発射しようとしている彼女のデバイス、フェイトはそれを見て今自分が出来る事を必死に探り一つの方法を思い付いた。 少々リスキーな方法だが、四の五の言っていられなかった。
なのはの砲撃が発射される瞬間に、自分に向けてフォトンランサーを撃ち込んで無理やり身体を仰け反らせてバインドを解除すると同時に砲撃を回避し、なのはの顎先を狙ってサマーソルトを放つ。
だが、見えているなのはにはその一撃は不意打ちにならず、彼女は身体を引く事でそれを回避する。
事ここに至り、フェイトに後退の二文字は無くなった。 自分のデバイスを使ってなのはのデバイスに鍔迫り合いに持ち込み、彼女の額に頭突きを放って涙目になりながらも動きを止める。
彼女が頭突きによって目を瞑った瞬間に、フェイトは回し蹴りをなのはの脇腹へ放ったのだが、代わりにフェイトの喉をなのはの拳が襲う。
お互いに柔らかい場所を強打され、思わず噎せ返ってしまったが、フェイトはそのまま噎せながらなのはに抱き着き、一気に地面に急降下して行く。
なのはもフェイトの狙いに気が付いたのか、その拘束から逃れる為に膝蹴りを彼女の腹に突き立て続けているが、バリアジャケットに阻まれ中々有効打となら無い。
フェイトがなのはの身体をアスファルトの地面に叩き付けようとした瞬間、なのはの身体から大量の魔力が放出され彼女はそれによって弾き飛ばされた。
それは彼女の愛する騎士がよく見ているアニメに出て来た必殺技を模倣した物で、自分の魔力を限界まで圧縮、解放する事で周囲を攻撃する魔法。 だが、咄嗟の思い付きだった為か、加減が効かず自分の身体に宿っていた魔力を全て使用してしまった。
なのはも、フェイトも、息を切らせながら地面に足を付けて改めて杖を向け合っている、精神的肉体的疲労が積もりに積もった結果だった。
だが、二人の戦いは唐突に終わりを迎える。
なのは達の横にある瓦礫から埋もれていたブレンがボロボロになりながら埃塗れの顔を出し、二人の目に見えるようにチラチラとジュエルシードを無事に回収した事を見せていたからだ。
ブレンのタイミングが絶妙すぎて……。
ぅゎょぅι゛ょっょぃ(白目)
あとがきはおやすみ。